コラム

当事務所での初回の法律相談をご検討中の方へ

2024-02-23

当事務所ホームページにおいて、「初めて弁護士に法律相談をするときのコツ」というテーマのコラムを掲載させて頂いていますが、今回は、当事務所での初回の法律相談をご検討中の方へ向けて、当事務所からお伝えしたいことを書いていきます。

1 遺産相続問題についての初回法律相談料は無料です

よく、「相談料はかかりますか?」というご質問を頂くのですが、当事務所では、遺産相続問題についての初回法律相談料は無料ですので、ご安心ください。

また、特に時間制限も設けておりません

ご相談者の中には、弁護士は多忙だろうから、と急いで話をしようとしてくださる方もいらっしゃいますが、初回の法律相談は、ご相談内容を詳細に把握するため、弁護士との相性を確認するためにもとても重要ですので、時間を気にせずに、お話をして頂きたいと考えています。

2 法律相談をしたからといって、必ず依頼しないといけないということはありません

法律相談をしたら、依頼をしないといけないのではないか、という心配をされる方もいらっしゃいますが、そのようなことはありません

事件の見通し、弁護士費用、弁護士との相性などを考慮して、ご依頼されるかについてはしっかりとご判断頂ければと思います。

もちろん、当事務所においても、ご依頼されるメリットがあるかについての意見は率直に伝えさせて頂いています。

3 話しやすいように配慮させて頂きます

特に、初めて法律相談に行くという方にとって、法律事務所は緊張してしまう場所であると思います。そのため、行くのが億劫だ、というふうに思われることも理解できます。

当事務所では、そのような方にも、できる限りリラックスしてお話して頂けるよう配慮させて頂いています。

また、何から説明すれば良いのかわからない、という方に対しては、弁護士から質問をさせて頂きますし、説明したいことをまとめて来た、という方に対しては、しっかりとお話を聞かせて頂いています。

弁護士にうまく説明できるか心配だという方も、安心してご相談頂ければと思います。

4 まとめ

今回のコラムでは、当事務所での初回の法律相談をご検討中の方へ向けて、当事務所からお伝えしたいことについて述べました。

当事務所での初回の法律相談をご検討中の方の一助となれば幸いです。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続事件に力を入れて取り組んでいます。

相続に関するお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。

遺産分割における相続人の人数は平均何人ぐらい?

2023-11-20

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

当事務所は相続案件に注力しておりますが、遺産分割のご依頼を頂いた際、相続人の人数が2人のこともあれば、10人近くになることもあります。

そして、相続人の数が増えれば増えるほど、話が中々まとまりづらい傾向にあります。

それでは、遺産分割における、相続人の人数は何人ぐらいが多いのでしょうか?

当職の肌感として思う人数はありますが、実際の平均人数は分かっていません。

そのため、今回はその統計データを調べてみました。

1.遺産分割事件における相続人の人数

まず、前提として、今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件における、相続人の人数となります。

そして、令和3年に終結した遺産分割事件の総数は、1万3442件となっています。

それでは、これらの事件毎の、相続人の人数はどうなっているでしょうか?

■相続人の人数(総数1万3442件)

2人     3866件(第1位、約29%)

3人     3655件(第2位、約27%)

4人     2138件(第3位、約16%)

5人     1084件(約8%)

6人      711件(約5%)

7人      482件(約3.5%)

8~10人   691件(約5%)

10人を超える 815件(約6%)

上記のように、遺産分割事件における相続人の人数については、第1位が2人で全体の約29%第2位が3人で全体の約27%第3位が4人で全体の約16%となっています。

当職にご依頼頂く案件についても、相続人の方が、2人か3人の時が多いので、おおよそ上記データは当職の肌感覚にも合っています。

もっとも、上記データにおいては、10人を超える相続人がいるケースも、全体の約6%もあります。そこで、以下では、各人数の相続人の属性(子や配偶者など)を予測していきます。

2.人数毎の相続人の属性の予測

まず、2人から4人ぐらいまでは、相続人の属性として、配偶者と子どもで占めている場合が多いと思います。

次に、5人から7人ぐらいについては、子どもが両親よりも先に亡くなった関係で、孫への代襲相続が発生している場合、又は、被相続人に配偶者や子どもがおらず、兄弟姉妹が相続人になっているが、先に亡くなっている兄弟姉妹の方もそれなりにいて、その兄弟姉妹の子どもへの代襲相続が発生している場合が多い印象です。

次に、8人~10人、10人を超える相続人がいるケースについては、先代で相続が発生していたのに、その方々が遺産分割を行っておらず、それがお子さんやお孫さんの代にいって、ようやく遺産分割を行っている場合が多い印象です。

このように、遺産分割を放置しておくと、自身の子どもや孫の代で遺産分割をしなければならなくなり、かなりの人数が遺産分割に関与する必要が出てきます。

そうすると、そもそも話合い自体が困難で、中々話がまとまりづらくなってしまいます。

3.最後に

今回は、遺産分割における相続人の人数はおおよそ何人ぐらいが多いのか、について解説しました。

相続人が多いと、どうしても話がまとまりづらくなってしまいます。

そのため、相続人が多いと予想され、かつ相続人間で揉めて欲しくないとお考えの方は、事前に遺言書を作成しておくのが良いと思います。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しています。

もし、お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次回のコラムでお会いしましょう。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産分割を弁護士に依頼すると解決が長引くの?

