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賃借権や使用借権が存在する相続不動産(土地)の評価方法は?

2023-05-01

土地上に賃借権や使用借権が設定されている場合、不動産はどのように評価されるのでしょうか?

遺産相続すると、遺産の「評価」が重要な課題となります。評価額が確定しないと相続税も計算できませんし、遺産分割協議も進められません。

この記事では、賃借権や使用借権が設定されている不動産(土地)の評価方法をお伝えします。

1.土地の原則的な評価方法

遺産相続の場面において、土地はどのように評価するのでしょうか?まずは原則的な評価方法を押さえておきましょう。

1-1.相続税評価の場合

土地の評価方法は、相続税評価の場合と遺産分割の場合とで異なります。

相続税評価の場合には、通常「相続税路線価」を利用します。相続税路線価とは、宅地の1㎡あたりの単価です。

基本的に「相続税路線価×面積」で、その土地の評価額を算出します。

相続税路線価の設定のないエリアでは、評価倍率を使って計算します。

「固定資産税評価額×評価倍率」で、その土地の評価額を算出できます。

1-2.遺産分割の場合

遺産分割時には、時価を使って算定します。時価とは、実際に不動産が流通する場合の価格です。固定資産評価額から時価を割り出したり、取引事例を参照したり、不動産会社に査定を依頼したり、不動産鑑定士に鑑定を依頼したりして、時価を求めるのが一般的です。

不動産の原則的な評価方法には、「相続不動産の評価方法や基準時について」というこちらの記事で詳細に解説しておりますので、参考にされてださい。

2.賃借権が設定されている土地は評価額が下がる

土地上に賃借権が設定されている場合、その土地は自用地よりも評価額が下がります。

自用地とは、賃借権などが設定されておらず自分で使用している土地のことです。

土地を他人に賃貸している場合、自分では自由に使うことができません。その分評価が下がることになります。

このとき、多くの場合、「借地権割合」という割合を使って土地評価額を算定します。

賃借権が設定されている場合の土地の評価額は以下のようになります。

  • 貸地の評価額=自用地の価格×(1-借地権割合)

借地権割合はエリアによって異なります(30%~90%)が、一般的な住宅地では60~70%となるケースが多数です。

例えば、自用地としての価値が1000万円の土地で借地権割合が60%のエリアの場合、貸地の評価額は以下の通りとなります。

1000万円×(1-60%)=400万円

このように、土地に賃借権が設定されている場合、一般的に土地の評価額は下がることになります。そのため、土地を賃貸すると、相続税の節税効果が生まれることになります。

■土地上に貸家が建っている場合

土地上に被相続人の建物が建っており、当該建物を貸している場合の土地評価額についてもみてみましょう。

土地上に建物が建っている場合、借地権割合だけではなく「借家権割合」も考慮しなければなりません。

具体的な計算式は以下のとおりとなります。

  • 貸家つき土地の評価額=自用地価格×(1-借地権割合×借家権割合)

借家権割合は全国一律30%です。

例えば、1000万円の土地で借地権割合が60%のエリアの場合、貸家つき土地の評価額は以下の通りとなります。

1000万円×(1-60%×30%)=820万円

土地上に建物を建てて賃貸している場合の土地評価額は、おおむね自用地の8割程度の評価額となるのが一般的です。

3.小規模宅地の特例

土地を貸付事業に提供している場合には、小規模宅地の特例を適用して評価を50%減にできる可能性があります。小規模宅地の特例とは、亡くなった人が貸していた土地などの小規模宅地について、一定の要件を満たした場合に、その評価額を減額できる税務上の制度をいいます。

貸付事業用宅地が小規模宅地の特例を受ける場合、200㎡までの部分について評価額を50%減額してもらえます。

小規模宅地の特例を適用するには、以下の要件を満たさねばなりません。

  • 相続開始直前まで被相続人や同一生計の親族が土地を貸付事業に提供していた
  • 相続税申告期限まで継続して貸付事業を行っている
  • 相続税申告期限まで土地を保有している
  • 相続開始前3年以内に貸付事業を開始した宅地等ではない(3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている)

土地を賃貸すると借地権割合や借家権割合の分、減額されるだけではなく小規模宅地の特例による減額まで受けられるので、税務上、土地の評価額を大きく下げることが可能となります。

4.使用借権が設定されている土地の場合

次に「使用借権」が設定されている土地の評価方法をみてみましょう。

使用借権とは、無償で対象物を使用できる権利です。当事者間で使用貸借契約を締結することで使用借権を設定できます。

使用借権は貸主が死亡すると相続人へ貸主の地位が引き継がれます(なお借主が死亡すると使用借権は原則として消滅しますが、建物利用のための使用借権は相続人に引き継がれる可能性があります)。

