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相続不動産の評価方法や基準時について
不動産を相続したら「評価」をしなければなりません。
現金や預金と異なり不動産の価値は日々変動するので、「いつの時点の価値」を基準とすべきかが問題になります。
また相続税を計算する際にも時価とは異なる特殊な計算方法が適用されるので、正しい評価方法を理解する必要があります。
今回は相続不動産の評価方法について、京都の弁護士が解説します。土地や建物、マンションなどの不動産を相続された方はぜひ参考にしてみてください。
1.不動産を評価する「タイミング(時点)」について
不動産の価値は日々変動するので、遺産分割や特別受益となる生前贈与があった場合などには「いつの時点の評価額を基準にすべきか」決めなければなりません。
法律実務では、以下の時点における評価額を採用すべきと考えられています。
- 遺産分割の場合は遺産分割時
- 特別受益の場合には相続開始時
- 遺留分侵害額請求の場合には相続開始時
また税制上、相続時精算課税制度が適用される場合には「贈与時」の評価額が適用されます。
それぞれについて、解説します。
2.遺産分割の場合は遺産分割時
遺産分割が行われる場合には、遺産分割時の「時価」を基準に不動産を評価します。
遺産分割時とは、相続人たちが実際に話し合いを行って遺産分割協議や調停をするタイミングです。そのときの「不動産の時価」を調べて不動産の価額とします。
時価は不動産会社へ無料の査定を申し込めば提示してもらえます。
また、法律実務では、固定資産評価額を基に不動産の時価を判断することも多いです。
具体的には、一般的に土地の固定資産評価額は時価の7割程度とされているため、土地については固定資産評価額に7分の10を掛けた金額を時価とします。対して、建物の時価は固定資産評価額を基準に判断することが多い印象です。
相続人間で意見が割れる場合には不動産鑑定士に依頼して鑑定をしなければならない可能性もあります。
3.特別受益の評価は相続開始時
特別受益がある場合にも不動産の評価が問題となります。
たとえば不動産が生前贈与された場合、贈与時なのか相続開始時なのか特別受益の持戻計算を適用する遺産分割時なのか、3パターンの評価時が考えられるでしょう。
法律実務では「相続開始時の時価」が採用されています。
つまり「被相続人が死亡した時点」における不動産の時価が特別受益で贈与された不動産の評価額となります。
遺産分割の対象となる他の不動産は「遺産分割時の時価」で評価されるので、贈与された財産とは評価時が異なります。
4.遺留分侵害額請求の評価時点は相続開始時
遺留分侵害額請求をするときにも不動産を評価しなければなりません。
遺留分侵害額請求とは、配偶者、子どもや親などの相続人が遺留分を侵害されたときに最低限の遺産保障分である遺留分を取り戻すための手続きです。
遺留分侵害額請求における遺産の評価基準時は「相続開始時」となります。
遺留分侵害額請求を行うタイミングではないので、混乱しないよう注意しましょう。
5.相続時精算課税制度における不動産評価基準時
相続時精算課税制度を適用する際にも不動産の評価方法が問題となります。
相続時精算課税制度とは、親や祖父母などの直系尊属が子どもや孫などの直系卑属へ資産を生前贈与するときに最大2500万円分が非課税となる制度です。
贈与された資産は相続発生時に相続財産に組み入れられてまとめて相続税の課税対象になります。そこで、贈与された不動産がいつのタイミングで評価されるのか、贈与時か相続発生時なのか定めなければなりません。
相続時精算課税制度を適用する場合、生前贈与された資産は「贈与時」のタイミングで評価するので、正しく把握しておきましょう。
6.相続税における不動産評価方法
相続税を計算する際には、時価とは異なる特殊な評価方法を適用します。
6-1.土地の場合
土地の場合には基本的に「相続税路線価」を使って評価します。相続時路線価とは、道路に面した宅地の1平方メートルあたりの単価をいいます。
路線価がわかれば、路線価に土地の面積を掛け算すると不動産の評価額を求められます。
相続税路線価の設定のない場所では、土地の固定資産評価額に一定の倍率を掛け算して評価額を求める「評価倍率」という方法を用います。
相続税路線価や評価倍率を適用すると、不動産の価額は時価の約80%程度になります。
各地の路線価や評価倍率は、下記の国税庁のサイトで公表されています。
https://www.rosenka.nta.go.jp/
6-2.建物の場合
建物の場合には「固定資産税評価額」を用いて評価します。
調べたいときには役所へ行って固定資産評価証明書を申請しましょう。
6-3.マンションの場合
マンションの場合にも土地や建物と基本的な考え方は同じです。
マンションの建物部分(専有部分)については「固定資産評価額」で評価し、敷地権の部分については「相続税路線価」で計算し、双方を合算します。
以上のとおり、現預金と不動産を比較すると、不動産の方が評価額は下がります。
この性質を利用し、生前に現預金を使って不動産を購入すると、遺産の評価額を下げて節税する方が多数おられます。
7.最後に
京都の益川総合法律事務所では遺産相続された方へのサポートに注力しています。
不動産の評価方法に迷われた方、遺産分割や遺留分侵害額請求を行う必要のある方はお気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
遺産である不動産の売却から遺産分割協議書の締結までを約4ヶ月で行った事例【相続解決事例⑥】
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ご依頼者は、相手方から遺産分割を求められた側です。
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弁護士受任後、速やかに相手方代理人に遺産目録及びお母様の債務、ご依頼者の立替金を通知し、不動産についても売却の意思があること及びその目途をお知らせしました。
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当事務所においては、ご依頼者の希望を第一優先に交渉を進めますので、このような早期解決が図れたと考えております。
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甥や姪が相続人になる場合と遺産相続の注意点
相続が発生したとき、甥や姪が相続人になるケースがあります。
甥姪の父母である被相続得人の兄弟姉妹が、被相続人より先に死亡した場合です。
今回は、甥姪が相続人になる際の遺産相続における注意点を、京都の弁護士が解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.甥姪は第3順位の法定相続人
甥姪が相続人になるのはどういったケースなのでしょうか?
