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中小企業の経営を引き継がせる際に注意すべき7つのポイント
中小企業の経営を後継者へ引き継がせる際には、注意深く進めないと失敗する可能性が高くなります。
- 後継者へ必要な会社株式を承継させられず他の親族へ分散してしまった
- 後継者以外の相続人が遺留分侵害額請求をした
- 高額な相続税がかかって後継者の負担となった
- 経営の資質のない後継者を選んでしまった
- 事業承継が間に合わず、後継者が育つ前に先代が倒れてしまった
上記のような事態が発生しないため、正しい対処方法を知っておきましょう。
今回は事業承継を円滑に進めるためのポイントを7つ、京都の弁護士がお伝えします。
1.後継者へ必要な資産を承継させる
事業承継を成功させるには、後継者へ経営に必要な資産を確実に引き継がせなければなりません。
具体的には「会社株式」と「事業用の資産」が重要です。
会社株式が他の相続人に分散してしまうと、経営に口出しをされて後継者による事業運営が難しくなってしまうケースも多々あります。
後継者へ資産を集中させるには、生前贈与と遺言が効果的です。
贈与税の控除や減額制度を用いて資産を承継させるとともに、後継者へ必要な遺産を相続させる遺言書を作成しておきましょう。
2.公正証書遺言を作成する
事業承継対策で遺言書を作成する際には、公正証書遺言を利用しましょう。
自己判断で自筆証書遺言を作成すると、無効になったり発見されなかったりするリスクが高くなるためです。
法務局に預ける制度を利用しても、遺言書の要式不備があるかどうかまで確認してもらえるわけではありません。無効になるリスクが高いままです。
確実に遺言書の効果を発生させて後継者へ遺産を受け継がせるため、公正証書遺言を作成しましょう。弁護士に遺言書作成手続きを委任するとより安心です。
3.遺留分対策をする
事業経営者の相続では、遺留分対策も必須です。
遺留分とは、子どもなどの法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合をいいます。
遺言や生前贈与で後継者以外の相続人の遺留分を侵害したら、権利者が後継者へ遺留分侵害額請求を行ってトラブルになる可能性があります。
遺留分対策としては、生前に推定相続人と合意することで請求を封じられるケースもありますし、遺言や生前贈与の際に遺留分を侵害しないよう配慮する方法も効果的です。
状況に応じた対策方法をとるため、弁護士までご相談ください。
4.相続税の節税対策
事業承継では、高額な相続税が発生するケースが多々あります。
特に中小企業の株式を評価すると、ご本人たちが考えている以上に高額になる事例が多いので注意しなければなりません。
先代の生前に現預金を不動産に替える、所有している不動産を賃貸に出す、孫養子をとる、後継者へ生前贈与するなどさまざまな節税方法があるので、状況に合った方法を利用しましょう。
5.納税資金の準備
後継者が相続税を払えるように、納税資金を準備する必要もあります。
特に株式や事業用財産など換金しにくい資産を引き継がせた場合、相続税は高額なのに現金がなくて相続税を払えない事態が生じるリスクが発生しやすく注意が必要です。
納税資金準備方法として役に立つのが生命保険です。相続発生時に後継者へ高額な保険金を受け取らせれば、納税資金に使えます。
生命保険は通常遺産の範囲に入らないので、後継者へ受け取らせても基本的に遺産分割や遺留分の問題を生じません。
相続税の課税対象にはなりますが、「500万円×法定相続人数分」の控除も適用されます。
6.民事信託を利用する
事業承継において、民事信託を活用する方法もあります。民事信託とは、信頼できる親族などへ財産を預けて管理してもらう信託契約です。
具体的には、後継者へ会社株式を信託し、委託者(先代経営者)のために管理してもらいましょう。民事信託では、先代に「指図権」を残せるので株式を信託しても議決権行使は先代が行えます。
また、後継者に経営の資質がない場合には、信託契約を解約して別の後継者を探すことも可能です。
事業承継に民事信託を導入するといわば「お試し」で事業承継できる点が大きなメリットとなるでしょう。
なお、民事信託を設定する際には複雑な契約書作成や信託用口座の開設、登記などが必要となるため、一般的に弁護士や司法書士などの専門家によるサポートが必要です。
関心がありましたらお気軽にご相談ください。
7.事業承継には早めに取り掛かる
事業承継に失敗するパターンとして、時間不足が挙げられます。
承継が完了するまでの間に先代が倒れてしまい、混乱が生じたり承継できなくなったりするのです。
一般的に、「経営経験のない子どもへ事業承継させるには10年程度かかる」ともいわれています。
スムーズに事業承継を行うため、「まだ元気だから自分でできる」と考えるのではなく早めに計画を立て、実現へ向けて進めましょう。
8.最後に
京都の益川総合法律事務所では、相続や事業承継対策に力を入れて取り組んでいます。これまで多くの業種、規模の中小企業経営者の方へ事業承継の助言やサポートを行ってきました。
京都、滋賀、大阪、兵庫で事業承継をご検討の経営者様がおられましたら、お気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
多額の生前贈与を受けている相続人がいる場合の対処方法
高額な生前贈与を受けた相続人がいる場合、単純に法定相続分に従って遺産分割するだけでは不公平になってしまいます。
公平に分けるには、贈与を受けた相続人の相続分を減らすため、「特別受益持戻計算」をしなければなりません。
生前贈与によって遺産が減って十分な財産を受け取れない場合には、「遺留分侵害額請求」もできる可能性があります。
今回は、多額の生前贈与を受けた相続人がいる場合の対処方法を、遺産分割と遺留分侵害額請求の2パターンに分けて、京都の弁護士がお伝えします。
1.特別受益の持戻計算をする
相続人へ多額の生前贈与が行われると、受贈者には「特別受益」が発生する可能性があります。
