遺産分割
遺言書の偽造が疑われる場合の判断要素は何か?
亡くなった方(被相続人)の遺言書が出てきた場合、その遺言書を本当に被相続人が書いたのかが問題となることがあります。
年を取るにつれて、字体が変わってくることもありますし、従前被相続人が言っていた内容と全然違う遺言書が出てきた場合には、なおさら問題になるかと思います。
この記事では、遺言書の偽造が問題になる状況や、その際の判断要素などについて、弁護士が解説します。遺言書の偽造が問題になりそうな方は、是非参考にされて下さい。
1.遺言書の偽造が問題になるケースとは
前提として、遺言書の種類としては、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、一般的に、遺言書の偽造が問題となるのは、被相続人が自身でその全文を自書する自筆証書遺言のケースです。
というのも、公正証書遺言や秘密証書遺言では、証人が2人以上立会い、その上公証人という方も立ち会うので、被相続人がその遺言書を作成したことは確認されているからです。
一方、自筆証書遺言については、作成の際に、証人の立会いや公証人の立会いは要求されておらず、被相続人が本当にその遺言書を作成したのかが法律上担保されていません。
上記のように、自筆証書遺言については、本当に被相続人がその遺言書を作成したのかが問題になりやすいのです。
なお、上記の3つの遺言書の内容や特徴などについては、「遺言書の種類と特徴~公正証書遺言はトラブル予防に有効~」という記事でご説明していますので、気になる方は参考にされて下さい。
2.遺言書の偽造が争われた場合の判断要素
遺言書の偽造が争われた場合、以下の要素で判断していくことになります。
2-1.筆跡の同一性
まず、一番問題になってくるのは、被相続人の筆跡との同一性です。
筆跡が異なれば、被相続人がその遺言書を作成したのではないことを強く推認させることになります。
但し、実務上、筆跡が同一かを判断するのは簡単ではありません。というのも、年齢によって字体が変わる方も多いですし、日によって、字体が微妙に変わる方さえいるためです。
このように、筆跡の同一性は、遺言書が偽造かを判断する上で大きな要素にはなりますが、判断が難しいケースも存在します。
筆跡の同一性を判断する証拠としては、被相続人の日記、メモ、手紙、年賀状、被相続人が署名押印している契約書あたりが考えられます。
ご依頼頂く前に、ご相談者の方が依頼して筆跡鑑定書を取っておられることもありますが、裁判においてはあまり重要視されません。なぜなら、一方当事者が依頼する鑑定書は一方が有利になるように作成されることもあり、信用性が高くないですし、筆跡鑑定自体、科学的に確立された手法ではないとの見方もあるからです。
そのため、遺言書の偽造が争われている裁判においても、筆跡鑑定をすることはあまり多くありません。
なお、仮に筆跡鑑定を求める場合にも、一方当事者が業者に鑑定をお願いするのではなく、裁判所に鑑定人を選任してもらって、一方当事者に有利な鑑定がされる状況ではないと裁判所に分かってもらうことが重要です。
2-2.遺言書それ自体の体裁等
次に、遺言書が偽造であるかが争いとなった時には、遺言書それ自体の体裁等についても、判断要素になってきます。
例えば、遺言書の作成時期がかなり昔であるのに、最近作成したかのような綺麗な用紙の状態であったり、綺麗なインクの色合いであった場合、作成時期との兼ね合いで不自然な内容になってきます。
また、遺言書作成当時、被相続人に物忘れが多くなっていたにもかかわらず、長文で理路整然とした文章を作成していた場合や、遺言内容が複雑な内容の場合には、当時の被相続人の能力との兼ね合いで不自然な内容となります。
このように、遺言書それ自体の体裁等も、遺言書の偽造が問題になった際の判断要素になります。
2-3.遺言の動機・理由、遺言者と相続人又は受遺者との人的関係・交際状況、遺言に至る経緯等
次に問題となってくるのは、遺言の動機・理由、遺言者と相続人又は受遺者との人的関係・交際状況、遺言に至る経緯等です。
例えば、「次男に全財産を相続させる」という遺言書が問題となっている時に、遺言書作成当時、被相続人と長男は同居しており仲が良い一方、被相続人と次男が喧嘩をしていたり、疎遠であったりした場合を想定します。
このような場合に、被相続人において「次男に全財産を相続させる」との遺言書を作成する動機や理由が全くありませんし、当時の人的関係や交際状況からしても、違和感があります。また、遺言に至る経緯としても突拍子もないものとなります。
このように、遺言の動機や理由、その当時の人的関係や交際状況、遺言に至る経緯等からして、そのような遺言書を作成する理由がなかった場合には、遺言書が偽造であることを推認させる一つの要素となります。
2-4.遺言者の自書能力の存否及び程度
自筆証書遺言においては、「遺言者が、その全文、日付、及び氏名を自書」しなければなりません(民法第968条1項)。
そのため、そもそも被相続人が、遺言書作成時において、自筆で書ける能力がなければ、遺言書を被相続人が作成したものでないことを推認させることになります。
したがって、遺言書の偽造が争われた場合には、遺言者の自書能力も問題になってきます。
