相続事案で相手方本人と交渉する時に言われる言葉

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

今回は、遺留分や遺産分割のような相続事案で、相手方本人と交渉する時によく言われる言葉があるので、それをご紹介します。

私は、弁護士ですので、当然相手方本人と交渉する時は、法律に則って主張を組み立て、相手方を説得しようとします。

これに対して、相手方本人から、「法律的にはそうかもしれないですけど、道徳的・倫理的に考えたらそれはおかしくないですか。」と言われることがあります。

この言葉に対して、私は、「私は法律の専門家なので、道徳や倫理を語る立場ではないですし、少なくとも、日本は法治国家なので、法律に基づいて考えて頂く必要がありますよ。それに道徳や倫理なんて人それぞれの考え方が違いますしね。」と回答しています。

この「道徳」や「倫理」というのは、人それぞれとらえ方が違うように感じます。ちなみに、道徳と倫理の定義は下記のようになっています。

■道徳

人々が、善悪をわきまえて正しい行為をなすために、守り従わなければならない規範の総体

■倫理

社会生活で人の守るべき道理

道徳や倫理は、おおよそ人が守らなければならない道理や規範と言えるでしょうが、何か絶対的な基準があるわけではありません。

これに対して、法律は、道徳や倫理同様、人が守らなければならない規範と言えますが、道徳や倫理と違って一定の基準が存在します。

私見としては、道徳や倫理的な考えが積み重なって、法律というのが出来上がっていると考えています。ただし、私も弁護士をしていて、この結論が正義にかなっているのかと思うこともあります。

結局、何が「道徳的」や「倫理的」に正しいかということは、私も分かりません。ですが、相続案件を多く取り扱う身としては、各当事者に当事者なりの正義があると感じています。

正義の反対は他の正義であり、相続案件においては、正義同士がぶつかることが多いのではないでしょうか。

相続案件は、家族同士の争いですが、家族同士でさえ、それぞれの正義が違うのに、他人である私が当該事案の正義を判定することなどできません。

私にとっての正義は、ご依頼者の方に納得して頂くことです。

なので、私も自分なりの正義の実現のために、全力で案件に取り組みたいと考えています。

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