特別受益とは、相続人が遺言や贈与によって受ける特別な利益です。
贈与の場合、以下のものが特別受益となります。
- 婚姻や養子縁組のための贈与
- 生計の資本としての贈与
1-1.特別受益となる生前贈与の具体例
よくある生前贈与による特別受益の例をみてみましょう。
- 結婚するときに親から持参金をもらった
- 結婚するときにパートナーと住む家の資金を出してもらった
- 養子縁組するときに居住用の不動産を用意してもらった
- 事業を起こすときに資金を出してもらった
- 留学費用などの高額な学費を出してもらった
- 親から高級車を買い与えてもらった
但し、上記がすべて特別受益になるとは限りません。
例えば、学費を出してもらったケースでは、ご家族の経済状況や他の相続人との取り扱いの差なども考慮して特別受益となるかどうかが決定されます。
特別受益に該当するかどうか判断に迷ったら弁護士へ相談しましょう。
1-2.特別受益の持戻計算とは
特別受益を受けた相続人がいる場合、特別受益の持戻計算を適用して遺産分割を公平に行うことができます。
特別受益の持戻計算とは、受益者の受けた特別受益の分、受益者の相続分を減らすための計算方法です。
持戻計算をすれば、受益者の受け取り分が減って他の相続人の受け取り分が増え、最終的に公平に遺産分割ができます。
1-3.特別受益の持戻計算の具体例
遺産の価額は4,300万円、子ども3人(長男、次男、長女)が相続人となり、長男へ2,000万円の生前贈与が行われていた。
この場合、遺産である4,300万円に長男へ贈与された2,000万円を足します。
すると全体は6,300万円となります。これを法定相続分(3分の1)に応じて割り付け、それぞれの取得分は2,100万円ずつとなります。
但し、長男はすでに2,000万円受け取っているので、100万円しか受け取れません。次男と長女はそれぞれ2,100万円ずつ相続できます。
1-4.特別受益の持戻計算は免除されている可能性も
被相続人は、自分の意思で特別受益の持戻計算を免除できます。
遺言書に「特別受益の持戻計算はしない」と書かれていたら、他の相続人の希望があっても持戻計算を適用できません。
また、20年以上連れ添った配偶者へ居住用不動産が贈与された場合には、被相続人による持戻計算免除意思が推定されます。
1-5.特別受益の持戻計算を適用する方法
特別受益の持戻計算を適用するには、遺産分割協議の場で他の相続人が特別受益を主張する必要があります。
何も言わなければ、法定相続分に応じて遺産分割される可能性が高いと考えましょう。
受贈者が特別受益の存在を否定すると、話し合い(協議)では解決するのは難しくなります。
その場合、家庭裁判所で遺産分割調停や審判を申し立てなければなりません。
審判になると、裁判所が特別受益の有無や金額を判断し、適切な遺産分割の方法を決定します。
2.遺留分侵害額請求をする
生前贈与の額が大きくなると、特別受益の持戻計算を行っても相続人が十分な遺産を受け取れない可能性があります。例えば、全財産を生前贈与されてしまったら、他の相続人は一切遺産を受け取れません。
そのような場合、相続人が「遺留分侵害額請求」により遺産に相当するお金を請求できる可能性があります。
2-1.遺留分の割合
子どもや配偶者が相続人に含まれる場合、遺留分割合は遺産全体の2分の1です。
親や祖父母などの直系尊属のみが相続人になる場合、遺留分割合は遺産全体の3分の1になります。
遺留分権利者が複数いる場合、上記の割合をそれぞれの相続人の法定相続分に応じて分配します。
2-2.遺留分侵害額請求の効果
遺留分侵害額請求をすると、侵害された遺留分を「お金」として取り戻せます。
例えば、3人の子どもが相続人になる場合で遺産額が600万円、亡くなる1年前に長男へ3,000万円の生前贈与が行われていたとしましょう。
この場合、次男と長女にはそれぞれ6分の1の遺留分が認められます(遺留分割合2分の1×各人の法定相続分3分の1)。
そこで長男に対し、3600万円×6分の1=600万円の遺留分侵害額請求権が認められ、次男と長女はそれぞれ長男に対し、600万円の支払いを求めることが可能です。
但し、遺産額の600万円を次男と長女で分割した場合には、次男と長女がそれぞれ300万円ずつ取得していることになるため、長男に対しては、300万円の支払いを求めることができるにとどまります。
2-3.遺留分侵害額請求の方法と期限
遺留分侵害額請求を行使したい場合、それぞれの遺留分権利者が侵害者に対し、任意の方法で請求すれば足ります。
口頭やメールなどでもかまいませんが、内容証明郵便を使うとより大きなプレッシャーをかけられるでしょう。
但し、相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内に請求しなければなりません。時効を確実に止めるには内容証明郵便が最適です。
弁護士を交渉代理に立てるとスムーズに支払いを受けられるケースが多いので、もめてしまいそうなケースではぜひご検討ください。
3.最後に
京都の益川総合法律事務所では、相続人の方々へのサポートに力を入れています。不公平な生前贈与に納得できない方は、お気軽にご相談ください。

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当事務所が遺産相続案件に注力する理由
こんにちは。
弁護士の益川教親です。
時々、ご相談者やご依頼者の方から、「なぜ熱心に遺産相続案件に取り組んでいるのですか?」といったご質問を頂くことがあります。
そこで、今回は、当事務所(私)が遺産相続案件に注力する3つの理由についてお話しさせて頂きます。
①目上の方と話すのが好き
これは私の出生とも関わってくるのですが、私の実家はお寺なので、昔から近所のおじいさんやおばあさんに可愛がって育ててもらいました。
なので、今も目上の方とお話しするのが好きで、60歳以上のご相談者の方からも話やすいと言って頂くことが多いです。