2-5.遺言書の保管状況や発見状況等
遺言書の偽造が問題になった場合には、遺言書の保管状況や誰が発見したのかも問題になってきます。
その遺言書を被相続人から渡されたという人がいるのであれば、遺言書を渡された状況についてその人の供述を聞くことになります。
また、その遺言書が誰にも渡されておらず、どこかから出てきたのであれば、遺言書の発見者に発見当時の状況やどこから発見されたかについて、確認することとなります。
この供述が不合理でないかも、遺言書の偽造が争いになった際には問題になってきます。
3.証明責任をどちらが負うか
遺言書が偽造であるかが争いになった場合、遺言書が偽造であると主張する側と遺言書が偽造ではない(有効である)と主張する側の、どちらがそのことを証明しなければならないかが問題となります。
この点については、最高裁判決において、遺言書が偽造ではないと主張する側が証明責任を負うとされています。
なので、遺言書が偽造であると主張している側だけでなく、遺言書が有効であると主張する側も、積極的に主張や証拠を提出していくことが必要となります。
実務上、遺言書が偽造であると主張している側は積極的に主張や証拠を出す一方、遺言書が有効であると主張する側は上記の証明責任の所在を誤解してか、あまり積極的に主張や証拠を出さないという場面もよく見るため、この辺りは注意が必要です。
なお、遺言書の有効性でよく問題になる「遺言能力」という問題については、遺言能力がない(遺言書が無効である)と主張する側が証明責任を負うため、この点で少し証明責任の所在が異なってきます。「遺言能力」という問題については、「遺言書の効力、無効になる場合をパターンごとに弁護士が解説」という記事で、詳細に解説していますので、気になる方は参考にされてください。
4.最後に
京都の益川総合法律事務所では遺産相続関係の案件に力を入れて取り組んでいます。遺言書が問題になっている方などは、是非お気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
賃借権や使用借権が存在する相続不動産(土地)の評価方法は?
土地上に賃借権や使用借権が設定されている場合、不動産はどのように評価されるのでしょうか?
遺産相続すると、遺産の「評価」が重要な課題となります。評価額が確定しないと相続税も計算できませんし、遺産分割協議も進められません。
この記事では、賃借権や使用借権が設定されている不動産(土地)の評価方法をお伝えします。
1.土地の原則的な評価方法
遺産相続の場面において、土地はどのように評価するのでしょうか?まずは原則的な評価方法を押さえておきましょう。
1-1.相続税評価の場合
土地の評価方法は、相続税評価の場合と遺産分割の場合とで異なります。
相続税評価の場合には、通常「相続税路線価」を利用します。相続税路線価とは、宅地の1㎡あたりの単価です。
基本的に「相続税路線価×面積」で、その土地の評価額を算出します。
相続税路線価の設定のないエリアでは、評価倍率を使って計算します。
「固定資産税評価額×評価倍率」で、その土地の評価額を算出できます。
1-2.遺産分割の場合
遺産分割時には、時価を使って算定します。時価とは、実際に不動産が流通する場合の価格です。固定資産評価額から時価を割り出したり、取引事例を参照したり、不動産会社に査定を依頼したり、不動産鑑定士に鑑定を依頼したりして、時価を求めるのが一般的です。
不動産の原則的な評価方法には、「相続不動産の評価方法や基準時について」というこちらの記事で詳細に解説しておりますので、参考にされてださい。
2.賃借権が設定されている土地は評価額が下がる
土地上に賃借権が設定されている場合、その土地は自用地よりも評価額が下がります。
自用地とは、賃借権などが設定されておらず自分で使用している土地のことです。
土地を他人に賃貸している場合、自分では自由に使うことができません。その分評価が下がることになります。
このとき、多くの場合、「借地権割合」という割合を使って土地評価額を算定します。
賃借権が設定されている場合の土地の評価額は以下のようになります。
- 貸地の評価額=自用地の価格×(1-借地権割合)
借地権割合はエリアによって異なります(30%~90%)が、一般的な住宅地では60~70%となるケースが多数です。
例えば、自用地としての価値が1000万円の土地で借地権割合が60%のエリアの場合、貸地の評価額は以下の通りとなります。
1000万円×(1-60%)=400万円
このように、土地に賃借権が設定されている場合、一般的に土地の評価額は下がることになります。そのため、土地を賃貸すると、相続税の節税効果が生まれることになります。
■土地上に貸家が建っている場合
土地上に被相続人の建物が建っており、当該建物を貸している場合の土地評価額についてもみてみましょう。
土地上に建物が建っている場合、借地権割合だけではなく「借家権割合」も考慮しなければなりません。
具体的な計算式は以下のとおりとなります。
- 貸家つき土地の評価額=自用地価格×(1-借地権割合×借家権割合)
借家権割合は全国一律30%です。
例えば、1000万円の土地で借地権割合が60%のエリアの場合、貸家つき土地の評価額は以下の通りとなります。