2023-11-08

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

時々、ご相談者の方から、「遺産分割を弁護士に依頼すると解決が長引きますか?」というご質問を頂くことがあります。

これに対して、私の方からは、「少なくとも私の場合には、これまでご依頼頂いたことによって、解決が長引いたという案件はない印象です」とお答えしています。

私としては、今まで相続人の間でまとまっていない話に、弁護士の立場として介入することで、話を前進させることになるため、結果的に弁護士(私)が入ることで解決が早くなっているのではないかと考えていました。

しかし、私も、実際のデータを調べたことがあるわけではありません。

そこで、今回は、「遺産分割を弁護士に依頼すると解決が長引くのか」について、関連するデータを調べてみました。是非参考になさって下さい。

1.遺産分割事件における弁護士の関与の有無ごとの審理期間

まず、前提として、今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件(遺産分割調停が成立した事件と審判が認容された事件)における、審理期間別の代理人弁護士の関与の有無となります。

要は、終結した遺産分割事件について、審理期間の司法統計をとり、その審理期間別に、それぞれ代理人弁護士が付いていた案件が何件、付いていなかった案件が何件との司法統計をとったものとなります。

それでは、代理人弁護士が付いている案件は、事件が長期化する傾向があるのでしょうか。

まずは、代理人として弁護士が関与している事件の割合を示した後に、代理人弁護士の関与の有無ごとに審理期間のデータをお示しします。

■代理人弁護士の関与の有無(総数6996件)

有り    5939件

無し    1057件

関与割合  84.89%(約85%)

■代理人弁護士の関与が有る事件の審理期間(総数5939件)

1月以内    33件(約0.5%)

3月以内   320件(約5%)

6月以内   835件(約14%、第3位)

1年以内  1706件(約29%、第2位)

2年以内  2000件(約34%、第1位)

3年以内   716件(約12%)

3年を超える 329件(約6%)

■代理人弁護士の関与が無い事件の審理期間(総数1057件)

1月以内     8件(約0.8%)

3月以内   158件(約15%)

6月以内   301件(約28%、第2位)

1年以内   330件(約31%、第1位)

2年以内   211件(約20%、第3位)

3年以内    35件(約3%)

3年を超える  14件(約1%)

上記のように、代理人として弁護士が関与している事件の審理期間は、第1位が2年以内、第2位が1年以内、第3位が6ヶ月以内となっています。

一方、代理人弁護士の関与が無い事件の審理期間については、第1位が1年以内、第2位が6ヶ月以内、第3位が2年以内となっており、このデータだけを見た場合、弁護士が関与したことによって事件が長引いているように見受けられます

そこで、以下では、自己弁護も兼ねて(笑)、一体なぜデータ上、弁護士が関与した方が、事件が長引いているのかについて、考察します。

2.データ上弁護士が関与している事件の方が長引いている理由

2-1.ご自身で調停をやる事件はそこまで揉めていない

まず、一つ目に考えられる理由として、弁護士に依頼せずに、遺産分割事件を進める案件というのは、そもそも相続人間でそこまで揉めていないのではないかという点です。相続人間で少し話がまとまらない部分はあるけれども、概ねの方向性は合致しているようなケースが多く含まれていると思います。

その証拠に、代理人弁護士が関与していない遺産分割事件については、6ヶ月以内に終結している事件(1ヶ月以内と3ヶ月以内も含めている)が約44%もあります。

遺産分割調停を申し立てると、第1回期日が始まるまでに、おおよそ1ヶ月から2ヶ月ほどかかります。そして、その後、1ヶ月に1回程度のペースで期日が設定されて、話合いが進められることになります。

そうすると、1ヶ月で終結させようとすれば良くて期日が1回、3ヶ月で終結させようとすればおおよそ期日が2~3回、6ヶ月で終結させようとすればおおよそ期日が4回~5回ほどとなります。

ご自身で調停を行う場合には、弁護士が関与する場合と異なり、期日と期日の間で自己に有利になる証拠の提出や書面の提出をすることも少ないと思いますし、メインは期日で調停委員に話すという内容になるかと思います。

その形で、6ヶ月以内に集結する事件が約44%もある時点で、代理人弁護士が関与していない遺産分割事件については、あまり揉めていないのではないことが推察されます。

2-2.法的主張が多くなる

次に、考えられる理由として、弁護士に依頼すると法的主張が多くなるという点です。確かにこの点は、弁護士に依頼すると期間が長引くと言われる大きな理由だと思います。

一般的に、遺産分割調停などの場合、一方当事者が言いたいことを言っても、法的主張となっていない場合、すぐに切り捨てられてしまうので、時間はかかりません。

対して、弁護士にご依頼頂くと、ご依頼者の言いたいことを法的主張に変えて、裁判所を説得しますので、その法的主張を審理するために、時間がかかってしまうことになります。

私見としては、ご依頼者としても、ご自身の言いたいことをすぐに裁判所に切り捨てられてしまうより、しっかり審理して欲しいのではないかなとは思っておりますが、この点で、事件が長引いてしまうという側面はあると思います。