おそらく話しやすいと言っていただけるのも、私の実家がお寺で、目上の方とお話しする機会が多かったのが影響しているのだと思います。
余談ですが、実家のお寺は兄が継いでおり、私はあまりお寺の運営に関わっていないのですが、一応僧籍はもっているので、お経を読むこともできます。
過去にご事情があって、お葬式やお通夜ができていなかったご依頼者の御家族のために、お経を読ませていただいたこともあります。
気持ちを込めてお経を読ませて頂くのですが、お経を読むのはあまり得意ではないので、積極的にはお勧めできません(笑)
②これまでの人生を聞くことができる
相続案件が他の案件の大きな違うのは、ご依頼者の方の人生を聞くことができるところだと思います。
相続案件は、ご依頼者と親御さんやご兄弟との関係、過去のいきさつなどの、その方の人生の話になることもあり、壮大なドラマを見ている気持ちになります。
そして、私が関われるのは、そのご依頼者の人生のほんの一瞬かもしれませんが、その壮大なドラマの大きな1シーンになれると思うと、私もやる気がみなぎってきます。
往々にして、遺産相続案件で弁護士にご依頼頂く場合、そのご依頼者の方にとっては、人生の一大事であることがほとんどです。
そこでの後悔は一生の後悔になる可能性が高いですし、逆にそこでの満足は今後の人生に大きな意味を持つと考えています。
そういった意味でも、遺産相続案件はとてもやりがいがあると私は考えています。
③ご依頼者の感情が理解できる
遺産相続案件は、相手方がご依頼者の御家族やご親族であるという点でも、他の案件とは一線を画するものです。
例えば、普段冷静な方でも、御家族に対しては感情をぶつける方もいらっしゃいます。
これは私自身もそうです。私も家族(父と姉)で法律事務所を運営していますが、腹が立つ時はそれなりにあります(笑)
家族だからこそ腹が立つ時もありますし、ご依頼者の中にもそう仰る方がいらっしゃいます。
私はその感情が理解できるので、その感情が理解できない弁護士よりは、ご依頼者の感情に寄り添うことができると考えています。
以上の、①目上の方と話すのが好き、②これまでの人生を聞くことができる、③ご依頼者の感情が理解できるという3つの理由が、当事務所(私)が遺産相続案件に注力する理由です。
他の弁護士の中には、遺産相続案件はストレスが大きいので絶対にやりたくないと言う人もいますが、私は遺産相続案件こそあまりストレスがかかりません。
だからこそ、遺産相続案件に注力できているのかなと思います。
遺産相続案件は、他の案件以上にご依頼者と弁護士との相性が重要になってくると考えています。
もし、遺産相続案件でお困りの方がいらっしゃれば、是非相性が合う弁護士を見つけて下さい!

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
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「長男に全財産を相続させる」遺言書が作成されていた場合の対処法
子どもが複数いる場合でも、親が「長男へすべての財産を相続させる」と遺言書を遺すケースが少なくありません。
他の兄弟姉妹からすると、当然「納得できない」と感じるでしょう。
不公平な遺言書が遺された場合、他の相続人には長男へ「遺留分侵害額請求」を行ってお金を取り戻せる可能性があります。
今回は、「長男に全財産を相続させる」などの不公平な遺言書に納得できない場合の対処方法を、京都の弁護士がお伝えします。
1.遺言書が無効になると主張する
遺言書が遺されたとしても、必ず有効とは限りません。遺言書が無効になるケースも多々あります。
無効であれば遺言書による相続分の指定はできないので、長男には全財産の遺産相続権が認められません。民法の定めるとおり、法定相続人が法定相続分に応じて遺産を相続することになります。
遺言書に納得できないなら、まずは遺言書が無効にならないか検討しましょう。
1-1.遺言書が無効になるケースとは
遺言書が無効になる「よくあるケース」としては、以下のような場合があげられます。
①自筆証書遺言で自筆でない部分がある
遺産目録をのぞいて一部でも自筆でない部分があると、遺言書は無効になります。
②自筆証書遺言で、署名押印や日付が抜けている
署名押印や日付のない遺言書、それらの部分が自筆でない遺言書は無効です。
③遺言書が書かれた時点において、認知症が進行しており遺言能力がなかった
自筆証書遺言でも公正証書遺言でも、遺言書作成時に遺言者の認知症が進行していて判断能力が失われていた場合には遺言書が無効となります。
遺言書の無効を主張するには、長男との交渉、調停、訴訟などの手続きをふまねばなりません。自分たちで対応するとトラブルが拡大してしまうケースが多いので、早めに弁護士へご相談ください。
2.遺留分侵害額請求を行う
遺言書が有効だとしても、「遺留分侵害額請求」を行って最低限の遺産取得分を取り戻せる可能性があります。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる、最低限度の遺産取得割合です。
配偶者や子どものみが法定相続人になる場合、遺留分の割合は2分の1となります。その割合を各法定相続人が法定相続分に応じて取得します。
遺留分侵害額請求権は「お金」で遺留分を取り戻す権利なので、行使する場合には長男へ金銭の請求を行いましょう。
たとえば5,000万円の遺産があって長女に4分の1の遺留分が認められる場合、長女は長男へ1,250万円の請求が可能です。
2-1.遺留分侵害額請求権の時効
遺留分侵害額請求権には時効があるので注意しましょう。
相続開始と遺留分侵害の両方を知ってから1年以内に請求しないと権利が失われてしまいます。
あとから「請求されていない」などといわれないようにするには、内容証明郵便を使って遺留分侵害額請求書を送付すると安心です。
2-2.遺留分侵害額請求の手順
遺留分侵害額請求を行う際には、以下の手順で進めましょう。
STEP1 請求する
まずは長男に遺留分侵害額を請求しなければ何も始まりません。
