コラム

遺産相続問題は弁護士にいつ相談すればよいの?

2023-09-24

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

「遺産相続の問題っていつ弁護士に相談すれば良いの?」というご相談を頂くことがあります。

そこで今回は、そんな方に向けて、遺産相続問題をいつ弁護士に相談すべきかについて、お話しさせて頂きます。

その方が相続人の立場なのか、遺産を譲り渡す被相続人の立場なのかによって、弁護士に相談すべきタイミングは変わってきます。そこで、以下では、場合を分けてお話しさせて頂きます。

1.相続人の立場の方

1-1.被相続人の生前について

実は、被相続人の生前に、相続人の立場の方から、ご相談頂くことも多いです。

よくあるご相談が、「両親の相続の際に兄弟と揉めそうなんですけど、どうすればよいですか?」といったご相談になります。

ご両親とご相談頂く相続人の方の関係性から、ご両親がその相続人の方のお願いを聞いてくれそうなら、ご両親にこのような遺言書を書いて欲しいとお願いするのが良いかと思います。

それが難しそうなのであれば、弁護士に生前にご相談頂いても、中々打つべき対策がないというのが実情です。

但し、ご相談を受ける中で、私の方から、①これは事前にやっておいた方が良いですよ、とのお話しができたり、②相続が発生した際の流れ等はお伝えすることはできます。

そうすると、そのご相談者の方から、「具体的な流れも分かって、だいぶ気が楽になりました」であったり、「相続が発生した際に、依頼したい弁護士さんが見つかって良かったです」などのお言葉を頂戴することもあります。

なので、被相続人の生前であっても、相続のことが気になっている方は、その時点ですぐにご相談を頂いてもよいのかもしれません。

1-2.被相続人が亡くなった後について

この場合は、可能な限り早いタイミングで、ご相談頂くことを頂くことをお勧めいたします。早めにご相談頂くことで、今後すべきことや、打つべき対策についてお話しできるためです。

被相続人が亡くなってから、ある程度期間を空けてから、弁護士に相談した方がいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃいますが、ご相談自体は、特に期間を空けて頂く必要はございません

但し、当事務所にご依頼頂いた後に、緊急の必要がない限り、四十九日法要が終わるまでは、他の相続人に書面を送付するのは控え、それ以外の準備をさせて頂くことも多いです。

これは、他の相続人に対する書面送付が早すぎて、余計な争いを生むのを防止するためです。

もちろん、ご依頼者の方が早く書面を送ってほしいというご意向があれば、そのご意向通りに対応させて頂きます。

なので、他の相続人への書面送付時期についても、ご依頼者の方との、話合いをもとに、進めていくことになります。

なお、当然ですが、当事務所の弁護士は、ご依頼者に対する守秘義務を負っています。そのため、弁護士にご相談頂いた時期やご依頼頂いた時期が、他の相続人に漏れることはありません。

そのため、弁護士へのご相談やご依頼のタイミングが、お亡くなりになってからすぐでも、特に問題ありませんし、当職の経験上も、ご相談やご依頼のタイミングが早いことを理由に、他の相続人とトラブルになったことはありません。

2.被相続人の立場の方

ご自身が遺産を譲り渡す被相続人の立場の方は、可能な限り、早めに弁護士にご相談頂くことをお勧めいたします

なぜなら、あまり考えたくないことなのですが、遺言書作成の準備中などに、お亡くなりになる可能性もあり、その結果、相続人同士が揉めてしまう等の事態も生じ得るからです。

基本的に、被相続人の立場の方が、弁護士に御相談頂く場合には、一緒に遺言書を作成させて頂くことが多いです。

その中で、その方の望みとして、①相続人同士が揉めてほしくないのか、それとも、②ある相続人に遺産を全部渡したいのか、等を確認していくことになります。

①の相続人同士が揉めて欲しくないのであれば、他の相続人の「遺留分」という法律上最低限保障されている遺産取得割合にも配慮して、遺言書を作成する必要があります。

そして、「遺留分」に配慮するためには、その方の遺産がいくらぐらいなのか等を判断する必要がありますし、その上で弁護士とご依頼者が一緒に遺言書の内容を考えていくことになります。

②のある相続人に遺産を全部渡したいとお考えなのであれば、遺産を全て把握した上で、その遺産全てを特定の相続人に相続させる旨の遺言書を作成していくことになります。

このように、被相続人の方からしても、遺言書作成によって、叶えたい望みがあるかと思います。

しかし、万一、遺言書作成前にお亡くなりになってしまえば、その望みは一切叶えられなくなってしまいます

なので、被相続人の立場の方については、可能な限り、早く、弁護士にご相談頂きたいと考えています。

時々、「誰にどれだけ遺産をあげるか決まっていないんだけど、弁護士に相談しても良いの?」と仰る方もいますが、全く問題ありません。

そんな方も、弁護士と話をしていく中で頭が整理されて、誰にどれだけ遺産をあげるか決めていかれますので、何も決まっていなくても、ご相談ください。

但し、「誰にどれだけ遺産をあげるか」を決めて頂くのはご自身です。

これはご自身の人生の集大成の決断であり、弁護士が決められる内容ではありません。

そのため、弁護士との話の中で、最終的にはご自身でご決断頂く必要はあります。

3.最後に

今回は、「遺産相続問題は弁護士にいつ相談すればよいの?」というテーマで、お話しさせて頂きました。

基本的には、気になったタイミングですぐに弁護士にご相談頂ければと思います。

まさに「思い立ったが吉日」です。

もしかしたら、弁護士に相談をすることは、あまり気がすすまないかもしれませんが、それが大きな1歩になると信じています。

少しでも、コラムを見て頂いた方の背中を押せたのであれば、嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

遺産分割において弁護士が関与する割合はどれくらい?