2-3.データの取り方の問題

次に、考えられる理由として、データの取り方の問題です。

今回のデータは、遺産分割調停や遺産分割審判という、裁判所を介在した手続きについての審理期間となります。

弁護士にご依頼頂かないケースだと、遺産分割調停や審判を申し立てるのは、申し立てる側にとってかなり負担となるものであり、極力、当事者同士で話合おうとされる傾向が強いように思われます。

そうすると、弁護士にご依頼頂かないケースの場合、裁判所を介在させる前に、ある程度当事者間で話をつめていることになり、実際に調停や審判になった際には、争いとなっている部分が明確で、そこを詰めればよいことになります。

また、弁護士にご依頼頂かないケースだと、だれも遺産分割調停や審判を申し立てずに、相続が発生してから数年間が経過しているという案件も、しばしば目にします。

今回のデータの取り方は、相続が発生してからの期間ではなく、あくまで裁判所が関与してからの審理期間となりますので、このようなしばらく放置されていた案件についても、6ヶ月以内に集結したら、6ヶ月以内とデータでは残ることになります。

相続が発生してからの期間という形でデータを取れば、弁護士が関与の有無で、期間にあまり差はつかないのではないかと推察いたします。但し、そのような統計をとっているデータは見当たりませんでした。

3.最後に

今回は、遺産分割を弁護士に依頼すると期間が長引くのかについて、解説しました。

途中で自己弁護も入れましたが(笑)、データ上は、弁護士に依頼すると裁判所の審理期間が長引く傾向にあるようです。

皆様は今回のデータをみて、どのように思われたでしょうか。

途中の自己弁護は、ある種私のポジショントークにすぎないかもしれませんので、話を差し引いて聞いて頂ければと思います。

ただ、私としては、これまでご依頼頂いたせいで、解決が長引いたという案件はない印象なので、最後の自己弁護として、お伝えさせて頂きます(笑)

当事務所は、遺産相続案件に注力していますので、もしご相談等があれば、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次回のコラムでお会いしましょう。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

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遺産分割において特別受益が考慮される割合は何%?

2023-10-15

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

遺産分割を行う際、特定の相続人が、亡くなった方から生前贈与などを受けていた場合、他の相続人が特別受益の主張を行うことになります。

遺産分割の際に、この特別受益が考慮される割合はどのくらいなのでしょうか。

私が弁護士として関与する際には、特別受益の主張をして、認められることも多いのですが、私自身も実際の割合については、正直よく分かっていません。

そこで、今回は、最新のデータを調べてみましたので、もし良かったら参考になさって下さい。

1.特別受益とは

まず、前提として、特別受益の説明を簡単に行います。

特別受益とは、特定の相続人が、亡くなった方から遺贈や生前贈与などによって受けた利益をいいます

遺贈や生前贈与を受けた相続人がいる場合には、法律上、その相続人の取り分を減らすことができ、その計算方法を「特別受益の持ち戻し計算」といいます。

要は、一部の相続人が、亡くなった方から生前贈与などを受けていた場合には、他の相続人との間に不公平が生じるので、遺産の取り分を減らせる制度になります。

この特別受益の話は、「遺産分割と生前贈与の関係について」という記事で詳しく解説しているので、興味がある方は、是非参考になさって下さい。

2.特別受益が考慮される割合

それでは、遺産分割事件において、この特別受益が考慮される割合はどれくらいなのでしょうか?

今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件(遺産分割調停が成立した事件と審判が認容された事件)において、特別受益が考慮された割合となります。

結果は、下記の通りです。

■特別受益の考慮の有無(総数6996件)

有り     588件

無し    5693件

不詳     715件

考慮割合  9.36%(約10%)

遺産分割事件において、特別受益が考慮される割合は約10%のようです。

遺産分割事件10件のうち、1件しか特別受益が考慮されていません。

当初の私の予想では、3件に1件ぐらいは特別受益が考慮されていると思っていたので、この結果は正直驚きました。

以下では、なぜ特別受益を考慮される割合がこんなに低いのかについて、考察していきます。

3.なぜ特別受益を考慮される割合が低いのか

3-1.当事者から主張されていない

弁護士からすれば当然なのですが、当事者から、特別受益の主張がされなければ、裁判所は、その点を一切考慮しません

当事者から主張されていない生前贈与などは、なかったものとして扱われます。

裁判所は、当事者から特別受益の主張が出なければ、その点を考えることすらしないのです。

弁護士が相手方の代理人になっているケースでも、相手方から生前贈与の主張が出てこないこともあるので、この点は特別受益が考慮される割合が低いことに関係していると思います。

3-2.当事者から証拠が提出されない

裁判所においては、事実を、証拠を基に認定します。

特別受益の主張をして、相手方が認めるケースは証拠も不要ですが、実際そのようなケースはあまりないので、特別受益の主張をする側が、生前贈与などを裏付ける証拠を提出する必要があります

そして、この証拠の収集については、弁護士でなければ、難しい側面があります。

(弁護士同士でも、この証拠収集への熱量は人によって異なります。)

結局、他の相続人などから、生前贈与の主張がされても、有効な証拠が提出されずに、特別受益が認定されないことが多いのだと思います。

4.最後に

今回は、遺産分割事件において、特別受益が考慮される割合がどれくらいかについて、解説しました。

全体として、約10%という数字を、どのように感じられたでしょうか。

私はかなり低いと感じましたが、これは人によって評価が違うと思います。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しています。

もしお困りのことなどがあれば、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産相続問題は弁護士にいつ相談すればよいの?

