こんにちは。
弁護士の益川教親です。
「遺産相続の問題っていつ弁護士に相談すれば良いの?」というご相談を頂くことがあります。
そこで今回は、そんな方に向けて、遺産相続問題をいつ弁護士に相談すべきかについて、お話しさせて頂きます。
その方が相続人の立場なのか、遺産を譲り渡す被相続人の立場なのかによって、弁護士に相談すべきタイミングは変わってきます。そこで、以下では、場合を分けてお話しさせて頂きます。
このページの目次
1.相続人の立場の方
1-1.被相続人の生前について
実は、被相続人の生前に、相続人の立場の方から、ご相談頂くことも多いです。
よくあるご相談が、「両親の相続の際に兄弟と揉めそうなんですけど、どうすればよいですか?」といったご相談になります。
ご両親とご相談頂く相続人の方の関係性から、ご両親がその相続人の方のお願いを聞いてくれそうなら、ご両親にこのような遺言書を書いて欲しいとお願いするのが良いかと思います。
それが難しそうなのであれば、弁護士に生前にご相談頂いても、中々打つべき対策がないというのが実情です。
但し、ご相談を受ける中で、私の方から、①これは事前にやっておいた方が良いですよ、とのお話しができたり、②相続が発生した際の流れ等はお伝えすることはできます。
そうすると、そのご相談者の方から、「具体的な流れも分かって、だいぶ気が楽になりました」であったり、「相続が発生した際に、依頼したい弁護士さんが見つかって良かったです」などのお言葉を頂戴することもあります。
なので、被相続人の生前であっても、相続のことが気になっている方は、その時点ですぐにご相談を頂いてもよいのかもしれません。
1-2.被相続人が亡くなった後について
この場合は、可能な限り早いタイミングで、ご相談頂くことを頂くことをお勧めいたします。早めにご相談頂くことで、今後すべきことや、打つべき対策についてお話しできるためです。
「被相続人が亡くなってから、ある程度期間を空けてから、弁護士に相談した方がいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃいますが、ご相談自体は、特に期間を空けて頂く必要はございません。
但し、当事務所にご依頼頂いた後に、緊急の必要がない限り、四十九日法要が終わるまでは、他の相続人に書面を送付するのは控え、それ以外の準備をさせて頂くことも多いです。
これは、他の相続人に対する書面送付が早すぎて、余計な争いを生むのを防止するためです。
もちろん、ご依頼者の方が早く書面を送ってほしいというご意向があれば、そのご意向通りに対応させて頂きます。
なので、他の相続人への書面送付時期についても、ご依頼者の方との、話合いをもとに、進めていくことになります。
なお、当然ですが、当事務所の弁護士は、ご依頼者に対する守秘義務を負っています。そのため、弁護士にご相談頂いた時期やご依頼頂いた時期が、他の相続人に漏れることはありません。
そのため、弁護士へのご相談やご依頼のタイミングが、お亡くなりになってからすぐでも、特に問題ありませんし、当職の経験上も、ご相談やご依頼のタイミングが早いことを理由に、他の相続人とトラブルになったことはありません。
2.被相続人の立場の方
ご自身が遺産を譲り渡す被相続人の立場の方は、可能な限り、早めに弁護士にご相談頂くことをお勧めいたします。
なぜなら、あまり考えたくないことなのですが、遺言書作成の準備中などに、お亡くなりになる可能性もあり、その結果、相続人同士が揉めてしまう等の事態も生じ得るからです。
基本的に、被相続人の立場の方が、弁護士に御相談頂く場合には、一緒に遺言書を作成させて頂くことが多いです。
その中で、その方の望みとして、①相続人同士が揉めてほしくないのか、それとも、②ある相続人に遺産を全部渡したいのか、等を確認していくことになります。
①の相続人同士が揉めて欲しくないのであれば、他の相続人の「遺留分」という法律上最低限保障されている遺産取得割合にも配慮して、遺言書を作成する必要があります。
そして、「遺留分」に配慮するためには、その方の遺産がいくらぐらいなのか等を判断する必要がありますし、その上で弁護士とご依頼者が一緒に遺言書の内容を考えていくことになります。
②のある相続人に遺産を全部渡したいとお考えなのであれば、遺産を全て把握した上で、その遺産全てを特定の相続人に相続させる旨の遺言書を作成していくことになります。
このように、被相続人の方からしても、遺言書作成によって、叶えたい望みがあるかと思います。
しかし、万一、遺言書作成前にお亡くなりになってしまえば、その望みは一切叶えられなくなってしまいます。
なので、被相続人の立場の方については、可能な限り、早く、弁護士にご相談頂きたいと考えています。
時々、「誰にどれだけ遺産をあげるか決まっていないんだけど、弁護士に相談しても良いの?」と仰る方もいますが、全く問題ありません。
そんな方も、弁護士と話をしていく中で頭が整理されて、誰にどれだけ遺産をあげるか決めていかれますので、何も決まっていなくても、ご相談ください。
但し、「誰にどれだけ遺産をあげるか」を決めて頂くのはご自身です。
これはご自身の人生の集大成の決断であり、弁護士が決められる内容ではありません。
そのため、弁護士との話の中で、最終的にはご自身でご決断頂く必要はあります。
3.最後に
今回は、「遺産相続問題は弁護士にいつ相談すればよいの?」というテーマで、お話しさせて頂きました。
基本的には、気になったタイミングですぐに弁護士にご相談頂ければと思います。
まさに「思い立ったが吉日」です。
もしかしたら、弁護士に相談をすることは、あまり気がすすまないかもしれませんが、それが大きな1歩になると信じています。
少しでも、コラムを見て頂いた方の背中を押せたのであれば、嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
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