1000万円×(1-60%×30%)=820万円
土地上に建物を建てて賃貸している場合の土地評価額は、おおむね自用地の8割程度の評価額となるのが一般的です。
3.小規模宅地の特例
土地を貸付事業に提供している場合には、小規模宅地の特例を適用して評価を50%減にできる可能性があります。小規模宅地の特例とは、亡くなった人が貸していた土地などの小規模宅地について、一定の要件を満たした場合に、その評価額を減額できる税務上の制度をいいます。
貸付事業用宅地が小規模宅地の特例を受ける場合、200㎡までの部分について評価額を50%減額してもらえます。
小規模宅地の特例を適用するには、以下の要件を満たさねばなりません。
- 相続開始直前まで被相続人や同一生計の親族が土地を貸付事業に提供していた
- 相続税申告期限まで継続して貸付事業を行っている
- 相続税申告期限まで土地を保有している
- 相続開始前3年以内に貸付事業を開始した宅地等ではない(3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている)
土地を賃貸すると借地権割合や借家権割合の分、減額されるだけではなく小規模宅地の特例による減額まで受けられるので、税務上、土地の評価額を大きく下げることが可能となります。
4.使用借権が設定されている土地の場合
次に「使用借権」が設定されている土地の評価方法をみてみましょう。
使用借権とは、無償で対象物を使用できる権利です。当事者間で使用貸借契約を締結することで使用借権を設定できます。
使用借権は貸主が死亡すると相続人へ貸主の地位が引き継がれます(なお借主が死亡すると使用借権は原則として消滅しますが、建物利用のための使用借権は相続人に引き継がれる可能性があります)。
4-1.相続税評価の場合
税務上は、使用借権が設定されていても、土地の評価方法に影響は及びません。
使用借権は、原則として、貸主の都合でいつでも設定を解除できるからです。賃借権のような価値がないので、土地評価額からは減額されません。
使用借権が設定されている場合、その土地は「自用地」として評価します。
例えば、1000万円の土地に使用借権が設定されている場合、その土地の評価額は1000万円のままです。
もちろん、貸付事業用宅地としての小規模宅地の特例も利用できません(他の小規模宅地の特例を適用できる可能性はあります)。
使用借権を設定するだけでは相続税対策にはつながりにくいといえるでしょう。
4-2.遺産分割の場合
遺産分割の場合、木造や軽量鉄骨などの非堅固な建物については、原則として、土地の評価を10%下げ、その他の事情によっては20%まで土地の評価を下げている印象です。
対して、コンクリート造りなどの堅固な建物については、原則として土地の評価を20%下げ、その他の事情によっては30%まで土地の評価を下げている印象です。
但し、遺産分割の場において、このような評価減の主張がされないことも多く、一律に何か決まった指標が用いられるのではなく、事案に応じて個別的に判断されることが多いです。
5.最後に
京都の益川総合法律事務所では遺産相続案件に積極的に取り組んでいます。
土地の評価を始め、相続問題でご不明点がありましたら、お気軽にご相談ください。

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遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
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遺言書に遺産の一部のみが記載されている場合の対処方法
遺言書が遺されたとき、すべての財産の分け方について指示されているとは限りません。
一部の財産の分割方法や遺贈のみが記載されていたら、相続人としてはどのように対応すれば良いのでしょうか?
今回は、遺言書に一部の財産の分け方のみが書いてあった場合の対処方法を弁護士がお伝えします。遺言書を発見したけれども、どのように対応すればよいかわからない方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.一部の財産の分け方を指定する遺言書も有効
そもそも、一部の財産の分け方しか書いていない遺言書は有効なのでしょうか?
例えば、遺産全体としては自宅不動産とA銀行の預金、B銀行の預金、C会社の株式があったとします。その中で「自宅不動産とA銀行の預金を長男に遺贈する」と書かれており、その他の遺産については特に言及されていなかったとしましょう。
法的には、このような遺言書も有効です。遺言書の内容は、遺言者が自由に決められるものであり、必ずしもすべての遺産についての分け方を指定する必要はありません。
一部の遺産の分け方のみが書いてある内容でも有効なので、相続人は基本的にその内容に従って遺産分割や遺贈の対応を進める必要があります。
2.残りの財産は遺産分割協議で分ける必要がある
一部の財産のみの分け方が指定されている遺言書がある場合、分け方を指定されていない財産についてはどのように分ければ良いのでしょうか?