長男との関係が良好で、話し合って遺留分を払ってくれそうなら内容証明郵便を使わず、まずは口頭や普通郵便、メールなどで連絡するのも良いでしょう。
一方、長男の態度が強行で支払いを拒否するようなら内容証明郵便を用いましょう。時効が成立しそうな場合にも内容証明郵便を用いるべきです。
STEP2 交渉して合意する
遺留分侵害額の請求書を送ったら、長男側と話し合いを行います。
支払い額や支払い方法について合意ができたら、遺留分侵害額に関する合意書を作成しましょう。分割払いにする場合には、公正証書にしておくようおすすめします。
約束とおり支払いを受けられたら遺留分問題を解決できます。
STEP3 遺留分侵害額の調停を申し立てる
長男と話し合っても遺留分侵害額の支払いについて合意できない場合には、家庭裁判所で遺留分侵害額の調停を申し立てなければなりません。調停では、調停委員が間に入って調整を進めてくれます。
調停で長男を含めた全員が納得すれば、遺留分侵害額の支払いを受けられます。
長男が約束を守らない場合、長男の財産の差し押さえも可能です。
STEP4 遺留分侵害額請求訴訟を提起する
調停でも合意できない場合、訴訟を提起しなければなりません。
判決が出ると、裁判所が長男へ遺留分侵害額の支払い命令を下してくれます。長男が払わない場合でも、長男の資産を差し押さえて遺留分侵害額を回収できます。
3.遺言書があっても異なる方法で遺産分割できる
「長男へ全財産を相続させる」という遺言書があっても、相続人全員が納得すれば別の方法で遺産分割できます。
長男が譲ってくれるなら、他の兄弟も通常の遺産分割で遺産を受け取れるのです。
長男との関係性にもよりますが、場合によっては一度相続人全員でよく話し合ってみるとよいでしょう。
4.最後に
不公平な遺言書が遺されたときには、長男との関係性や遺言書の状態に応じていくつかの選択肢があります。
ベストな方法でスムーズに解決するために、お気軽に京都の益川総合法律事務所までご相談ください。

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相続不動産の評価方法や基準時について
不動産を相続したら「評価」をしなければなりません。
現金や預金と異なり不動産の価値は日々変動するので、「いつの時点の価値」を基準とすべきかが問題になります。
また相続税を計算する際にも時価とは異なる特殊な計算方法が適用されるので、正しい評価方法を理解する必要があります。
今回は相続不動産の評価方法について、京都の弁護士が解説します。土地や建物、マンションなどの不動産を相続された方はぜひ参考にしてみてください。
1.不動産を評価する「タイミング(時点)」について
不動産の価値は日々変動するので、遺産分割や特別受益となる生前贈与があった場合などには「いつの時点の評価額を基準にすべきか」決めなければなりません。
法律実務では、以下の時点における評価額を採用すべきと考えられています。
- 遺産分割の場合は遺産分割時
- 特別受益の場合には相続開始時
- 遺留分侵害額請求の場合には相続開始時
また税制上、相続時精算課税制度が適用される場合には「贈与時」の評価額が適用されます。
それぞれについて、解説します。
2.遺産分割の場合は遺産分割時
遺産分割が行われる場合には、遺産分割時の「時価」を基準に不動産を評価します。
遺産分割時とは、相続人たちが実際に話し合いを行って遺産分割協議や調停をするタイミングです。そのときの「不動産の時価」を調べて不動産の価額とします。
時価は不動産会社へ無料の査定を申し込めば提示してもらえます。
また、法律実務では、固定資産評価額を基に不動産の時価を判断することも多いです。
具体的には、一般的に土地の固定資産評価額は時価の7割程度とされているため、土地については固定資産評価額に7分の10を掛けた金額を時価とします。対して、建物の時価は固定資産評価額を基準に判断することが多い印象です。
相続人間で意見が割れる場合には不動産鑑定士に依頼して鑑定をしなければならない可能性もあります。
3.特別受益の評価は相続開始時
特別受益がある場合にも不動産の評価が問題となります。
たとえば不動産が生前贈与された場合、贈与時なのか相続開始時なのか特別受益の持戻計算を適用する遺産分割時なのか、3パターンの評価時が考えられるでしょう。
法律実務では「相続開始時の時価」が採用されています。
つまり「被相続人が死亡した時点」における不動産の時価が特別受益で贈与された不動産の評価額となります。
遺産分割の対象となる他の不動産は「遺産分割時の時価」で評価されるので、贈与された財産とは評価時が異なります。
4.遺留分侵害額請求の評価時点は相続開始時
遺留分侵害額請求をするときにも不動産を評価しなければなりません。
遺留分侵害額請求とは、配偶者、子どもや親などの相続人が遺留分を侵害されたときに最低限の遺産保障分である遺留分を取り戻すための手続きです。
遺留分侵害額請求における遺産の評価基準時は「相続開始時」となります。
遺留分侵害額請求を行うタイミングではないので、混乱しないよう注意しましょう。
5.相続時精算課税制度における不動産評価基準時
相続時精算課税制度を適用する際にも不動産の評価方法が問題となります。
相続時精算課税制度とは、親や祖父母などの直系尊属が子どもや孫などの直系卑属へ資産を生前贈与するときに最大2500万円分が非課税となる制度です。
贈与された資産は相続発生時に相続財産に組み入れられてまとめて相続税の課税対象になります。そこで、贈与された不動産がいつのタイミングで評価されるのか、贈与時か相続発生時なのか定めなければなりません。
相続時精算課税制度を適用する場合、生前贈与された資産は「贈与時」のタイミングで評価するので、正しく把握しておきましょう。
6.相続税における不動産評価方法
相続税を計算する際には、時価とは異なる特殊な評価方法を適用します。
6-1.土地の場合
土地の場合には基本的に「相続税路線価」を使って評価します。相続時路線価とは、道路に面した宅地の1平方メートルあたりの単価をいいます。
路線価がわかれば、路線価に土地の面積を掛け算すると不動産の評価額を求められます。