それは、甥姪の父や母である「被相続人の兄弟姉妹」が、被相続人より先に死亡しているケースです。
兄弟姉妹は第3順位の法定相続人になるので、被相続人に子どもや親がいない場合、兄弟姉妹が相続権を取得します。
ただ、親である兄弟姉妹が先に死亡しているケースもあるでしょう。その場合には、
「代襲相続人」として甥姪が遺産を相続するのです。
1-1.代襲相続とは
代襲相続とは、相続人が被相続人より先に死亡している場合において、相続人の子どもが相続することを言います。
例えば、子どもの子どもである「孫」や兄弟姉妹の子どもである「甥姪」が該当します。
被相続人より子どもが先に死亡していれば孫が代襲相続人になりますし、被相続人より兄弟姉妹が先に死亡していれば甥姪が代襲相続人になります。
代襲相続人は被代襲者の地位をそのまま引き継ぐので、親である兄弟姉妹が相続権を取得していれば、甥姪は兄弟姉妹と同じだけの法定相続分を引き継ぎます。
1-2.甥姪が複数いる場合
甥姪が複数いる場合には、兄弟姉妹の法定相続分を「甥姪の頭数」によって分配します。
例えば、被相続人の弟が3分の1の法定相続分を有しており、被相続人より先に死亡したとしましょう。弟には2人の子ども(被相続人の甥姪)があるとします。
この場合、2人の甥姪の法定相続分は、3分の1×2分の1=6分の1ずつとなります。
1-3.甥姪の子どもは代襲相続しない
甥姪も被相続人より先に死亡していた場合、甥姪の子どもは代襲相続できません。
兄弟姉妹などの本流ではない血族を「傍系血族」といいますが、傍系の場合には代襲相続は一代限りとされているからです。
甥姪が被相続人より先に死亡していた場合だけではなく、相続欠格者となった場合や相続人として廃除された場合にも甥姪の子どもは再代襲相続できません。
2.配偶者がいる場合の甥姪の法定相続分
相続人が甥姪だけであれば、それぞれの法定相続分は人数で等分になるだけです。
一方、配偶者があると法定相続分が異なってきます。
配偶者と甥姪が相続人になる場合、配偶者に4分の3、甥姪に4分の1の相続分が認められます。
法定相続分の求め方が分かりづらい場合、お気軽に弁護士までご相談ください。
3.甥姪には遺留分がない
甥姪が相続人になることが予想される場合、被相続人が遺言書を作成して「甥姪には相続させない」と書き残している事例もよくあります。この場合、甥名は遺産を相続できません。
また、甥姪には遺留分も認められないので注意が必要です。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。
子どもや孫などの相続人であれば「遺留分」が認められるので、不公平な遺言があっても最低限「遺留分」の取り戻しを請求できます。
一方、甥姪には遺留分が認められないので、遺言で「遺産を相続させない」と書かれてしまったら何も請求できません。
4.他の相続人との間で遺産分割がまとまらない場合の対処方法
甥姪が代襲相続すると、他の相続人との間で遺産分割協議がまとまらないケースがよくあります。
甥姪と他の相続人(配偶者や叔父叔母)はふだんからあまり交流がないケースも多く、他の相続人からすると「甥姪に遺産を分けたくない」と考える傾向があるためです。
遺産分割協議でもめてしまったときには、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てることになります。
調停では、調停委員が間に入って話し合いを調整してくれます。
5.甥姪は借金に気づかないケースも多い
被相続人が借金を残している場合、甥姪が気づかないケースも多いので注意が必要です。
先順位者である子どもや親が相続放棄してしまったために債権者が甥姪へ借金の支払いを求めてくる事例が少なくありません。
借金を引き継ぎたくない場合には、相続放棄や限定承認を行う必要があります。
ただし、これらの手続きには「自分のために相続があったことを知ってから3か月以内」という期限があります。
債権者から連絡が来て借金を相続したことを知ったら、早めに家庭裁判所で相続放棄や限定承認の申述をしましょう。
6.最後に
京都の益川総合法律事務所は、相続案件に積極的に取り組んでいます。
相続問題でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
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寄与分とは
相続人の中に被相続人を介護するなどして「財産維持に特別な貢献をした」人がいる場合、「寄与分」が認められます。
寄与分のある相続人は、他の相続人よりも多くの遺産を受け取れる可能性があります。
ただし、介護をしたからといって必ず寄与分が認められるわけではありません。
今回は寄与分とはなにか、特別寄与料との違い、どういったケースで認められるのかなどを、京都の弁護士がわかりやすく解説します。
1.寄与分とは
寄与分とは、被相続人の財産の形成や維持に特別な貢献をした相続人に認められる、上乗せの相続分を意味します。
たとえば、被相続人を献身的に介護して介護費用の支出を抑えた相続人、被相続人の事業を無給で手伝って財産形成に貢献した相続人などに寄与分が認められます。
被相続人の財産形成や維持に貢献した相続人がいる場合、他の相続人と同様に法定相続分通りに遺産分割すると、かえって不公平となってしまうこともあります。