4-1.相続税評価の場合

税務上は、使用借権が設定されていても、土地の評価方法に影響は及びません。

使用借権は、原則として、貸主の都合でいつでも設定を解除できるからです。賃借権のような価値がないので、土地評価額からは減額されません。

使用借権が設定されている場合、その土地は「自用地」として評価します。

例えば、1000万円の土地に使用借権が設定されている場合、その土地の評価額は1000万円のままです。

もちろん、貸付事業用宅地としての小規模宅地の特例も利用できません(他の小規模宅地の特例を適用できる可能性はあります)。

使用借権を設定するだけでは相続税対策にはつながりにくいといえるでしょう。

4-2.遺産分割の場合

遺産分割の場合、木造や軽量鉄骨などの非堅固な建物については、原則として、土地の評価を10%下げ、その他の事情によっては20%まで土地の評価を下げている印象です。

対して、コンクリート造りなどの堅固な建物については、原則として土地の評価を20%下げ、その他の事情によっては30%まで土地の評価を下げている印象です。

但し、遺産分割の場において、このような評価減の主張がされないことも多く、一律に何か決まった指標が用いられるのではなく、事案に応じて個別的に判断されることが多いです。

5.最後に

京都の益川総合法律事務所では遺産相続案件に積極的に取り組んでいます。
土地の評価を始め、相続問題でご不明点がありましたら、お気軽にご相談ください。

法律相談をしたら必ず弁護士に依頼しなければならないの?

2023-04-19

こんにちは。

京都の弁護士の益川教親です。

今回は、「法律相談をしたら必ず弁護士に依頼しなければならないのか」というテーマで、お話しさせて頂きます。

これから弁護士と初回法律相談をする方で、気になっている方もいらっしゃると思いますので、参考になれば幸いです。

1.結論

結論から申し上げると、法律相談をされても、必ず弁護士にご依頼頂く必要はありません

これは当事務所のみならず、他の弁護士事務所も同様かと思います。

以下では、理由を述べさせて頂きます。

2.必ず弁護士にご依頼頂く必要がない理由

(1)しっかり相性を確認して頂きたい

まず、「当事務所が初回法律相談を無料で行う理由」というコラムでもお伝えしましたが、初回法律相談では、その弁護士との相性をしっかりご確認頂く必要があります

なぜなら、弁護士にご依頼頂く案件の性質からして、それなりの期間、その弁護士と付き合っていく必要があるためです。

自身が依頼した弁護士との相性が良くなく、話しているだけでも苦痛なんてことにならないためにも、初回の法律相談では、弁護士との相性をしっかりご確認頂く必要があります。

他の弁護士にご依頼されていて、当事務所が交代して弁護をさせて頂くことになった際に、このようなことを仰っていたご依頼者の方もおられましたので、弁護士との相性はしっかりご確認頂ければと思います。

(2)費用対効果が合わない可能性がある

弁護士にご依頼頂いた場合には、弁護士費用というものが発生します。

そして、例えば、30万円を取得するために、弁護士費用が50万円かかるなんて状況であれば、弁護士に依頼などしない方がよいでしょう。

また、例えば、遺産相続案件で、相手方から1000万円が提示されているけれども、弁護士に依頼した場合900万円になる可能性があるということであれば、弁護士に依頼などしない方がよいでしょう。遺産相続案件において、このようなケースは滅多にないですが、稀にご相談者の方が、お亡くなりになった方から多額の生前贈与をうけていて、相手方もそれを認識しているにもかかわらず、そのことを考慮せずに提案をしてきている場合には、このような状況になります。

そのような場合には、当事務所の方から、弁護士に依頼頂くのをお止めすることがあります。

このように、そもそも弁護士に依頼しても費用倒れになるのであれば、弁護士にご依頼頂く意味が全くありません

(3)他の専門家の専門分野である

我々弁護士は、法律のご依頼をお受けすることができますが、税務や登記業務などの他の専門家の専門分野のご依頼を受けることはできません。税務は税理士ですし、登記は司法書士であり、弁護士の専門分野ではありません。

なので、初回相談で、このような内容を依頼したいとの要望を頂いても、弁護士ではお受けすることができません。

当事務所では、電話で簡単にご相談内容を伺うことは多いので、このようなことはありませんが、事前にご相談内容を一切伺わない事務所では、このような事態も生じるかと思います。

3.最後に

今回は、法律相談をしたら必ず依頼しなければならないのか、をお伝えいたしました。

事務所によっては、初回相談をしたら、何度も連絡が来ることもあるようですが、当事務所ではそのようなことはしませんので、安心してご相談下さい。

このコラムをお読み頂いた方のお悩みが解決することを願っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

初回の法律相談をお受けするにあたって気をつけていること

2023-04-11

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

以前は、ご相談者の方が、「初めて法律相談をするときのコツ」というテーマで、コラムを書かせて頂きました。

今回は、このような初回相談をお受けするにあたって私自身が気を付けていることや心構えなどについて、お話しさせて頂きます。

ざっと読める内容になっていますので、ご一読頂ければ幸いです。

1.じっくりお話しを聞く

初回の法律相談で特に意識していることは、お話しをじっくり聞くということです。

事前にお電話などで、ご相談の大まかな内容を伺っていることもありますが、多くの場合、初回相談をお受けするまで、ご相談内容の詳細までは把握できておりません。

なので、初回の法律相談というのは、私が、ご相談内容の詳細を把握する最初の機会となります。ここで、しっかりお話しを伺わないと、見通しがずれてしまいますし、今後の道筋が誤ってしまうことにもなりかねません。

