遺留分
遺留分侵害額請求の期間制限
前回の記事の中で、遺留分侵害額請求の意思表示の方法については、特に決まりはありませんが、遺留分侵害額請求を行ったこと、いつ遺留分侵害額請求を行ったか等を明らかにするために、内容証明郵便が用いられることが多いとご説明しました。
遺留分侵害額請求を行ったこと、いつ遺留分侵害額請求を行ったか等を明らかにする必要があるのは、遺留分侵害額請求についての期間制限があり、期間制限を過ぎていないか等の争いとなるのを避けるためです。
そこで、今回の記事では、遺留分侵害額請求の期間制限について、京都の弁護士が解説します。
1 遺留分侵害額請求の期間制限
遺留分侵害額請求には、時効や除斥期間による期間制限があります。
被相続人が死亡した事実と遺留分を侵害する遺言や贈与の事実の両方を知ったときから1年が経過すると遺留分の請求権は時効によって消滅します。
また、被相続人の死亡や遺言、贈与などの事実を知らなくても、被相続人が死亡してから10年が経過すると遺留分の請求権は消滅し、これは除斥期間とされています。
2 まとめ
今回の記事では、遺留分侵害額請求の期間制限について解説しました。
遺留分侵害額請求を行使するか検討されている方は、十分に注意するのがよいでしょう。
当事務所は、遺産相続問題に力を入れています。
相手方から調停を申し立てられたが対応方法がわからず困っている、相続が発生したが揉めているということがあれば、まずはご相談ください。

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遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
遺留分侵害額請求の方法について
前回の記事では、遺留分侵害額請求とは何かについて解説しました。
前回に続いて、今回の記事では、遺留分侵害額請求の方法について、京都の弁護士が解説します。
遺留分侵害額請求について興味のある方はご一読ください。
1 遺留分侵害額請求の方法
遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害する贈与または遺贈を受けた者に対して行います。
たとえば、遺言で多くの遺産を相続した相続人、遺言によって遺贈された相続人や第三者が当たり得ます。
遺留分侵害額請求は、このような遺留分を侵害する贈与または遺贈を受けた者に対して遺留分侵害額請求の意思表示をすることによって行います。
意思表示の方法については、特に決まりはありませんが、遺留分侵害額請求を行ったこと、いつ遺留分侵害額請求を行ったか等を明らかにするために、内容証明郵便が用いられることが多いです。
遺留分侵害額請求の方法については、「遺留分の請求方法、手順や流れを解説」という記事でも解説しているので、参考になさってください。
2 まとめ
今回の記事では、遺留分侵害額請求の方法について解説しました。
当事務所は、遺産相続問題についての初回相談料は無料です。
京都、滋賀、大阪、兵庫にて、遺留分侵害額請求について検討しているという方は、まずはご相談ください。

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遺留分侵害額請求とは何かについて弁護士が解説
「遺留分侵害額請求」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。
日常ではあまり使う言葉ではないですが、遺産相続事件を取り扱う際には、よく出てくる言葉です。
この「遺留分侵害額請求」について、まったく知らないという場合には、遺留分侵害額請求ができるのに、請求できていないという事態にもなりかねません。
そこで、今回の記事では、遺留分侵害額請求とは何かについて弁護士が解説します。
1 遺留分侵害額請求とは
遺留分侵害額請求とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる「遺留分」を侵害されたときに、相手に金銭を請求することです。
一定の範囲の相続人には、「遺留分」が認められるために、遺言や贈与によって遺留分を侵害される場合には、受遺者や受贈者に取り戻しが請求できるのです。
そして、遺留分侵害額請求を行う場合には、金銭による支払いが原則となっています。
遺産に不動産があるという場合であっても、原則として支払いは金銭でなされます。
典型例としては、相続人が子2人(Aさん、Bさん)で、遺言でAさんに対して遺産を全て相続させるとされているような場合です。
Bさんには遺産総額の4分の1の遺留分が認められます。
遺言により、Bさんは遺産を取得できないこととなってしまい、遺留分が侵害されているので、BさんはAさんに対して、遺産総額の4分の1について遺留分侵害額請求ができるということとなります。
この例は、あくまでも簡易なご説明となりますので、実際に遺留分侵害額請求を行いたいという場合には、弁護士への相談をおすすめします。
2 まとめ
今回の記事では、遺留分侵害額請求とは何かについて弁護士が解説しました。
京都の益川総合法律事務所では、遺産相続問題に力を入れています。
京都、滋賀、大阪、兵庫で遺産相続問題について弁護士に気軽に相談してみたいという方は、まずはご連絡ください。