2023-09-24

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

「遺産相続の問題っていつ弁護士に相談すれば良いの?」というご相談を頂くことがあります。

そこで今回は、そんな方に向けて、遺産相続問題をいつ弁護士に相談すべきかについて、お話しさせて頂きます。

その方が相続人の立場なのか、遺産を譲り渡す被相続人の立場なのかによって、弁護士に相談すべきタイミングは変わってきます。そこで、以下では、場合を分けてお話しさせて頂きます。

1.相続人の立場の方

1-1.被相続人の生前について

実は、被相続人の生前に、相続人の立場の方から、ご相談頂くことも多いです。

よくあるご相談が、「両親の相続の際に兄弟と揉めそうなんですけど、どうすればよいですか?」といったご相談になります。

ご両親とご相談頂く相続人の方の関係性から、ご両親がその相続人の方のお願いを聞いてくれそうなら、ご両親にこのような遺言書を書いて欲しいとお願いするのが良いかと思います。

それが難しそうなのであれば、弁護士に生前にご相談頂いても、中々打つべき対策がないというのが実情です。

但し、ご相談を受ける中で、私の方から、①これは事前にやっておいた方が良いですよ、とのお話しができたり、②相続が発生した際の流れ等はお伝えすることはできます。

そうすると、そのご相談者の方から、「具体的な流れも分かって、だいぶ気が楽になりました」であったり、「相続が発生した際に、依頼したい弁護士さんが見つかって良かったです」などのお言葉を頂戴することもあります。

なので、被相続人の生前であっても、相続のことが気になっている方は、その時点ですぐにご相談を頂いてもよいのかもしれません。

1-2.被相続人が亡くなった後について

この場合は、可能な限り早いタイミングで、ご相談頂くことを頂くことをお勧めいたします。早めにご相談頂くことで、今後すべきことや、打つべき対策についてお話しできるためです。

被相続人が亡くなってから、ある程度期間を空けてから、弁護士に相談した方がいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃいますが、ご相談自体は、特に期間を空けて頂く必要はございません

但し、当事務所にご依頼頂いた後に、緊急の必要がない限り、四十九日法要が終わるまでは、他の相続人に書面を送付するのは控え、それ以外の準備をさせて頂くことも多いです。

これは、他の相続人に対する書面送付が早すぎて、余計な争いを生むのを防止するためです。

もちろん、ご依頼者の方が早く書面を送ってほしいというご意向があれば、そのご意向通りに対応させて頂きます。

なので、他の相続人への書面送付時期についても、ご依頼者の方との、話合いをもとに、進めていくことになります。

なお、当然ですが、当事務所の弁護士は、ご依頼者に対する守秘義務を負っています。そのため、弁護士にご相談頂いた時期やご依頼頂いた時期が、他の相続人に漏れることはありません。

そのため、弁護士へのご相談やご依頼のタイミングが、お亡くなりになってからすぐでも、特に問題ありませんし、当職の経験上も、ご相談やご依頼のタイミングが早いことを理由に、他の相続人とトラブルになったことはありません。

2.被相続人の立場の方

ご自身が遺産を譲り渡す被相続人の立場の方は、可能な限り、早めに弁護士にご相談頂くことをお勧めいたします

なぜなら、あまり考えたくないことなのですが、遺言書作成の準備中などに、お亡くなりになる可能性もあり、その結果、相続人同士が揉めてしまう等の事態も生じ得るからです。

基本的に、被相続人の立場の方が、弁護士に御相談頂く場合には、一緒に遺言書を作成させて頂くことが多いです。

その中で、その方の望みとして、①相続人同士が揉めてほしくないのか、それとも、②ある相続人に遺産を全部渡したいのか、等を確認していくことになります。

①の相続人同士が揉めて欲しくないのであれば、他の相続人の「遺留分」という法律上最低限保障されている遺産取得割合にも配慮して、遺言書を作成する必要があります。

そして、「遺留分」に配慮するためには、その方の遺産がいくらぐらいなのか等を判断する必要がありますし、その上で弁護士とご依頼者が一緒に遺言書の内容を考えていくことになります。

②のある相続人に遺産を全部渡したいとお考えなのであれば、遺産を全て把握した上で、その遺産全てを特定の相続人に相続させる旨の遺言書を作成していくことになります。

このように、被相続人の方からしても、遺言書作成によって、叶えたい望みがあるかと思います。

しかし、万一、遺言書作成前にお亡くなりになってしまえば、その望みは一切叶えられなくなってしまいます

なので、被相続人の立場の方については、可能な限り、早く、弁護士にご相談頂きたいと考えています。

時々、「誰にどれだけ遺産をあげるか決まっていないんだけど、弁護士に相談しても良いの?」と仰る方もいますが、全く問題ありません。

そんな方も、弁護士と話をしていく中で頭が整理されて、誰にどれだけ遺産をあげるか決めていかれますので、何も決まっていなくても、ご相談ください。

但し、「誰にどれだけ遺産をあげるか」を決めて頂くのはご自身です。

これはご自身の人生の集大成の決断であり、弁護士が決められる内容ではありません。

そのため、弁護士との話の中で、最終的にはご自身でご決断頂く必要はあります。

3.最後に

今回は、「遺産相続問題は弁護士にいつ相談すればよいの?」というテーマで、お話しさせて頂きました。

基本的には、気になったタイミングですぐに弁護士にご相談頂ければと思います。

まさに「思い立ったが吉日」です。

もしかしたら、弁護士に相談をすることは、あまり気がすすまないかもしれませんが、それが大きな1歩になると信じています。

少しでも、コラムを見て頂いた方の背中を押せたのであれば、嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

遺産分割において弁護士が関与する割合はどれくらい?

