中小企業の経営を引き継がせる際に注意すべき7つのポイント

中小企業の経営を後継者へ引き継がせる際には、注意深く進めないと失敗する可能性が高くなります。

  • 後継者へ必要な会社株式を承継させられず他の親族へ分散してしまった
  • 後継者以外の相続人が遺留分侵害額請求をした
  • 高額な相続税がかかって後継者の負担となった
  • 経営の資質のない後継者を選んでしまった
  • 事業承継が間に合わず、後継者が育つ前に先代が倒れてしまった

上記のような事態が発生しないため、正しい対処方法を知っておきましょう。

今回は事業承継を円滑に進めるためのポイントを7つ、京都の弁護士がお伝えします。

1.後継者へ必要な資産を承継させる

事業承継を成功させるには、後継者へ経営に必要な資産を確実に引き継がせなければなりません。

具体的には「会社株式」と「事業用の資産」が重要です。

会社株式が他の相続人に分散してしまうと、経営に口出しをされて後継者による事業運営が難しくなってしまうケースも多々あります。

後継者へ資産を集中させるには、生前贈与と遺言が効果的です。

贈与税の控除や減額制度を用いて資産を承継させるとともに、後継者へ必要な遺産を相続させる遺言書を作成しておきましょう。

2.公正証書遺言を作成する

事業承継対策で遺言書を作成する際には、公正証書遺言を利用しましょう。

自己判断で自筆証書遺言を作成すると、無効になったり発見されなかったりするリスクが高くなるためです。

法務局に預ける制度を利用しても、遺言書の要式不備があるかどうかまで確認してもらえるわけではありません。無効になるリスクが高いままです。

確実に遺言書の効果を発生させて後継者へ遺産を受け継がせるため、公正証書遺言を作成しましょう。弁護士に遺言書作成手続きを委任するとより安心です。

3.遺留分対策をする

事業経営者の相続では、遺留分対策も必須です。

遺留分とは、子どもなどの法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合をいいます。

遺言や生前贈与で後継者以外の相続人の遺留分を侵害したら、権利者が後継者へ遺留分侵害額請求を行ってトラブルになる可能性があります。

遺留分対策としては、生前に推定相続人と合意することで請求を封じられるケースもありますし、遺言や生前贈与の際に遺留分を侵害しないよう配慮する方法も効果的です。

状況に応じた対策方法をとるため、弁護士までご相談ください。

4.相続税の節税対策

事業承継では、高額な相続税が発生するケースが多々あります。

特に中小企業の株式を評価すると、ご本人たちが考えている以上に高額になる事例が多いので注意しなければなりません。

先代の生前に現預金を不動産に替える、所有している不動産を賃貸に出す、孫養子をとる、後継者へ生前贈与するなどさまざまな節税方法があるので、状況に合った方法を利用しましょう。

5.納税資金の準備

後継者が相続税を払えるように、納税資金を準備する必要もあります。

特に株式や事業用財産など換金しにくい資産を引き継がせた場合、相続税は高額なのに現金がなくて相続税を払えない事態が生じるリスクが発生しやすく注意が必要です。

納税資金準備方法として役に立つのが生命保険です。相続発生時に後継者へ高額な保険金を受け取らせれば、納税資金に使えます。

生命保険は通常遺産の範囲に入らないので、後継者へ受け取らせても基本的に遺産分割や遺留分の問題を生じません。

相続税の課税対象にはなりますが、「500万円×法定相続人数分」の控除も適用されます。

6.民事信託を利用する

事業承継において、民事信託を活用する方法もあります。民事信託とは、信頼できる親族などへ財産を預けて管理してもらう信託契約です。

具体的には、後継者へ会社株式を信託し、委託者(先代経営者)のために管理してもらいましょう。民事信託では、先代に「指図権」を残せるので株式を信託しても議決権行使は先代が行えます。

また、後継者に経営の資質がない場合には、信託契約を解約して別の後継者を探すことも可能です。

事業承継に民事信託を導入するといわば「お試し」で事業承継できる点が大きなメリットとなるでしょう。

なお、民事信託を設定する際には複雑な契約書作成や信託用口座の開設、登記などが必要となるため、一般的に弁護士や司法書士などの専門家によるサポートが必要です。

関心がありましたらお気軽にご相談ください。

7.事業承継には早めに取り掛かる

事業承継に失敗するパターンとして、時間不足が挙げられます。

承継が完了するまでの間に先代が倒れてしまい、混乱が生じたり承継できなくなったりするのです。

一般的に、「経営経験のない子どもへ事業承継させるには10年程度かかる」ともいわれています。

スムーズに事業承継を行うため、「まだ元気だから自分でできる」と考えるのではなく早めに計画を立て、実現へ向けて進めましょう。

8.最後に

京都の益川総合法律事務所では、相続や事業承継対策に力を入れて取り組んでいます。これまで多くの業種、規模の中小企業経営者の方へ事業承継の助言やサポートを行ってきました。

京都、滋賀、大阪、兵庫で事業承継をご検討の経営者様がおられましたら、お気軽にご相談ください。

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