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遺留分侵害額請求の期限について
遺留分侵害額請求とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる「遺留分」を侵害された場合に、相手にお金を請求するものですが、この請求には期限があります。
今回の記事では、遺留分侵害額請求の期限について京都の弁護士が解説します。
遺留分侵害額請求について検討されている方は、参考になさってください。
遺留分については、「遺留分侵害額請求をしたい方へ」という記事で詳しく解説しています。
1 消滅時効
遺留分侵害額請求権は、相続の開始と遺留分侵害の事実を知ってから1年間行使しないときは時効により消滅するとされています。
相手方が親族である場合には、遺留分侵害額請求を行うことを躊躇してしまう方も多いため、時効期間を過ぎてしまわないように注意が必要です。
2 除斥期間
遺留分侵害額請求権は、相続開始時から10年を経過すれば消滅するとされており、これは除斥期間とされています。
除斥期間とは、法律が定めた一定の期間、権利を行使しないことによって権利が消滅するという制度です。
3 まとめ
今回の記事では、遺留分侵害額請求の期限について京都の弁護士が解説しました。
遺留分侵害額請求を検討されている方は、遺留分侵害額請求の期限について余裕を持った対応をされることをおすすめします。
また、遺留分侵害額請求は法的に複雑な点も多いので、早めの弁護士への相談も有効かと思われます。
京都、滋賀、大阪、兵庫で遺産相続問題にお悩みの方は、京都の益川総合法律事務所にお気軽にご相談ください。

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被相続人の生前の遺留分放棄について弁護士が解説
前回の記事の中で、被相続人の生前の相続放棄はできないが、遺留分の放棄は可能とされているとお伝えしました。
そこで、今回の記事では、被相続人の生前の遺留分放棄について弁護士が解説します。
興味のある方は参考になさってください。
遺留分については、「「遺留分」をご存知ですか?」という記事で詳しく解説しています。
1 生前の遺留分放棄の方法
遺留分を有する相続人は、被相続人の生前であっても、家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄することができます。
家庭裁判所の許可が必要とされている理由は、遺留分権利者が被相続人から遺留分を放棄するように迫られて、遺留分の放棄を強制されるおそれがあることからです。
なお、相続開始後の遺留分放棄は、家庭裁判所の許可を得る必要はないとされています。
2 生前の遺留分放棄が許可される基準
家庭裁判所は、遺留分の放棄が遺留分権利者の自由意思によるものか、放棄の理由に合理性、相当性があるか、放棄と引換に何らかの代償が給付されているかなどから、遺留分放棄を許可するか否かについて判断します。
3 まとめ
今回の記事では、被相続人の生前の遺留分放棄について弁護士が解説しました。
京都、滋賀、大阪、兵庫で遺産相続問題にお悩みの方は、お気軽に京都の益川総合法律事務所にご相談ください。

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遺留分請求を行った【お客様の声】
・ご回答者様
男性
・ご年齢
60代
・ご依頼内容
遺留分
・弁護士の説明はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・弁護士、事務員の対応はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・解決結果についてご納得頂けましたか。
■非常に納得 □納得 ▢どちらともいえない ▢納得できない ▢全く納得できない
・お困りの方に、益川総合法律事務所を紹介したいですか。
■紹介したい ▢どちらともいえない ▢紹介したくない
・担当弁護士、事務員に対するご意見やご感想を頂ければ幸いです。
今回の案件に対して、ありがたく感謝しかありません。
益川先生にめぐり会えてよかったです。
■コメント
「遺産を全て他の兄弟に相続させる」との遺言書があった事案です。
この場合、全財産を取得した相手方に対して、遺留分侵害額請求を行うのですが、ご依頼者も生前贈与を受けておられたため、慎重な交渉が必要でした。
また、不動産の評価額についても、争いとなった事案でした。
最終的には、ご依頼者が受けていた生前贈与を一切考慮せず、また、不動産の評価額についても当方主張の金額を前提とした和解が成立したため、ご依頼者から大変喜んで頂けました。
遺留分請求を行う方が、生前贈与を受けているケースも多々ありますが、本事案のように、かかる生前贈与を考慮せずに、解決できることもあります。
京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しておりますので、お悩みの方はお気軽にご相談下さい。


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家督相続を相続人たる長男から主張された時の対処法
日本でも、生前は家督相続が採用されていました。