2023-08-28

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

被相続人がお亡くなりになった後、遺言書がなければ、遺産分割を行うことになりますが、相続人同士では中々話がまとまらないこともあります。

このように中々話がまとまらない遺産分割事件において、弁護士が関与する割合はどのぐらいでしょうか?

私自身が弁護士であるためか、弁護士が関与しない遺産分割事件というのを中々見る機会がなく、その割合を正直よく分かっていません。

そこで、今回は、最新のデータを調べてみましたので、もし良かったら参考になさって下さい。

1.遺産分割調停(審判)事件における弁護士の関与割合

まず、前提として、今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件(遺産分割調停が成立した事件と審判が認容された事件)について、弁護士が関与していた割合となります。

そして、令和3年に終結した遺産分割事件の総数は、6996件となっています。

これらの案件は、相続人間で話し合っても決着がつかずに、家庭裁判所に持ち込まれた案件なので、相続人同士で話がまとまらなかった遺産分割と言ってよいと思います。

それでは、これらの案件について、弁護士が関与している割合はどうなっているでしょうか?

■代理人弁護士の関与の有無(総数6996件)

有り    5939件

無し    1057件

関与割合  84.89%(約85%)

上記のように、約85%の遺産分割事件については、代理人として弁護士が関与しているようです。

逆に言えば、約15%の遺産分割事件については、代理人弁護士が関与せずに、当事者のみで調停や審判が進められているようです。

但し、私もそうですが、遺産分割調停や審判をご自身で行っている方からご相談を受けることもあります。そのため、おそらく代理人弁護士が関与していない案件についても、適宜、弁護士に相談はしているのだと思います。

2.遺産の価格別の弁護士の関与割合

次に、遺産の総額と弁護士の関与割合が関係するのかも調べてみました。

遺産の総額が高ければ、弁護士の関与割合も高い結果になっているのでしょうか?

遺産の価格別(総額別)の代理人弁護士の関与割合については、下記のようになっています。

■1000万円以下(総数2310件)

有り   1807件

無し    503件

関与割合 78.22%(約78%)

■5000万円以下(総数3052件)

有り   2622件

無し    430件

関与割合 85.91%(約86%)

■1億円以下(総数866件)

有り   795件

無し    71件

関与割合 91.80%(約92%)

■1億円を超える(総数521件)

有り   496件

無し    25件

関与割合 95.20%(約95%)

上記をみると、遺産の総額が1000万円以下の案件では、代理人弁護士の関与割合が約78%と一番低くなっています。

そして、そこから遺産の総額が上がるにつれて、代理人弁護士の関与割合も上がっていく傾向が見て取れました。

遺産の総額1000万円以下が、圧倒的に代理人弁護士の関与割合が低い結果となっていますが、おそらくこれは、遺産の価格が1000万円以下の中でも、遺産の価格がかなり低い方が、代理人弁護士を関与させないためだと思います。

例えば、遺産の価格が300万円以下だと、相続人が2人でも、単純計算すれば一人150万円ほどしか取得できず、その状況で弁護士を入れてしまうと、取得できる遺産に比して弁護士費用が高くついてしまうので、中々弁護士を入れる状況になりません。

逆に言えば、遺産の価格が1000万円近い案件については、弁護士の関与割合が82%、83%辺りまではいっているのでないかと推測します。

3.最後に

今回は、遺産分割事件において弁護士が関与する割合はどれぐらいかについて、解説しました。

全体として85%というのは、どのように感じられたでしょうか。

私としては、90%ぐらいかと思っていたので、想像より低いなという印象でした。

これも、我々弁護士が、弁護士にご依頼頂いた際のメリットを上手く伝えられていないのが、原因かもしれませんし、反省しないといけないですね。

当事務所は、遺産相続案件に注力していますので、もしご相談等があれば、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次回のコラムでお会いしましょう。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産が少ないと相続人が本当に揉めないの?

2023-08-19

こんにちは。弁護士の益川教親です。

私は遺産相続案件に注力しているのですが、それを知っている方から、プライベートの時に、「うちは遺産が少ないから子どもたちは揉めないわ」と言われることがあります。

「遺産が少ないと相続人が揉めない」というのは本当なのでしょうか?

一応肌感覚として、私自身も答えをもっているのですが、実際にはどうなのかが気になったので、データを調べてみました。

最新(令和3年)のデータをもとに解説しますので、良かったら参考にしてみてください。

1.遺産分割調停(審判)事件の遺産の価格について

まず、令和3年に終結した遺産分割事件のうち、調停が成立した案件と審判が認容された案件の総数は、6996件となっています。

これらの案件については、相続人間で話し合っても決着がつかずに、家庭裁判所に持ち込まれた案件なので、揉めた案件といってよいと思います。

それでは、これらの案件の中に、遺産が少ない案件はないのでしょうか?