相続税路線価の設定のない場所では、土地の固定資産評価額に一定の倍率を掛け算して評価額を求める「評価倍率」という方法を用います。
相続税路線価や評価倍率を適用すると、不動産の価額は時価の約80%程度になります。
各地の路線価や評価倍率は、下記の国税庁のサイトで公表されています。
https://www.rosenka.nta.go.jp/
6-2.建物の場合
建物の場合には「固定資産税評価額」を用いて評価します。
調べたいときには役所へ行って固定資産評価証明書を申請しましょう。
6-3.マンションの場合
マンションの場合にも土地や建物と基本的な考え方は同じです。
マンションの建物部分(専有部分)については「固定資産評価額」で評価し、敷地権の部分については「相続税路線価」で計算し、双方を合算します。
以上のとおり、現預金と不動産を比較すると、不動産の方が評価額は下がります。
この性質を利用し、生前に現預金を使って不動産を購入すると、遺産の評価額を下げて節税する方が多数おられます。
7.最後に
京都の益川総合法律事務所では遺産相続された方へのサポートに注力しています。
不動産の評価方法に迷われた方、遺産分割や遺留分侵害額請求を行う必要のある方はお気軽にご相談ください。

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遺産である不動産の売却から遺産分割協議書の締結までを約4ヶ月で行った事例【相続解決事例⑥】
・キーワード
遺産分割協議、示談交渉、遺産分割協議書作成、不動産売却
・ご相談内容
ご依頼者は、相手方から遺産分割を求められた側です。
お母様が亡くなった後、ご依頼者の唯一の兄妹(相手方)が弁護士に依頼をして、遺産の調査中であること及び遺産分割協議を申し出てきました。
ご依頼者夫婦は、長年、お母様の自宅近隣に居住し、面倒を見てきたにもかかわらず、そのお礼が無く、弁護士を入れて権利主張する相手方の対応を悲しみ、当事務所にご依頼されました。
ご依頼者は、お身体の関係上、早期の解決を希望されていました。
・当事務所の対応及び結果
弁護士受任後、速やかに相手方代理人に遺産目録及びお母様の債務、ご依頼者の立替金を通知し、不動産についても売却の意思があること及びその目途をお知らせしました。
遺産分割協議書の締結に先んじて、受任から約二ヶ月で不動産を売却し、法定相続分で分配しました。
不動産以外の遺産について、相手方は被相続人の医療費等多額の負担をした事を主張しましたが、当該立替金について、こちらは一切認めませんでした。
その後、ご依頼者が負担していた葬儀費用のみを控除した遺産を法定相続分で分配する内容で遺産分割協議書の締結がなされました。
ご依頼者の希望に従い、受任からおよそ4ヶ月での早期解決となりました。
・コメント
当初より、早期解決を希望されていたこと、相手方との直接連絡を避けるための弁護士受任であったことから、ご依頼者の意向を第一優先に考え、通常であれば半年から1年かかる不動産の売却、交渉によっては調停にもなる可能性のあった遺産分割協議を早期に解決する事ができました。
当事務所においては、ご依頼者の希望を第一優先に交渉を進めますので、このような早期解決が図れたと考えております。
※特定できない程度に内容をぼかしています。

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甥や姪が相続人になる場合と遺産相続の注意点
相続が発生したとき、甥や姪が相続人になるケースがあります。
甥姪の父母である被相続得人の兄弟姉妹が、被相続人より先に死亡した場合です。
今回は、甥姪が相続人になる際の遺産相続における注意点を、京都の弁護士が解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.甥姪は第3順位の法定相続人
甥姪が相続人になるのはどういったケースなのでしょうか?
それは、甥姪の父や母である「被相続人の兄弟姉妹」が、被相続人より先に死亡しているケースです。
兄弟姉妹は第3順位の法定相続人になるので、被相続人に子どもや親がいない場合、兄弟姉妹が相続権を取得します。
ただ、親である兄弟姉妹が先に死亡しているケースもあるでしょう。その場合には、
「代襲相続人」として甥姪が遺産を相続するのです。
1-1.代襲相続とは
代襲相続とは、相続人が被相続人より先に死亡している場合において、相続人の子どもが相続することを言います。
例えば、子どもの子どもである「孫」や兄弟姉妹の子どもである「甥姪」が該当します。
被相続人より子どもが先に死亡していれば孫が代襲相続人になりますし、被相続人より兄弟姉妹が先に死亡していれば甥姪が代襲相続人になります。
代襲相続人は被代襲者の地位をそのまま引き継ぐので、親である兄弟姉妹が相続権を取得していれば、甥姪は兄弟姉妹と同じだけの法定相続分を引き継ぎます。
1-2.甥姪が複数いる場合
甥姪が複数いる場合には、兄弟姉妹の法定相続分を「甥姪の頭数」によって分配します。
例えば、被相続人の弟が3分の1の法定相続分を有しており、被相続人より先に死亡したとしましょう。弟には2人の子ども(被相続人の甥姪)があるとします。
この場合、2人の甥姪の法定相続分は、3分の1×2分の1=6分の1ずつとなります。
1-3.甥姪の子どもは代襲相続しない
甥姪も被相続人より先に死亡していた場合、甥姪の子どもは代襲相続できません。
兄弟姉妹などの本流ではない血族を「傍系血族」といいますが、傍系の場合には代襲相続は一代限りとされているからです。
甥姪が被相続人より先に死亡していた場合だけではなく、相続欠格者となった場合や相続人として廃除された場合にも甥姪の子どもは再代襲相続できません。
2.配偶者がいる場合の甥姪の法定相続分
相続人が甥姪だけであれば、それぞれの法定相続分は人数で等分になるだけです。
一方、配偶者があると法定相続分が異なってきます。
配偶者と甥姪が相続人になる場合、配偶者に4分の3、甥姪に4分の1の相続分が認められます。
