養子の相続権について

養子縁組をした場合、養子にも実子と同じだけの相続権が認められます。

養子にも相続税の基礎控除が認められるので、相続対策を兼ねて孫を養子に迎える方も少なくありません。

ただ、養子で基礎控除を増やせる人数は限られています。

むやみに養子をとると、遺産分割の際にもめてしまう原因にもなりうるので、正しい知識をもって適切な範囲で対応することが重要です。

今回は養子の相続権について、京都の弁護士が解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.養子にも実子と同様の相続権がある

養子にも相続権が認められます。

養子になった以上、法律上の親族関係ができあがるからです。

被相続人(亡くなった人)に養子がいる場合には、養子を交えて遺産分割協議を行う必要があります。

遺産分割協議を成立させるには養子も含めた全員が合意する必要があるのです。

■養子の相続割合

養子の相続割合は実子と同じで、遺留分の割合についても同様です。

養子であっても実子であっても、法律上はほとんど同様の扱いになると考えましょう。

2.普通養子縁組と特別養子縁組との違い

養子には、普通養子縁組と特別養子縁組があります。

これらの養子の両方とも、養親の遺産については同じように相続権が認められます。

ただし、実親の相続権については違いが生じます。

普通養子縁組の場合、養親だけではなく実親とも親族関係が残るので、実親が死亡した場合にも相続が可能です。

一方特別養子縁組の場合、実親との関係は切れるので実親の遺産を相続できません。

普通養子縁組と特別養子縁組の相続における違いは、「実親の遺産を相続できるか」だといえるでしょう。

相続できるのが普通養子縁組で、できないのが特別養子縁組です。

3.養子の子どもによる代襲相続が発生する場合と発生しない場合

養子も法律上は子どもなので、養親が死亡したときに養子が先に死亡していたら代襲相続が発生する可能性があります。

ただし、養子の子どもが代襲相続できるかどうかは、子どもが生まれた時期によって異なります。

養子の子どもが相続できるのは、養子縁組が行われた後に生まれた場合です。この場合、親子関係ができてからの子どもなので相続権が認められます。

一方、養子縁組の前に生まれていた子どもには相続権が認められません。

子どもが生まれた時期によって代襲相続が発生するかどうか違いが生じるので、間違えないように注意しましょう。

4.養子縁組と相続税控除について

養子縁組した場合でも、子どもが増えた分「相続税の基礎控除」を増やせる可能性があります。

相続税の基礎控除とは、相続税計算の際に遺産額から差し引ける金額です。

基礎控除が大きくなると課税対象遺産額が減るので、節税につながります。

  • 相続税の基礎控除額…3000万円+600万円×法定相続人数

養子がいると、法定相続人数が増えるので相続税の基礎控除額が上がって節税対策になります。

ただし、養子縁組による基礎控除の増加は無制限に認められるものではありません。

実子がいない場合には養子2人分まで、実子がいる場合には養子1人分までの基礎控除枠増加しか認められません。

生命保険控除や死亡退職金の控除について

養子縁組によって法定相続人を増やすと、生命保険から支払われる死亡保険金や会社から支給される死亡退職金に認められる控除枠も増やせます。

これらの受取金には相続税がかかりますが、以下の控除が認められているからです。

  • 法定相続人数×500万円

基礎控除だけではなく、生命保険などの控除枠も増やせるので、養子縁組は相続税対策としても有効な手段といえるでしょう。

5.養子縁組する場合の注意点

相続対策で養子縁組する場合、以下の点に注意しましょう。

5-1.養子で基礎控除を増やせる枠は限定されている

一定以上遺産のある方の場合、相続税を節税するために養子縁組を行う人が多数います。

ただし、養子縁組によって増やせる基礎控除の枠は限定されているので、縁組をする前に正しく理解しておきましょう。

5-2.孫を養子にすると相続税額が20%増しになる

孫が養子になると、孫が支払うべき相続税額が20%増しになってしまうので注意が必要です。

相続税対策で孫を養子にしたところ、かえって相続税額が上がってしまう可能性もあるのです。

うまく相続税対策を行うには、自己判断せずに税理士に相談してシミュレーションを行うのが良いでしょう。

5-3.相続トラブルの原因になる可能性がある

養子をとると、養子も交えて遺産分割協議をする必要があります。

実子や配偶者などとの間で感情的な軋轢が起こり、遺産分割協議でもめてしまうケースもよく見られます。

例えば、相続税対策で孫を養子にすると、孫の親以外の子どもが反感を抱く可能性があるでしょう(長男の子どもを養子にすると次男が反感を抱くケースなど)。

養子縁組をする場合、親族の理解を得ておくことも大切です。

6.最後に

京都の益川総合法律事務所では、相続問題に力を入れて取り組んでいます。

また、相続税に力を入れている税理士と提携していますので、相続税の部分でもワンストップで対応が可能です。

お悩み事がありましたらお気軽にご相談ください。

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