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相続放棄を行い財産を取得された【お客様の声】

2023-12-11

・ご回答者様

女性

・ご年齢

40代

・ご依頼内容

相続放棄

・弁護士の説明はいかがでしたか。

■非常によい   ▢よい   ▢普通   ▢悪い   ▢非常に悪い

・弁護士、事務員の対応はいかがでしたか。

■非常によい   ▢よい   ▢普通   ▢悪い   ▢非常に悪い

・解決結果についてご納得頂けましたか。

■非常に納得  □納得  ▢どちらともいえない  ▢納得できない  ▢全く納得できない

・お困りの方に、益川総合法律事務所を紹介したいですか。

■紹介したい   ▢どちらともいえない   ▢紹介したくない

・担当弁護士、事務員に対するご意見やご感想を頂ければ幸いです。

この度は、お世話になりましてありがとうございました。

手続きだけでなく、こちらの疑問や心配していることなど、ひとつひとつ丁寧にご対応いただきましましたこと、とても感謝しております。

文献や裁判例などを調べてくださり、結果がはっきりわからなかったことについても、その旨をご報告くださり、その上で、”自分だったら…。”と先生のご意見をお聞かせくださった

ことなど、とても信頼できるご対応をしていただいたと思っております。

本当にありがとうございました

末筆ながら貴事務所の益々のご発展をお祈り申し上げます。

・コメント

相続放棄のご依頼を頂いた案件です。

相続放棄と言っても、全ての財産が取得できないわけではなく、遺産に組み込まれない財産については、相続放棄をした方も取得することが認められています。

また、相続放棄の案件では、一定の行為をしてしまうと、相続放棄が無効とされてしまうため、そのような行為をしないように注意をすることが必要になります。

そして、これらの判断は、実際上、かなり難しいこともあります。

ご依頼頂いた案件は、まさしく、多岐にわたり、そのような微妙な判断が求められる事案でしたが、当事務所においてリサーチを徹底し、明確に回答できる部分については、明確に回答させて頂きました。

また、かなり細かい部分については、裁判例や文献を調べても出てこない部分もあったため、類似裁判例などの考え方に照らせば、このような結論となる可能性があると言った回答をさせて頂いております。

ご依頼者からは、①当事務所が徹底したリサーチを行うこと、②明言できるところと明言できないところを分けるところ、③明言できない部分でも、弁護士がご依頼者の立場に立った場合どのように行動するかをお伝えするところを、大変喜んで頂けました。

一口に相続放棄と言っても、遺産に組み込まれない財産は取得できるため、お悩みの方はお気軽にご相談頂ければと思います。

遺留分請求を行った【お客様の声】

2023-11-28

・ご回答者様

男性

・ご年齢

60代

・ご依頼内容

遺留分

・弁護士の説明はいかがでしたか。

■非常によい   ▢よい   ▢普通   ▢悪い   ▢非常に悪い

・弁護士、事務員の対応はいかがでしたか。

■非常によい   ▢よい   ▢普通   ▢悪い   ▢非常に悪い

・解決結果についてご納得頂けましたか。

■非常に納得  □納得  ▢どちらともいえない  ▢納得できない  ▢全く納得できない

・お困りの方に、益川総合法律事務所を紹介したいですか。

■紹介したい   ▢どちらともいえない   ▢紹介したくない


・担当弁護士、事務員に対するご意見やご感想を頂ければ幸いです。

今回の案件に対して、ありがたく感謝しかありません。

益川先生にめぐり会えてよかったです。

コメント

「遺産を全て他の兄弟に相続させる」との遺言書があった事案です。

この場合、全財産を取得した相手方に対して、遺留分侵害額請求を行うのですが、ご依頼者も生前贈与を受けておられたため、慎重な交渉が必要でした。

また、不動産の評価額についても、争いとなった事案でした。

最終的には、ご依頼者が受けていた生前贈与を一切考慮せず、また、不動産の評価額についても当方主張の金額を前提とした和解が成立したため、ご依頼者から大変喜んで頂けました。

遺留分請求を行う方が、生前贈与を受けているケースも多々ありますが、本事案のように、かかる生前贈与を考慮せずに、解決できることもあります。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しておりますので、お悩みの方はお気軽にご相談下さい。

遺産分割における相続人の人数は平均何人ぐらい?

2023-11-20

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

当事務所は相続案件に注力しておりますが、遺産分割のご依頼を頂いた際、相続人の人数が2人のこともあれば、10人近くになることもあります。

そして、相続人の数が増えれば増えるほど、話が中々まとまりづらい傾向にあります。

それでは、遺産分割における、相続人の人数は何人ぐらいが多いのでしょうか?

当職の肌感として思う人数はありますが、実際の平均人数は分かっていません。

そのため、今回はその統計データを調べてみました。

1.遺産分割事件における相続人の人数

まず、前提として、今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件における、相続人の人数となります。

そして、令和3年に終結した遺産分割事件の総数は、1万3442件となっています。

それでは、これらの事件毎の、相続人の人数はどうなっているでしょうか?