そこで、貢献のある相続人には「寄与分」を認め、他の相続人より多くの遺産を受け取れるようにしているのです。寄与分は、相続人間の実質的な平等を実現するための制度と言われています。
2.寄与分が認められる人や条件
寄与分が認められるのは「被相続人の財産維持や形成に特別の貢献をした相続人」です。
以下で寄与分が認められる人の条件をみていきましょう。
2-1.被相続人の財産維持や形成に貢献
まずは被相続人の財産維持や形成に対し、具体的に貢献しなければなりません。
精神的な励ましなどをしても寄与分は認められません。
2-2.特別の貢献をした
貢献は「特別」でなければなりません。親族として当然の義務の範囲であれば、介護や扶養をしても寄与分は認められないと考えましょう。
2-3.相続人
寄与分が認められるのは相続人のみです。相続人以外の親族が献身的に介護しても寄与分は認められません。
ただし2019年7月1日、法改正によって一定範囲の親族には「特別寄与料」が認められるようになりました。たとえば長男の嫁や孫などが被相続人を献身的に介護した場合、相続人に対して「特別寄与料」というお金を請求できる可能性があります。
特別寄与料は寄与分とは異なりますが、寄与に応じたリターンを得られるという意味では寄与分に共通した性質を持つといえるでしょう。
3.寄与分の類型
寄与分には以下の4つの類型があります。
3-1.介護や看護を行った
1つ目は、被相続人を介護したり看護したりした相続人の寄与分です。親族として当然なすべき限度を超えて献身的に介護、看護した場合には寄与分が認められます。
たとえば、仕事を辞めて10年以上被相続人を介護し続けた場合などには寄与分が認められる可能性が高いです。
3-2.事業を手伝った
被相続人の事業を無給や薄給で手伝ったケースでも、寄与分が認められます。
たとえば、被相続人が商店を経営している場合、農業や漁業を営んでいる場合などに子どもが無給で10年以上労働力を提供し続けた場合などです。
正当な報酬を受け取っていると特別な寄与とはいえないので寄与分は認められなくなります。
3-3.扶養した、生活費を支援した
生活の面倒を見た場合にも寄与分が認められます。
たとえば、被相続人と同居して扶養したり、毎月生活費を送金し続けたりした場合などです。
ただし、親族には扶養義務があるので、寄与分が認められるには義務の範囲を超えた扶養をしなければなりません。
3-4.財産を管理した
被相続人の財産を適切に管理して維持に貢献した場合にも寄与分が認められる可能性があります。
4.寄与分を主張する方法
相続人の中に寄与分を主張したい人がいる場合、遺産分割の際に「寄与分を認めるべき」と主張しなければなりません。
自分から言わないと他の相続人の方から寄与分を認めるケースは少ないので、寄与分を認めてもらいたければ、寄与分の主張が必要となります。
遺産分割協議の際、相続人全員が寄与分を考慮した遺産分割方法に合意できればその内容に従って遺産を受け取れます。
一方、寄与分を認めない相続人が1人でもいたら、遺産分割協議は成立しません。
その場合に寄与分を主張するのであれば、家庭裁判所で遺産分割や寄与分を求める調停、審判を申し立てる必要があります。
まずは、調停を先に申し立てて、不成立になったときに審判へ移行する例が多数です。審判になると、審判官が寄与分の有無や金額、遺産分割方法を決めるので、反対する相続人がいても寄与分を受け取れる可能性があります。
有利な内容の審判を出してもらうには、具体的にどういった寄与をしたのか、いくらくらいの評価額になるのかなど明らかにしなければなりません。ご自身では適切に対応しにくいでしょうから、弁護士までご相談ください。
5.最後に
京都の益川総合法律事務所は遺産相続案件への対応に力を入れています。
寄与分が認められるかどうか知りたい方、主張したいけれども他の相続人に反対されている方、他の相続人が寄与分を主張してきた方など、お気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
会社経営者が遺言書を作成する際に注意すべきポイント
会社経営者は、一般の方以上に「遺言書」を作成する必要性の高い立場です。
遺言書がないと、死後に大きなトラブルが発生し、後継者による会社経営に困難が生じてしまう危険があります。
この記事では、会社経営者が遺言書を作成すべき理由、作成の際のポイントについて、京都の弁護士が解説します。
今後、事業承継をお考えの経営者さまは、ぜひ参考にしてみてください。
1.会社経営者に遺言書が必要な理由
会社経営者が遺言書を遺すべき理由は、以下のとおりです。
1-1.後継者へ株式や事業用資産を引き継がせるため
遺言書は、後継者へ確実に会社株式や経営に必要な事業用資産を承継させるために必要です。
遺言書を遺さなければ、相続人たちは自分たちで話し合って遺産を分割しなければなりません。その際には、基本的に「法定相続分」に応じて分割されてしまいます。
法定相続分は、後継者だからといって特に多めに認められるものではありません。
後継者が会社株式や事業用資産を取得したいと希望しても、他の相続人が納得しなければ取得できない可能性があり、後継者による会社経営が困難となってしまうでしょう。