法定相続分の求め方が分かりづらい場合、お気軽に弁護士までご相談ください。
3.甥姪には遺留分がない
甥姪が相続人になることが予想される場合、被相続人が遺言書を作成して「甥姪には相続させない」と書き残している事例もよくあります。この場合、甥名は遺産を相続できません。
また、甥姪には遺留分も認められないので注意が必要です。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。
子どもや孫などの相続人であれば「遺留分」が認められるので、不公平な遺言があっても最低限「遺留分」の取り戻しを請求できます。
一方、甥姪には遺留分が認められないので、遺言で「遺産を相続させない」と書かれてしまったら何も請求できません。
4.他の相続人との間で遺産分割がまとまらない場合の対処方法
甥姪が代襲相続すると、他の相続人との間で遺産分割協議がまとまらないケースがよくあります。
甥姪と他の相続人(配偶者や叔父叔母)はふだんからあまり交流がないケースも多く、他の相続人からすると「甥姪に遺産を分けたくない」と考える傾向があるためです。
遺産分割協議でもめてしまったときには、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てることになります。
調停では、調停委員が間に入って話し合いを調整してくれます。
5.甥姪は借金に気づかないケースも多い
被相続人が借金を残している場合、甥姪が気づかないケースも多いので注意が必要です。
先順位者である子どもや親が相続放棄してしまったために債権者が甥姪へ借金の支払いを求めてくる事例が少なくありません。
借金を引き継ぎたくない場合には、相続放棄や限定承認を行う必要があります。
ただし、これらの手続きには「自分のために相続があったことを知ってから3か月以内」という期限があります。
債権者から連絡が来て借金を相続したことを知ったら、早めに家庭裁判所で相続放棄や限定承認の申述をしましょう。
6.最後に
京都の益川総合法律事務所は、相続案件に積極的に取り組んでいます。
相続問題でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
寄与分とは
相続人の中に被相続人を介護するなどして「財産維持に特別な貢献をした」人がいる場合、「寄与分」が認められます。
寄与分のある相続人は、他の相続人よりも多くの遺産を受け取れる可能性があります。
ただし、介護をしたからといって必ず寄与分が認められるわけではありません。
今回は寄与分とはなにか、特別寄与料との違い、どういったケースで認められるのかなどを、京都の弁護士がわかりやすく解説します。
1.寄与分とは
寄与分とは、被相続人の財産の形成や維持に特別な貢献をした相続人に認められる、上乗せの相続分を意味します。
たとえば、被相続人を献身的に介護して介護費用の支出を抑えた相続人、被相続人の事業を無給で手伝って財産形成に貢献した相続人などに寄与分が認められます。
被相続人の財産形成や維持に貢献した相続人がいる場合、他の相続人と同様に法定相続分通りに遺産分割すると、かえって不公平となってしまうこともあります。
そこで、貢献のある相続人には「寄与分」を認め、他の相続人より多くの遺産を受け取れるようにしているのです。寄与分は、相続人間の実質的な平等を実現するための制度と言われています。
2.寄与分が認められる人や条件
寄与分が認められるのは「被相続人の財産維持や形成に特別の貢献をした相続人」です。
以下で寄与分が認められる人の条件をみていきましょう。
2-1.被相続人の財産維持や形成に貢献
まずは被相続人の財産維持や形成に対し、具体的に貢献しなければなりません。
精神的な励ましなどをしても寄与分は認められません。
2-2.特別の貢献をした
貢献は「特別」でなければなりません。親族として当然の義務の範囲であれば、介護や扶養をしても寄与分は認められないと考えましょう。
2-3.相続人
寄与分が認められるのは相続人のみです。相続人以外の親族が献身的に介護しても寄与分は認められません。
ただし2019年7月1日、法改正によって一定範囲の親族には「特別寄与料」が認められるようになりました。たとえば長男の嫁や孫などが被相続人を献身的に介護した場合、相続人に対して「特別寄与料」というお金を請求できる可能性があります。
特別寄与料は寄与分とは異なりますが、寄与に応じたリターンを得られるという意味では寄与分に共通した性質を持つといえるでしょう。
3.寄与分の類型
寄与分には以下の4つの類型があります。
3-1.介護や看護を行った
1つ目は、被相続人を介護したり看護したりした相続人の寄与分です。親族として当然なすべき限度を超えて献身的に介護、看護した場合には寄与分が認められます。
たとえば、仕事を辞めて10年以上被相続人を介護し続けた場合などには寄与分が認められる可能性が高いです。
3-2.事業を手伝った
被相続人の事業を無給や薄給で手伝ったケースでも、寄与分が認められます。
たとえば、被相続人が商店を経営している場合、農業や漁業を営んでいる場合などに子どもが無給で10年以上労働力を提供し続けた場合などです。
正当な報酬を受け取っていると特別な寄与とはいえないので寄与分は認められなくなります。
3-3.扶養した、生活費を支援した
生活の面倒を見た場合にも寄与分が認められます。
たとえば、被相続人と同居して扶養したり、毎月生活費を送金し続けたりした場合などです。
ただし、親族には扶養義務があるので、寄与分が認められるには義務の範囲を超えた扶養をしなければなりません。
3-4.財産を管理した
被相続人の財産を適切に管理して維持に貢献した場合にも寄与分が認められる可能性があります。
4.寄与分を主張する方法
相続人の中に寄与分を主張したい人がいる場合、遺産分割の際に「寄与分を認めるべき」と主張しなければなりません。
自分から言わないと他の相続人の方から寄与分を認めるケースは少ないので、寄与分を認めてもらいたければ、寄与分の主張が必要となります。
遺産分割協議の際、相続人全員が寄与分を考慮した遺産分割方法に合意できればその内容に従って遺産を受け取れます。