■相続人の人数(総数1万3442件)

2人     3866件(第1位、約29%)

3人     3655件(第2位、約27%)

4人     2138件(第3位、約16%)

5人     1084件(約8%)

6人      711件(約5%)

7人      482件(約3.5%)

8~10人   691件(約5%)

10人を超える 815件(約6%)

上記のように、遺産分割事件における相続人の人数については、第1位が2人で全体の約29%第2位が3人で全体の約27%第3位が4人で全体の約16%となっています。

当職にご依頼頂く案件についても、相続人の方が、2人か3人の時が多いので、おおよそ上記データは当職の肌感覚にも合っています。

もっとも、上記データにおいては、10人を超える相続人がいるケースも、全体の約6%もあります。そこで、以下では、各人数の相続人の属性(子や配偶者など)を予測していきます。

2.人数毎の相続人の属性の予測

まず、2人から4人ぐらいまでは、相続人の属性として、配偶者と子どもで占めている場合が多いと思います。

次に、5人から7人ぐらいについては、子どもが両親よりも先に亡くなった関係で、孫への代襲相続が発生している場合、又は、被相続人に配偶者や子どもがおらず、兄弟姉妹が相続人になっているが、先に亡くなっている兄弟姉妹の方もそれなりにいて、その兄弟姉妹の子どもへの代襲相続が発生している場合が多い印象です。

次に、8人~10人、10人を超える相続人がいるケースについては、先代で相続が発生していたのに、その方々が遺産分割を行っておらず、それがお子さんやお孫さんの代にいって、ようやく遺産分割を行っている場合が多い印象です。

このように、遺産分割を放置しておくと、自身の子どもや孫の代で遺産分割をしなければならなくなり、かなりの人数が遺産分割に関与する必要が出てきます。

そうすると、そもそも話合い自体が困難で、中々話がまとまりづらくなってしまいます。

3.最後に

今回は、遺産分割における相続人の人数はおおよそ何人ぐらいが多いのか、について解説しました。

相続人が多いと、どうしても話がまとまりづらくなってしまいます。

そのため、相続人が多いと予想され、かつ相続人間で揉めて欲しくないとお考えの方は、事前に遺言書を作成しておくのが良いと思います。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しています。

もし、お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次回のコラムでお会いしましょう。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産分割を弁護士に依頼すると解決が長引くの?

2023-11-08

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

時々、ご相談者の方から、「遺産分割を弁護士に依頼すると解決が長引きますか?」というご質問を頂くことがあります。

これに対して、私の方からは、「少なくとも私の場合には、これまでご依頼頂いたことによって、解決が長引いたという案件はない印象です」とお答えしています。

私としては、今まで相続人の間でまとまっていない話に、弁護士の立場として介入することで、話を前進させることになるため、結果的に弁護士(私)が入ることで解決が早くなっているのではないかと考えていました。

しかし、私も、実際のデータを調べたことがあるわけではありません。

そこで、今回は、「遺産分割を弁護士に依頼すると解決が長引くのか」について、関連するデータを調べてみました。是非参考になさって下さい。

1.遺産分割事件における弁護士の関与の有無ごとの審理期間

まず、前提として、今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件(遺産分割調停が成立した事件と審判が認容された事件)における、審理期間別の代理人弁護士の関与の有無となります。

要は、終結した遺産分割事件について、審理期間の司法統計をとり、その審理期間別に、それぞれ代理人弁護士が付いていた案件が何件、付いていなかった案件が何件との司法統計をとったものとなります。

それでは、代理人弁護士が付いている案件は、事件が長期化する傾向があるのでしょうか。

まずは、代理人として弁護士が関与している事件の割合を示した後に、代理人弁護士の関与の有無ごとに審理期間のデータをお示しします。

■代理人弁護士の関与の有無(総数6996件)

有り    5939件

無し    1057件

関与割合  84.89%(約85%)

■代理人弁護士の関与が有る事件の審理期間(総数5939件)

1月以内    33件(約0.5%)

3月以内   320件(約5%)

6月以内   835件(約14%、第3位)

1年以内  1706件(約29%、第2位)

2年以内  2000件(約34%、第1位)

3年以内   716件(約12%)

3年を超える 329件(約6%)

■代理人弁護士の関与が無い事件の審理期間(総数1057件)

1月以内     8件(約0.8%)

3月以内   158件(約15%)

6月以内   301件(約28%、第2位)

1年以内   330件(約31%、第1位)

2年以内   211件(約20%、第3位)

3年以内    35件(約3%)

3年を超える  14件(約1%)

上記のように、代理人として弁護士が関与している事件の審理期間は、第1位が2年以内、第2位が1年以内、第3位が6ヶ月以内となっています。

一方、代理人弁護士の関与が無い事件の審理期間については、第1位が1年以内、第2位が6ヶ月以内、第3位が2年以内となっており、このデータだけを見た場合、弁護士が関与したことによって事件が長引いているように見受けられます