遺言書があれば、会社経営に必要な株式や事業用資産を後継者へ集中させられます。スムーズな事業承継を実現するには、遺言書が必須といえるでしょう。
1-2.相続争いを防止するため
遺言書がないと、相続人たちの間で相続争いが発生するリスクが高まります。
後継者が多めの遺産取得を希望しても、他の相続人が納得しないケースが多いですし、遺産の分け方で意見が合わない可能性もあります。
最終的には、評価額の高い不動産などを売却して分けざるを得なくなり、資産が失われるケースも少なくありません。
相続争いが後継者にとって負担となり、経営の足かせになるのも問題です。
相続争いを防止するためにも、遺言書を作成しましょう。
2.会社経営者の遺言におけるポイント
会社経営者が遺言書を作成する際には、以下の点に注意しましょう。
2-1.財産内容を整理する
まずは、財産内容を整理して、わかりやすく一覧表にまとめましょう。
会社経営者の資産内容は複雑で、高額になるケースが多数です。目録がないと、相続人たちにはどのような遺産があるのか伝わりません。
遺言書を作成するなら、資産内容の洗い出しからはじめてみてください。
2-2.後継者へ必要な資産を承継させる
次に重要なのは、後継者へ必要な資産を承継させることです。会社株式と事業用資産を相続させないと、経営の引き継ぎが困難となります。
後継者へ必要な資産を承継させる遺言内容にしましょう。
2-3.事業承継計画との同時進行
遺言書を作成するのと同時進行で、事業承継計画を立てて実行するのが良いです。
未経験の子どもに経営を引き継がせる場合、おおむね10年かかるといわれています。
事業承継を検討しているなら、早めに取り組みを開始しましょう。
2-4.遺留分に配慮する
後継者以外の相続人の遺留分にも、配慮しなければなりません。
遺留分とは、子どもや配偶者などの相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。
後継者以外の子どもたちの遺留分を侵害すると、死後に後継者に対する「遺留分侵害額請求」が起こって、後継者に金銭的な負担が発生するリスクが発生します。
できれば、遺留分権利者には遺留分に相当する預金などの遺産を遺すと良いのですが、難しい場合には別の方法で遺留分対策をしましょう。
■遺留分に関する民法特例を適用
事業承継の事案では、遺留分に関する民法の特例を適用できる可能性があります。特例を利用すると、生前に推定相続人と合意して会社株式や事業用財産を遺留分の対象から外せます。
ただし、特定を適用するには一定要件を満たさねばなりません。経済産業大臣による確認を受けた後、家庭裁判所へ許可を求めなければならないなど、手続きも複雑です。
利用したいときには、弁護士へ相談してサポートを受ける方が確実でしょう。
2-5.遺言書が無効にならないように注意
せっかく遺言書を作成しても、無効になったり発見されなかったりしては意味がありません。
例えば、自己判断で自筆証書遺言を作成すると、要式不備で無効になるケースが多々あります。自宅で保管していると、発見されなかったり発見した相続人によって破棄されたり隠されたりするリスクも発生します。
また、認知症が進行してから遺言書を作成すると、やはり無効になってしまいますリスクが高まります。
遺言書を作成するなら、適切な方法で作成・保管して確実に効果を発揮できるようにしましょう。
3.遺言書を作成する方法
主に利用される遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言を自分1人で作成すると無効になりやすいので、必ず弁護士へ相談し、できあがったものは法務局に預けるようお勧めします。
より確実性が高いのは、公正証書遺言です。こちらについても、遺言内容について、弁護士のアドバイスを受けておくと、後々のトラブルを防いでスムーズに事業承継を進めやすくなります。
4.最後に
益川総合法律事務所は京都の老舗法律事務所として、事業承継や相続案件に力を入れております。
多くの企業経営者の承継を成功に導いてきた実績がございますので、事業承継をお考えの方はぜひとも1度、ご相談ください。

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遺言書の効力、無効になる場合をパターンごとに弁護士が解説
「遺言書にはどのような効力が認められるのでしょうか?」
といったご相談を受けるケースがよくあります。
遺言書を作成すると相続分の指定や相続人以外の人への遺贈など、さまざまな事項を指定できます。相続トラブルを防ぐ効力もあります。
ただし認知症の方が遺言書を作成すると無効になってしまうリスクがあるので、遺言書を作成されるのであれば、元気なうちに早めに作成される方がよいです。
今回は遺言書の効力、無効になるケースや有効な遺言書を作成する方法について、京都の弁護士が解説します。
1.遺言書で指定できること
遺言書にはさまざまな効力があります。
まずは遺言によって何を指定できるのか、代表的な事項をお伝えします。
- 相続分の指定
- 遺産分割方法の指定
- 一定期間における遺産分割の禁止
- 遺贈
- 寄付
- 子どもの認知
- 相続人の廃除や取消し
- 遺言執行者の指定
- 特別受益持戻し計算の免除
- 生命保険受取人の指定や変更
遺言書には相続トラブル予防の効力がある