2023-08-28

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

被相続人がお亡くなりになった後、遺言書がなければ、遺産分割を行うことになりますが、相続人同士では中々話がまとまらないこともあります。

このように中々話がまとまらない遺産分割事件において、弁護士が関与する割合はどのぐらいでしょうか?

私自身が弁護士であるためか、弁護士が関与しない遺産分割事件というのを中々見る機会がなく、その割合を正直よく分かっていません。

そこで、今回は、最新のデータを調べてみましたので、もし良かったら参考になさって下さい。

1.遺産分割調停(審判)事件における弁護士の関与割合

まず、前提として、今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件(遺産分割調停が成立した事件と審判が認容された事件)について、弁護士が関与していた割合となります。

そして、令和3年に終結した遺産分割事件の総数は、6996件となっています。

これらの案件は、相続人間で話し合っても決着がつかずに、家庭裁判所に持ち込まれた案件なので、相続人同士で話がまとまらなかった遺産分割と言ってよいと思います。

それでは、これらの案件について、弁護士が関与している割合はどうなっているでしょうか?

■代理人弁護士の関与の有無(総数6996件)

有り    5939件

無し    1057件

関与割合  84.89%(約85%)

上記のように、約85%の遺産分割事件については、代理人として弁護士が関与しているようです。

逆に言えば、約15%の遺産分割事件については、代理人弁護士が関与せずに、当事者のみで調停や審判が進められているようです。

但し、私もそうですが、遺産分割調停や審判をご自身で行っている方からご相談を受けることもあります。そのため、おそらく代理人弁護士が関与していない案件についても、適宜、弁護士に相談はしているのだと思います。

2.遺産の価格別の弁護士の関与割合

次に、遺産の総額と弁護士の関与割合が関係するのかも調べてみました。

遺産の総額が高ければ、弁護士の関与割合も高い結果になっているのでしょうか?

遺産の価格別(総額別)の代理人弁護士の関与割合については、下記のようになっています。

■1000万円以下(総数2310件)

有り   1807件

無し    503件

関与割合 78.22%(約78%)

■5000万円以下(総数3052件)

有り   2622件

無し    430件

関与割合 85.91%(約86%)

■1億円以下(総数866件)

有り   795件

無し    71件

関与割合 91.80%(約92%)

■1億円を超える(総数521件)

有り   496件

無し    25件

関与割合 95.20%(約95%)

上記をみると、遺産の総額が1000万円以下の案件では、代理人弁護士の関与割合が約78%と一番低くなっています。

そして、そこから遺産の総額が上がるにつれて、代理人弁護士の関与割合も上がっていく傾向が見て取れました。

遺産の総額1000万円以下が、圧倒的に代理人弁護士の関与割合が低い結果となっていますが、おそらくこれは、遺産の価格が1000万円以下の中でも、遺産の価格がかなり低い方が、代理人弁護士を関与させないためだと思います。

例えば、遺産の価格が300万円以下だと、相続人が2人でも、単純計算すれば一人150万円ほどしか取得できず、その状況で弁護士を入れてしまうと、取得できる遺産に比して弁護士費用が高くついてしまうので、中々弁護士を入れる状況になりません。

逆に言えば、遺産の価格が1000万円近い案件については、弁護士の関与割合が82%、83%辺りまではいっているのでないかと推測します。

3.最後に

今回は、遺産分割事件において弁護士が関与する割合はどれぐらいかについて、解説しました。

全体として85%というのは、どのように感じられたでしょうか。

私としては、90%ぐらいかと思っていたので、想像より低いなという印象でした。

これも、我々弁護士が、弁護士にご依頼頂いた際のメリットを上手く伝えられていないのが、原因かもしれませんし、反省しないといけないですね。

当事務所は、遺産相続案件に注力していますので、もしご相談等があれば、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次回のコラムでお会いしましょう。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産が少ないと相続人が本当に揉めないの?

2023-08-19

こんにちは。弁護士の益川教親です。

私は遺産相続案件に注力しているのですが、それを知っている方から、プライベートの時に、「うちは遺産が少ないから子どもたちは揉めないわ」と言われることがあります。

「遺産が少ないと相続人が揉めない」というのは本当なのでしょうか?

一応肌感覚として、私自身も答えをもっているのですが、実際にはどうなのかが気になったので、データを調べてみました。

最新(令和3年)のデータをもとに解説しますので、良かったら参考にしてみてください。

1.遺産分割調停(審判)事件の遺産の価格について

まず、令和3年に終結した遺産分割事件のうち、調停が成立した案件と審判が認容された案件の総数は、6996件となっています。

これらの案件については、相続人間で話し合っても決着がつかずに、家庭裁判所に持ち込まれた案件なので、揉めた案件といってよいと思います。

それでは、これらの案件の中に、遺産が少ない案件はないのでしょうか?