そして、現在でも、長男から他の相続人に対して、「自分が家督を継ぐから、相続財産を全て取得するべきである」旨の話をされることがあります。
そこで、今回は、相続人である長男から家督相続を主張された場合の対処法について、京都の弁護士が解説いたします。同じ状況の方は、是非参考になさってください。
1.家督相続とは
家督相続とは、戦前の日本で採用されていた遺産相続の方法で、家督である長男が相続財産を全て取得する相続方法です。
当時の日本では、家制度が確立されており、家のトップである戸主(長男)が全ての財産を取得していたのです。
この家督相続は、昭和22(1947)年5月2日まで施行されていましたが、戦後において重視された法の下の平等の理念等に反するため、戦後すぐに廃止されました。
しかし、現在でも、長男から、家督相続を主張されることは比較的多くのケースでみられます。
2.遺言書がある場合
長男が家督相続を主張するケースでは、「長男にすべての財産を相続させる」旨の遺言書が作成されていることも多いです。
このような場合には、下記の通り、他の相続人は長男に対して、遺言書が無効である旨を主張するか、又は遺留分の請求を行うことになります。
2-1.遺言書が無効である旨主張する
遺言書が無効である理由としては、①遺言書が偽造である、②遺言書作成当時、被相続人が認知症であり遺言能力がない、との2つの主張がされることが多いです。
①の遺言書が偽造である旨の主張は、遺言書が公証役場で作成されたものでなく、自筆証書遺言である時に、主張されることが多いです。
この場合には、被相続人の筆跡との同一性、遺言書の体裁等、被相続人に遺言書作成の動機があるかや、遺言書作成に至る経緯、遺言書の保管状況や発見状況等をもとに、その遺言書が偽造であるか否かが判断されることになります。
この辺りは、「遺言書の偽造が疑われる場合の判断要素は何?」という記事で詳しく解説していますので、興味がある方は参考になさってください。
②の被相続人には遺言能力がない旨の主張は、遺言書作成当時、被相続人が認知症を患っている時に主張されることが多いです。
この場合には、認知症の程度、遺言書の内容の複雑性、被相続人に遺言書作成の動機があるかや、遺言書作成に至る経緯、年齢などをもとに、被相続人に遺言能力が認められるか否かが判断されることになります。
この辺りは、「遺言能力とは?認知症の高齢者が作成した遺言書は有効なのか。」という記事で詳しく解説していますので、興味がある方は参考になさってください。
2-2.遺留分侵害額請求を行う
もし、「長男に全財産を相続させる」との遺言書が有効であったとしても、他の相続人は長男に対して、遺留分侵害額請求を行うことができます。
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる、最低限度の遺産取得割合をいいます。
配偶者や子どものみが法定相続人になる場合には、遺留分の割合は2分の1となります。その割合を、各法定相続人が法定相続分に応じて取得します。
例えば、6,000万円の遺産があって、相続人が長男、長女、次男であるとします。
この場合、長女や次男にも6分の1ずつの遺留分が認められます。そのため、長女や次男は、長男に対して、1,000万円ずつの遺留分の請求が可能となるのです。
但し、遺留分侵害額請求には時効があるので、気を付けましょう。
相続開始と遺留分侵害の両方の事実を知ってから、1年以内に請求しないと権利が失われてしまいます。
遺留分については、「遺留分侵害額請求をしたい方へ」との記事で詳しく解説していますので、是非参考になさってください。
3.遺言書がない場合
遺言書がない場合には、長男がいくら家督相続を主張しようが、相続人は法定相続分に応じて、遺産を取得します。
長男であろうが、他の子どもであろうが、法定相続分は変わりません。
そのため、他の相続人は長男に対して、まずは法定相続分が長男と他の相続人で変わらないことを説明することになります。
それで、長男が納得すれば、法定相続分に応じて、相続人が平等に遺産を取得すれば良いです。
他方、説明してもなお長男が納得しなければ、弁護士に依頼頂くのが良いと思います。弁護士がおらず、兄妹だけの話合いであれば、長男も他の兄妹を押し切れると考えがちですが、弁護士が入ると諦めることが多いからです。
もちろん、弁護士に依頼頂いたからといって、弁護士がご依頼者の意向を無視して対応することはありません、もし、ご依頼者に、全部は嫌だけど少しだけ長男に多く遺産を渡したい等のご意向があれば、そのご意向を踏まえて対応を行っていくことになります。
4.最後に
今回は、相続人である長男から家督相続を主張された場合の対処法を解説いたしました。
戦後すぐに家督相続という制度は廃止されていますが、今でも長男から家督相続の主張がされることは少なくありません。
益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しています。長男から家督相続の主張をうけた方などは、是非お気軽にご相談ください。

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遺産相続の際における老朽化した建物の取扱いについて
遺産の中に、老朽化した建物がある場合、遺産の評価の際に老朽化した建物の解体費用を考慮できるのでしょうか?