残りの財産については「遺言書がないのと同じ」になります。
つまり、相続人が自分たちで遺産分割協議を行って分け方を決めなければなりません。前提として、相続人調査や他の遺産内容の調査も必要となります。遺産分割協議が整ったら遺産分割協議書を作成し、名義変更などの対応をする必要もあります。
2-1.遺言書で指定されていない財産の分け方の流れ
遺言書で指定されていない財産の分け方の流れをまとめると、以下のとおりです。
- 相続人調査、相続財産調査
- 遺産分割協議
- 遺産分割協議書を作成する
- 名義変更や預貯金払い戻しなどの相続手続き
相続人としては、上記と遺贈を並行して行わねばなりません。
2-2.相続税が発生する可能性もある
遺贈された財産額と、分け方を指定されていなかった財産額の合計が「相続税の基礎控除」を超えると、受遺者や相続人は相続税を払わねばなりません。
3.相続人への遺贈は特別受益になる
遺言書によって相続人へ財産が遺贈されると、原則的に「特別受益」になります。
特別受益とは、特定の相続人が遺贈や贈与によって受ける利益です。
特別受益が成立すると、遺産分割協議の際に、当該利益を受けた相続人の取得分を減らす計算方法を適用できます。受益を受けた相続人がいる場合、単純に法定相続分によって遺産を分けるとかえって不公平となってしまう可能性があるからです。
実質的な公平を図るために、受遺者の取得分を減らすための計算方法を「特別受益の持戻計算」といいます。
特別受益持戻計算の具体例
例えば、遺産全体の評価額が3000万円、相続人は子ども3人、遺産のうち自宅不動産(1000万円分)が長男へ遺贈(遺言書によって贈与)されたとしましょう。この場合、残りの2000万円分については相続人らが自分たちで話し合って遺産分割しなければなりません。
長男はすでに1000万円の不動産を遺贈されているので、特別受益の持戻計算を適用できます。
具体的には、長男の遺産取得分が0円となり、次男と三男が1000万円ずつの遺産を取得する結果となります。
結果として、長男は遺贈された1000万円分の不動産を受け取り、次男と三男はそれぞれ1000万円ずつの別の遺産を受け取るので公平に遺産分割ができます。
4.持戻免除の意思表示があるかどうかで対応が変わる
特別受益の持戻計算は、すべてのケースで適用されるとは限りません。
そもそも、相続人のうち誰も「持戻計算を行うべき」と主張しなければ適用されないのです。例えば、上記の事例でも、次男や三男が主張しなければ残りの2000万円についても法定相続分に応じて分配することとなるでしょう。
また、遺言者自身の希望により、特別受益の持戻計算を免除できます。
例えば、上記の事例でも、死亡した被相続人自身が遺言書に、「特別受益の持戻計算は免除する」と記載していれば、特別受益の持戻計算は適用されません。
具体的にいうと長男は遺贈を受けた上、さらに2000万円の3分の1である666万円を相続できます。
この場合、次男と三男は666万円ずつの遺産しか受け取れず長男は1666万円分の遺産を受け取れるので不公平とも思えますが、遺言者の希望があるのでやむを得ません。
なお、特別受益の持戻免除の意思表示は遺言書以外の方法でもできます。例えば、エンディングノートなどに特別受益の持戻免除の意思表示が行われた場合であっても、それが本当に本人の書いたものであれば有効です。
5.遺言書についてのご相談はお気軽に
相続人が遺言書を発見したときには、内容に応じて適切な対応をとる必要があります。間違った対応をすると後にトラブルになったりして、不利益を受けてしまいます。迷ったときには、お気軽に京都の益川総合法律事務所までご相談ください。

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遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
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不動産が遺贈されてしまった場合の対処法
不動産が特定の相続人に遺贈された場合、他の相続人は十分な遺産を受け取れなくなってしまう可能性が高まります。
他の相続人としては、どのようにして権利を守れば良いのでしょうか?