遺産の価格については、下記のようになっています。

■遺産の価格(総数6996件)

1000万円以下  2310件(2位)

5000万円以下  3052件(1位)

1億円以下      866件(3位)

5億円以下      493件

5億円を超える     28件

算定不能・不詳    247件


上記のように、1000万円以下の案件が2310件の2位で、全体の約3分の1となっています。

もちろん1000万円以下の中には、遺産が100万円以下の案件から、1000万円近い案件も含まれており、遺産が1000万円近い案件についても、遺産が少ないと言っていいかは評価が分かれるところかもしれません。

ですが、遺産が1000万円以下の案件が、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件の、全体の約3分の1になっていることは、知っておいた方が良いかと思います。

私の経験上、遺産が100万円以下で、相続人同士が揉めている案件を見たことがあります。なので、必ずしも、遺産が少なければ揉めないわけではありません。

遺産相続案件は、家族間のこれまでのいきさつ、いわば家族の歴史が丸ごと問題になることも多いため、揉めるときは遺産の価格に関わらず、揉める印象です

2.遺産が少なければ審理期間は短いのか?

次に、遺産が少なければ、遺産分割調停や遺産分割審判が早く終わるのかについて、解説します。

遺産の価格ごとの審理期間については、下記のようになっています。


■1000万円以下(総数2310件)

1月以内    27件

3月以内   252件

6月以内   493件(3位)

1年以内   744件(1位)

2年以内   580件(2位)

3年以内   163件

3年を超える  51件


■5000万円以下(総数3052件)

1月以内      4件

3月以内    170件

6月以内    484件(3位)

1年以内    928件(2位)

2年以内   1052件(1位)

3年以内    304件

3年を超える  110件


■1億円以下(総数866件)

1月以内      6件

3月以内     21件

6月以内     87件

1年以内    207件(2位)

2年以内    315件(1位)

3年以内    151件(3位)

3年を超える   79件


■1億円を超える(総数521件)

1月以内      2件

3月以内     18件

6月以内     40件

1年以内     97件(3位)

2年以内    166件(1位)

3年以内    110件(2位)

3年を超える   88件


上記のように、遺産の価格が1000万円以下の案件でも、総数2310件のうち、審理期間が1年を超えている案件は794件もあり、全体の3分の1以上は、審理期間が1年を超えています

また、3年を超えている案件も51件あり、遺産の価格が1000万円以下の案件でも、審理が長期化している案件もあります。

そのため、遺産の価格が少なければ、審理期間が短いとは必ずしもいえなさそうです。

但し、遺産の価格が、1000万以下は1位が1年以内であるのに対して、1000万円を超える価格は全て1位が2年以内となっています。

なので、遺産の価格が少ないと、審理期間が少し短くなるとはいえそうです。

3.最後に

今回は、遺産が少ないと相続人が揉めないのかについて、解説しました。

結論としては、遺産が少なくても揉める時は揉めます。

これは、遺産相続案件の場合、単純に金銭だけではなく、これまでの家族の関係性や歴史が問題になるためだと思います。

当事務所は、遺産相続案件に注力していますので、もしご相談等があれば、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次回のコラムでお会いしましょう。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産分割調停・審判はどのくらい時間がかかるの?

2023-08-06

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

当事務所は遺産相続案件に注力しておりますが、弁護士の友人から、遺産相続案件は、解決までに時間がかかりすぎると言われることも多いです。(だからこそ、その友人からは、遺産相続案件を取り扱いたくないというニュアンスで話がされます。)

しかし、私の肌感覚として、遺産相続案件が他の案件と比べて、必ずしも長く時間がかかるとは思いません。

そこで実際はどうなのかが気になったので、今回、

遺産分割事件(調停・審判)の審理期間がどのくらいで

実施される期日の回数が何回くらいか

を調べてみました。

現時点で発表されている最新(令和3年)のデータをもとに解説しますので、気になった方は是非参考にしてみてください。

1.審理期間(総数)

まず、令和3年に終結した遺産分割事件の総数は、1万3447件でした。

そして、審理期間は下記のようになっています。

■審理期間

1月以内   269件

3月以内  1161件

6月以内  2749件

1年以内  4136件

2年以内  3607件

3年以内  1074件

3年を超える 451件

上記のように、一番件数が多いのは6ヶ月を超えて1年以内の4136件、2番目に多いのが1年を超えて2年以内の3607件、3番目に多いのが3ヶ月を超えて6ヶ月以内の2749件でした。

私個人の感覚としても、遺産分割事件は、1年以内に終わることが多いと考えているため、このデータと一致していました。

但し、審理期間が1年を超える案件が、1万3447件のうち5132件もあり、約40%となっています。そのため、友人が言うように、他の案件に比べると、審理期間が長くなる傾向があるかと思います。

2.実施期日回数(総数)

それでは、遺産分割事件の実施期日回数は、どのようになっているでしょうか?