当事務所が初回無料法律相談を時間無制限で行っておりますが、その理由はこの点が大きく関係します。

特に、遺産相続案件の場合は、ご相談者の方やその御家族のこれまでの人生が関係してくることも多いですし、それ故しっかりお話しを聞く必要があります。

今後の私の活動は、初回法律相談にて、ご相談者の方が、何を望んでおり、どの点を重要視されているかを把握することから始まります。

2.見通しは率直にお伝えする

次に、心がけていることは、見通しは率直にお伝えすることです。

もし、負ける可能性が高いとしてもそのことを率直にお伝えいたします

なぜ、このことを心がけているかというと、このような見通しを把握した上で、ご依頼頂きたいからです。

弁護士の中には、負ける可能性が高いにもかかわらず、ご相談者に、「勝てると思う」と言って依頼を受ける方もいるとされています。その場合、負けた時には、裁判官や相手方のせいにするようです。

もちろん、勝てる可能性が高いと言った方が、ご相談者の方には優秀な弁護士に見えて、ご依頼頂く可能性が高いのかもしれません。

しかし、私は、嘘をつくのは嫌いですし、勝つのが難しい案件こそ、対策を練って、ご依頼者の方に可能な限り有利な解決を図ることが重要であると考えています。しかし、見通しを率直にお伝えしなければ、このような対策を打つことすらできません。

そのような意味でも、私は見通しを率直にお伝えすることが重要であると考えています。

また、初回の法律相談では、見通しのみならず、ご依頼頂いた場合の今後の流れについても可能な限り詳細にお伝えさせて頂いております。ご相談者の方も、先が見えないとご不安になられると考えているためです。

3.弁護士費用を明確にお伝えする

3つ目に心がけていることは、弁護士費用を明確にお伝えすることです。

弁護士費用については、ご相談者の方も、特に気にされている部分だと思います。

なので、基本的には、その場で、ご依頼頂いた場合の弁護士費用を明確にお伝えするようにしています。

遺産相続案件の場合には、弁護士費用は、スタート段階で頂く着手金と、案件終了時に成功の程度に応じて頂く報酬金になります。

この弁護士費用について、消費税の金額も示した上で、お伝えしております。中々消費税の金額までお伝えする弁護士は少ないようで、ご相談者の方から、こちらが聞く前に弁護士費用の消費税を伝えてもらったのは初めてですと言って頂いたこともあります。

また、後から弁護士費用で予想以上に高いとご相談者の方が感じないように、報酬金については、その時点で分かる範囲で、一番高くなった時の金額をお伝えすることが多いです。

このコラム執筆時点までで、私の記憶する限り、ご依頼者の方から報酬が予想以上に高いと言われたり、報酬で揉めたことはありませんが、これは、初回の法律相談の際に、弁護士費用を明確にお伝えしているからだと考えています。

他の弁護士に弁護士費用で揉めたことがないと言うと、かなり珍しいと言われることが多いです。

もちろんですが、初回のご相談時には、実費(案件解決に実際にかかる、郵便費用や調停等の際の印紙代などの費用)についても明確にお伝えいたします。

4.最後に

今回は、初回の法律相談をお受けするにあたって気をつけていることをお伝えいたしました。

初回の法律相談の際には、私から色々お話しを伺うと思いますが、それがご依頼者の方の満足する解決に繋がると信じています。

これまで、遺産相続案件について、多くのご相談をお受けしてきましたが、ご相談者の方の中でも、何に重きを置くかは人によって異なります。

初回法律相談では、可能な限り、そのご相談者の方の価値観までも把握したいと考えておりますので、多少時間がかかることはご容赦頂ければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

家族信託を途中で解除する(やめること)ができるのか?

2023-04-04

いったんは家族信託を利用しても、さまざまな事情で解除したいと考えるケースが少なくありません。家族信託の契約は途中解除できるのでしょうか?

当事者同士で合意解除すれば簡単に途中終了できますが、それ以外の場合には解除できない場合もあります。

この記事では家族信託の契約を途中で解除できるのはどういったケースなのか、解除のトラブルを防ぐにはどうすれば良いのかを弁護士が解説します。家族信託を利用してみたい方は、是非参考にしてみてください。

1.家族信託を解除できるケースとは

家族信託の契約は、途中でも終了させることが可能です。

家族信託を途中で解除できるのは以下の2つのケースです。

  • 委託者と受託者の間で解約の合意をした場合
  • 信託行為で定めた終了事由が発生した場合

以下でそれぞれのケースについて、詳しく確認しましょう。

1-1.委託者と受託者の間で解約の合意をした場合

家族信託の契約は、委託者と受託者との間の信託契約です。

委託者と受託者の双方が合意すれば、合意によって解約が可能です

家族信託の契約を終わらせたければ、契約の相手方へ解約の打診をしてみると良いでしょう。

ただし、解約するには双方の合意が必要なので、相手方が拒否した場合には合意による解約はできません。また、委託者が高齢者で認知症が進んでしまった場合にも有効な意思表示ができないために解約できない可能性があります。