一方、寄与分を認めない相続人が1人でもいたら、遺産分割協議は成立しません。
その場合に寄与分を主張するのであれば、家庭裁判所で遺産分割や寄与分を求める調停、審判を申し立てる必要があります。
まずは、調停を先に申し立てて、不成立になったときに審判へ移行する例が多数です。審判になると、審判官が寄与分の有無や金額、遺産分割方法を決めるので、反対する相続人がいても寄与分を受け取れる可能性があります。
有利な内容の審判を出してもらうには、具体的にどういった寄与をしたのか、いくらくらいの評価額になるのかなど明らかにしなければなりません。ご自身では適切に対応しにくいでしょうから、弁護士までご相談ください。
5.最後に
京都の益川総合法律事務所は遺産相続案件への対応に力を入れています。
寄与分が認められるかどうか知りたい方、主張したいけれども他の相続人に反対されている方、他の相続人が寄与分を主張してきた方など、お気軽にご相談ください。

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会社経営者が遺言書を作成する際に注意すべきポイント
会社経営者は、一般の方以上に「遺言書」を作成する必要性の高い立場です。
遺言書がないと、死後に大きなトラブルが発生し、後継者による会社経営に困難が生じてしまう危険があります。
この記事では、会社経営者が遺言書を作成すべき理由、作成の際のポイントについて、京都の弁護士が解説します。
今後、事業承継をお考えの経営者さまは、ぜひ参考にしてみてください。
1.会社経営者に遺言書が必要な理由
会社経営者が遺言書を遺すべき理由は、以下のとおりです。
1-1.後継者へ株式や事業用資産を引き継がせるため
遺言書は、後継者へ確実に会社株式や経営に必要な事業用資産を承継させるために必要です。
遺言書を遺さなければ、相続人たちは自分たちで話し合って遺産を分割しなければなりません。その際には、基本的に「法定相続分」に応じて分割されてしまいます。
法定相続分は、後継者だからといって特に多めに認められるものではありません。
後継者が会社株式や事業用資産を取得したいと希望しても、他の相続人が納得しなければ取得できない可能性があり、後継者による会社経営が困難となってしまうでしょう。
遺言書があれば、会社経営に必要な株式や事業用資産を後継者へ集中させられます。スムーズな事業承継を実現するには、遺言書が必須といえるでしょう。
1-2.相続争いを防止するため
遺言書がないと、相続人たちの間で相続争いが発生するリスクが高まります。
後継者が多めの遺産取得を希望しても、他の相続人が納得しないケースが多いですし、遺産の分け方で意見が合わない可能性もあります。
最終的には、評価額の高い不動産などを売却して分けざるを得なくなり、資産が失われるケースも少なくありません。
相続争いが後継者にとって負担となり、経営の足かせになるのも問題です。
相続争いを防止するためにも、遺言書を作成しましょう。
2.会社経営者の遺言におけるポイント
会社経営者が遺言書を作成する際には、以下の点に注意しましょう。
2-1.財産内容を整理する
まずは、財産内容を整理して、わかりやすく一覧表にまとめましょう。
会社経営者の資産内容は複雑で、高額になるケースが多数です。目録がないと、相続人たちにはどのような遺産があるのか伝わりません。
遺言書を作成するなら、資産内容の洗い出しからはじめてみてください。
2-2.後継者へ必要な資産を承継させる
次に重要なのは、後継者へ必要な資産を承継させることです。会社株式と事業用資産を相続させないと、経営の引き継ぎが困難となります。
後継者へ必要な資産を承継させる遺言内容にしましょう。
2-3.事業承継計画との同時進行
遺言書を作成するのと同時進行で、事業承継計画を立てて実行するのが良いです。
未経験の子どもに経営を引き継がせる場合、おおむね10年かかるといわれています。
事業承継を検討しているなら、早めに取り組みを開始しましょう。
2-4.遺留分に配慮する
後継者以外の相続人の遺留分にも、配慮しなければなりません。
遺留分とは、子どもや配偶者などの相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。
後継者以外の子どもたちの遺留分を侵害すると、死後に後継者に対する「遺留分侵害額請求」が起こって、後継者に金銭的な負担が発生するリスクが発生します。
できれば、遺留分権利者には遺留分に相当する預金などの遺産を遺すと良いのですが、難しい場合には別の方法で遺留分対策をしましょう。
■遺留分に関する民法特例を適用
事業承継の事案では、遺留分に関する民法の特例を適用できる可能性があります。特例を利用すると、生前に推定相続人と合意して会社株式や事業用財産を遺留分の対象から外せます。
ただし、特定を適用するには一定要件を満たさねばなりません。経済産業大臣による確認を受けた後、家庭裁判所へ許可を求めなければならないなど、手続きも複雑です。
利用したいときには、弁護士へ相談してサポートを受ける方が確実でしょう。
2-5.遺言書が無効にならないように注意
せっかく遺言書を作成しても、無効になったり発見されなかったりしては意味がありません。
例えば、自己判断で自筆証書遺言を作成すると、要式不備で無効になるケースが多々あります。自宅で保管していると、発見されなかったり発見した相続人によって破棄されたり隠されたりするリスクも発生します。
また、認知症が進行してから遺言書を作成すると、やはり無効になってしまいますリスクが高まります。
遺言書を作成するなら、適切な方法で作成・保管して確実に効果を発揮できるようにしましょう。
3.遺言書を作成する方法
主に利用される遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言を自分1人で作成すると無効になりやすいので、必ず弁護士へ相談し、できあがったものは法務局に預けるようお勧めします。