遺言書には相続トラブルを予防する効力も期待できます。
例えば、遺産分割方法を指定しておけば、相続人が遺産分割協議を行う必要がありません。意見が合わなくて対立してしまうトラブルを防げるでしょう。
遺言執行者を指定しておけばスムーズに遺言内容を実現できるので、遺言書が無視されたり放置されたりするトラブルを防げます。
死後にトラブルを防いでご希望を実現したいなら、遺言書の作成を検討しましょう。
2.遺言書が要式違反で無効になるパターン
遺言書に効力が認められない1つ目のパターンは「要式違反」です。
自筆証書遺言の場合、自分で要式を守った遺言書を作成しなければなりません。
要式を守らない遺言書は無効です。
よくある間違いをみてみましょう。
2-1.自筆していない部分がある
自筆証書遺言は、遺産目録の部分以外すべて自筆しなければなりません。
一部でもパソコンを使ったり代筆をお願いしたりすると無効になります。
2-2.日付を入れない
日付を入れ忘れると無効です。「○月吉日」など、日付を特定しない場合も無効になるので必ず年月日まで記入しましょう。
2-3.署名押印を忘れる
署名押印を忘れると遺言書に効力が認められません。
2-4.加除訂正方法を間違える
遺言書を書き間違えたときの加除訂正方法については、法律によって細かいルールが定められています。
きちんと従わないと無効になってしまうので正しい知識をもって対応しましょう。
3.遺言能力がなくて遺言書が無効になるパターン
遺言書の要式を守っていても「遺言能力が失われた状態で作成した」場合、無効になります。
3-1.遺言能力とは
遺言能力とは、遺言書を作成する意味を理解し、死後に遺言書によってどういった効果が発生するのかわかる能力です。
有効に遺言書を作成するには、遺言能力が必要です。
基本的には15歳以上の人に遺言能力が認められますが(民法961条)、認知症が進行して事理弁識能力が低下すると「遺言能力がない」と判断される可能性があります。
遺言能力のない人が作成した遺言書は無効であり、重度な認知症の方が遺言書を作成しても、効力が認められない可能性が高くなります。
3-2.遺言能力があるかどうかの判断基準
遺言能力があるかどうかについては、以下のような要素によって判断されます。
■医学的な診断、医師の意見
まずは医学的な診断や検査結果が重要な考慮要素となります。
例えば、以下のようなものは判断の指標として重要視されるでしょう。
- 遺言書を作成した当時の診断書、カルテ
- 要介護認定の有無や程度
- 要介護認定時に提出された資料
- 介護施設での記録
- 介護日誌
- 長谷川式スケールの点数
■当時の本人の言動
遺言者本人が作成当時、どういった言動をとっていたかも考慮されます。
例えば、日常的に徘徊や妄想など、異常な行動や言動があれば遺言能力がなかったと判断される可能性が高まります。
判断能力が十分だった頃の行動や言動と、実際の遺言内容との間に大きな剥離がある場合にも、遺言能力が怪しまれる可能性があります。
■遺言書の内容や表現
遺言書の内容や表現そのものも遺言能力の判断の指標になります。
例えば、複数の収益不動産や株式の遺産分割方法を指定するなど、複雑な遺言内容であれば高度な判断能力が必要です。難しい、遺言内容であるにもかかわらず本人の能力に不安があれば、遺言能力がないとされる可能性が高まります。
反対に、少額の預金を特定の相続人に残すだけ、全財産を配偶者に残すだけなどの簡単な内容であれば、遺言能力が認められやすいでしょう。
4.遺言書の効力に疑問がある場合には
「遺言書が無効なのではないか」と考えられる場合、まずは他の相続人や受遺者と話し合って遺言書に従うべきかどうか検討されることになります。全員が納得すれば、遺言書を無視して、遺産分割協議で遺産を分けることも可能となります。
話し合っても合意できないなら、家庭裁判所で遺言無効確認調停を申し立てられることになります。
それでも合意が難しければ、最終的に地方裁判所で遺言無効確認訴訟が提起されます。
5.最後に
遺言書を作成するのであれば、適切な方法で作成する必要があります。
遺言書の有効性を巡ってトラブルが発生すると、熾烈な争いに発展して紛争が長期化するケースも多々あります。
いずれの場合でも、弁護士によるサポートが必要になるので、困ったときには京都の益川総合法律事務所までご相談ください。

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遺留分侵害額請求を行い、2000万円以上の解決金を取得した事例【相続解決事例⑤】
・キーワード
遺言書、遺留分侵害額請求、不動産の評価、相続財産調査、示談交渉
・ご相談内容
ご依頼者は遺留分侵害額請求を行う側です。
お母様が亡くなった後、ご依頼者は唯一の兄妹(相手方)より、「母の財産は、一定金額を相手方がご依頼者に支払うことを負担として、全て相手方に取得させる」旨の遺言を見せられました。なお、遺言書には、ご依頼者が取得できる一定金額がいくらなのかも定められており、その金額自体もかなり大きな額でした。
ご依頼者は、この遺言書が、法律上自分に認められた遺留分という権利を侵害していないのかを明らかにしたいと考え、当事務所にご依頼されました。
・当事務所の対応及び結果
弁護士受任後、相手方に対して内容証明郵便を送付し、遺留分侵害額請求を行う旨の意向を伝えるとともに、お母様の遺産の開示を求めました。