そこで、以下では、自己弁護も兼ねて(笑)、一体なぜデータ上、弁護士が関与した方が、事件が長引いているのかについて、考察します。

2.データ上弁護士が関与している事件の方が長引いている理由

2-1.ご自身で調停をやる事件はそこまで揉めていない

まず、一つ目に考えられる理由として、弁護士に依頼せずに、遺産分割事件を進める案件というのは、そもそも相続人間でそこまで揉めていないのではないかという点です。相続人間で少し話がまとまらない部分はあるけれども、概ねの方向性は合致しているようなケースが多く含まれていると思います。

その証拠に、代理人弁護士が関与していない遺産分割事件については、6ヶ月以内に終結している事件(1ヶ月以内と3ヶ月以内も含めている)が約44%もあります。

遺産分割調停を申し立てると、第1回期日が始まるまでに、おおよそ1ヶ月から2ヶ月ほどかかります。そして、その後、1ヶ月に1回程度のペースで期日が設定されて、話合いが進められることになります。

そうすると、1ヶ月で終結させようとすれば良くて期日が1回、3ヶ月で終結させようとすればおおよそ期日が2~3回、6ヶ月で終結させようとすればおおよそ期日が4回~5回ほどとなります。

ご自身で調停を行う場合には、弁護士が関与する場合と異なり、期日と期日の間で自己に有利になる証拠の提出や書面の提出をすることも少ないと思いますし、メインは期日で調停委員に話すという内容になるかと思います。

その形で、6ヶ月以内に集結する事件が約44%もある時点で、代理人弁護士が関与していない遺産分割事件については、あまり揉めていないのではないことが推察されます。

2-2.法的主張が多くなる

次に、考えられる理由として、弁護士に依頼すると法的主張が多くなるという点です。確かにこの点は、弁護士に依頼すると期間が長引くと言われる大きな理由だと思います。

一般的に、遺産分割調停などの場合、一方当事者が言いたいことを言っても、法的主張となっていない場合、すぐに切り捨てられてしまうので、時間はかかりません。

対して、弁護士にご依頼頂くと、ご依頼者の言いたいことを法的主張に変えて、裁判所を説得しますので、その法的主張を審理するために、時間がかかってしまうことになります。

私見としては、ご依頼者としても、ご自身の言いたいことをすぐに裁判所に切り捨てられてしまうより、しっかり審理して欲しいのではないかなとは思っておりますが、この点で、事件が長引いてしまうという側面はあると思います。

2-3.データの取り方の問題

次に、考えられる理由として、データの取り方の問題です。

今回のデータは、遺産分割調停や遺産分割審判という、裁判所を介在した手続きについての審理期間となります。

弁護士にご依頼頂かないケースだと、遺産分割調停や審判を申し立てるのは、申し立てる側にとってかなり負担となるものであり、極力、当事者同士で話合おうとされる傾向が強いように思われます。

そうすると、弁護士にご依頼頂かないケースの場合、裁判所を介在させる前に、ある程度当事者間で話をつめていることになり、実際に調停や審判になった際には、争いとなっている部分が明確で、そこを詰めればよいことになります。

また、弁護士にご依頼頂かないケースだと、だれも遺産分割調停や審判を申し立てずに、相続が発生してから数年間が経過しているという案件も、しばしば目にします。

今回のデータの取り方は、相続が発生してからの期間ではなく、あくまで裁判所が関与してからの審理期間となりますので、このようなしばらく放置されていた案件についても、6ヶ月以内に集結したら、6ヶ月以内とデータでは残ることになります。

相続が発生してからの期間という形でデータを取れば、弁護士が関与の有無で、期間にあまり差はつかないのではないかと推察いたします。但し、そのような統計をとっているデータは見当たりませんでした。

3.最後に

今回は、遺産分割を弁護士に依頼すると期間が長引くのかについて、解説しました。

途中で自己弁護も入れましたが(笑)、データ上は、弁護士に依頼すると裁判所の審理期間が長引く傾向にあるようです。

皆様は今回のデータをみて、どのように思われたでしょうか。

途中の自己弁護は、ある種私のポジショントークにすぎないかもしれませんので、話を差し引いて聞いて頂ければと思います。

ただ、私としては、これまでご依頼頂いたせいで、解決が長引いたという案件はない印象なので、最後の自己弁護として、お伝えさせて頂きます(笑)

当事務所は、遺産相続案件に注力していますので、もしご相談等があれば、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次回のコラムでお会いしましょう。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

遺産分割において寄与分は考慮されにくいのか?

2023-10-29

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

遺産分割を行う際、ある相続人が、亡くなった方を献身的に介護しているような場合、その相続人から「寄与分」の主張がされることがあります。

遺産分割の際に、この寄与分が考慮される割合はどのくらいなのでしょうか。

肌感覚として、寄与分の主張は中々認められづらいとの印象がありますが、実際の割合については、私自身も調べたことがありません。

そこで、今回は、司法統計データを調べてみましたので、是非参考にしてみてください。

1.寄与分とは

まず、最初に、寄与分の説明を簡単に行います。

寄与分とは、亡くなった方の財産の形成や維持に特別な貢献をした相続人に認められる、上乗せの相続分を意味します。

例えば、ある相続人が亡くなった方を献身的に介護して介護費用の支出を抑えた場合や、亡くなった方の事業を無給で手伝って財産形成に貢献した場合などに寄与分が認められます。

この寄与分の話は、「寄与分とは」という記事で詳しく解説しているので、興味がある方は、是非参考になさって下さい。

2.寄与分が考慮される割合

それでは、遺産分割事件の際に、この寄与分が考慮される割合はどれくらいなのでしょうか?