この記事では、不動産が遺贈された場合の法的な対処方法を弁護士がお伝えします。
不公平な遺言書が遺されて納得できない方は参考にしてみてください。
1.不動産が遺贈された場合の影響
特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人には以下のような影響が及ぶ可能性が高まります。遺贈とは、遺言によって財産を特定の人へ受け継がせることです。
1-1.他の相続人の遺産取得分が減る
特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人の遺産取得分が減ってしまいます。
例えば、長男にのみ実家の土地建物が遺贈されると、遺産全体の価値は実家の分だけ減ってしまうでしょう。そうなると、他の相続人は実家を除いた遺産からしか財産を受け取れないので、結果的に取得できる遺産が減ってしまいます。
1-2.他の相続人は遺産を受け取れない可能性がある
特定の相続人に不動産が遺贈されると、他の相続人が遺産を受け取れなくなる可能性もあります。例えば、遺された遺産が実家の土地建物のみであった場合、実家の土地建物が長男に遺贈されると他の子どもは遺産を一切受け取れなくなってしまうでしょう。
このように不動産が特定の相続人へ遺贈されると他の相続人に不利益が及ぶ可能性があるので、注意が必要です。
以下では、特定の相続人へ不動産が遺贈されたとき、他の相続人として何ができるのかみてみましょう。
2.遺産分割で「特別受益の持戻計算」を行う
1つ目は、遺産分割の際に「特別受益の持戻計算」を行う対処方法です。
特別受益の持戻計算とは、特別受益を受けた相続人がいる場合にその相続人の遺産取得割合を減らす計算方法です。
特別受益とは、特定の相続人が遺贈や贈与によって受けた特別な利益であり、遺贈が行われた場合にも特別受益になります。
特別受益の持戻計算を適用すると、特別受益を受けた相続人の遺産取得分を減らして他の相続人が取得する遺産相続分が増えるので、公平に遺産分割しやすくなります。
特別受益の持戻計算免除について
特別受益の持戻計算は、常に適用できるとは限りません。
被相続人(亡くなった人)が「特別受益の持戻計算免除」の意思表示をしていた場合、特別受益の持戻計算を適用できないからです。
例えば、遺言書で「特別受益の持戻計算を免除する」と書かれていたら、遺産分割時に特別受益の持戻計算ができなくなってしまいます。20年以上連れ添った配偶者へ居住用不動産を遺贈した場合には、明示的な意思表示がなくても特別受益の持戻計算免除意思が推定されます。
その場合、以下に記載する遺留分侵害額請求を検討するなどの方法を取るしかなくなるでしょう。
また、遺産内容が遺贈された不動産しかない場合にも、特別受益の持戻計算をするまでもなく他の相続人は遺産を受け取れなくなってしまいます。その場合にも、以下でご説明する遺留分侵害額請求を検討する必要性が高くなります。
3.遺留分侵害額請求を行う
特定の相続人に不動産が遺贈された場合、他の相続人は遺贈を受けた相続人に対し、遺留分侵害額請求できる可能性があります。
遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分を金銭的に取り戻すための手続きです。
兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限の遺産取得割合である遺留分が認められます。
遺留分は遺言によっても侵害できないので、遺贈によって遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は遺留分侵害者へ遺留分侵害額請求ができます。
3-1.遺留分侵害額請求の効果
遺留分侵害額請求をすると、侵害された遺留分に相当する金銭を払ってもらえます。
なお、遺留分侵害額請求権は遺産そのものを取り戻す手続きではありません。請求しても不動産が共有になったり不動産そのものの所有権を取り戻せたりするものではないので、勘違いしないように注意しましょう。
3-2.遺留分侵害額請求の時効
遺留分侵害額請求には時効があります。基本的には「相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内」に請求者なければなりません。
1年が経過すると、時効により遺留分を取り戻せなくなってしまいます。
不動産が遺贈されて納得できないなら、早めに遺留分侵害額請求を行う判断をして、請求手続きを進めましょう。
また、遺留分侵害額請求を行う際には、確実に時効の期間内に請求した証拠を残すため、内容証明郵便を利用するようおすすめします。
4.遺言書が無効なら遺言無効確認請求を行う
遺言書に「不動産を遺贈する」が書かれていても、遺言書が無効であれば遺贈の効果は生じません。例えば、自筆証書遺言で自筆以外の部分があったり偽造変造されたりしている場合や、遺言者の意思能力が低下してから遺言書(公正証書遺言を含む)が作成された場合などには遺言書が無効になる可能性もあります。
遺言書が無効となる疑いがあるなら、遺言無効確認請求を行うのも一つの手です。調停や訴訟を行えば、遺言書が無効かどうかを法的に確認できます。