遺産の価格については、下記のようになっています。

■遺産の価格(総数6996件)

1000万円以下  2310件(2位)

5000万円以下  3052件(1位)

1億円以下      866件(3位)

5億円以下      493件

5億円を超える     28件

算定不能・不詳    247件


上記のように、1000万円以下の案件が2310件の2位で、全体の約3分の1となっています。

もちろん1000万円以下の中には、遺産が100万円以下の案件から、1000万円近い案件も含まれており、遺産が1000万円近い案件についても、遺産が少ないと言っていいかは評価が分かれるところかもしれません。

ですが、遺産が1000万円以下の案件が、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件の、全体の約3分の1になっていることは、知っておいた方が良いかと思います。

私の経験上、遺産が100万円以下で、相続人同士が揉めている案件を見たことがあります。なので、必ずしも、遺産が少なければ揉めないわけではありません。

遺産相続案件は、家族間のこれまでのいきさつ、いわば家族の歴史が丸ごと問題になることも多いため、揉めるときは遺産の価格に関わらず、揉める印象です

2.遺産が少なければ審理期間は短いのか?

次に、遺産が少なければ、遺産分割調停や遺産分割審判が早く終わるのかについて、解説します。

遺産の価格ごとの審理期間については、下記のようになっています。


■1000万円以下(総数2310件)

1月以内    27件

3月以内   252件

6月以内   493件(3位)

1年以内   744件(1位)

2年以内   580件(2位)

3年以内   163件

3年を超える  51件


■5000万円以下(総数3052件)

1月以内      4件

3月以内    170件

6月以内    484件(3位)

1年以内    928件(2位)

2年以内   1052件(1位)

3年以内    304件

3年を超える  110件


■1億円以下(総数866件)

1月以内      6件

3月以内     21件

6月以内     87件

1年以内    207件(2位)

2年以内    315件(1位)

3年以内    151件(3位)

3年を超える   79件


■1億円を超える(総数521件)

1月以内      2件

3月以内     18件

6月以内     40件

1年以内     97件(3位)

2年以内    166件(1位)

3年以内    110件(2位)

3年を超える   88件


上記のように、遺産の価格が1000万円以下の案件でも、総数2310件のうち、審理期間が1年を超えている案件は794件もあり、全体の3分の1以上は、審理期間が1年を超えています

また、3年を超えている案件も51件あり、遺産の価格が1000万円以下の案件でも、審理が長期化している案件もあります。

そのため、遺産の価格が少なければ、審理期間が短いとは必ずしもいえなさそうです。

但し、遺産の価格が、1000万以下は1位が1年以内であるのに対して、1000万円を超える価格は全て1位が2年以内となっています。

なので、遺産の価格が少ないと、審理期間が少し短くなるとはいえそうです。

3.最後に

今回は、遺産が少ないと相続人が揉めないのかについて、解説しました。

結論としては、遺産が少なくても揉める時は揉めます。

これは、遺産相続案件の場合、単純に金銭だけではなく、これまでの家族の関係性や歴史が問題になるためだと思います。

当事務所は、遺産相続案件に注力していますので、もしご相談等があれば、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次回のコラムでお会いしましょう。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産分割調停・審判はどのくらい時間がかかるの?

2023-08-06

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

当事務所は遺産相続案件に注力しておりますが、弁護士の友人から、遺産相続案件は、解決までに時間がかかりすぎると言われることも多いです。(だからこそ、その友人からは、遺産相続案件を取り扱いたくないというニュアンスで話がされます。)

しかし、私の肌感覚として、遺産相続案件が他の案件と比べて、必ずしも長く時間がかかるとは思いません。

そこで実際はどうなのかが気になったので、今回、

遺産分割事件(調停・審判)の審理期間がどのくらいで

実施される期日の回数が何回くらいか

を調べてみました。

現時点で発表されている最新(令和3年)のデータをもとに解説しますので、気になった方は是非参考にしてみてください。

1.審理期間(総数)

まず、令和3年に終結した遺産分割事件の総数は、1万3447件でした。

そして、審理期間は下記のようになっています。

■審理期間

1月以内   269件

3月以内  1161件

6月以内  2749件

1年以内  4136件

2年以内  3607件

3年以内  1074件

3年を超える 451件

上記のように、一番件数が多いのは6ヶ月を超えて1年以内の4136件、2番目に多いのが1年を超えて2年以内の3607件、3番目に多いのが3ヶ月を超えて6ヶ月以内の2749件でした。

私個人の感覚としても、遺産分割事件は、1年以内に終わることが多いと考えているため、このデータと一致していました。

但し、審理期間が1年を超える案件が、1万3447件のうち5132件もあり、約40%となっています。そのため、友人が言うように、他の案件に比べると、審理期間が長くなる傾向があるかと思います。

2.実施期日回数(総数)

それでは、遺産分割事件の実施期日回数は、どのようになっているでしょうか?

■実施期日回数

0回    1006件

1回    1706件

2回    1965件

3回    1745件

4回    1373件

5回    1133件

6~10回 3073件

11~15回 890件

16~20回 294件

21回以上  261件

上記をみると、1番多いのが6回から10回の3073件になっており、私の肌感覚とも合致しています。

なお、実施期日回数0回というのは、調停の取り下げがされた場合などで、裁判所において審理の必要がないと考えた場合を指すと思われます。

3.遺産分割調停が成立する場合

上記の数字は、遺産分割事件全体の数字になりますが、これには、取り下げがされた場合も含まれています。

それでは、調停成立の場合に絞ると、どのくらいの期間と回数になるのでしょうか?