これに対して、相手方から遺産の開示を受けることができましたが、遺産の一部が抜けているように見受けられたので、こちらでも別途遺産調査を行い、遺産を確定させました。
当初、相手方は、遺言書において定められた金額のみご依頼者に支払う旨の意向を示していました。
しかし、当方が、相手方主張の不動産の評価額等を争いながら、粘り強く交渉をしました。
最終的には、遺言書においてご依頼者が取得できるとされていた金額の他に、2000万円以上の解決金を取得する形で示談が成立しました。
相手方に対して内容証明を送付してから、約3ヶ月での解決でした。
・コメント
遺言書においても、ご依頼者はかなりの金額を取得できるとされている上、ご依頼者がお母様の遺産を把握できていたわけではないため、ご依頼時には見通しが立てづらい案件でした。
そのため、当事務所もご依頼者に対して、ご依頼を頂いても金額が増額するかは分からない旨率直にお伝えしていました。
それでも、ご依頼者は、自分の権利が侵害されているかを明らかにしたいと考え、当事務所にご依頼されました。
最終的には2000万円以上金額が増額し、ご依頼頂いて本当によかったと感じた案件です。
事件終了後に、ご依頼者から、「戦って本当によかったです。」と言って頂きました。
※特定できない程度に内容をぼかしています。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
遺言と家族信託の違いや選び方を弁護士が解説
遺言と家族信託は似ている部分もありますが、まったく異なる制度です。
それぞれの違いやできることを知り、効果的な相続対策、生前対策を行いましょう。
今回は遺言と家族信託の違いや選び方、活用方法を京都の弁護士がお伝えします。
将来の認知症対策、死後の相続対策を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
【家族信託と遺言の違い 一覧表】
| 家族信託 | 遺言 | |
| 生前の財産管理や認知症対策 | できる | できない |
| 2代以上先の財産承継方法指定 | できる | できない |
| 子どもの認知や相続人廃除、取消など | できない | できる |
| 行為の性質 | 契約 | 単独行為 |
| 撤回の可否 | 合意がないとできないが条件を満たせば解約は可能 | できる |
| 要式(手続きの方法) | 委託者と受託者が合意して契約する | 遺言書を作成する(厳格な要式を守らねばならない) |
■家族信託とは
家族信託とは、信頼できる家族へ財産を預けて管理・処分してもらう信託契約です。
預けた財産は委託者の希望するとおりに管理や処分をしてもらえます。
生前から効力を発生させられますし、死後にまでも効力を及ぼすことが可能です。
■遺言とは
遺言とは、遺言者が死後の財産承継方法や身分行為などについて指定するための書面です。
たとえば相続分や遺産分割方法、寄付や遺贈、子どもの認知などを定められます。
効力を発生させられるのは死亡と同時であり、生前には効力がありません。
1.家族信託にしかできないこと
家族信託と遺言にはさまざまな違いがあります。
まずは、家族信託にしかできない事項をみていきましょう。
1-1.生前の財産管理や認知症対策
生前の財産管理や認知症対策は、家族信託にしかできません。遺言は「死後」にしか効力を発生させられないためです。
たとえば認知症になったときの預貯金の管理、不動産の管理処分や株式、投資用物件の運用などを家族に任せたい場合、家族信託を検討しましょう。
1-2.障害のあるお子さんの生活保障
障害のあるお子さんがおられる方は、ご自身が亡くなった後のお子さんの生活が心配になるでしょう。遺言の場合、障害のあるお子さんに財産を残すとしても死亡時に一括で渡すことになってしまいます。お子さん自身に管理能力がなければうまく使っていくのが難しくなるでしょう。
家族信託であれば、障害のない親族に預貯金や不動産を委託して障害のあるお子さんのために管理処分してもらえます。本人に管理能力がなくても月々の生活費を出してもらったり家を管理してもらえたりするので安心です。
1-3.生前の事業承継への活用
生前の事業承継対策も家族信託にしかできません。
家族信託を利用すると、先代が後継者に会社株式や事業用資産を預けて様子を見ることができます。先代に指図権を残せるので議決権行使できますし、後継者として不適切な場合には解約も可能です。
遺言では死亡時に一括して株式や事業用資産を相続または遺贈してしまうので、後継者が不適切かどうか見届けることはできません。
生前に様子を見たい場合には家族信託が適しているでしょう。
1-4.二代以上先の財産承継方法指定
家族信託を利用すると、2代以上先の財産承継方法を指定できます。たとえばまずは配偶者に財産を遺し、配偶者の死亡後は長男に受け継がせ、さらにその後は次男の子ども(孫)へ家を継がせるなどの希望を実現可能です。
遺言の場合、本人の直後の相続や遺贈しか指定できません。相続人がどのように財産を受け継がせるかは相続人が決定するので、遺言者が決められないのです。
2代以上先の財産承継を指定したいなら家族信託を利用しましょう。
2.遺言にしかできないこと
遺言にしかできないこともあるので、ご紹介します。