不動産が遺贈されると他の相続人の遺産取得分が減ってしまい、不公平な状況となってしまう可能性が高まります。不動産の遺贈に納得できない相続人の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
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不動産が生前贈与されていた場合の対処法
特定の相続人へ不動産が生前贈与されていたら、不動産の贈与が「特別受益」に該当する可能性があります。特別受益になる場合、「特別受益の持戻計算」によって贈与を受けた相続人の遺産取得割合が減ることになります。
また、生前贈与によって他の相続人が取得できる遺産が減ってしまった場合、「遺留分侵害額請求」によって一定額を取り戻せる可能性もあります。
この記事では、不動産が生前贈与されていた場合に他の相続人がとりうる対処方法をお伝えします。不公平な生前贈与が行われて納得できない方などは、ぜひ参考にしてください。
1.不動産の生前贈与が特別受益になるケース
不動産が生前贈与されると、その相続人に特別受益が成立する可能性が高くなります。
特別受益とは、特定の相続人が遺贈や贈与によって受けた特別な利益です。
遺贈や生前贈与が行われた場合、贈与を受けた相続人に特別受益が成立する可能性があります。
生前贈与が特別受益になるのは、その贈与が婚姻や養子縁組、生計の資本として贈与された場合です。例えば、結婚や養子縁組の際に不動産の贈与が行われた場合や、住むための家が贈与された場合などには通常、特別受益が成立すると考えて良いでしょう。
2.特別受益の持戻計算について
特定の相続人が不動産の生前贈与を受けて特別受益が成立する場合、贈与を無視して法定相続分に従って遺産分割すると不公平になってしまいます。特別受益を受けた相続人の財産取得分が多くなってしまうためです。
そこで、特別受益が成立する場合には、「特別受益の持戻計算」を行って特別受益を受けた相続人の遺産取得割合を減らすことになります。
特別受益の持戻計算を適用すると、特別受益を受けた相続人の遺産取得割合を減らして他の相続人の取得分が増えるので、公平に遺産分割しやすくなります。
3.特別受益の持戻計算を適用する方法
特別受益の持戻計算は、どのようにして適用すれば良いのでしょうか?
基本的には、遺産分割の際に、他の相続人が「特別受益の持戻計算を適用したい」と主張しなければなりません。
話し合いによって全員が以下の内容に合意できれば、特別受益を考慮して遺産分割ができます。
- 特別受益の持戻計算を適用すること
- 特別受益の持戻計算の方法(財産評価額や各自の遺産取得割合、具体的な遺産分割方法など)
贈与を受けられなかった相続人が特別受益の持戻計算をしたい場合には、遺産分割協議の際に特別受益の持戻計算を適用するよう主張しましょう。
合意できない場合には家庭裁判所で調停や審判を申し立てる必要があります。
4.不動産の生前贈与によって遺留分侵害額請求できるケース
不動産が生前贈与された場合、他の相続人の「遺留分」が侵害される可能性があります。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。
不公平な生前贈与によって遺留分すら受け取れなくなってしまった場合、他の相続人は侵害者(贈与を受けた人)に対し、遺留分侵害額請求を行って金銭で清算を求めることができます。
5.遺留分侵害額請求の対象となる贈与
生前贈与が行われても、すべての贈与が遺留分侵害額請求の対象になるわけではありません。贈与によって遺留分侵害額請求できるのは以下のような場合です。
- 死亡前1年以内の贈与
- 当事者が遺留分を侵害すると知って行った贈与
- 死亡前10年以内の特別受益に該当する贈与
不動産の生前贈与の場合、死亡前10年以内に行われたものであれば遺留分侵害額請求の対象になる可能性があります。
6.遺留分を請求できる相続人
遺留分はすべての相続人に認められるわけではありません。請求できるのは、「兄弟姉妹やその代襲相続人である甥姪以外の相続人です。つまり、以下のような相続人であれば遺留分侵害額を請求できます。
- 配偶者
- 子どもや孫、ひ孫などの直系卑属
- 親や祖父母、曾祖父母などの直系尊属
一方、兄弟姉妹やその代襲相続人である甥姪は遺留分侵害額請求できないので、遺された遺産の中から遺産分割で遺産を取得するしかありません。
7.遺留分侵害額請求は金銭を求める権利
遺留分侵害額請求は金銭を求める権利であり、遺産そのものの引き渡しを求められるものではありません。
あくまで、「遺留分侵害額」という金銭支払を請求できるだけです。
例えば、不動産が贈与されて遺留分を侵害されたとしても、不動産そのものの引き渡しを求めたり共有にしたりできません。遺留分侵害額を計算して、遺留分侵害額請求を行いましょう。
8.遺留分侵害額請求権の時効
遺留分侵害額請求権には時効があるので要注意です。「相続開始と遺留分侵害の事実」を知ってから遺留分を請求しないで1年が経過すると、時効が成立して遺留分を請求できなくなってしまいます。
不動産の生前贈与によって遺留分侵害を受けて納得できないなら、早めに遺留分侵害額請求を行いましょう。
相手と話し合っても遺留分侵害額の支払方法について合意できない場合、調停や訴訟で争う必要があります。