■実施期日回数

0回    1006件

1回    1706件

2回    1965件

3回    1745件

4回    1373件

5回    1133件

6~10回 3073件

11~15回 890件

16~20回 294件

21回以上  261件

上記をみると、1番多いのが6回から10回の3073件になっており、私の肌感覚とも合致しています。

なお、実施期日回数0回というのは、調停の取り下げがされた場合などで、裁判所において審理の必要がないと考えた場合を指すと思われます。

3.遺産分割調停が成立する場合

上記の数字は、遺産分割事件全体の数字になりますが、これには、取り下げがされた場合も含まれています。

それでは、調停成立の場合に絞ると、どのくらいの期間と回数になるのでしょうか?

令和3年の遺産分割調停の成立件数は5895件でした。

そして、審理期間や実施期日回数は、下記の通りとなっています。

■審理期間

1月以内    38件

3月以内   462件

6月以内  1063件

1年以内  1835件

2年以内  1774件

3年以内   527件

3年を超える 196件

■実施期日回数

0回       0件

1回     487件

2回     709件

3回     769件

4回     694件

5回     616件

6~10回 1799件

11~15回 517件

16~20回 182件

21回以上  122件

上記をみると、審理期間で1番多いのが1年以内、2番目に多いのが2年以内、3番目に多いのが6ヶ月以内となっています。

実施期日回数は、1番多いのが6回~10回となっており、2番目に多いのが3回、3番目に多いのが2回になっています。

2回や3回で調停が成立している事案については、調停期日のみならず、期日間においても双方で交渉を進めているケースが多いと思います。

4.遺産分割審判が認容される場合

それでは、遺産分割審判で認容される場合はどうしょうか?

審判認容の総数は1101件で、審理期間や実施回数は下記の通りとなっています。

■審理期間

1月以内     3件

3月以内    16件

6月以内    73件

1年以内   201件

2年以内   437件

3年以内   224件

3年を超える 147件

■実施期日回数

0回      32件

1回      73件

2回      56件

3回      83件

4回      77件

5回      88件

6~10回  371件

11~15回 164件

16~20回  66件

21回以上   91件

上記をみると、審理期間で1番多いのが2年以内、2番目が3年以内、3番目が1年以内となっています。

また、実施期日回数をみると、1番多いのが6回~10回の371件、2番目に多いのが11~15回の164件、3番目に多いのが21回以上の91件となっています。

遺産分割調停が決裂した場合に審判手続に進むことが多いため、調停の場合に比して、時間がかかっています。

5.最後に

今回は、遺産分割調停・審判がどのくらい時間がかかるのかについて、解説しました。

皆さんは、どのような印象を持たれたでしょうか?

今回調べたデータからすると、他の案件に比べて遺産相続案件が長期化する傾向にあるといえるかもしれません。

もっとも、私としては、ご依者の方が納得できない形で遺産相続案件を早く終了させるぐらいであれば、多少時間がかかってもご依頼者の方が納得できる形で案件を終了させる方がよいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産分割調停は1年間で何件の申立てがあるの?

2023-07-30

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

突然ですが、遺産分割調停が1年で何件、家庭裁判所に申し立てられているかご存じですか?

相続法務に注力している弁護士であるにもかかわらず、お恥ずかしながら、私もあまり意識したことはありませんでした。

そこで今回、現時点で発表されている最新(令和3年)のデータを調べてみたので、気になった方は参考になさって下さい。

1.全国総数

まず、厚生労働省のデータによると、令和3年にお亡くなりになった方は、143万9809人のようです。そのため、令和3年に日本全体で、143万9809件の相続が発生していることになります。

そして、令和3年の日本全体における、遺産分割調停の新規申立数は1万3565件です。

それゆえ、相続が発生して遺産分割調停の申立がされる割合は、おおよそ1%(厳密には0.942%)であり、おおよそ100件相続が発生すれば、1件遺産分割調停が申し立てられる計算となっています。

この数字を皆さんはどのようにお考えでしょうか?

私個人としては、思ったより割合が低いなというのが率直な感想です。

もちろん、相続人間で話がまとまらず弁護士が就いた案件でも、遺産分割調停までいかずに、当事者間の話合いで終わる案件が多くあるので、相続で争う割合が1%というわけではないでしょう。しかし、個人的には3%ぐらいはあると思っていたので、私の予想が結構外れていました。

なお、上記統計データには、遺留分侵害額請求という、不公平な遺言が作成された場合の争いは含まれておらず、こちらの調停件数を含まれれば、全体の2%ぐらいの割合になるのではないかと推測します。但し、遺留分調停の申立件数については、公表されていないので、正確には分かりません。

2.全国トップ3

それでは、遺産分割調停の新規申立数、全国トップ3はどこでしょうか?

