相続財産目録の作成

相続人の立場になったら「財産目録」を作成しましょう。

財産目録をわかりやすく表現すると、遺産内容となる「資産や負債をまとめた表」です。

作成すると遺産分割協議をスムーズに進めやすくなり、相続税の申告時にも参照できて便利に活用できます。

今回は財産目録が必要となる場面や作成方法(書き方)をご紹介しますので、遺産相続した方はぜひ参考にしてみてください。

財産目録を作成するメリット、必要性

財産目録とは遺産の内容となる不動産や預貯金などの資産、借金や未払い金などの負債をまとめた表です。財産の種類だけではなく「評価額」も記載するのが一般的です。評価額を明らかにすれば、遺産が全体としてどのくらいの金額になるのかわかるので相続税が発生するかどうか判定しやすくなります。また個別財産が全体の遺産額のうちどのくらいの割合になるのかわかるので、法定相続分とおりに遺産分けを行うのに役立ちます。「相続財産目録」ともよばれるケースもあります。

以下で財産目録を作成するメリットや必要性をみてみましょう。

遺産内容が明確になってトラブルが起こりにくい

財産目録があると、どういった遺産があるのかが一覧でわかります。

たとえば遺言書に財産目録をつけておけば、後に相続人たちが「他にも遺産があるのではないか?」と疑念を抱いてトラブルを起こすのを防ぎやすくなるでしょう。

遺言書を作成するなら必ず遺産目録(財産目録)を添付するようお勧めします。

遺産分割協議をスムーズに進められる

遺産分割協議を開始する前にも財産目録を作成しましょう。

遺産分割協議では、法定相続分を基準に遺産分割方法を決めるのが一般的です。

ただ相続分が「2分の1」や「3分の1」といわれても、具体的にどの財産を受け取れば「2分の1」や「3分の1」になるのかわかりにくいものです。

遺産目録には遺産の総額と個別資産の評価額が書き込んであるので、どの遺産を受け取ったら全体のどのくらいの割合の遺産をもらったことになるのか明らかになります。

代償分割の際には支払うべき代償金の金額も簡単に計算できて、スムーズに遺産分割協議を進めやすくなります。

相続税の計算も楽になる

相続財産の評価額が相続税の基礎控除額を超えていたら、相続税額を計算して申告・納付しなければなりません。

財産目録を作成すれば、全体として遺産評価額がどのくらいになるのか明らかになります。

基礎控除を引けば相続税が発生するかどうかわかりますし、相続税額を計算する際にも便利に利用できます。

財産目録を作成すべきケース

以下のような事案では必ず財産目録を作成しましょう。

財産内容が複雑

不動産や株式、預金口座などが多数あり財産内容が複雑な場合、財産目録がないと遺産分割協議が紛糾するリスクがあります。必ず財産目録に遺産内容をまとめましょう。

相続人が複数

相続人が複数いる場合、法定相続分に従って平等に遺産相続分を算定するために財産目録が必要です。

限定承認の申述を行う

「借金を相続したくない」などの事情で限定承認の申述を行う場合、遺産目録を作って家庭裁判所へ提出しなければなりません。

土地遺産目録や建物遺産目録、現金・預貯金・株式等遺産目録の書式が家庭裁判所で用意されているので、利用しましょう。

https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_14/index.html

なお相続放棄の申述に際しては、財産目録の添付は不要です。

遺産分割調停を申し立てる

家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てる際にも財産目録の提出を要求されます。事前にまとめておくとよいでしょう。

相続財産目録の作成方法、書き方

資産と負債に分類する

まずは「資産の部」と「負債の部」に分けます。資産の部にはプラスの財産、負債の部にはマイナスの負債を書き入れていきます。

資産の部の書き方

まずは不動産、預貯金、現金、株式、骨董品等の動産などの「財産の種類」によって分類しましょう。

次にそれぞれの種類における個別資産を特定し、それぞれについて「評価額」を記入します。

不動産の場合、相続税計算時の評価方法と遺産分割時の評価方法が異なるので注意が必要です。相続税計算時には路線価や固定資産評価などを基準としますが、遺産分割時には通常「時価」を基準にします。

車や骨董品、絵画などの動産についても個別的に評価しなければなりません。

負債の部の書き方

負債については借金や未払い家賃、未払い税など費目によって分類します。葬儀費用も遺産から差し引きできるので負債の部に書き入れましょう。

こちらについてもそれぞれ評価額を記入します。

資産から負債を引いて評価額を記載する

最終的に資産総額から負債総額を差し引いて遺産のプラスマイナスや評価額を明らかにしましょう。

相続財産目録の作成は弁護士までご相談ください

財産目録を作成するには、先に綿密に相続財産調査を行わねばなりません。適正に財産を評価する必要もあり、相続人様には過大なご負担となりがちです。

ご自身たちで作成するのが難しければ弁護士にご依頼ください。当事務所では相続財産調査、財産目録の作成、遺産分割協議のサポートまでワンストップで対応させていただきます。

京都・滋賀・大阪・兵庫で遺産相続された方がおられましたら、まずはお気軽にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0752555205 問い合わせバナー 無料法律相談について