1-2.信託契約で定めた終了事由が発生した場合

委託者と受託者の双方が合意できず家族信託契約を解約できない場合でも、信託契約であらかじめ定めておいた契約の終了事由に該当すれば契約を解約できます。

たとえば、「受託者が死亡したとき」「○年○月○日」などの具体的な終了事由を定めておくと良いでしょう。

1-3.信託契約を終了させるべき主な事情

家族信託の契約を終了させるべき主な事情として、以下のようなものがあります

  • 信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき
  • 受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき
  • 受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき
  • 受託者が費用等の償還又は費用の前払を受けることができず、信託を終了させたとき
  • 信託の併合がされたとき
  • 信託の終了を命ずる裁判があったとき
  • 信託財産についての破産手続開始の決定があったとき
  • 委託者が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた場合において、信託契約の解除がされたとき
  • 信託行為において定めた終了事由が生じたとき

1-4.裁判が必要になるケースもある

家族信託の終了事由を契約で定めていなかった場合、契約を途中終了させるには訴訟を起こす必要があります。家族信託契約を終了させる合理的な事情があれば、裁判所が家族信託契約の終了を命じます。

2.家族信託終了後の財産帰属について

家族信託の契約では、委託者や受託者の死亡を終了事由と定めるケースも少なくありません。契約が終了すると、信託財産は誰のものになるのでしょうか?

2-1.残余財産の帰属先

家族信託が終了したときに残っている財産を「残余財産」といいます。

家族信託が終了した場合の残余財産の帰属方法については、信託契約で定めることが可能です。よって信託契約書に「残余財産の帰属先指定」が行われていれば、その内容に従って財産の帰属先が決まります

一方、信託契約書で残余財産帰属先の指定がない場合や、帰属先に指定された人が権利を放棄した場合委託者に権利が戻ります。委託者が死亡していればその相続人が帰属権利者となります

委託者も委託者の相続人もいない場合、残余財産は「清算受託者」のものとなります。

2-2.受益者が財産をもらえるわけではない

家族信託で利益を受ける権利者は受益者です。ただ家族信託の契約が終了したとき、受益者が財産を受け取れるわけではありません。受益者が相続人でもない場合には一切の権利を受け取れない可能性もあります。

受益者に財産を帰属させたい場合には、契約書にその旨記載しておくべきといえるでしょう。

2-3.残余財産の帰属先は契約で決められる

家族信託の残余財産については、帰属先を予め契約で定められます

委託者や受託者の死亡などによって家族信託が意図せず終了してしまった場合に備え、契約において帰属先の指定を行っておきましょう。

3.家族信託の設定や解除は弁護士へ相談を

家族信託契約を設定する際にはトラブルを防ぐため、契約の終了事由まで見据えて内容を決定しておくべきです。

また、どのようなスキームで家族信託契約を設定するかも非常に重要です。法律の専門知識がないと、適切な対応は困難となるでしょう。家族信託を利用したいときには、弁護士へ相談するようおすすめします。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続関係の案件に力を入れて取り組んでいます。家族信託を利用してみたい方や方法がわからない方などは、お気軽にご相談ください。

遺言書に遺産の一部のみが記載されている場合の対処方法

2023-03-28

遺言書が遺されたとき、すべての財産の分け方について指示されているとは限りません。

一部の財産の分割方法や遺贈のみが記載されていたら、相続人としてはどのように対応すれば良いのでしょうか?

今回は、遺言書に一部の財産の分け方のみが書いてあった場合の対処方法を弁護士がお伝えします。遺言書を発見したけれども、どのように対応すればよいかわからない方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.一部の財産の分け方を指定する遺言書も有効

そもそも、一部の財産の分け方しか書いていない遺言書は有効なのでしょうか?

例えば、遺産全体としては自宅不動産とA銀行の預金、B銀行の預金、C会社の株式があったとします。その中で「自宅不動産とA銀行の預金を長男に遺贈する」と書かれており、その他の遺産については特に言及されていなかったとしましょう。

法的には、このような遺言書も有効です。遺言書の内容は、遺言者が自由に決められるものであり、必ずしもすべての遺産についての分け方を指定する必要はありません。

一部の遺産の分け方のみが書いてある内容でも有効なので、相続人は基本的にその内容に従って遺産分割や遺贈の対応を進める必要があります。

2.残りの財産は遺産分割協議で分ける必要がある

一部の財産のみの分け方が指定されている遺言書がある場合、分け方を指定されていない財産についてはどのように分ければ良いのでしょうか?

残りの財産については「遺言書がないのと同じ」になります。

つまり、相続人が自分たちで遺産分割協議を行って分け方を決めなければなりません。前提として、相続人調査や他の遺産内容の調査も必要となります。遺産分割協議が整ったら遺産分割協議書を作成し、名義変更などの対応をする必要もあります。

2-1.遺言書で指定されていない財産の分け方の流れ

遺言書で指定されていない財産の分け方の流れをまとめると、以下のとおりです。

  • 相続人調査、相続財産調査
  • 遺産分割協議
  • 遺産分割協議書を作成する
  • 名義変更や預貯金払い戻しなどの相続手続き

相続人としては、上記と遺贈を並行して行わねばなりません。

2-2.相続税が発生する可能性もある

遺贈された財産額と、分け方を指定されていなかった財産額の合計が「相続税の基礎控除」を超えると、受遺者や相続人は相続税を払わねばなりません。

3.相続人への遺贈は特別受益になる

遺言書によって相続人へ財産が遺贈されると、原則的に「特別受益」になります。

特別受益とは特定の相続人が遺贈や贈与によって受ける利益です。

特別受益が成立すると、遺産分割協議の際に、当該利益を受けた相続人の取得分を減らす計算方法を適用できます。受益を受けた相続人がいる場合、単純に法定相続分によって遺産を分けるとかえって不公平となってしまう可能性があるからです。