今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件(遺産分割調停が成立した事件と審判が認容された事件)のうち、寄与分が考慮された割合となります。

結果は、下記の通りです。

■寄与分の考慮の有無(総数6996件)

有り     134件

無し    6862件

考慮割合  1.91%(約2%)

遺産分割事件において、寄与分が考慮される割合は約2%のようです。

遺産分割事件50件のうち、1件しか寄与分が考慮されていません。

寄与分は中々考慮されづらいと思っていましたが、ここまで考慮されていないとは思いませんでした。

というのも、これまでの私の経験上、肌感覚にはなりますが、遺産分割案件を12件ぐらいやれば、1件ぐらいは寄与分が考慮されていた印象があるからです。

3.寄与分が遺産の総額に占める割合

遺産分割事件において寄与分が考慮されたとして、その寄与分は遺産の総額に対して、どのくらいの割合を占めているのでしょうか。

その結果は、下記の通りになります。

■寄与分が遺産の総額に占める割合(総数134件)

10%以下   74件(1位、約55%)

20%以下   19件(2位、約14%)

30%以下    5件(6位、約4%)

50%以下   13件(4位、約10%)

50%を超える  8件(5位、約6%)

不詳      15件(3位、約11%)

上位のように、寄与分が遺産の総額に占める割合は、10%以下や20%以下のものが多いですが、中には50%を超えているものもあるようです。

但し、寄与分が遺産の総額に占める割合が大きい案件は、そもそも遺産の総額が小さいため、高い割合が出ているのだと思われます。

例えば、寄与分が100万円認められたとしても、遺産の総額が1億円であれば、遺産の総額に占める割合は1%になりますし、逆に遺産の総額が200万円であれば、その寄与分が遺産の総額に占める割合が50%となります。

4.最後に

今回は、遺産分割事件において、寄与分が考慮される割合がどれくらいかについて、解説しました。

結論として、寄与分が考慮される割合は、全体の約2%となります。私自身は、かなり低い数字だなと感じましたが、皆様はどのように感じられたでしょうか。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しております。お困りの際には、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

相続建物の無償使用が特別受益になるの?

2023-10-24

相続人の一人が、被相続人の建物に無償で居住していた場合、他の相続人から、「特別受益」に該当する旨の主張がされることがあります。

被相続人の建物を無償で使用することは、「特別受益」に該当するのでしょうか。

今回は、相続建物の無償使用が「特別受益」に該当するかについて、京都の弁護士が解説します。遺産相続において、相続人の一人が建物を無償使用していることが問題になりそうな方は、是非参考になさって下さい。

1.特別受益とは

まず、前提として、特別受益について、簡単に説明します。

特別受益とは、特定の相続人が遺言によって財産を譲り受けたり、生前に遺産の前渡しとなるような贈与などによって受けた利益のことをいいます。

特別受益を受けた相続人がいる場合、相続人間の公平の観点から、その相続人の遺産からの取り分を減らすことになります。その計算を、「特別受益の持ち戻し計算」といいます。

このように、その相続人が受けた利益が、特別受益に該当する場合には、特別受益の持ち戻し計算が行われて、その相続人の遺産からの取り分が減ることになるのです。

特別受益については、「遺産分割と生前贈与の関係について」という記事で、詳しく解説していますので、興味がある方は是非参考になさって下さい。

2.同居している場合

それでは、相続人の一人が、被相続人の建物に無償で居住していた場合には、かかる無償使用が「特別受益」に該当するのでしょうか?

まずは、被相続人と同居しているケースについて解説します。

こちらの場合には、相続人による建物の無償使用が、「特別受益」に該当することはありません

なぜなら、被相続人との同居の場合には、相続人は単なる占有補助者にすぎません。相続人に、独立の占有権限があるとは認められず、使用借権(建物を借りる権利)は認められないためです。

この理由については、法的にもややこしいので、参考程度にして頂ければと思います。

3.別居している場合

それでは、被相続人と同居していない場合はどうでしょうか?

こちらの場合にも、一般的には、相続人による建物の無償使用は、「特別受益」に該当しないとされています

理由としては、下記の通りです。

①建物の無償使用は、被相続人からの恩恵的な要素が強く、遺産の前渡しという性格が薄い

②建物の使用借権(無償で借りる権利)は、第三者に対する対抗力がないため、明け渡しも容易であり、経済的価値がないものと評価できる

③賃料相当額を特別受益とすると、かなり大きな金額となり、遺産の総額と比べても大きくなってしまう

これらの理由により、別居している場合にも、建物の無償使用は「特別受益」に該当しないとされています。

■収益物件を無償で使用していた場合

被相続人がアパートやマンションなどの賃貸不動産を所有していて、その一室を相続人が無償で使用している場合にも、「特別受益」に該当しないのでしょうか?