9.不動産が生前贈与されて納得できない場合、弁護士までご相談ください
不動産が生前贈与されると、他の相続人の遺産取得分が減ってしまう可能性があります。
そのような場合でも、特別受益の持戻計算をしたり遺留分侵害額請求を行ったりして不公平感を是正できるケースが多数です。
どのように対応するのが最適か、判断しかねる場合には弁護士までご相談ください。弁護士が遺産分割や遺留分侵害額請求の代理人となることも可能です。
京都の益川総合法律事務所では相続人さまの支援に力を入れておりますので、お気軽にご相談ください。

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独身の方(おひとり様)の遺産相続や対策方法を弁護士が解説
独身の方がお亡くなりになると、誰が遺産相続するかご存知でしょうか?将来の相続に備えて、法定相続人や法定相続人がいない場合の相続方法についても知っておきましょう。
この記事では独身の「おひとり様」の場合にどのように遺産相続が行われるのか、弁護士が解説します。独身の方はぜひ参考にしてみてください。
1.独身の方の法定相続人
独身のおひとりさまであっても、法定相続人がいれば法定相続人が遺産を相続します。
法定相続人とは、民法の定める相続人です。
独身者の法定相続人は以下のとおりです。
1-1.第1順位は子どもや孫など
独身者であっても子どもがいるケースがあります。その場合、第1順位として子どもが優先的に相続人になります。
子どもがご本人より先に死亡していて孫がいたら、孫が代襲相続によって相続人になります。孫も先に死亡していてひ孫がいたら、ひ孫が相続人になります。このように直系卑属の代襲相続は、延々と続いていきます。
1-2.第2順位は親や祖父母など
独身の方に子どもや孫などの直系卑属がいない場合には、親が第2順位の法定相続人として遺産を相続します。親が先に死亡していて祖父母が生きていたら、祖父母が相続します。
1-3.第3順位は兄弟姉妹か甥姪
お亡くなりになった方に子どもなどの直系卑属も親などの直系尊属もいない場合には、第3順位である兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹ご本人より先に死亡していて甥や姪がいたら甥姪が代襲相続人として相続します。甥姪がご本人より先に死亡していても、甥姪の子どもは相続人になりません。
2.独身の方に法定相続人がいない場合の相続方法
独身のおひとり様の場合、近親者がまったくいないケースもあるでしょう。その場合「相続財産管理人」により、以下のような順番で遺産が配分されます。相続財産管理人とは、遺産を管理する職務を担う人です。利害関係人などによって家庭裁判所で選任されます。
以下でどういった人に遺産が配分されるのか、みてみましょう。
2-1.債権者
死亡した方に支払うべき債務がある場合、まずは遺産の中から債権者への支払いが行われます。たとえば以下のような負債がある場合です。
- 借金していた
- 家賃を払っていなかった
- 税金を払っていなかった
- 水道光熱費やスマホ代を払っていなかった
2-2.特定受遺者
特定受遺者とは、遺言によって遺産のうち特定の財産を受け取る人です。遺言が遺されていて、ある人に特定の財産を受け継がせるよう指定されている場合には、遺言とおりに遺産が受遺者に受け継がれます。
独身のおひとりさまの場合、お世話になった人などに遺産を遺したい場合もあるでしょう。そういったケースでは遺言書を作成して遺贈しておくようおすすめします。
2-3.特別縁故者
特別縁故者とは、被相続人と特別に親しい関係にあった人です。債権者や受遺者への支払をしても遺産にあまりがある場合には、特別縁故者への財産分与が行われます。特別縁故者に該当するのは、以下のような人です。
- 被相続人を療養看護していた人
- 被相続人と生計を同一にしていた内縁の夫や妻
- 事実上の養子養親など
ただし、特別縁故者が財産を受け取るには、指定された期間内に家庭裁判所へ「特別縁故者への財産分与の申立て」をしなければならず、手間がかかります。お世話になった人などへ財産を譲りたい場合には、生前贈与するか遺言書を作成しておく方が良いでしょう。
2-4.財産の共有者
不動産などの財産については、他人と共有しているケースが珍しくありません。共有物件の場合、債権者も受遺者も特別縁故者もいなければ、他の共有者へ権利が引き継がれます。
2-5.国庫に帰属
財産を引き継ぐべき債権者も受遺者も特別縁故者もいない場合、最終的に財産は国のものとなります。
3.おひとりさまの相続対策
以上のように、おひとりさまが遺産相続について何の対応もしていなかった場合、最終的には遺産は国のものとなってしまいます。そういった事態を避けたい場合、遺言書を作成しておきましょう。
遺言書を作成すると、遺言書で指定したとおりに遺産を受け継がせることができるので、死後も自分の意思を実現できます。特別縁故者がいる場合でも、はじめから遺言書で近しい人を相続財産全部の「受遺者」として指定しておいたら、わざわざ相続財産管理人の選任や特別縁故者への財産分与の申立てをさせずに済みます。
3-1.法定相続人がいても遺言書は必要