また、遺産分割前に、老朽化している相続建物を解体することは認められているのでしょうか?
この記事では、遺産相続の際における老朽化した建物の取扱いについて、京都の弁護士が解説します。相続財産の中に、老朽化した建物がある方は、是非参考になさってください。
1.遺産の評価の際に建物の解体費用を考慮できるのか?
それでは、遺産の中に老朽化した建物がある場合、遺産の評価額を決める際に、その建物の解体費用を考慮できるのでしょうか。
建物の解体費用を考慮できるのであれば、建物の価格は0円と評価して、その上解体費用も差し引くことになります。
これが問題になる典型的な場面は、下記の通りです。
■問題になる典型的な場面
①遺産分割において、相続人の一人が老朽化した建物に加えてその建物が存在する土地の取得を希望している場合に、その相続人が、土地建物の評価にあたって、解体費用を考慮すべきと主張する場面
②遺言書によって、その老朽化した建物も含めて遺産全部を相続人の一人が取得して、他の相続人が遺留分侵害額請求をした際に、遺産全部を取得した相続人が、老朽化した建物の解体費用を考慮すべきと主張する場面
このように、老朽化した建物の解体費用を考慮できるかは、遺産分割においても遺留分においても、どちらのケースでも問題になります。なお、遺留分については、「遺留分侵害額請求をしたい方へ」という記事で詳しく解説していますので、興味がある方は、参考になさってください。
そして、老朽化した建物であっても、遺産の評価の際に、建物の解体費用は考慮できないのが一般的です。
なぜなら、遺産分割においても、遺留分においても、遺産をそのままの状態で評価すべきであり、建物の解体については、遺産取得後の事後的な事情にすぎないためです。
但し、相続人全員が同意した場合には、建物の解体費用を考慮することができます。そのため、建物の解体費用を考慮したいのであれば、まずは他の相続人にその申し出を行ってみるのがよいでしょう。
特に、遺産分割の場合には、だれもその老朽化した建物の取得を望まない場合、その建物が相続人全員の共有になってしまいます。他の相続人も、その老朽化した建物が共有になってしまうぐらいなら、建物の解体費用を考慮した方がマシだと考えることもありますので、遺留分の場合に比べれば、解体費用を考慮してもらえる可能性は高いでしょう。
2.遺産分割前に建物を解体することはできるのか?
それでは、遺産分割前に、老朽化している建物を解体することはできるのでしょうか?
他の相続人全員が同意している場合は、遺産分割前であっても、老朽化している建物の解体を行うことが可能です。
一方、相続人の中に、1人でも解体に同意していない人がいる場合には、原則として、建物の解体は許されていません。なぜなら、遺産分割が完了するまでは、その老朽化している建物も、相続人全員の共有状態になっているためです。
この不動産の共有の話については、「共同相続した不動産を分割する方法」という記事で、詳しく説明していますので、興味がある方は参考になさってください。
そして、他の共有者の同意なく、建物の解体を行ってしまった場合、他の共有者から損害賠償請求を受けてしまったり、最悪の場合、建造物損壊罪で刑事告訴などがされかねませんので、注意が必要です。
一部例外として、建物が今にも倒壊して隣家に迷惑がかかりそうな場合などには、共有者全員の同意がなくても、保存行為として、建物の解体が許容されることはありますが、その判断が難しい上、例外的なケースですので、弁護士に相談の上、行って頂くのがよいでしょう。
3.最後に
京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に力を入れて取り組んでいます。
老朽化した建物を含めて、相続問題でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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遺産相続時における株式の価値はどうやって評価するの?