その相続人がいなければ、その一室も賃貸でき、賃料が取得できたのですから、他の相続人からも、「特別受益」に該当する旨の主張をされることが多いです。

しかし、一般的には、この場合にも、「特別受益」には該当しないとされています。この場合においても、被相続人からの恩恵的な要素が強く、遺産の前渡しと評価することが難しいためです。

4.相続発生後から遺産分割までの賃料請求はできるか?

生前の相続建物の無償使用が「特別受益」に該当しないとしても、相続発生後から遺産分割までの賃料請求は認められるのでしょうか?

生前、被相続人と相続人が同居していた場合については、最高裁判例上、賃料請求が否定されています。これは、「被相続人と同居の相続人の間において、被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認される」ためです。

対して、被相続人と相続人が同居していない場合については、どうでしょうか?

この点について、当職の知る限り、最高裁判例はありませんが、実務上は、やはり賃料請求が否定される傾向です

5.最後に

今回は、相続建物の無償使用が「特別受益」になるかについて、解説しました。

結論としては、否定となっており、他の相続人の立場からすれば、残念な結論になっていると言えるでしょう。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に力を入れて取り組んでいます。

遺産相続でお困りの際には、お気軽にご相談ください。

遺産分割において特別受益が考慮される割合は何%?

2023-10-15

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

遺産分割を行う際、特定の相続人が、亡くなった方から生前贈与などを受けていた場合、他の相続人が特別受益の主張を行うことになります。

遺産分割の際に、この特別受益が考慮される割合はどのくらいなのでしょうか。

私が弁護士として関与する際には、特別受益の主張をして、認められることも多いのですが、私自身も実際の割合については、正直よく分かっていません。

そこで、今回は、最新のデータを調べてみましたので、もし良かったら参考になさって下さい。

1.特別受益とは

まず、前提として、特別受益の説明を簡単に行います。

特別受益とは、特定の相続人が、亡くなった方から遺贈や生前贈与などによって受けた利益をいいます

遺贈や生前贈与を受けた相続人がいる場合には、法律上、その相続人の取り分を減らすことができ、その計算方法を「特別受益の持ち戻し計算」といいます。

要は、一部の相続人が、亡くなった方から生前贈与などを受けていた場合には、他の相続人との間に不公平が生じるので、遺産の取り分を減らせる制度になります。

この特別受益の話は、「遺産分割と生前贈与の関係について」という記事で詳しく解説しているので、興味がある方は、是非参考になさって下さい。

2.特別受益が考慮される割合

それでは、遺産分割事件において、この特別受益が考慮される割合はどれくらいなのでしょうか?

今回参照したデータは、令和3年に終結した遺産分割事件(遺産分割調停が成立した事件と審判が認容された事件)において、特別受益が考慮された割合となります。

結果は、下記の通りです。

■特別受益の考慮の有無(総数6996件)

有り     588件

無し    5693件

不詳     715件

考慮割合  9.36%(約10%)

遺産分割事件において、特別受益が考慮される割合は約10%のようです。

遺産分割事件10件のうち、1件しか特別受益が考慮されていません。

当初の私の予想では、3件に1件ぐらいは特別受益が考慮されていると思っていたので、この結果は正直驚きました。

以下では、なぜ特別受益を考慮される割合がこんなに低いのかについて、考察していきます。

3.なぜ特別受益を考慮される割合が低いのか

3-1.当事者から主張されていない

弁護士からすれば当然なのですが、当事者から、特別受益の主張がされなければ、裁判所は、その点を一切考慮しません

当事者から主張されていない生前贈与などは、なかったものとして扱われます。

裁判所は、当事者から特別受益の主張が出なければ、その点を考えることすらしないのです。

弁護士が相手方の代理人になっているケースでも、相手方から生前贈与の主張が出てこないこともあるので、この点は特別受益が考慮される割合が低いことに関係していると思います。

3-2.当事者から証拠が提出されない

裁判所においては、事実を、証拠を基に認定します。

特別受益の主張をして、相手方が認めるケースは証拠も不要ですが、実際そのようなケースはあまりないので、特別受益の主張をする側が、生前贈与などを裏付ける証拠を提出する必要があります

そして、この証拠の収集については、弁護士でなければ、難しい側面があります。

(弁護士同士でも、この証拠収集への熱量は人によって異なります。)

結局、他の相続人などから、生前贈与の主張がされても、有効な証拠が提出されずに、特別受益が認定されないことが多いのだと思います。

4.最後に

今回は、遺産分割事件において、特別受益が考慮される割合がどれくらいかについて、解説しました。

全体として、約10%という数字を、どのように感じられたでしょうか。

私はかなり低いと感じましたが、これは人によって評価が違うと思います。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しています。

もしお困りのことなどがあれば、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

■参考

令和3年 司法統計年報 3家事編

012597.pdf (courts.go.jp)

