遺産分割協議書のひな形(書式、テンプレート)と書き方を弁護士が解説

遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成しなければなりません。

「どのように書けばよいのかわからない」といったご相談も多数お受けします。

そこでこの記事では遺産分割協議書の正しい書き方を、ひな形つきで弁護士が解説します。

これから遺産分割協議書を作成する方はぜひ参考にしてみてください。

1.遺産分割協議書のひな形(書式、テンプレート)

まずは遺産分割協議書のひな形を掲載するので、全体をみてみましょう。

2.遺産分割協議書の書き方

上記のひな形を参考に、遺産分割協議書の書き方のポイントを説明します。

2-1.被相続人の表示

まずは「遺産分割協議書」というタイトルを書いて、被相続人についての情報を表示しましょう。

具体的には以下の内容を書く必要があります。

  • 氏名
  • 本籍地
  • 最後の住所地
  • 生年月日
  • 死亡年月日

本籍地は「死亡時の戸籍謄本(除籍謄本)」に記載されており、住所地は住民票にかかれている住所です。2つは異なるケースがあるので、間違えないように注意しましょう。

2-2.ひな形にない財産の表示方法

上記のひな形では不動産と預貯金、株式の表記をしましたが、他に現金や自動車を取得する場合もあります。

■現金の表示方法

現金を取得する相続人がいる場合、以下のように記載しましょう。

相続人鈴木一郎は次の遺産を取得する。

【現金】   金3,000,000円

■自動車の表示方法

車検証を確認し、以下の情報で車両を特定しましょう。間違えると車の名義変更ができない可能性もあります。

・車名 ○○○

・登録番号 〇〇1234567

・型式 ABC-D123

・車台番号 L123S-3456789

2-3.後日に発見された財産の取り扱いを定める

遺産分割協議書を作成する場合、「遺産分割後に発見された遺産の取り扱い」についても記載しておくべきです。

取り決めをしておかないと、遺産分割後に新たに財産が発見されたとき、また話し合いのやり直しになってしまいます。

新たな遺産については、できれば「相続人のうち1人」が取得すると定めておくのがよいでしょう。そうすれば、あらためて全員が参加して話し合いをする必要がありません。

上記ひな形では被相続人の配偶者である鈴木花子氏が取得する内容にしています。

ただしどうしても誰が新たな遺産を取得するか決められない場合には、「発見されたときに相続人全員があらためて協議する」と定めておきましょう。

2-4.代償金を払う場合の書き方

不動産を相続する場合、不動産を取得する相続人が他の相続人へ「代償金」を払って清算するケースがよくあります。

その場合、以下のように表記しましょう。

相続人鈴木花子は、第〇条に記載する遺産を取得する代償として、相続人鈴木一郎及び樋口優子に対してそれぞれ金500万円を2022年〇月〇日までに支払う

2-5.換価分割の場合の書き方

不動産を売却して現金で分ける方法を「換価分割」といいます。

換価分割する場合の遺産分割協議書の書き方は以下のとおりです。

■相続人全員で売却する場合

相続人らは次の不動産を売却し、売却代金から売却に伴う諸費用(不動産仲介手数料、登記手続き費用、譲渡所得税その他売却にかかる費用)を控除した残りの金額を、相続人鈴木花子が2分の1、相続人鈴木太郎及び樋口優子がそれぞれ4分の1ずつ取得する

■相続人の代表者が売却する場合

1.次の不動産は相続人鈴木一郎が取得する。

土地と建物の表示

2.前項の不動産を売却し、売却代金から売却に伴う諸費用(不動産仲介手数料、登記手続き費用、譲渡所得税その他売却にかかわる費用)を控除した残りの金額を、相続人鈴木花子が2分の1、相続人鈴木太郎及び樋口優子がそれぞれ4分の1ずつ分配する

3.最後に

遺産分割協議書は、相続人の構成や分け方によって表記方法を変える必要があります。

正しく作成しないと名義変更などの手続きを受け付けてもらえないリスクが発生します。

京都・滋賀・大阪・兵庫で遺産相続をされた方は、益川総合法律事務所までお気軽にご相談ください。

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