「遺産分割や遺留分の時に、上場していない株式の価値はどうやって評価するのでしょうか?」といったご相談を受けるケースがあります。
お亡くなりになった方(被相続人)が会社経営者であった場合などは、未上場株式の価値が問題になることも多いです。
今回は、遺産相続時における、株式の評価方法について、京都の弁護士が解説します。相続の際に株式価値が問題になりそうな方は、是非参考にされて下さい。
1.上場株式の場合
上場株式の場合、株価が公表されているため、当該価格をもとに、株式数を掛けて、株式の価格を割り出せばよく、さほど問題は生じません。
どの時点の株価を使用するかという、評価時点は問題になりますが、一般的に遺産分割の場合には遺産分割時の株価を、遺留分の場合には相続時点(お亡くなりになった日)の株価を使用します。
この辺りの、遺産の評価時期の話は、「相続不動産の評価方法や基準時について」というコラムで記載しておりますので、気になる方は参考にされて下さい。
2.非上場株式の場合
非上場株式の場合、上場株式の場合と異なり、相場というものがありません。そのため、過去のご依頼者の方の中にも、「上場していない株式の評価は0でしょうか?」と誤解されていた方もいらっしゃいます。
しかし、非上場株式であっても、その評価が0になるわけではありません。そうでないと、どれだけ資産を有して、利益が出ている会社の株式でも評価が0になってしまい、不当な結論になるためです。
そして、非上場株式の評価方法としては、下記の方法があげられます。
2-1.インカムアプローチ(収益還元方式・配当還元方式)
インカムアプローチとは、その会社が将来獲得することが期待される収入や利益に基づいて、株価を評価する方法です。
この手法は、会社の将来の利益獲得能力を加味できる点で優れていますが、将来の計画性が必要となり、事情計画や将来情報に対するバイアス(偏り)を排除することが難しく、客観性が問題となることが多いです。
2-2.マーケットアプローチ(類似業種比準方式)
マーケットアプローチとは、その会社と同業の株価が判明している会社(上場している会社)との時価総額を比較したりすることによって、株価を評価する方法です。
要は、株価が判明している同業他社との比較によって、株価を割り出そうとする方法です。
この手法は、株価が判明している類似会社との比較によって株価を割り出すものであるため、評価の客観性の点で優れていますが、類似する上場会社がないようなケースでは使用できませんし、その会社独自の特徴については、株価に反映させることが出来ない点で一定のデメリットはあります。
2-3.コスト・アプローチ(純資産方式)
コスト・アプローチとは、その会社の純資産をもとに株価を評価する方法です。
この手法は、帳簿上の純資産をもとに株価を割り出すものであるため、評価の客観性の点で優れていますが、将来の利益獲得能力などを加味することが出来ない点で、一定のデメリットがあります。
2-4.混合方式
混合方式とは、上記で説明した方式を組み合わせて、株価を評価する手法です。
実務上、この混合方式を採用することが多いです。
この手法であれば、上であげた各手法の良い面を組み合わせながら、株価を算定することができます。
実際、混合方式を用いる場合には、上記の各方式で評価をした後、当該評価結果を比較検討しながら、最終的に総合評価して、株価を算出することになります。
もちろん、この総合評価の仕方も問題にはなりますが、少なくとも、上記の各方式一つで評価するよりは、合理的に株価を評価できる手法かと思います。
3.実務上の流れ
実際上、相続人間で、非上場株式の価値が争いとなった場合には、当事者間で合意を目指すことになります。
そして、当事者間で合意が出来なければ、裁判所において、鑑定を求めていくことになります。
この鑑定は、裁判所から選任された公認会計士によってなされることになりますが、鑑定を用いる場合には、事前に双方が鑑定を尊重する旨が確認されることが多いです。
4.最後に
今回は、相続時における株式の評価方法について解説しました。
遺産に未上場株式が含まれている場合、株式の価値が問題になることが多く、中々ご自身のみで対応することは難しいかと思います。
京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しています。
株式の価値が問題になっている方などは、是非お気軽にご相談ください。

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不動産が遺贈されてしまった場合の対処法
不動産が特定の相続人に遺贈された場合、他の相続人は十分な遺産を受け取れなくなってしまう可能性が高まります。
他の相続人としては、どのようにして権利を守れば良いのでしょうか?