令和3年の遺産分割調停の成立件数は5895件でした。

そして、審理期間や実施期日回数は、下記の通りとなっています。

■審理期間

1月以内    38件

3月以内   462件

6月以内  1063件

1年以内  1835件

2年以内  1774件

3年以内   527件

3年を超える 196件

■実施期日回数

0回       0件

1回     487件

2回     709件

3回     769件

4回     694件

5回     616件

6~10回 1799件

11~15回 517件

16~20回 182件

21回以上  122件

上記をみると、審理期間で1番多いのが1年以内、2番目に多いのが2年以内、3番目に多いのが6ヶ月以内となっています。

実施期日回数は、1番多いのが6回~10回となっており、2番目に多いのが3回、3番目に多いのが2回になっています。

2回や3回で調停が成立している事案については、調停期日のみならず、期日間においても双方で交渉を進めているケースが多いと思います。

4.遺産分割審判が認容される場合

それでは、遺産分割審判で認容される場合はどうしょうか?

審判認容の総数は1101件で、審理期間や実施回数は下記の通りとなっています。

■審理期間

1月以内     3件

3月以内    16件

6月以内    73件

1年以内   201件

2年以内   437件

3年以内   224件

3年を超える 147件

■実施期日回数

0回      32件

1回      73件

2回      56件

3回      83件

4回      77件

5回      88件

6~10回  371件

11~15回 164件

16~20回  66件

21回以上   91件

上記をみると、審理期間で1番多いのが2年以内、2番目が3年以内、3番目が1年以内となっています。

また、実施期日回数をみると、1番多いのが6回~10回の371件、2番目に多いのが11~15回の164件、3番目に多いのが21回以上の91件となっています。

遺産分割調停が決裂した場合に審判手続に進むことが多いため、調停の場合に比して、時間がかかっています。

5.最後に

今回は、遺産分割調停・審判がどのくらい時間がかかるのかについて、解説しました。

皆さんは、どのような印象を持たれたでしょうか?

今回調べたデータからすると、他の案件に比べて遺産相続案件が長期化する傾向にあるといえるかもしれません。

もっとも、私としては、ご依者の方が納得できない形で遺産相続案件を早く終了させるぐらいであれば、多少時間がかかってもご依頼者の方が納得できる形で案件を終了させる方がよいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産分割調停は1年間で何件の申立てがあるの?

2023-07-30

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

突然ですが、遺産分割調停が1年で何件、家庭裁判所に申し立てられているかご存じですか?

相続法務に注力している弁護士であるにもかかわらず、お恥ずかしながら、私もあまり意識したことはありませんでした。

そこで今回、現時点で発表されている最新(令和3年)のデータを調べてみたので、気になった方は参考になさって下さい。

1.全国総数

まず、厚生労働省のデータによると、令和3年にお亡くなりになった方は、143万9809人のようです。そのため、令和3年に日本全体で、143万9809件の相続が発生していることになります。

そして、令和3年の日本全体における、遺産分割調停の新規申立数は1万3565件です。

それゆえ、相続が発生して遺産分割調停の申立がされる割合は、おおよそ1%(厳密には0.942%)であり、おおよそ100件相続が発生すれば、1件遺産分割調停が申し立てられる計算となっています。

この数字を皆さんはどのようにお考えでしょうか?

私個人としては、思ったより割合が低いなというのが率直な感想です。

もちろん、相続人間で話がまとまらず弁護士が就いた案件でも、遺産分割調停までいかずに、当事者間の話合いで終わる案件が多くあるので、相続で争う割合が1%というわけではないでしょう。しかし、個人的には3%ぐらいはあると思っていたので、私の予想が結構外れていました。

なお、上記統計データには、遺留分侵害額請求という、不公平な遺言が作成された場合の争いは含まれておらず、こちらの調停件数を含まれれば、全体の2%ぐらいの割合になるのではないかと推測します。但し、遺留分調停の申立件数については、公表されていないので、正確には分かりません。

2.全国トップ3

それでは、遺産分割調停の新規申立数、全国トップ3はどこでしょうか?

結論としては、第1位が東京で1620件第2位が大阪で978件第3位が横浜(神奈川)で916件になります。

第4位と第5位も発表しておくと、第4位が名古屋で726件、第5位が埼玉で669件になります。

なお、第6位は神戸(兵庫)で627件、第7位は福岡で624件です。神戸と福岡については、件数がわずか3件差なので、おそらく年によっては、順位が入れ替わると思います。

一般的に京都は相続で揉めるイメージがあるかと思いますが、京都はトップ3どころかトップ7にさえ入っていません。

もちろん、人口数や死者数が違うので、単純に比較することはできませんが、意外と京都において遺産分割調停の申立がされている件数は多くないようです。

3.関西地方(京都、大阪、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)

当事務所は京都にあり、遺産相続案件については、関西地方の方からご依頼を受けることが多いので、関西地方の件数についても紹介しておきます。

遺産分割調停の新規件数が多いところから紹介していくと、①大阪978件、②神戸(兵庫)627件、③京都281件、④奈良141件、⑤大津(滋賀)115件、⑥和歌山96件となっています。