2-1.子どもの認知や相続人廃除など
子どもの認知や相続人廃除、その取消などの身分的な行為は遺言でしかできません。
2-2.遺言執行者の指定
遺言執行者の指定は遺言にて行う必要があり、家族信託では指定できません。
2-3.遺留分侵害額請求の順序指定
遺留分侵害額請求の順序は遺言によって指定できます。家族信託では指定できないので、遺留分トラブルを防止したいなら遺言の方が有効でしょう。
2-4.祭祀承継者の指定や特別受益の持ち戻し免除なども遺言の方が適している
先祖を祀るための財産を承継する「祭祀承継者」は先代の祭祀主宰者が指定する必要があります(指定がなければ慣習や家庭裁判所の指定によって決まります)。
また被相続人が生前贈与や遺贈を行う場合には、被相続人の意思で特別受益の持ち戻し計算を免除できます。
祭祀承継者の指定や特別受益の持ち戻し免除は遺言でなくてもできますが、遺言書で明らかにしておくとわかりやすいでしょう。
少なくとも契約行為である家族信託には適さない行為といえます。
3.行為の性質や方式の違い
家族信託は委託者と受託者の契約行為なので、双方の合意が必要です。特に厳格な要式は要求されません。ただし契約内容を明らかにするため、公正証書化が推奨されますし、信託財産に不動産が含まれていたら信託登記すべきです。
一方、遺言は遺言者が行う単独行為です。受贈者や相続人の合意は要りません。
厳格な要式行為なので、要式を満たさないと無効になってしまいます。
家族信託と遺言では設定方法が大きく異なるので、それぞれにおいて適切に対処しましょう。
4.最後に
当事務所では相続が発生した後はもちろんのこと、生前の財産管理対策にも力を入れて取り組んでいます。京都、滋賀、大阪、兵庫で家族信託や遺言に関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
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家族信託を弁護士に依頼するメリット
家族信託を利用する場合、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。高度な法律知識を要求されるので対応できない方がほとんどだからです。
また自分たちだけで契約書を作成すると失敗してしまうリスクも高くなってしまいます。
今回は家族信託を弁護士へ依頼するメリットをお伝えしますので、家族信託に関心をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
1.家族信託についての説明やアドバイスを受けられる
家族信託については、なんとなく知っていても具体的によくわからない方が多いと思います。
弁護士に相談すると、家族信託でできることやできないこと、メリットとデメリット、利用方法などについて正確に説明してもらえます。
家族信託を利用する際のアドバイスを受けられるので、安心して取り組めるのがメリットとなるでしょう。
2.有効なスキームを設定してもらえる
家族信託を設定する際には、状況に応じたスキームを組み立てる必要があります。
具体的には誰を委託者、受託者、受益者とするのか、何を信託財産とするのか、いつ信託契約を終了させるのかなどを決めなければなりません。
専門知識がなければ、家族信託のスキームを組み立てるのは困難です。自己判断すると、意味のない信託契約書を作成するだけで家族信託に失敗してしまう可能性もあります。
弁護士に依頼すると、ご家族の状況に応じて最適な家族信託のスキームを提案してもらえます。
法的な専門知識がなくても有効な家族信託のスキームを組んで利用できるのは大きなメリットとなるでしょう。
3.手間がかからない
家族信託には手間がかかります。
- スキームを検討して決定する
- 家族会議を開いて関係者へ理解を求める
- 信託契約書を作成する
- 信託契約書を公正証書にする
- 信託登記をする
- 信託口座を開設する
- 受託者が財産管理や処分を開始する
上記のようなステップを踏まねばなりません。自分たちで取り組むと、慣れない契約書作成や公正証書化などに手間取ってしまう方が多数です。
弁護士に依頼するとスキームの決定、契約書の作成や公正証書化などについて全面的に支援してもらえます。登記については提携している司法書士に依頼できるので、依頼者に手間はかかりません。
労力をかけずに家族信託を利用できるのは多大なメリットとなるでしょう。
4.スムーズな対応
自分たちで家族信託に取り組むと、手順やルールがわからないために非常に長い時間がかかりますし、最終的に失敗するリスクも高まります。
弁護士に依頼すればスムーズに手続きを進めてくれるので、早期に家族信託の設定が完了するのもメリットとなるでしょう。
5.遺言や成年後見も合わせた総合的な対応が可能
認知症対策を行う際には、成年後見制度や任意後見契約なども視野にいれつつ家族信託を利用するのが得策です。それぞれの制度において、できることが異なるからです。
相続対策にも同様のことがいえ、遺言書と家族信託には別の機能があります。
弁護士は家族信託だけではなく成年後見制度や遺言にも精通しているので、これらを組み合わせて最適な対処方法を実行できます。
自分たちだけで対応するより有効な対処ができて、ご本人の希望を実現しやすいのはメリットとなるでしょう。