この記事では、不動産が遺贈された場合の法的な対処方法を弁護士がお伝えします。
不公平な遺言書が遺されて納得できない方は参考にしてみてください。
1.不動産が遺贈された場合の影響
特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人には以下のような影響が及ぶ可能性が高まります。遺贈とは、遺言によって財産を特定の人へ受け継がせることです。
1-1.他の相続人の遺産取得分が減る
特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人の遺産取得分が減ってしまいます。
例えば、長男にのみ実家の土地建物が遺贈されると、遺産全体の価値は実家の分だけ減ってしまうでしょう。そうなると、他の相続人は実家を除いた遺産からしか財産を受け取れないので、結果的に取得できる遺産が減ってしまいます。
1-2.他の相続人は遺産を受け取れない可能性がある
特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人が遺産を受け取れなくなる可能性もあります。例えば、遺された遺産が実家の土地建物のみであった場合、実家の土地建物が長男に遺贈されると他の子どもは遺産を一切受け取れなくなってしまうでしょう。
このように不動産が特定の相続人へ遺贈されると他の相続人に不利益が及ぶ可能性があるので、注意が必要です。
以下では、特定の相続人へ不動産が遺贈されたとき、他の相続人として何ができるのかみてみましょう。
2.遺産分割で「特別受益の持戻計算」を行う
1つ目は、遺産分割の際に「特別受益の持戻計算」を行う対処方法です。
特別受益の持戻計算とは、特別受益を受けた相続人がいる場合にその相続人の遺産取得割合を減らす計算方法です。
特別受益とは、特定の相続人が遺贈や贈与によって受けた特別な利益であり、遺贈が行われた場合にも特別受益になります。
特別受益の持戻計算を適用すると、特別受益を受けた相続人の遺産取得分を減らして他の相続人が取得する遺産相続分が増えるので、公平に遺産分割しやすくなります。
特別受益の持戻計算免除について
特別受益の持戻計算は、常に適用できるとは限りません。
被相続人(亡くなった人)が「特別受益の持戻計算免除」の意思表示をしていた場合、特別受益の持戻計算を適用できないからです。
例えば、遺言書で「特別受益の持戻計算を免除する」と書かれていたら、遺産分割時に特別受益の持戻計算ができなくなってしまいます。20年以上連れ添った配偶者へ居住用不動産を遺贈した場合には、明示的な意思表示がなくても特別受益の持戻計算免除意思が推定されます。
その場合、以下に記載する遺留分侵害額請求を検討するなどの方法を取るしかなくなるでしょう。
また、遺産内容が遺贈された不動産しかない場合にも、特別受益の持戻計算をするまでもなく他の相続人は遺産を受け取れなくなってしまいます。その場合にも、以下でご説明する遺留分侵害額請求を検討する必要性が高くなります。
3.遺留分侵害額請求を行う
特定の相続人に不動産が遺贈された場合、他の相続人は遺贈を受けた相続人に対し、遺留分侵害額請求できる可能性があります。
遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分を金銭的に取り戻すための手続きです。
兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限の遺産取得割合である遺留分が認められます。
遺留分は遺言によっても侵害できないので、遺贈によって遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は遺留分侵害者へ遺留分侵害額請求ができます。
3-1.遺留分侵害額請求の効果
遺留分侵害額請求をすると、侵害された遺留分に相当する金銭を払ってもらえます。
なお、遺留分侵害額請求権は遺産そのものを取り戻す手続きではありません。請求しても不動産が共有になったり不動産そのものの所有権を取り戻せたりするものではないので、勘違いしないように注意しましょう。
3-2.遺留分侵害額請求の時効
遺留分侵害額請求には時効があります。基本的には「相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内」に請求者なければなりません。
1年が経過すると、時効により遺留分を取り戻せなくなってしまいます。
不動産が遺贈されて納得できないなら、早めに遺留分侵害額請求を行う判断をして、請求手続きを進めましょう。
また、遺留分侵害額請求を行う際には、確実に時効の期間内に請求した証拠を残すため、内容証明郵便を利用するようおすすめします。
4.遺言書が無効なら遺言無効確認請求を行う
遺言書に「不動産を遺贈する」が書かれていても、遺言書が無効であれば遺贈の効果は生じません。例えば、自筆証書遺言で自筆以外の部分があったり偽造変造されたりしている場合や、遺言者の意思能力が低下してから遺言書(公正証書遺言を含む)が作成された場合などには遺言書が無効になる可能性もあります。
遺言書が無効となる疑いがあるなら、遺言無効確認請求を行うのも一つの手です。調停や訴訟を行えば、遺言書が無効かどうかを法的に確認できます。
不動産が遺贈されると他の相続人の遺産取得分が減ってしまい、不公平な状況となってしまう可能性が高まります。不動産の遺贈に納得できない相続人の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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