超過特別受益者がいる場合の遺産分割について

2023-10-08

遺産分割を行う場合に、相続人の一人が法的相続分を超える超過特別受益を受けていることがあります。

このような場合に、実際の遺産分割はどのように行われるのでしょうか。

また、超過特別受益者から、他の相続人は超過額の返還を受けることができるのでしょうか。

今回は、超過特別受益を受けた相続人がいる場合の、遺産分割の行われ方について、解説いたします。ご自身や他の相続人が超過特別受益者に該当する方は、是非参考になさって下さい。

1.超過特別受益とは

超過特別受益とは、特定の相続人が生前贈与や遺贈などによって利益を受け、その利益額がその相続人の法定相続分を超えることをいいます。

例えば、相続人が子どもであるAとBとCで、遺産が1000万円とします。そして、このケースで、Aだけが被相続人から2000万円の生前贈与を受けていたとしましょう。

この場合には、Aが受けた生前贈与2000万円も相続財産に組み込まれ、みなし相続財産が3000万円と評価されます。

そして、相続財産が3000万円で子どもが3人とすると、子ども1人当たりの法定相続分は1000万円になります。

それにもかかわらず、Aは2000万円の生前贈与を受けており、法定相続分である1000万円を超える特別受益を受けています。そのため、Aは、超過特別受益を受けていることになるのです。

この超過特別受益は、特別受益の理解を前提としているため、もしかしたら、少し難しく感じるかもしれません。そのような方は、まずは、特別受益について解説した、「遺産分割と生前贈与の関係について」という記事をご確認頂ければと思います。

2.遺産分割はどのように行われるのか

それでは、超過特別受益者がいる場合、遺産分割はどのように行われるのでしょうか?

結論としては、超過特別受益者がいる場合には、その相続人は遺産を一切取得することができず、他の相続人で遺産を分けることになります

■具体的な計算方法

先ほどの具体例を用いて、解説します。

相続人:子どもであるAとBとC

遺産:1000万円

生前贈与:Aに対して2000万円

この場合には、Aは遺産を一切取得できずに、BとCが遺産1000万円を2分の1ずつ、つまり500万円ずつ取得することになります

3.他の相続人は超過額の返還請求ができないのか?

上記の具体例をみれば、Aは生前贈与によって2000万円を取得している一方、BとCはそれぞれ遺産から500万円ずつしか取得できていません。

このように、相続人間で、取得金額の点で不公平が生じているため、BとCは、Aに対して、超過額の返還請求ができないのでしょうか?

結論としては、超過額の返還請求は認められていません。

法律上は、超過特別受益者であるというだけで、他の相続人からの返還請求は許容していないのです。

4.遺留分侵害額請求ができる可能性がある

もっとも、超過特別受益者が、他の相続人の「遺留分」という権利を侵害している場合もあります。

この場合には、他の相続人は、超過特別受益者に対して、遺留分侵害額請求を行うことができるのです。

遺留分とは、兄妹姉妹以外の法定相続人に認められた、最低限の遺産取得割合をいいます。

この遺留分は多くの場合には、法定相続分の半分が保証されます。

先ほどの具体例に当てはめれば、BとCにも、法定相続分1000万円の半分、すなわち500万円が遺留分として認められるのです。

先ほどの具体例では、BとCも遺産から500万円ずつ取得していたため、遺留分が侵害されたとは認められませんが、例えば、遺産が800万円であり、BとCが400万円ずつ取得していた場合には、遺留分の侵害が認められるのです。