関西地方全体の申立件数を足しても2238件ですので、第1位の東京の1620件という数字がどれだけ多いかお分かり頂けるかと思います。

上記の通り、京都の件数は281件で、2倍をしても627件の神戸(兵庫)より少ないですし、3倍しても978件の大阪より少ないです。

そうなると、京都って、一般的に言われている印象と違って、相続でそれほど揉めないのではないかという疑問が生まれます。

そこで、死亡者数との兼ね合いで見てみると、令和3年の京都府の死亡者数は2万8309人であり、遺産分割調停申立数は281件なので、調停申立ての割合が1%以下になっています。

そう考えると、京都は相続で揉めるというのは、あくまでイメージの問題で、実際には全国平均と大して変わらないのだろうと思います。

なお、京都の281件というのは、岡山の253件、那覇(沖縄)の262件よりは多いものの、仙台(岩手)の286件、広島の307件よりは少ない数字となっています。

4.最後に

今回は、令和3年の遺産分割調停の新規申立数について、解説しました。

個人的な感想としては、想像よりも遺産分割調停までいく相続の割合は低いなと思いましたし、京都も意外とイメージが先行しているだけだなと思いました。

皆さんは、どのような印象を持たれたでしょうか?

今回のような、統計を使ったコラムは調べていて面白かったので、また機会があれば行おうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

令和3年 人口動態統計月報年計(概数)の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/gaikyouR3.pdf

弁護士って普段どんな業務をしているの?

2023-07-22

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

皆さんは、弁護士の日常というと、どのようなものをイメージされるでしょうか?

弁護士は、テレビドラマで見ると派手な仕事だと思われがちですが、普段どんな業務をしているのか、意外と知られていないように思います。

一言に弁護士といっても、注力分野などによって業務にも差はあると思いますが、今回は参考までに、私が普段行っている業務について、お話しさせて頂きます。

1.ご依頼者様(ご相談者様)対応

当たり前ですが、我々弁護士は、ご依頼者(ご相談者)の方から、ご依頼を受けることによって、生活が成り立っています。

そして、我々弁護士の目的は、ご依頼者の方に少しでもご満足頂くことですが、ご依頼者の方ごとに何を重視されるかは異なってきます。そのため、事件を処理するにあたっては、何か進展があり次第、ご依頼者にお伝えして、今後の方針を共に協議していくことになります。

もちろん、ご依頼者によっては、あまり自分に報告せず、弁護士側で業務を進めてほしい等のご要望を頂くので、そのような場合には、おおよその目標と方向性は協議した上で、弁護士が業務を進めることになります。

2.事件処理

次に、弁護士はご依頼を受けた事件の処理を行うことになります。

主に下記のような業務を行っています。

■示談交渉段階

①方針の検討

②現地調査

③ご依頼事件の類似裁判例や文献の調査

④証拠収集

⑤相手方との交渉書面の作成

⑥相手方との電話又は対面での交渉

■裁判(調停)段階

①裁判書面の作成(証拠収集や類似裁判例調査、文献調査なども含む)

②裁判対応(裁判準備、裁判所への出廷、尋問準備など)

この中で、圧倒的に時間がかかるのは、交渉書面の作成と裁判書面の作成です。

示談交渉段階においても、交渉書面が説得的でないと、良い解決案を得ることはできません。

また、裁判においては、裁判官は当事者からの口頭での話よりも、書面を重視する傾向が強いので、この裁判書面の出来が結果に大きく関わってきます。

なので、私も、示談交渉書面や裁判書面の作成に、全力を注いでいます。

ご依頼者から聞き取った内容や証拠、調査した文献や裁判例をもとに、構成をして、書面作成をして、書いた内容を見返して、何度も訂正をするという作業をしています。

私が書いた書面には一文一文に意味がありますし、ご依頼者の方から、何故その文を書いたのかをご質問頂ければ、多くの場合すぐにお答えできるかと思います。

示談交渉書面や裁判書面というのは、1通を作成するだけではなく、何通も何通も作成することが多いです。なので、この書面作成の作業が、一番時間がかかる作業ですし、その意味で弁護士の業務は派手さからは遠いような気がしています(土日祝日などに書面作成をしていることも多いです)。

3.ご依頼案件以外の活動

弁護士の業務には、ご依頼案件の処理だけではなく、顧問業務というのもあります。顧問業務というのは、企業様から月々●万円という顧問契約をして頂き、企業様からの法律が関わる質問にお答えしたり、企業間の契約書等をチェックする作業になります。イメージ的には、企業の法務部のような作業をします。

当事務所は、相続法務と企業法務に特に力をいれており、顧問契約をして頂いている企業様も40社以上あります。そのため、これらの企業様からの日々のご相談にもお答えしています。

また、顧問契約の延長上ではありますが、お客様の法人の委員会(例えば財産をどのように使用するかの委員会や、経営方針に関する委員会)に参加して、意見を述べることもあります。

4.最後に

今回は、弁護士が普段どんな業務をしているのかについて、解説しました。

書面作成など、おそらくイメージよりもかなり地味な仕事かと思います。

ですが、この地味な作業が依頼者の方の笑顔につながることが多いので、私としてもやりがいを感じています。

地道な作業も多いですが、弁護士って案外良い仕事ですよ(笑)、というのをお伝えして、このコラムを締めたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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