撤回された遺言書の効力が復活する場合とは?

遺言書を一度作成しても、その後気が変われば、遺言書を自由に撤回することができます。これは、遺言者の最終的な意思を尊重すべきだからです。

それでは、遺言書を一度撤回してしまうと、その遺言書の効力が復活することはないのでしょうか。

今回は、京都の弁護士が、撤回された遺言書の効力が復活する場合について、解説します。遺言書の撤回が問題になっている方などは、是非参考にしてみてください。

1.撤回された遺言書の効力は復活しない(原則)

一度、遺言書の撤回をしてしまうと、その後気が変わって、「撤回の撤回」をしようとしても原則できません。

なぜなら、撤回の撤回を簡単に認めると、法律関係がややこしくなり争いが生じやすくなりますし、これを認めなくても、元の遺言書と同じ内容の遺言書を作成すれば、撤回の撤回と同じ状況を作り出せるためです。

2.撤回された遺言書の効力が復活する場面(例外)

それでは、撤回された遺言書の効力が復活する場面はないのでしょうか?

この場合について、民法第1025条が規定しています。

第1025条 前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。

民法の規定上、錯誤や詐欺、強迫によって遺言書を撤回してしまった場合にのみ、撤回の撤回によって、元の遺言書の効力が復活することになります。

それでは、錯誤や詐欺、強迫によって遺言書を撤回してしまった場合以外は、元の遺言書の効力が復活することはないのでしょうか?

これが問題になったのが、最高裁平成9年11月13日判決です。

■最高裁平成9年11月13日判決

この裁判では、第1遺言が第2遺言によって撤回され、そして第3遺言には、「第2遺言を無効とし、第1遺言を有効とする」との記載がされていました。

先ほどの民法の規定を前提にすると、遺言者は、錯誤や詐欺、強迫によって第1遺言を撤回したわけではないので、第3遺言によって、第1遺言の効力を復活させることはできないはずです。

もっとも、遺言者の最終的な意思は、第1遺言を有効にしたいとの内容であることが第3遺言から明らかでした。それなのに、第1遺言の復活を認めないのでよいのかという点が問題意識になります。

裁判所は、「遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が原遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは、民法1025条ただし書の法意にかんがみ、遺言者の真意を尊重して原遺言の効力の復活を認めるのが相当と解する」と判示しました。

要は、遺言書の内容からして、遺言者が一度撤回した遺言書の復活を希望することが明らかな時は、元々の遺言書の効力を復活させるとの内容です。

そして、この裁判では、第3遺言の記載からして、第1遺言の復活を希望していることが明らかであるとして、第1遺言の復活を認めています。

なお、この裁判では、第1遺言の復活が認められましたが、仮に、第1遺言の復活を認めなければ、どうなるのでしょうか?この場合は、第3遺言によって、第2遺言も無効になっているので、遺言書がないケースと同様、法定相続分に応じて相続を行うことになります。

3最後に

今回は、撤回された遺言書の効力が復活する場合について、解説しました。

上でご説明した裁判の事例についても、そもそもちゃんと第3遺言を作っておけば、争いが生じない事例でした。

このように、遺言書の撤回方法を間違えると、相続人が揉めるのを防ぐために作成した遺言書が、かえって相続人が揉める原因にもなってしまいます。

この記事では、遺言書の撤回や取消の方法などについては、詳しく解説していませんが、こちらについては、「作り直された遺言書の効力~遺言書の撤回と取消について~」で解説しています。気になった方は、是非参考になさってください。

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