■遺留分の計算方法

先ほどの具体例から、遺産額のみ変更します。

相続人:子どもであるAとBとC

遺産:800万円

生前贈与:Aに対して2000万円

この場合、相続人1人の法定相続分は、(遺産800万円+生前贈与2000万円)×相続分3分の1であり、約933万円となります。

そして、遺留分は、多くの場合には法定相続分の半分が保証されるため、法定相続分約933万円÷2で算出される約466万が、BとCの遺留分となります。

これまで解説してきた通り、Aは遺産を取得できず、BとCは遺産800万円を半分ずつ取得するため、遺産からは400万円ずつ取得することとなります。

もっとも、遺産の400万円だけでは、遺留分である466万円に届いていません。

そのため、BとCはこの差額66万円を、Aに対して遺留分侵害額請求できることとなります

※説明の便宜上、計算の際には、おおざっぱな金額を使用しており、厳密には、このケースでは、66万6666円の請求が可能となります。

この遺留分については、「遺留分侵害額請求をしたい方へ」という記事で、詳しく解説しているので、興味がある方は参考にされて下さい。

5.最後に

今回は、超過特別受益者がいる場合の遺産分割について、解説しました。

実務上、超過特別受益者がいるケースは多くありますが、この場合には他の相続人が遺留分の請求を行うことが多い印象です。

京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しています。

遺産相続でお困りの際には、お気軽にご相談ください。

家督相続を相続人たる長男から主張された時の対処法

2023-10-01

日本でも、生前は家督相続が採用されていました。

そして、現在でも、長男から他の相続人に対して、「自分が家督を継ぐから、相続財産を全て取得するべきである」旨の話をされることがあります。

そこで、今回は、相続人である長男から家督相続を主張された場合の対処法について、京都の弁護士が解説いたします。同じ状況の方は、是非参考になさってください。

1.家督相続とは

家督相続とは、戦前の日本で採用されていた遺産相続の方法で、家督である長男が相続財産を全て取得する相続方法です。

当時の日本では、家制度が確立されており、家のトップである戸主(長男)が全ての財産を取得していたのです。

この家督相続は、昭和22(1947)年5月2日まで施行されていましたが、戦後において重視された法の下の平等の理念等に反するため、戦後すぐに廃止されました。

しかし、現在でも、長男から、家督相続を主張されることは比較的多くのケースでみられます。

2.遺言書がある場合

長男が家督相続を主張するケースでは、「長男にすべての財産を相続させる」旨の遺言書が作成されていることも多いです。

このような場合には、下記の通り、他の相続人は長男に対して、遺言書が無効である旨を主張するか、又は遺留分の請求を行うことになります。

2-1.遺言書が無効である旨主張する

遺言書が無効である理由としては、①遺言書が偽造である②遺言書作成当時、被相続人が認知症であり遺言能力がないとの2つの主張がされることが多いです。

①の遺言書が偽造である旨の主張は、遺言書が公証役場で作成されたものでなく、自筆証書遺言である時に、主張されることが多いです。

この場合には、被相続人の筆跡との同一性、遺言書の体裁等、被相続人に遺言書作成の動機があるかや、遺言書作成に至る経緯、遺言書の保管状況や発見状況等をもとに、その遺言書が偽造であるか否かが判断されることになります。

この辺りは、「遺言書の偽造が疑われる場合の判断要素は何?」という記事で詳しく解説していますので、興味がある方は参考になさってください。

②の被相続人には遺言能力がない旨の主張は、遺言書作成当時、被相続人が認知症を患っている時に主張されることが多いです。

この場合には、認知症の程度、遺言書の内容の複雑性、被相続人に遺言書作成の動機があるかや、遺言書作成に至る経緯、年齢などをもとに、被相続人に遺言能力が認められるか否かが判断されることになります。

この辺りは、「遺言能力とは?認知症の高齢者が作成した遺言書は有効なのか。」という記事で詳しく解説していますので、興味がある方は参考になさってください。

2-2.遺留分侵害額請求を行う

もし、「長男に全財産を相続させる」との遺言書が有効であったとしても他の相続人は長男に対して、遺留分侵害額請求を行うことができます

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる、最低限度の遺産取得割合をいいます。

配偶者や子どものみが法定相続人になる場合には、遺留分の割合は2分の1となります。その割合を、各法定相続人が法定相続分に応じて取得します。

例えば、6,000万円の遺産があって、相続人が長男、長女、次男であるとします

この場合、長女や次男にも6分の1ずつの遺留分が認められます。そのため、長女や次男は、長男に対して、1,000万円ずつの遺留分の請求が可能となるのです。

但し、遺留分侵害額請求には時効があるので、気を付けましょう。

相続開始と遺留分侵害の両方の事実を知ってから、1年以内に請求しないと権利が失われてしまいます。

遺留分については、「遺留分侵害額請求をしたい方へ」との記事で詳しく解説していますので、是非参考になさってください。

3.遺言書がない場合

遺言書がない場合には、長男がいくら家督相続を主張しようが、相続人は法定相続分に応じて、遺産を取得します

長男であろうが、他の子どもであろうが、法定相続分は変わりません

そのため、他の相続人は長男に対して、まずは法定相続分が長男と他の相続人で変わらないことを説明することになります。

それで、長男が納得すれば、法定相続分に応じて、相続人が平等に遺産を取得すれば良いです。

他方、説明してもなお長男が納得しなければ、弁護士に依頼頂くのが良いと思います。弁護士がおらず、兄妹だけの話合いであれば、長男も他の兄妹を押し切れると考えがちですが、弁護士が入ると諦めることが多いからです。

もちろん、弁護士に依頼頂いたからといって、弁護士がご依頼者の意向を無視して対応することはありません、もし、ご依頼者に、全部は嫌だけど少しだけ長男に多く遺産を渡したい等のご意向があれば、そのご意向を踏まえて対応を行っていくことになります。

4.最後に

今回は、相続人である長男から家督相続を主張された場合の対処法を解説いたしました。

戦後すぐに家督相続という制度は廃止されていますが、今でも長男から家督相続の主張がされることは少なくありません。

益川総合法律事務所では、遺産相続案件に注力しています。長男から家督相続の主張をうけた方などは、是非お気軽にご相談ください。

遺産相続問題は弁護士にいつ相談すればよいの?

