独身の「おひとりさま」が遺言書を書いた方がよい理由を弁護士が解説

最近では、「おひとりさま」とよばれる独身の高齢者の方が増えています。

配偶者や子どもなどの親族がおらず、一人暮らしをされている方です。

おひとりさまの場合、死後の遺産の行方についてあまりしっかり考えることがないかもしれません。子どもや配偶者がいないので、「相続トラブルは起こらないだろう」と考える方もいるでしょう。

しかし、おひとりさまのケースでこそ、遺言書を作成しておく必要があります。

この記事では、独身のおひとりさまが遺言書を作成しておくべき理由を弁護士がお伝えします。

1.おひとりさまが遺言書を作成した方が良い理由

おひとりさまの場合に遺言書を作成した方が良い理由は以下のとおりです。

1-1.相続手続きがややこしくなる

おひとりさまであっても「相続人がいない」とは限りません。

親や兄弟姉妹がいたら、そういった方々が相続人となります。

親がおらず兄弟姉妹がおひとりさまご本人より先に亡くなっている場合には、兄弟姉妹の子どもである「甥や姪」が相続人になります。

ただ、兄弟姉妹や甥姪が相続する場合、相続手続きが非常に煩雑になります。

集めなければならない戸籍謄本類が大量になるからです。

死亡した方の、生まれてから死亡するまでの戸籍謄本類をすべて集めるだけではなく、親の戸籍謄本や兄弟姉妹の戸籍謄本類まで必要になってしまいます。

集めるべき戸籍類だけで40点以上になってしまうケースもあります。遺言書を作成しておかないと、兄弟姉妹や甥姪といった相続人に多大な負担をかけてしまうのです。

遺言書で誰に何を相続させるか決めておけば、法定相続人が戸籍類を集める必要はありません。

1-2.遺産分割協議が難しくなりやすい

おひとりさまが死亡して兄弟姉妹や甥姪が相続人となった場合、相続人同士で遺産分割協議を行って遺産分け方を決めなければなりません。

ただ、特に甥姪が相続人になると「お互いに疎遠でほとんど会ったこともない」というケースもあります。遺産分割協議を進めようにもお互いのコミュニケーションが難しく、遺産分けをしにくくなってしまうのです。

遺言書があれば相続人たちが遺産分割協議を行う必要がないので、相続人同士が疎遠でも問題になりません。

1-3.望む人に遺産を受け継がせられない

おひとりさまであっても、死後の財産は自分の望むように処分したい方が多いでしょう。

たとえば、慈善団体などに寄付する方法もありますし、お世話になった方へ残す方法もあります。

ところが、遺言書がないと、遺産はあまりかかわりのなかった甥姪に相続されてしまう可能性もあります。また、兄弟姉妹すらいない本当の意味での「天涯孤独」な方の場合、遺産は最終的に国のものとなってしまいます。

遺言書がないと、望む人や団体へ遺産を残せません。このこともおひとりさまが遺言書を作成すべき理由の1つとなるでしょう。

2.おひとりさまが遺言書を作成すべき状況

独身のおひとりさまが以下のような状況であれば、遺言書を作成するよう強くおすすめします。

  • 親が死亡して相続人は兄弟姉妹のみ
  • 兄弟姉妹の中に亡くなっている人がいる
  • 法定相続人以外の人へ遺産を遺したい
  • 天涯孤独で相続人となる親族が誰もいない
  • お世話になった人など、遺産を残したい相手がいる
  • 遺産を国に帰属させるのに抵抗があり、自分の財産の行方は自分で決めたい

3.遺言書の作成方法

遺言書の作成方法には、以下の3種類があります。

3-1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が全文を自筆しなければならない遺言書です。自宅で手軽に作成できますが、要式違反で無効になりやすく、死後に発見されにくい、破棄隠匿されやすいなどのリスクもあります。

3-2.公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人に公文書として作成してもらう遺言書です。

公文書なので信用性が高く、無効になるリスクは非常に低くなっています。

作成するためには公証役場へ申込み、費用を払う必要があります。

3-3.秘密証書遺言

秘密証書遺言は内容を秘密にしておける遺言書です。公証人に認証してもらいますが、公証人にも中身をみられることはありません。作成には費用がかかり、保管は自分で行う必要があります。

3つの遺言方式の中でもっともおすすめするのは公正証書遺言です。

自筆証書遺言の場合、以下のようなデメリットが大きいためです。

【自筆証書遺言のデメリット】

  • 要式違反で無効になりやすい
  • 発見されないリスクがある(自宅保管の場合)
  • 破棄や隠匿のリスクがある(自宅保管の場合)
  • 発見した相続人は検認を受けなければならない(自宅保管の場合)

おひとりさまが相続に備えるなら、公正証書遺言を作成しておきましょう。

4.おひとりさまの相続で弁護士に依頼するメリット

おひとりさまが弁護士に遺言書作成を相談すると、弁護士が適切な遺言書作成方法をアドバイスします。遺言内容が定まっていない場合、遺言内容についてのご提案も可能です。

公正証書遺言の作成方法についてもアドバイスやサポートしますので、初めてでも安心して手続きを進めて頂けるかと思います。

京都の益川総合法律事務所では遺言書作成や遺産相続案件に力を入れて取り組んでいます。おひとりさまの相続対策は、お気軽にご相談ください。

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