結論としては、第1位が東京で1620件第2位が大阪で978件第3位が横浜(神奈川)で916件になります。

第4位と第5位も発表しておくと、第4位が名古屋で726件、第5位が埼玉で669件になります。

なお、第6位は神戸(兵庫)で627件、第7位は福岡で624件です。神戸と福岡については、件数がわずか3件差なので、おそらく年によっては、順位が入れ替わると思います。

一般的に京都は相続で揉めるイメージがあるかと思いますが、京都はトップ3どころかトップ7にさえ入っていません。

もちろん、人口数や死者数が違うので、単純に比較することはできませんが、意外と京都において遺産分割調停の申立がされている件数は多くないようです。

3.関西地方(京都、大阪、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)

当事務所は京都にあり、遺産相続案件については、関西地方の方からご依頼を受けることが多いので、関西地方の件数についても紹介しておきます。

遺産分割調停の新規件数が多いところから紹介していくと、①大阪978件、②神戸(兵庫)627件、③京都281件、④奈良141件、⑤大津(滋賀)115件、⑥和歌山96件となっています。

関西地方全体の申立件数を足しても2238件ですので、第1位の東京の1620件という数字がどれだけ多いかお分かり頂けるかと思います。

上記の通り、京都の件数は281件で、2倍をしても627件の神戸(兵庫)より少ないですし、3倍しても978件の大阪より少ないです。

そうなると、京都って、一般的に言われている印象と違って、相続でそれほど揉めないのではないかという疑問が生まれます。

そこで、死亡者数との兼ね合いで見てみると、令和3年の京都府の死亡者数は2万8309人であり、遺産分割調停申立数は281件なので、調停申立ての割合が1%以下になっています。

そう考えると、京都は相続で揉めるというのは、あくまでイメージの問題で、実際には全国平均と大して変わらないのだろうと思います。

なお、京都の281件というのは、岡山の253件、那覇(沖縄)の262件よりは多いものの、仙台(岩手)の286件、広島の307件よりは少ない数字となっています。

4.最後に

今回は、令和3年の遺産分割調停の新規申立数について、解説しました。

個人的な感想としては、想像よりも遺産分割調停までいく相続の割合は低いなと思いましたし、京都も意外とイメージが先行しているだけだなと思いました。

皆さんは、どのような印象を持たれたでしょうか?

今回のような、統計を使ったコラムは調べていて面白かったので、また機会があれば行おうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

令和3年 人口動態統計月報年計(概数)の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/gaikyouR3.pdf

弁護士って普段どんな業務をしているの?

2023-07-22

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

皆さんは、弁護士の日常というと、どのようなものをイメージされるでしょうか?

弁護士は、テレビドラマで見ると派手な仕事だと思われがちですが、普段どんな業務をしているのか、意外と知られていないように思います。

一言に弁護士といっても、注力分野などによって業務にも差はあると思いますが、今回は参考までに、私が普段行っている業務について、お話しさせて頂きます。

1.ご依頼者様(ご相談者様)対応

当たり前ですが、我々弁護士は、ご依頼者(ご相談者)の方から、ご依頼を受けることによって、生活が成り立っています。

そして、我々弁護士の目的は、ご依頼者の方に少しでもご満足頂くことですが、ご依頼者の方ごとに何を重視されるかは異なってきます。そのため、事件を処理するにあたっては、何か進展があり次第、ご依頼者にお伝えして、今後の方針を共に協議していくことになります。

もちろん、ご依頼者によっては、あまり自分に報告せず、弁護士側で業務を進めてほしい等のご要望を頂くので、そのような場合には、おおよその目標と方向性は協議した上で、弁護士が業務を進めることになります。

2.事件処理

次に、弁護士はご依頼を受けた事件の処理を行うことになります。

主に下記のような業務を行っています。

■示談交渉段階

①方針の検討

②現地調査

③ご依頼事件の類似裁判例や文献の調査

④証拠収集

⑤相手方との交渉書面の作成

⑥相手方との電話又は対面での交渉

■裁判(調停)段階

①裁判書面の作成(証拠収集や類似裁判例調査、文献調査なども含む)

②裁判対応(裁判準備、裁判所への出廷、尋問準備など)

この中で、圧倒的に時間がかかるのは、交渉書面の作成と裁判書面の作成です。

示談交渉段階においても、交渉書面が説得的でないと、良い解決案を得ることはできません。

また、裁判においては、裁判官は当事者からの口頭での話よりも、書面を重視する傾向が強いので、この裁判書面の出来が結果に大きく関わってきます。

なので、私も、示談交渉書面や裁判書面の作成に、全力を注いでいます。

ご依頼者から聞き取った内容や証拠、調査した文献や裁判例をもとに、構成をして、書面作成をして、書いた内容を見返して、何度も訂正をするという作業をしています。

私が書いた書面には一文一文に意味がありますし、ご依頼者の方から、何故その文を書いたのかをご質問頂ければ、多くの場合すぐにお答えできるかと思います。

示談交渉書面や裁判書面というのは、1通を作成するだけではなく、何通も何通も作成することが多いです。なので、この書面作成の作業が、一番時間がかかる作業ですし、その意味で弁護士の業務は派手さからは遠いような気がしています(土日祝日などに書面作成をしていることも多いです)。

3.ご依頼案件以外の活動

弁護士の業務には、ご依頼案件の処理だけではなく、顧問業務というのもあります。顧問業務というのは、企業様から月々●万円という顧問契約をして頂き、企業様からの法律が関わる質問にお答えしたり、企業間の契約書等をチェックする作業になります。イメージ的には、企業の法務部のような作業をします。

当事務所は、相続法務と企業法務に特に力をいれており、顧問契約をして頂いている企業様も40社以上あります。そのため、これらの企業様からの日々のご相談にもお答えしています。

また、顧問契約の延長上ではありますが、お客様の法人の委員会(例えば財産をどのように使用するかの委員会や、経営方針に関する委員会)に参加して、意見を述べることもあります。

4.最後に

今回は、弁護士が普段どんな業務をしているのかについて、解説しました。

書面作成など、おそらくイメージよりもかなり地味な仕事かと思います。

ですが、この地味な作業が依頼者の方の笑顔につながることが多いので、私としてもやりがいを感じています。

地道な作業も多いですが、弁護士って案外良い仕事ですよ(笑)、というのをお伝えして、このコラムを締めたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

弁護士は休日に何をしているの?