より確実性が高いのは、公正証書遺言です。こちらについても、遺言内容について、弁護士のアドバイスを受けておくと、後々のトラブルを防いでスムーズに事業承継を進めやすくなります。
4.最後に
益川総合法律事務所は京都の老舗法律事務所として、事業承継や相続案件に力を入れております。
多くの企業経営者の承継を成功に導いてきた実績がございますので、事業承継をお考えの方はぜひとも1度、ご相談ください。

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遺言書の効力、無効になる場合をパターンごとに弁護士が解説
「遺言書にはどのような効力が認められるのでしょうか?」
といったご相談を受けるケースがよくあります。
遺言書を作成すると相続分の指定や相続人以外の人への遺贈など、さまざまな事項を指定できます。相続トラブルを防ぐ効力もあります。
ただし認知症の方が遺言書を作成すると無効になってしまうリスクがあるので、遺言書を作成されるのであれば、元気なうちに早めに作成される方がよいです。
今回は遺言書の効力、無効になるケースや有効な遺言書を作成する方法について、京都の弁護士が解説します。
1.遺言書で指定できること
遺言書にはさまざまな効力があります。
まずは遺言によって何を指定できるのか、代表的な事項をお伝えします。
- 相続分の指定
- 遺産分割方法の指定
- 一定期間における遺産分割の禁止
- 遺贈
- 寄付
- 子どもの認知
- 相続人の廃除や取消し
- 遺言執行者の指定
- 特別受益持戻し計算の免除
- 生命保険受取人の指定や変更
遺言書には相続トラブル予防の効力がある
遺言書には相続トラブルを予防する効力も期待できます。
例えば、遺産分割方法を指定しておけば、相続人が遺産分割協議を行う必要がありません。意見が合わなくて対立してしまうトラブルを防げるでしょう。
遺言執行者を指定しておけばスムーズに遺言内容を実現できるので、遺言書が無視されたり放置されたりするトラブルを防げます。
死後にトラブルを防いでご希望を実現したいなら、遺言書の作成を検討しましょう。
2.遺言書が要式違反で無効になるパターン
遺言書に効力が認められない1つ目のパターンは「要式違反」です。
自筆証書遺言の場合、自分で要式を守った遺言書を作成しなければなりません。
要式を守らない遺言書は無効です。
よくある間違いをみてみましょう。
2-1.自筆していない部分がある
自筆証書遺言は、遺産目録の部分以外すべて自筆しなければなりません。
一部でもパソコンを使ったり代筆をお願いしたりすると無効になります。
2-2.日付を入れない
日付を入れ忘れると無効です。「○月吉日」など、日付を特定しない場合も無効になるので必ず年月日まで記入しましょう。
2-3.署名押印を忘れる
署名押印を忘れると遺言書に効力が認められません。
2-4.加除訂正方法を間違える
遺言書を書き間違えたときの加除訂正方法については、法律によって細かいルールが定められています。
きちんと従わないと無効になってしまうので正しい知識をもって対応しましょう。
3.遺言能力がなくて遺言書が無効になるパターン
遺言書の要式を守っていても「遺言能力が失われた状態で作成した」場合、無効になります。
3-1.遺言能力とは
遺言能力とは、遺言書を作成する意味を理解し、死後に遺言書によってどういった効果が発生するのかわかる能力です。
有効に遺言書を作成するには、遺言能力が必要です。
基本的には15歳以上の人に遺言能力が認められますが(民法961条)、認知症が進行して事理弁識能力が低下すると「遺言能力がない」と判断される可能性があります。
遺言能力のない人が作成した遺言書は無効であり、重度な認知症の方が遺言書を作成しても、効力が認められない可能性が高くなります。
3-2.遺言能力があるかどうかの判断基準
遺言能力があるかどうかについては、以下のような要素によって判断されます。
■医学的な診断、医師の意見
まずは医学的な診断や検査結果が重要な考慮要素となります。
例えば、以下のようなものは判断の指標として重要視されるでしょう。
- 遺言書を作成した当時の診断書、カルテ
- 要介護認定の有無や程度
- 要介護認定時に提出された資料
- 介護施設での記録
- 介護日誌
- 長谷川式スケールの点数
■当時の本人の言動
遺言者本人が作成当時、どういった言動をとっていたかも考慮されます。
例えば、日常的に徘徊や妄想など、異常な行動や言動があれば遺言能力がなかったと判断される可能性が高まります。
判断能力が十分だった頃の行動や言動と、実際の遺言内容との間に大きな剥離がある場合にも、遺言能力が怪しまれる可能性があります。
■遺言書の内容や表現
遺言書の内容や表現そのものも遺言能力の判断の指標になります。
例えば、複数の収益不動産や株式の遺産分割方法を指定するなど、複雑な遺言内容であれば高度な判断能力が必要です。難しい、遺言内容であるにもかかわらず本人の能力に不安があれば、遺言能力がないとされる可能性が高まります。
反対に、少額の預金を特定の相続人に残すだけ、全財産を配偶者に残すだけなどの簡単な内容であれば、遺言能力が認められやすいでしょう。
4.遺言書の効力に疑問がある場合には
「遺言書が無効なのではないか」と考えられる場合、まずは他の相続人や受遺者と話し合って遺言書に従うべきかどうか検討されることになります。全員が納得すれば、遺言書を無視して、遺産分割協議で遺産を分けることも可能となります。
話し合っても合意できないなら、家庭裁判所で遺言無効確認調停を申し立てられることになります。
それでも合意が難しければ、最終的に地方裁判所で遺言無効確認訴訟が提起されます。
5.最後に
遺言書を作成するのであれば、適切な方法で作成する必要があります。
遺言書の有効性を巡ってトラブルが発生すると、熾烈な争いに発展して紛争が長期化するケースも多々あります。
いずれの場合でも、弁護士によるサポートが必要になるので、困ったときには京都の益川総合法律事務所までご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