実質的な公平を図るために、受遺者の取得分を減らすための計算方法を「特別受益の持戻計算」といいます。

特別受益持戻計算の具体例

例えば、遺産全体の評価額が3000万円、相続人は子ども3人、遺産のうち自宅不動産(1000万円分)が長男へ遺贈(遺言書によって贈与)されたとしましょう。この場合、残りの2000万円分については相続人らが自分たちで話し合って遺産分割しなければなりません。

長男はすでに1000万円の不動産を遺贈されているので、特別受益の持戻計算を適用できます。

具体的には、長男の遺産取得分が0円となり、次男と三男が1000万円ずつの遺産を取得する結果となります。

結果として、長男は遺贈された1000万円分の不動産を受け取り、次男と三男はそれぞれ1000万円ずつの別の遺産を受け取るので公平に遺産分割ができます。

4.持戻免除の意思表示があるかどうかで対応が変わる

特別受益の持戻計算は、すべてのケースで適用されるとは限りません。

そもそも、相続人のうち誰も「持戻計算を行うべき」と主張しなければ適用されないのです。例えば、上記の事例でも、次男や三男が主張しなければ残りの2000万円についても法定相続分に応じて分配することとなるでしょう。

また、遺言者自身の希望により、特別受益の持戻計算を免除できます。

例えば、上記の事例でも、死亡した被相続人自身が遺言書に、「特別受益の持戻計算は免除する」と記載していれば特別受益の持戻計算は適用されません。

具体的にいうと長男は遺贈を受けた上、さらに2000万円の3分の1である666万円を相続できます。

この場合、次男と三男は666万円ずつの遺産しか受け取れず長男は1666万円分の遺産を受け取れるので不公平とも思えますが、遺言者の希望があるのでやむを得ません。

なお、特別受益の持戻免除の意思表示は遺言書以外の方法でもできます。例えば、エンディングノートなどに特別受益の持戻免除の意思表示が行われた場合であっても、それが本当に本人の書いたものであれば有効です。

5.遺言書についてのご相談はお気軽に

相続人が遺言書を発見したときには、内容に応じて適切な対応をとる必要があります。間違った対応をすると後にトラブルになったりして、不利益を受けてしまいます。迷ったときには、お気軽に京都の益川総合法律事務所までご相談ください。

消費者志向自主宣言

2023-03-22

益川総合法律事務所では、消費者庁などが目指している、「消費者志向経営」に誠実に取り組むことを自主宣言いたします。

1.経営理念

1.ご依頼者のより良い明日を創造する

2.ご依頼者の真の満足を追求する

3.ご依頼者のためにより良い方法を考え抜く

2.取組方針

①「みんなの声を聴き、かついかすこと」

ご相談者・ご依頼者の方の心情に配慮し、悩みを共有したうえで、最適な選択をするお手伝いをします。

②「未来・次世代のために取り組むこと」

ご相談者・ご依頼者の未来・次世代をも考え、法的な視点からの検討と最適な選択をするお手伝いをします。

③「法令の遵守/コーポレートガバナンスの強化をすること」

弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命としています(弁護士法1条1項)。 弁護士は、この使命に基づいて誠実に職務を行うものです。

益川総合法律事務所では、法令の遵守やコーポレートガバナンスの強化に積極的に取り組んでいます。

遺言執行者に関する相続法改正の内容

2023-03-20

2019年7月1日より、民法が改正されて遺言執行者に関する規定にも変更が加えられました。

これまで不明確だった遺言執行者の立場がより明確になり、業務を進めやすくなっています。

これから遺言書を作成するなら、遺言執行者をつけておくメリットが大きくなったといえるでしょう。

この記事では遺言執行者に関する相続法改正内容をお伝えします。

遺言書作成をご検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言内容を実現する職務を行う人です。

たとえば以下のようなことを行います。

  • 具体的な相続手続き(預金払戻しや相続人への分配、登記名義の変更など)
  • 遺贈
  • 寄付
  • 子どもの認知
  • 相続人の廃除や取消し
  • 保険金受取人の変更 

遺言執行者を指定しておくと、遺言内容が実現されやすくなります。また相続人が相続手続きをしなくて良いので、負担を軽減させる効果も期待できます。

遺言によって遺言執行者を指定できるので、信頼できる人を遺言執行者にしておくと良いでしょう。今すぐに遺言執行者を決められない場合、遺言執行者を指定すべき人を決めておくことも可能です。

2.改正法における遺言執行者に関する変更点

2019年7月の民法改正により、遺言執行者の立場が明確化されて業務の範囲も広がりました。以下では改正民法で遺言執行者にどういった変更があったのか、みていきましょう。