2023-05-31

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

時々、ご依頼者の方から、「休日は何をして過ごしているのですか?」とお尋ね頂くことがあります。

普段、中々休日の過ごし方をお話しする機会もないので、今回は私が休日に何をしているかについてお話しさせて頂きます。

需要があるのか分かりませんが、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。

1.ジムに行く

基本的に、土曜日の朝はジムに行って体を鍛えています。

ジムに行っている理由は2つです。

①身体のメンテナンス

1つ目は30歳になった辺りで、急に体調不良になることが多くなったので、身体のメンテナンスのためです。

ジムに定期的に行くようになってからは、あまり身体を壊すこともなくなりました。

あと、職業柄、精神的に疲弊することもたまにあるのですが、ジムで身体を動かすとメンタルも整います。

サウナも好きですが、個人的には、サウナに負けないぐらい、整うんじゃないかなと思っています。

②相手から殴りかかられた時のため

2つ目は、事件の相手方から殴りかかられた時に対処できるようにするためです(笑)

私は、幸い、事件の相手方から物理的な攻撃を受けたことはないのですが、職業柄その機会が絶対にないとはいえないので、その時に備えて鍛えています。

ただ、もちろん殴りかかられたくはないですが。。。

2.ゴルフに行く

次に、休日、ゴルフに行くことも多いです。

元々、仕事がらみでやり出したのですが、今ではプライベートでも行くほどゴルフにはまっています。

以前、ライザップゴルフにも通ったことがあるのですが、全くスコアが向上しなかったので、おそらくセンスはないんだと思います(笑)

元々自然が好きで、ゴルフをすれば、自然に囲まれることができるので、だからこそゴルフも好きになりました。

3.家族と過ごす

休日で仕事をしない時は、家族(妻)と過ごすことが多いです。

特に何をするというわけでもないのですが、一緒の空間で一緒に過ごすだけで、私は楽しいです。妻はどう思っているのか、分かりませんが(笑)

後は、美味しいご飯を食べるのが好きで、休日に妻とご飯屋さんに行くことが多いです。

4.最後に

今回は、休日の過ごし方についてお話ししました。

基本的には、上の3つの方法で過ごしますが、なんだかんだ仕事をしていることもあります。

趣味が仕事という面もあるのかもしれませんね。

もし、お会いすることがあれば、一緒に休日の話ができれば嬉しいです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

法律相談をしたら必ず弁護士に依頼しなければならないの?

2023-04-19

こんにちは。

京都の弁護士の益川教親です。

今回は、「法律相談をしたら必ず弁護士に依頼しなければならないのか」というテーマで、お話しさせて頂きます。

これから弁護士と初回法律相談をする方で、気になっている方もいらっしゃると思いますので、参考になれば幸いです。

1.結論

結論から申し上げると、法律相談をされても、必ず弁護士にご依頼頂く必要はありません

これは当事務所のみならず、他の弁護士事務所も同様かと思います。

以下では、理由を述べさせて頂きます。

2.必ず弁護士にご依頼頂く必要がない理由

(1)しっかり相性を確認して頂きたい

まず、「当事務所が初回法律相談を無料で行う理由」というコラムでもお伝えしましたが、初回法律相談では、その弁護士との相性をしっかりご確認頂く必要があります

なぜなら、弁護士にご依頼頂く案件の性質からして、それなりの期間、その弁護士と付き合っていく必要があるためです。

自身が依頼した弁護士との相性が良くなく、話しているだけでも苦痛なんてことにならないためにも、初回の法律相談では、弁護士との相性をしっかりご確認頂く必要があります。

他の弁護士にご依頼されていて、当事務所が交代して弁護をさせて頂くことになった際に、このようなことを仰っていたご依頼者の方もおられましたので、弁護士との相性はしっかりご確認頂ければと思います。

(2)費用対効果が合わない可能性がある

弁護士にご依頼頂いた場合には、弁護士費用というものが発生します。

そして、例えば、30万円を取得するために、弁護士費用が50万円かかるなんて状況であれば、弁護士に依頼などしない方がよいでしょう。

また、例えば、遺産相続案件で、相手方から1000万円が提示されているけれども、弁護士に依頼した場合900万円になる可能性があるということであれば、弁護士に依頼などしない方がよいでしょう。遺産相続案件において、このようなケースは滅多にないですが、稀にご相談者の方が、お亡くなりになった方から多額の生前贈与をうけていて、相手方もそれを認識しているにもかかわらず、そのことを考慮せずに提案をしてきている場合には、このような状況になります。