6.対応範囲が無制限
家族信託を依頼できる専門家としては、行政書士や司法書士も存在します。
ただ、行政書士や司法書士は、弁護士と異なり、相談に対応できる範囲が限定的になってしまいます。
弁護士であれば無制限に家族信託についてのアドバイスや対応ができるので、任せていて安心感があります。
7.紛争になっても安心
家族信託を設定すると、後日にトラブルになる可能性も0ではありません。
きちんと家族の理解を得なかったために受託者や受益者以外の親族が不公平感を抱くケースもあり、死後に相続トラブルや遺留分トラブルが生じてしまう事例もみられます。
弁護士は紛争解決の専門家なので、トラブルが起こったときにすぐに収束させるための対応をとることができます。
将来発生するかもしれないトラブルに備えるには、当初から弁護士へ依頼するのがおすすめです。
8.家族信託を依頼する弁護士の選び方
家族信託を弁護士に依頼するときには弁護士選びにも注意しましょう。
家族信託は弁護士の取扱業務の中でも比較的新しい分野であり、専門性も高いため、誰でもよいわけではありません。適切にスキームを組み立ててスムーズに信託契約を設定できる弁護士は限られています。
益川総合法律事務所は1983年に京都の地にて創業した老舗の法律事務所で、およそ40年間にわたり京都、滋賀、大阪、兵庫の皆様のため、邁進してまいりました。これまで数多くの相続案件を手掛けてきた経験があり、家族信託についても十分な知見を有していると自負しております。
ご相談者の方に応じて、スキームをご提案して迅速に対応いたしますので、家族信託に関心をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

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初めて弁護士に法律相談をするときのコツ
こんにちは。
弁護士の益川教親です。
このコラムを見て頂いている方の中には、初めて弁護士に相談をするけど、何を準備すればよいのか、上手く説明できるかなと悩んでおられる方もいらっしゃると思います。
今回は、そんな方に向けて、初めて法律相談をするときのコツをお話しさせて頂きます。
1.ご準備頂く資料
いきなり身も蓋もない話で恐縮ですが、弁護士に法律相談の予約をすれば、通常は電話かメールで当日持ってきて頂きたいものをお伝えすると思います。
なので、当日に準備して持っていくものは、その弁護士が教えてくれます。
私は相続案件の場合、①遺言書があれば遺言書、②遺産の内容が分かる資料(預金通帳や不動産の登記簿や権利証など)あたりは持ってきて頂くようお願いしています。また、③相手方や関係者から書面や手紙を受け取っていれば、それもお持ちいただくようお願いしています。
ただし、遺言書はあると聞いているけど、まだ手元にはない場合や、遺産の内容が全く分からない場合でも、弁護士にご依頼頂ければ調査しますので、必ず上記資料が初回の相談の際に必要というわけではありません。
2.当日お聞きする内容
次に、初めて法律相談をする際に、上手く説明できるかなと悩んでおられるとすれば、その心配は全くありません。
弁護士もプロですので、そのあたりは上手く聞き取りますし、もし法律相談が上手くいかなかったとしても、それは弁護士の責任なので、気にされる必要はありません。
私は、相続案件の初回相談の際には、①亡くなった方の遺言書の有無、②遺産の内容、③ご相談者と亡くなった方の関係や家族構成などは必ず確認しています。
①は、遺言書の有無で今後の流れが変わってきますし、②は遺産の内容によって遺産分割や遺留分の価格が変わってくるため、③は相続人が誰かに関わってくるためです。
この他にも、④ご依頼者や他の相続人が、亡くなった方から生前贈与を受けていないかの確認や、⑤ご相談者の方からのご質問、ご懸念などをお聞きしています。
念のためお伝えすると、弁護士から質問をされても、分からないことは分からないと言っていただいて全く構いません。
ただし、ご自身に有利なことだけではなく、不利な内容も全て包み隠さず弁護士にお伝え頂くことをお勧めします。
これは、ご自身に不利な内容も早めにお伝え頂いた方が、対策をうちやすく、今後の見通しも立てやすいためです。
ですが、もし、ご相談者の方からご自身に不利な内容を聞き出せなかったとしても、それは弁護士の責任なので、初めて、法律相談をされる方は、リラックスしてお話して頂ければと思います。
3.最後に
結局、このコラムを見て頂いている方に一番お伝えしたいのは、弁護士に連絡すれば、基本的には準備すべき資料なども教えてくれると思うので、まずは弁護士に相談予約をしてみてくださいとのことです。
弁護士への相談が遅れたために状況が悪くなることもありますし、初回の法律相談が上手くいかなかったとしてもそれは全部弁護士のせいなので、全く気にされる必要がないためです。
弁護士に面談予約をすることもあまり気がすすまないかもしれませんが、状況を好転する大きな1歩になると私は信じています。
このコラムを見て頂いた方の背中を少しでも押せていれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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