3.遺言執行者の立場や権限の明確化

改正前の民法では、遺言執行者は相続人の「代理人」とみなされていました。

しかし遺言執行者は、必ずしも相続人の利益のために動くとは限りません。

すると相続人から「代理人なのになぜ意思に反することをするのか」と責められ、トラブルになるケースがみられました。

そこで、改正法では、「相続人の代理人とみなす」のではなく、「遺言執行者としての独立した立場」を与えました。同時に遺言執行者の行為には相続人へ直接効力が発生することも明記されました。

このように、遺言執行者の立場や権限が明確化されたのが、1つ目の大きな改正点といえます。

民法第1012条(遺言執行者の権利義務)

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

民法第1015条(遺言執行者の行為の効果)

遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

4.遺言執行者の任務開始の通知義務

2つ目は、遺言執行者に相続人への通知義務が課されたことです。

法改正前は、遺言執行者が就任して任務を開始しても、相続人に通知する必要がありませんでした。それでは相続人としては不安定な立場に立たされてしまいます。相続人の知らないうちに遺言執行が進められるケースもありました。

そこで、改正法では、遺言執行者として指定された人が遺言執行を開始した場合、遅滞なく遺言内容を相続人に通知しなければならないことになったのです。

民法第1007条(遺言執行者の任務の開始)

遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

5.遺言執行者による相続登記の申請

民法改正により「特定財産承継遺言」に関する取り扱いも変わります。

特定財産承継遺言とは、ある特定の不動産のような特定財産を承継させる旨の遺言です。

特定財産承継遺言の例

「A不動産を子どもXに相続させる」

これまで特定不動産を相続人へ相続させる旨の遺言が遺されていた場合、遺言執行者は単独では登記申請ができませんでした。相続人と一緒に相続登記申請しなければならないので、手間がかかっていたのです。

改正法では、遺言執行者が単独で相続登記の申請をできるようになっています。

6.遺言執行者の預貯金解約や払戻し

これまでの法律下でも、遺言執行者は、預金の払い戻し権限は解釈上、認められていました。

ただし、明文上では規定されていなかったのです。

そこで改正民法下では、遺言によって預貯金の承継が指定されている場合、遺言執行者が預金の解約や払戻しをできることが明記されました。

なお解約できる範囲は、「預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合」に限られ、一部のみの承継が指定されている場合には払い戻しなどができません。

たとえば「1000万円のA銀行における預金のうち300万円のみを子どもBに相続させる」という遺言がある場合、遺言執行者は300万円分のみの預金の解約払い戻しができないので注意が必要です。

民法第1014条3項

前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。

7.復任権

改正民法では、遺言執行者の復任権も明確に認められました。

復任権とは、業務を他人に任せられる権限をいいます。改正前の民法下では復任権については「やむをえない事由」がある場合しか認められませんでした。

改正法下では、遺言者によって復任が禁止されていない限り、遺言執行者は自分の判断で第三者に業務を任せられます。

民法第1016条(遺言執行者の復任権)

遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

まとめ

改正相続法において、遺言執行者の権限が強められ、選任する意義が高まっているといえます。弁護士が遺言執行者へ就任することもできるので、京都でこれから遺言書を作成する方がおられましたらお気軽にご相談ください。

遺留分侵害額請求を受けて約500万円の減額に成功した事例【相続解決事例⑩】

2023-03-10

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遺言書、遺留分侵害額請求、不動産の売却、提携税理士のご紹介

・ご相談内容

ご依頼者は遺留分侵害額請求を受けた側です。

お亡くなりになった被相続人は、生前、「ご依頼者に全ての財産を取得させる」旨の遺言書を作成しておられました。

ご依頼者のご兄妹(相手方)は、この遺言書に納得できず、ご依頼者に対して遺留分侵害額請求を行い、特に被相続人の通帳からの出金を問題視していました。

ご依頼者は、このような相手方からの請求に困り果て、当事務所にご依頼されました。

・当事務所の対応及び結果

弁護士受任後、相手方に対して内容証明郵便を送付し、被相続人(お亡くなりになった方)の通帳からの出金については、被相続人自身が使用されたものである等の説明を行いました。

その後、相手方にも弁護士が就任し、相手方は、①通帳から出金された当時、被相続人は認知症であったため、そのような高額の出金を使用することはできない、②相続不動産の価格について、相手方が依頼した不動産業者の査定価格をもとにした主張などをしてきました。

これに対して、当職において、①被相続人の医療機関のカルテや介護施設の介護記録などを取り寄せ、その当時被相続人は日常生活を支障なく送り、出金された金銭を使用できたこと、②相続不動産の価格は、固定資産評価額を基準とすべきことなどの反論を行いました。

ご依頼者は、相続不動産を売却して、相手方への解決金を支払おうとお考えになっており、ご依頼者が相続不動産の売却代金を取得されるまで、相手方には解決金の支払を待ってもらう必要がありました。

最終的には、①については相手方の請求を約半分に減らし、②については不動産の売却代金から売却に必要な費用を差し引いた金額を基準とし、不動産の売却代金がご依頼者に入るまでは支払を待ってもらう形で示談が成立しました。