そのような場合には、当事務所の方から、弁護士に依頼頂くのをお止めすることがあります。

このように、そもそも弁護士に依頼しても費用倒れになるのであれば、弁護士にご依頼頂く意味が全くありません

(3)他の専門家の専門分野である

我々弁護士は、法律のご依頼をお受けすることができますが、税務や登記業務などの他の専門家の専門分野のご依頼を受けることはできません。税務は税理士ですし、登記は司法書士であり、弁護士の専門分野ではありません。

なので、初回相談で、このような内容を依頼したいとの要望を頂いても、弁護士ではお受けすることができません。

当事務所では、電話で簡単にご相談内容を伺うことは多いので、このようなことはありませんが、事前にご相談内容を一切伺わない事務所では、このような事態も生じるかと思います。

3.最後に

今回は、法律相談をしたら必ず依頼しなければならないのか、をお伝えいたしました。

事務所によっては、初回相談をしたら、何度も連絡が来ることもあるようですが、当事務所ではそのようなことはしませんので、安心してご相談下さい。

このコラムをお読み頂いた方のお悩みが解決することを願っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

初回の法律相談をお受けするにあたって気をつけていること

2023-04-11

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

以前は、ご相談者の方が、「初めて法律相談をするときのコツ」というテーマで、コラムを書かせて頂きました。

今回は、このような初回相談をお受けするにあたって私自身が気を付けていることや心構えなどについて、お話しさせて頂きます。

ざっと読める内容になっていますので、ご一読頂ければ幸いです。

1.じっくりお話しを聞く

初回の法律相談で特に意識していることは、お話しをじっくり聞くということです。

事前にお電話などで、ご相談の大まかな内容を伺っていることもありますが、多くの場合、初回相談をお受けするまで、ご相談内容の詳細までは把握できておりません。

なので、初回の法律相談というのは、私が、ご相談内容の詳細を把握する最初の機会となります。ここで、しっかりお話しを伺わないと、見通しがずれてしまいますし、今後の道筋が誤ってしまうことにもなりかねません。

当事務所が初回無料法律相談を時間無制限で行っておりますが、その理由はこの点が大きく関係します。

特に、遺産相続案件の場合は、ご相談者の方やその御家族のこれまでの人生が関係してくることも多いですし、それ故しっかりお話しを聞く必要があります。

今後の私の活動は、初回法律相談にて、ご相談者の方が、何を望んでおり、どの点を重要視されているかを把握することから始まります。

2.見通しは率直にお伝えする

次に、心がけていることは、見通しは率直にお伝えすることです。

もし、負ける可能性が高いとしてもそのことを率直にお伝えいたします

なぜ、このことを心がけているかというと、このような見通しを把握した上で、ご依頼頂きたいからです。

弁護士の中には、負ける可能性が高いにもかかわらず、ご相談者に、「勝てると思う」と言って依頼を受ける方もいるとされています。その場合、負けた時には、裁判官や相手方のせいにするようです。

もちろん、勝てる可能性が高いと言った方が、ご相談者の方には優秀な弁護士に見えて、ご依頼頂く可能性が高いのかもしれません。

しかし、私は、嘘をつくのは嫌いですし、勝つのが難しい案件こそ、対策を練って、ご依頼者の方に可能な限り有利な解決を図ることが重要であると考えています。しかし、見通しを率直にお伝えしなければ、このような対策を打つことすらできません。

そのような意味でも、私は見通しを率直にお伝えすることが重要であると考えています。

また、初回の法律相談では、見通しのみならず、ご依頼頂いた場合の今後の流れについても可能な限り詳細にお伝えさせて頂いております。ご相談者の方も、先が見えないとご不安になられると考えているためです。

3.弁護士費用を明確にお伝えする

3つ目に心がけていることは、弁護士費用を明確にお伝えすることです。

弁護士費用については、ご相談者の方も、特に気にされている部分だと思います。

なので、基本的には、その場で、ご依頼頂いた場合の弁護士費用を明確にお伝えするようにしています。

遺産相続案件の場合には、弁護士費用は、スタート段階で頂く着手金と、案件終了時に成功の程度に応じて頂く報酬金になります。

この弁護士費用について、消費税の金額も示した上で、お伝えしております。中々消費税の金額までお伝えする弁護士は少ないようで、ご相談者の方から、こちらが聞く前に弁護士費用の消費税を伝えてもらったのは初めてですと言って頂いたこともあります。

また、後から弁護士費用で予想以上に高いとご相談者の方が感じないように、報酬金については、その時点で分かる範囲で、一番高くなった時の金額をお伝えすることが多いです。

このコラム執筆時点までで、私の記憶する限り、ご依頼者の方から報酬が予想以上に高いと言われたり、報酬で揉めたことはありませんが、これは、初回の法律相談の際に、弁護士費用を明確にお伝えしているからだと考えています。

