被相続人が会社経営者や資産家の場合における遺産分割の注意点

お亡くなりになった被相続人が会社経営者や資産家の場合、相続人の立場として注意すべき事項がたくさんあります。

特に後継者以外の相続人が不利益を受けるケースも多いので、法律の規定する法定相続、遺留分請求等のリスクを避けるための対処方法を知っておきましょう。

今回は、被相続人が会社経営者や資産家の場合の遺産分割の注意点をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.後継者以外にも法定相続分がある

会社経営者や資産家の方が亡くなると、後継者が多くの遺産を相続しようとするケースが大多数です。

例えば、ご長男が後継者になる場合、ご長男が会社株式や事業に必要な資産を承継して、他の相続人の取得分はほとんどなくなってしまうケースも少なくありません。

但し、後継者以外の法定相続人にも、法定相続分が認められます

法定相続分は、事業承継における後継者かどうかとは無関係に認められるので、長男も長女も同じです。家を出てご結婚されていても別の仕事をしていても、後継者と同等の法定相続分が認められます。

法律上、法定相続分までは受け取れる権利があるので、後継者へ遠慮する必要はありません。

■中小企業の株式は価値が高いケースも多い

事業者が亡くなると、会社株式が遺産として遺されるケースが多々あります。

一般的には非上場の会社株式には流動性がなく、価値が低いと思われがちです。しかし実際に株式を適正に評価すると、非上場の中小企業株式の評価額は高額になるケースが少なくありません。

後継者が会社株式を取得する場合、他の相続人は後継者へ高額な代償金を請求できる可能性があります。代償金を払ってもらえないなら株式そのものを取得して、経営権を一部取得する対処方法も考えられます。

遺産分割協議で「株式は相続しない」「代償金は請求しない」と合意してしまう前に、弁護士までご相談ください。

2.遺留分侵害額請求できる可能性がある

被相続人が事業経営者や資産家の場合、遺言書を遺して遺産分割の方法を指定しているケースもよくあります。

確かに遺言書があると、法定相続分とおりの遺産は受け取れなくなります。後継者にほとんどの遺産を相続させる遺言内容になっている事例も多くみられます。

ただし、子どもなどの一定範囲の相続人には「遺留分」が認められます。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限度の遺産取得割合です。

遺言や生前贈与で遺留分を侵害されると、遺留分権利者は侵害者へ「遺留分侵害額請求」という金銭の請求ができます。

■遺留分侵害額請求の具体例

父親(事業者)が亡くなり3億円の遺産が遺された。相続人は長男と長女であり、長男が後継者となるため遺言書で「すべての遺産を長男に相続させる」と指定されていたケース。

この事案において、長女には4分の1の遺留分が認められます。そこで長女は後継者である長男に対し、3億円×4分の1=7,500万円の支払いを請求できます。

長男が払わない場合には調停や訴訟を起こして取り立てることも可能です。

3.負債の相続に要注意

被相続人が事業者や資産家の場合、高額な負債が遺されるケースも多いので注意が必要です。

事業用の借入や不動産ローンなどの借金、未払税や保険料等の負債はすべて相続の対象になります。借金については法定相続分に応じて相続されるので、法定相続人である以上は支払いをしなければなりません。自分は会社経営にまったくかかわっていなくても、借金だけ払わねばならないのです。遺産分割協議で「借金は相続しない」と定めても債権者には主張できません

借金を免れるには、相続放棄が有効です。相続放棄とは、資産も負債も含めて一切の遺産を相続しないことです。相続放棄したらはじめから相続人ではなかったことになるので、借金や負債は相続しません。

ただし、法定相続分とおりにプラスの遺産を受け取れば、そこから負債を全額支払える可能性もあります。安易に相続放棄する前に、遺産の調査をしっかり行いましょう。

4.相続税に要注意

相続が発生して遺産を受け取ると、相続税が発生する可能性があります。特に事業者や資産家は多くの遺産を遺すケースが多いので、相続税も高額になるでしょう。相続税については、相続発生後10か月以内に申告と納税を両方済まさねばなりません。

相続税は現金一括納付が基本となるので、不動産や株式を相続すると納税資金が不足するケースもよくあります。不動産を売却したり株式以外の資産を受け取ったりして、相続税の支払いに充てましょう。

5.迷ったときには弁護士へ相談を

事業経営者や資産家が死亡したときの遺産分割は複雑で、相続人間でトラブルになりがちです。遺言書がない場合はもちろんのこと、遺されていても遺留分トラブルが発生するケースが少なくありません。

問題が発生したら、すぐに弁護士へ相談しましょう。弁護士であれば相手と交渉したり調停、審判、訴訟の代理人として活動したりしてトラブルを最小限度に抑えられます。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に力を入れて取り組んでいますので、お困りの相続人の方はお気軽にご相談ください。

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