最終的に、弁護士関与のもと、不動産業者に依頼して、相続不動産も売却でき、無事にご依頼頂いた案件が解決となりました。

・コメント

本事案は、被相続人の通帳からの出金の金額が大きく、通帳を当方のご依頼者がお預かりしていたとの事案でした。

また、ご依頼者のご意向は、可能な限り示談で終わらせて欲しいというものと、解決金を支払うのは、不動産の売却代金を取得してからにして欲しいというものでした。

そのため、当職においても、ご依頼者のご意向に沿う形で処理させて頂きました。

本事案では税務申告が必要になったため、ご依頼者には当事務所が提携する税理士の先生をご紹介させて頂きました。

ご依頼者からは、「最初知人から別の弁護士を紹介されていたけれども、先生に依頼して本当によかった」と言って頂きました。

※特定できない程度に内容をぼかしています。

不動産が遺贈されてしまった場合の対処法

2023-03-05

不動産が特定の相続人に遺贈された場合、他の相続人は十分な遺産を受け取れなくなってしまう可能性が高まります。

他の相続人としては、どのようにして権利を守れば良いのでしょうか?

この記事では、不動産が遺贈された場合の法的な対処方法を弁護士がお伝えします。

不公平な遺言書が遺されて納得できない方は参考にしてみてください。

1.不動産が遺贈された場合の影響

特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人には以下のような影響が及ぶ可能性が高まります。遺贈とは、遺言によって財産を特定の人へ受け継がせることです。

1-1.他の相続人の遺産取得分が減る

特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人の遺産取得分が減ってしまいます。

例えば、長男にのみ実家の土地建物が遺贈されると、遺産全体の価値は実家の分だけ減ってしまうでしょう。そうなると、他の相続人は実家を除いた遺産からしか財産を受け取れないので、結果的に取得できる遺産が減ってしまいます。

1-2.他の相続人は遺産を受け取れない可能性がある

特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人が遺産を受け取れなくなる可能性もあります。例えば、遺された遺産が実家の土地建物のみであった場合、実家の土地建物が長男に遺贈されると他の子どもは遺産を一切受け取れなくなってしまうでしょう。

このように不動産が特定の相続人へ遺贈されると他の相続人に不利益が及ぶ可能性があるので、注意が必要です。

以下では、特定の相続人へ不動産が遺贈されたとき、他の相続人として何ができるのかみてみましょう。

2.遺産分割で「特別受益の持戻計算」を行う

1つ目は、遺産分割の際に「特別受益の持戻計算」を行う対処方法です。

特別受益の持戻計算とは、特別受益を受けた相続人がいる場合にその相続人の遺産取得割合を減らす計算方法です。

特別受益とは、特定の相続人が遺贈や贈与によって受けた特別な利益であり、遺贈が行われた場合にも特別受益になります。

特別受益の持戻計算を適用すると、特別受益を受けた相続人の遺産取得分を減らして他の相続人が取得する遺産相続分が増えるので、公平に遺産分割しやすくなります。

特別受益の持戻計算免除について

特別受益の持戻計算は、常に適用できるとは限りません。

被相続人(亡くなった人)が「特別受益の持戻計算免除」の意思表示をしていた場合、特別受益の持戻計算を適用できないからです。

例えば、遺言書で「特別受益の持戻計算を免除する」と書かれていたら、遺産分割時に特別受益の持戻計算ができなくなってしまいます。20年以上連れ添った配偶者へ居住用不動産を遺贈した場合には、明示的な意思表示がなくても特別受益の持戻計算免除意思が推定されます。

その場合、以下に記載する遺留分侵害額請求を検討するなどの方法を取るしかなくなるでしょう。

また、遺産内容が遺贈された不動産しかない場合にも、特別受益の持戻計算をするまでもなく他の相続人は遺産を受け取れなくなってしまいます。その場合にも、以下でご説明する遺留分侵害額請求を検討する必要性が高くなります。

3.遺留分侵害額請求を行う

特定の相続人に不動産が遺贈された場合、他の相続人は遺贈を受けた相続人に対し、遺留分侵害額請求できる可能性があります。

遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分を金銭的に取り戻すための手続きです。

兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限の遺産取得割合である遺留分が認められます。

遺留分は遺言によっても侵害できないので、遺贈によって遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は遺留分侵害者へ遺留分侵害額請求ができます。

3-1.遺留分侵害額請求の効果

遺留分侵害額請求をすると、侵害された遺留分に相当する金銭を払ってもらえます。

なお、遺留分侵害額請求権は遺産そのものを取り戻す手続きではありません。請求しても不動産が共有になったり不動産そのものの所有権を取り戻せたりするものではないので、勘違いしないように注意しましょう。

3-2.遺留分侵害額請求の時効

遺留分侵害額請求には時効があります。基本的には「相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内」に請求者なければなりません。

1年が経過すると、時効により遺留分を取り戻せなくなってしまいます。

不動産が遺贈されて納得できないなら、早めに遺留分侵害額請求を行う判断をして、請求手続きを進めましょう。

また、遺留分侵害額請求を行う際には、確実に時効の期間内に請求した証拠を残すため、内容証明郵便を利用するようおすすめします。

4.遺言書が無効なら遺言無効確認請求を行う

遺言書に「不動産を遺贈する」が書かれていても、遺言書が無効であれば遺贈の効果は生じません。例えば、自筆証書遺言で自筆以外の部分があったり偽造変造されたりしている場合や、遺言者の意思能力が低下してから遺言書(公正証書遺言を含む)が作成された場合などには遺言書が無効になる可能性もあります。