他の弁護士に弁護士費用で揉めたことがないと言うと、かなり珍しいと言われることが多いです。

もちろんですが、初回のご相談時には、実費(案件解決に実際にかかる、郵便費用や調停等の際の印紙代などの費用)についても明確にお伝えいたします。

4.最後に

今回は、初回の法律相談をお受けするにあたって気をつけていることをお伝えいたしました。

初回の法律相談の際には、私から色々お話しを伺うと思いますが、それがご依頼者の方の満足する解決に繋がると信じています。

これまで、遺産相続案件について、多くのご相談をお受けしてきましたが、ご相談者の方の中でも、何に重きを置くかは人によって異なります。

初回法律相談では、可能な限り、そのご相談者の方の価値観までも把握したいと考えておりますので、多少時間がかかることはご容赦頂ければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

当事務所が初回法律相談を無料で行う理由

2023-02-26

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

時々、ご相談者の方から、「初回相談を無料でしてもらえるのはありがたいんですけど、なぜ無料にしているんですか」という趣旨のご質問を頂くことがあります。

そこで、今回は、当事務所が初回法律相談を無料で行う理由についてお話しさせて頂きます。

①弁護士に相談するハードルを下げたい

これまで弁護士とあまり関わりのない方にとって、弁護士に相談するハードルは高いのが通常だと思います。

おそらく、私も逆の立場の場合、弁護士に相談するのは中々億劫ですし、気乗りしないというのが正直なところだと思います。

一方、弁護士にご相談頂くのは、できるだけ早い方がよく、ご相談頂いた時点ではもう遅く、今からの対応が難しいということもあります。例えば、相続案件の場合、遺産分割協議書に署名押印された後などに、やっぱり遺産分割協議書の内容に納得できないとご相談頂いたとしても、協議書の内容をひっくり返すのは困難なことが多いです。

このように、弁護士の立場からすれば、できるだけ早くご相談頂きたい一方、ご相談者の立場からすれば、中々相談しにくいというのが現状だと思います。

そのため、当事務所としても、できるだけ弁護士に相談するハードルを下げたいという思いから、初回法律相談を無料で行っています。

もちろん、初回法律相談を無料で行ったぐらいで、弁護士に相談しやすいかというと必ずしもそうではないと思いますが、有料よりはまだマシかなと思います。

② 弁護士との相性が良いかを見極めて頂きたい

弁護士にご依頼頂く場合には、ご依頼者と弁護士との相性がかなり重要になってきます。なぜなら、ご依頼者の方にとっては、ただでさえストレスのかかる状況な上に、場合によってはご依頼者と弁護士が長い付き合いになるためです。

例えば、ご自身がストレスを抱えておられる状況で、弁護士との相性が良くない場合、どうでしょうか?案件解決のためには、ご依頼者と弁護士が二人三脚で進む必要がありますが、その相性が良くない場合、ご依頼者が弁護士と話しづらいと感じてしまったり、最悪の場合弁護士と話すことさえ苦痛ということにもなりかねません。

せっかく自己のストレスを軽減させるために弁護士に依頼しているのに、弁護士に依頼したことでかえってストレスを抱えてしまっては本末転倒です。

当事務所にも、他の弁護士にご依頼されている方がご相談にいらっしゃって、今依頼している弁護士と話すことさえ苦痛である旨のご相談をされる方はいらっしゃいます。

そのような場合、途中から当事務所がご依頼を受けることがありますが、それであれば、始めから相性のいい弁護士を選んで頂いた方がよいと思います。

私見としては、そのような場合でも他の弁護士の方が絶対的に悪いと言うよりは、そもそもの相性が良くないのではないかと思います。

このように、ご依頼者の方と弁護士との相性は極めて重要であり、当事務所としては、その相性を見極めて頂くために、無料の法律相談をご活用頂きたいと考えております。

③ 経営的にも問題ない

初回法律相談を有料でされている事務所においては、①経営的に有料の方がよい、②冷やかしのような相談(失礼な言い方をして恐縮ですが「変な相談」)をはじきたい、というお気持ちがあるのではないかと推測します。

しかし、①については、当事務所の感覚では、初回法律相談を有料で行ったとしても、せいぜい30分5500円(税込)ぐらいであり、正直、当事務所の経営に影響を及ぼさない金額なので、その金額を頂く必要性をあまり感じません。もちろん、初回法律相談が毎日10件あるというのであれば、別ですが、現状の初回法律相談の件数からすれば、費用を頂かなくとも特に問題ありません。

次に、②については、おそらく、事務所毎の特性にもよるのですが、少なくとも当事務所の場合、冷やかしのような相談はあまりありません。

当事務所のご相談者やご依頼者の方は良識のある方ばかりなので、②についても特に問題ないと考えています。

④最後に

今回は、当事務所が初回法律相談を無料で行う理由についてお話しさせて頂きました。

色々言いましたが、一番大きいのは、弁護士に相談するハードルを下げて、早く弁護士に相談して欲しいからです。そして、弁護士に依頼した方がよい案件については、是非相性の良い弁護士を見つけて依頼して頂きたいです。

なので、このコラムを見て頂いている方で、もし弁護士に相談するか迷っている方がいらっしゃれば、すぐに弁護士に相談して頂きたいというのが正直な思いです。もし、当事務所にご相談頂ける場合には、このコラムの上と下に当事務所の電話番号が載っているので、そこを押して頂ければ幸いです。

もし、そのご相談を受けたり、相性の良い弁護士が当事務所の弁護士であれば、大変嬉しく思います。

このコラムを見て下さった方のお悩みが解決されることを祈っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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