遺産分割調停に欠席するデメリットと対処法

遺産分割調停を申し立てられても、呼び出された期日に都合がつかないケースがあるものです。

一方的に調停を申し立てられたのに、なぜ出席しなければならないのかわからず、「出席したくない」と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、無断で遺産分割調停に欠席するのはおすすめできません。

この記事では、遺産分割調停に欠席するデメリットや出席できない場合の対処方法をお伝えします。

遺産分割調停を申し立てられて、裁判所から呼出状が届いた方はぜひ参考にしてみてください。

1.遺産分割調停に欠席した場合の影響

1-1.欠席が続くと調停は不成立になる

遺産分割調停は、相続人全員が家庭裁判所へ集まって遺産分割方法を話し合うための手続きです。

相続人が全員出席して合意しなければ、調停は成立しません。

1人でも欠席していたら、話を進められないのです。一部の相続人の欠席が続いて全員の合意ができない場合、遺産分割調停は不成立になってしまいます。

1-2.審判へ移行する

遺産分割調停が不成立になったら、手続きは「遺産分割審判」へと移行します。

遺産分割審判では、審判官が相続人の提出した主張書面や証拠にもとづいて遺産分割方法を決定します。

相続人が話し合って遺産分割方法を決める調停とは異なり、欠席者がいても審判は下されます。

欠席を続けていると、最終的に意見を出せないまま遺産分割の方法が審判で決定されてしまう不利益があるといえるでしょう。

2.遺産分割調停に欠席する場合の不利益

遺産分割調停に欠席を続けても、不利な判断が行われるわけではありません。

その意味では、欠席を続けること自体による不利益はないとも考えられます。

しかし、欠席を続けると、手続きが審判に移行してしまいます。せっかく相続人同士で話し合って遺産分割方法を決める機会がもうけられているのに、みすみすチャンスを捨ててしまうのは大きなデメリットです。

どのくらい欠席すると審判へ移行するのか

遺産分割調停に2~3回連続して欠席し、裁判所からの連絡も無視していると審判に移行してしまうケースが多数です。

1回目に出席できないとしても、2回目以降は必ず出席するようにしましょう。

どうしても都合がつかなくなった場合には、裁判所へ連絡を入れるべきです。

3.遺産分割審判に欠席する場合の不利益

遺産分割審判に欠席し続けると、調停より大きな不利益が及ぶ可能性があります。

遺産分割審判で自分の主張を通すには、法律的に整理された主張書面や資料を提出しなければなりません。欠席していると、そういった書面の提出ができないのです。

すると、自分にとって不利な判断が行われる可能性が高くなってしまいます。

また、申立人が出席して積極的に主張書面や資料を提出すると、裁判所は申立人の意見のみを聞いて審判を出すことになってしまいます。そうなると、ますますこちらにとって不利な審判が出る可能性が高まってしまうでしょう。

4.遺産分割調停に出席できない場合の対処法

仕事や用事があってどうしても遺産分割調停の期日に出席できない場合には、以下のように対応しましょう。

4-1.裁判所へ連絡を入れて日程調整する

裁判所から呼び出された日時に家庭裁判所へ行けない場合、必ず事前に裁判所へ連絡を入れるべきです。無断欠席は避けましょう。

連絡を入れると、「いつなら出席できるのか」と聞かれるので、都合の良い日時を伝えてあらためて日程調整をしてください。

あらたに定められた期日に出席できれば、その後は通常通りに調停を進めていけます。

4-2.電話会議システム・テレビ会議システムを利用する

裁判所が遠方などで出席が難しい場合、電話会議システムやテレビ会議システムの利用を申請しましょう。

これらは、電話やテレビ会議を使って遠隔地から調停を進める方法です。

ただし、申請しても必ず利用できるとは限りません。裁判所が必要性を認めなければ適用されないのです。

まずは出席が難しい理由を付して、裁判所へ電話会議、テレビ会議の申請をしてみてください。

4-3.書面を提出する

調停に出席できないけれども調停委員会に伝えたい内容がある場合には、期日前に書面を提出しましょう。

その上で、次回からは出席すれば通常通りに調停を続けていけます。

4-4.相続分の放棄や譲渡をする

「遺産を相続しなくて良い」と考えている場合、相続分の放棄や譲渡をすれば調停に出席する必要がなくなります。

相続分の放棄とは、資産を相続しないと宣言することです。一切の資産を承継しないので、遺産分割協議や調停に参加する必要はありません。

相続分の譲渡とは、他の相続人へ相続分を譲ることです。すべての相続分を譲ってしまえば遺産相続しないので、やはり遺産分割調停に参加する必要がなくなります。

4-5.弁護士を代理人に立てる

遺産相続したいけれども調停には出席したくない場合、弁護士を代理人に立てましょう。

弁護士が代理人になれば、弁護士のみが調停に出席してでも話を進められます。

また弁護士は法律に精通しており交渉ごとのプロなので、有利に進められる可能性も高くなるでしょう。

調停に毎回出席するのが手間になるなら、遺産相続に詳しい弁護士に相談してみてください。

5.最後に

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続の案件に力を入れて取り組んでいます。

遺産分割調停を申し立てられてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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