遺言書が無効となる疑いがあるなら、遺言無効確認請求を行うのも一つの手です。調停や訴訟を行えば、遺言書が無効かどうかを法的に確認できます。

不動産が遺贈されると他の相続人の遺産取得分が減ってしまい、不公平な状況となってしまう可能性が高まります。不動産の遺贈に納得できない相続人の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

当事務所が初回法律相談を無料で行う理由

2023-02-26

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

時々、ご相談者の方から、「初回相談を無料でしてもらえるのはありがたいんですけど、なぜ無料にしているんですか」という趣旨のご質問を頂くことがあります。

そこで、今回は、当事務所が初回法律相談を無料で行う理由についてお話しさせて頂きます。

①弁護士に相談するハードルを下げたい

これまで弁護士とあまり関わりのない方にとって、弁護士に相談するハードルは高いのが通常だと思います。

おそらく、私も逆の立場の場合、弁護士に相談するのは中々億劫ですし、気乗りしないというのが正直なところだと思います。

一方、弁護士にご相談頂くのは、できるだけ早い方がよく、ご相談頂いた時点ではもう遅く、今からの対応が難しいということもあります。例えば、相続案件の場合、遺産分割協議書に署名押印された後などに、やっぱり遺産分割協議書の内容に納得できないとご相談頂いたとしても、協議書の内容をひっくり返すのは困難なことが多いです。

このように、弁護士の立場からすれば、できるだけ早くご相談頂きたい一方、ご相談者の立場からすれば、中々相談しにくいというのが現状だと思います。

そのため、当事務所としても、できるだけ弁護士に相談するハードルを下げたいという思いから、初回法律相談を無料で行っています。

もちろん、初回法律相談を無料で行ったぐらいで、弁護士に相談しやすいかというと必ずしもそうではないと思いますが、有料よりはまだマシかなと思います。

② 弁護士との相性が良いかを見極めて頂きたい

弁護士にご依頼頂く場合には、ご依頼者と弁護士との相性がかなり重要になってきます。なぜなら、ご依頼者の方にとっては、ただでさえストレスのかかる状況な上に、場合によってはご依頼者と弁護士が長い付き合いになるためです。

例えば、ご自身がストレスを抱えておられる状況で、弁護士との相性が良くない場合、どうでしょうか?案件解決のためには、ご依頼者と弁護士が二人三脚で進む必要がありますが、その相性が良くない場合、ご依頼者が弁護士と話しづらいと感じてしまったり、最悪の場合弁護士と話すことさえ苦痛ということにもなりかねません。

せっかく自己のストレスを軽減させるために弁護士に依頼しているのに、弁護士に依頼したことでかえってストレスを抱えてしまっては本末転倒です。

当事務所にも、他の弁護士にご依頼されている方がご相談にいらっしゃって、今依頼している弁護士と話すことさえ苦痛である旨のご相談をされる方はいらっしゃいます。

そのような場合、途中から当事務所がご依頼を受けることがありますが、それであれば、始めから相性のいい弁護士を選んで頂いた方がよいと思います。

私見としては、そのような場合でも他の弁護士の方が絶対的に悪いと言うよりは、そもそもの相性が良くないのではないかと思います。

このように、ご依頼者の方と弁護士との相性は極めて重要であり、当事務所としては、その相性を見極めて頂くために、無料の法律相談をご活用頂きたいと考えております。

③ 経営的にも問題ない

初回法律相談を有料でされている事務所においては、①経営的に有料の方がよい、②冷やかしのような相談(失礼な言い方をして恐縮ですが「変な相談」)をはじきたい、というお気持ちがあるのではないかと推測します。

しかし、①については、当事務所の感覚では、初回法律相談を有料で行ったとしても、せいぜい30分5500円(税込)ぐらいであり、正直、当事務所の経営に影響を及ぼさない金額なので、その金額を頂く必要性をあまり感じません。もちろん、初回法律相談が毎日10件あるというのであれば、別ですが、現状の初回法律相談の件数からすれば、費用を頂かなくとも特に問題ありません。

次に、②については、おそらく、事務所毎の特性にもよるのですが、少なくとも当事務所の場合、冷やかしのような相談はあまりありません。

当事務所のご相談者やご依頼者の方は良識のある方ばかりなので、②についても特に問題ないと考えています。

④最後に

今回は、当事務所が初回法律相談を無料で行う理由についてお話しさせて頂きました。

色々言いましたが、一番大きいのは、弁護士に相談するハードルを下げて、早く弁護士に相談して欲しいからです。そして、弁護士に依頼した方がよい案件については、是非相性の良い弁護士を見つけて依頼して頂きたいです。

なので、このコラムを見て頂いている方で、もし弁護士に相談するか迷っている方がいらっしゃれば、すぐに弁護士に相談して頂きたいというのが正直な思いです。もし、当事務所にご相談頂ける場合には、このコラムの上と下に当事務所の電話番号が載っているので、そこを押して頂ければ幸いです。

もし、そのご相談を受けたり、相性の良い弁護士が当事務所の弁護士であれば、大変嬉しく思います。

このコラムを見て下さった方のお悩みが解決されることを祈っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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