2023-09-24

こんにちは。

弁護士の益川教親です。

「遺産相続の問題っていつ弁護士に相談すれば良いの?」というご相談を頂くことがあります。

そこで今回は、そんな方に向けて、遺産相続問題をいつ弁護士に相談すべきかについて、お話しさせて頂きます。

その方が相続人の立場なのか、遺産を譲り渡す被相続人の立場なのかによって、弁護士に相談すべきタイミングは変わってきます。そこで、以下では、場合を分けてお話しさせて頂きます。

1.相続人の立場の方

1-1.被相続人の生前について

実は、被相続人の生前に、相続人の立場の方から、ご相談頂くことも多いです。

よくあるご相談が、「両親の相続の際に兄弟と揉めそうなんですけど、どうすればよいですか?」といったご相談になります。

ご両親とご相談頂く相続人の方の関係性から、ご両親がその相続人の方のお願いを聞いてくれそうなら、ご両親にこのような遺言書を書いて欲しいとお願いするのが良いかと思います。

それが難しそうなのであれば、弁護士に生前にご相談頂いても、中々打つべき対策がないというのが実情です。

但し、ご相談を受ける中で、私の方から、①これは事前にやっておいた方が良いですよ、とのお話しができたり、②相続が発生した際の流れ等はお伝えすることはできます。

そうすると、そのご相談者の方から、「具体的な流れも分かって、だいぶ気が楽になりました」であったり、「相続が発生した際に、依頼したい弁護士さんが見つかって良かったです」などのお言葉を頂戴することもあります。

なので、被相続人の生前であっても、相続のことが気になっている方は、その時点ですぐにご相談を頂いてもよいのかもしれません。

1-2.被相続人が亡くなった後について

この場合は、可能な限り早いタイミングで、ご相談頂くことを頂くことをお勧めいたします。早めにご相談頂くことで、今後すべきことや、打つべき対策についてお話しできるためです。

被相続人が亡くなってから、ある程度期間を空けてから、弁護士に相談した方がいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃいますが、ご相談自体は、特に期間を空けて頂く必要はございません

但し、当事務所にご依頼頂いた後に、緊急の必要がない限り、四十九日法要が終わるまでは、他の相続人に書面を送付するのは控え、それ以外の準備をさせて頂くことも多いです。

これは、他の相続人に対する書面送付が早すぎて、余計な争いを生むのを防止するためです。

もちろん、ご依頼者の方が早く書面を送ってほしいというご意向があれば、そのご意向通りに対応させて頂きます。

なので、他の相続人への書面送付時期についても、ご依頼者の方との、話合いをもとに、進めていくことになります。

なお、当然ですが、当事務所の弁護士は、ご依頼者に対する守秘義務を負っています。そのため、弁護士にご相談頂いた時期やご依頼頂いた時期が、他の相続人に漏れることはありません。

そのため、弁護士へのご相談やご依頼のタイミングが、お亡くなりになってからすぐでも、特に問題ありませんし、当職の経験上も、ご相談やご依頼のタイミングが早いことを理由に、他の相続人とトラブルになったことはありません。

2.被相続人の立場の方

ご自身が遺産を譲り渡す被相続人の立場の方は、可能な限り、早めに弁護士にご相談頂くことをお勧めいたします

なぜなら、あまり考えたくないことなのですが、遺言書作成の準備中などに、お亡くなりになる可能性もあり、その結果、相続人同士が揉めてしまう等の事態も生じ得るからです。

基本的に、被相続人の立場の方が、弁護士に御相談頂く場合には、一緒に遺言書を作成させて頂くことが多いです。

その中で、その方の望みとして、①相続人同士が揉めてほしくないのか、それとも、②ある相続人に遺産を全部渡したいのか、等を確認していくことになります。

①の相続人同士が揉めて欲しくないのであれば、他の相続人の「遺留分」という法律上最低限保障されている遺産取得割合にも配慮して、遺言書を作成する必要があります。

そして、「遺留分」に配慮するためには、その方の遺産がいくらぐらいなのか等を判断する必要がありますし、その上で弁護士とご依頼者が一緒に遺言書の内容を考えていくことになります。

②のある相続人に遺産を全部渡したいとお考えなのであれば、遺産を全て把握した上で、その遺産全てを特定の相続人に相続させる旨の遺言書を作成していくことになります。

このように、被相続人の方からしても、遺言書作成によって、叶えたい望みがあるかと思います。

しかし、万一、遺言書作成前にお亡くなりになってしまえば、その望みは一切叶えられなくなってしまいます

なので、被相続人の立場の方については、可能な限り、早く、弁護士にご相談頂きたいと考えています。

時々、「誰にどれだけ遺産をあげるか決まっていないんだけど、弁護士に相談しても良いの?」と仰る方もいますが、全く問題ありません。

そんな方も、弁護士と話をしていく中で頭が整理されて、誰にどれだけ遺産をあげるか決めていかれますので、何も決まっていなくても、ご相談ください。

但し、「誰にどれだけ遺産をあげるか」を決めて頂くのはご自身です。

これはご自身の人生の集大成の決断であり、弁護士が決められる内容ではありません。

そのため、弁護士との話の中で、最終的にはご自身でご決断頂く必要はあります。

3.最後に

今回は、「遺産相続問題は弁護士にいつ相談すればよいの?」というテーマで、お話しさせて頂きました。

基本的には、気になったタイミングですぐに弁護士にご相談頂ければと思います。

まさに「思い立ったが吉日」です。

もしかしたら、弁護士に相談をすることは、あまり気がすすまないかもしれませんが、それが大きな1歩になると信じています。

少しでも、コラムを見て頂いた方の背中を押せたのであれば、嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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