法定相続人がいる場合でも、遺言書を作成しておく必要性は高いといえます。独身の方に子どもも親もいない場合、兄弟姉妹やその子どもである甥姪に遺産が引き継がれるためです。普段かかわりのない遠縁の親族に遺産が引き継がれるのを望まないなら、遺言によって近しい人へ遺産を遺しましょう。
3-2.遺言執行者を指定する
お一人様が遺言書を作成する際には、必ず遺言執行者をつけておくようおすすめします。遺言執行者がいないと遺言内容を実現する人がおらず、手続きが滞ってしまう可能性が高いからです。遺言書によって信頼できる人を指定しておきましょう。
4.相続対策は弁護士までご相談ください
京都の益川総合法律事務所では相続対策に力を入れて取り組んでいます。遺言書の作成や遺言執行者の就任も積極的にお引き受けいたします。独身の方で相続が気になっている場合、お気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
お悩みの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
遺産分割しない、できない場合のデメリットと対処方法
「いつまでも遺産分割しなかった場合、どういった問題が生じるのでしょうか?」
といったご質問を受けるケースがあります。
遺産分割そのものには期限がありませんが、放置しておくと相続税の控除を受けられなくなったり、遺産の名義変更や活用ができなかったりする不利益が及ぶ可能性があります。
この記事では、遺産分割をしないデメリットやすぐに遺産分割できない場合の対処方法をお伝えしますので、これから遺産分割する方はぜひ参考にしてみてください。
1.遺産分割できない場合のデメリット
遺産分割ができないと、以下のようなデメリットが発生します。
- 遺産の名義変更や活用ができない
- 遺産が失われる可能性がある
- 相続税の控除を受けられない
- さらに相続が起こって混乱する
以下で、それぞれについてみてみましょう。
1-1.遺産の名義変更や活用ができない
遺産分割ができないと、遺産の名義変更や活用ができません。
不動産や株式などがいつまでも死亡した被相続人名義のままになってしまい、相続人たちが不動産を賃貸したり売却したりするのも難しくなります。
不動産などの遺産は相続人全員の共有になりますが、共有不動産の場合には共有者の同意がないと活用や処分ができないためです。
結果として、遺産が放置されてしまうケースも少なくありません。活用していなくても不動産であれば固定資産税などの負担は生じるので、デメリットばかりが強調されてしまうでしょう。
1-2.遺産が失われる可能性がある
遺産分割をせずに財産を放置すると、遺産が失われる可能性があります。
例えば、銀行預金には時効があり、請求できるのを知って5年間放置したら時効が成立してしまいます。また、10年放置すると「休眠口座」扱いとなり、公益事業などに預金が使われてしまう可能性もあります。
株式の場合、5年以上保有者が不明な場合には会社が株式買取請求できると規定されています。
以上のように、長期にわたって遺産を放置していると、権利そのものが失われるリスクがあることに注意が必要です。
1-3.相続税の控除を受けられない
遺産分割をせずに放置すると、相続税の控除を受けられないリスクも発生します。
相続税には「配偶者控除」や「小規模宅地の特例」といった控除制度が用意されており、適用すれば税額を低く抑えられます。
ところが、相続税の申告時までに遺産分割できていなければ、こういった控除を適用できません。結果的に相続税額が上がってしまうリスクが生じるのです。
1-4.重ねて相続が起こって混乱する
遺産分割をせずに放置していると、さらに相続が重なって起こり混乱が生じる可能性もあります。たとえば祖父の遺産分割をしないうちに父が亡くなって2代分の相続手続きが必要になる場合などです。
複数の遺産相続が重なると手続きが複雑になる上、相続人の人数も増えてそれぞれの関係は希薄になるので、遺産分割に難航する傾向があります。結果的に遺産分割が行われずに放置され、さらに相続が発生する、という負の連鎖が生じる可能性もあります。
2.遺産分割できていないときの対処方法
相続税の申告期限までに遺産分割できていない場合でも、後で控除を適用してもらうための制度が用意されています。
以下で、相続税の申告期限までに遺産分割できていない場合の対処方法をお伝えします。
2-1.「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する
相続税の申告期限までに遺産分割できない場合、いったん法定相続分に応じて相続税を申告する必要があります。
その際「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を税務署へ提出しましょう。これを提出しておけば、後に遺産分割が整ったときに「相続税の更正請求」ができます。
更正請求をすると、相続税の還付を受けられます。その際には配偶者控除や小規模宅地の特例を適用できるので、税額を抑えられるでしょう。
2-2.3年以内に遺産分割が成立しない場合の対処方法
「申告期限後3年以内の分割見込書」によって相続税控除や特例を適用するには、申告期限後3年以内に遺産分割が成立しなければなりません。
ただ、事案によっては3年以内に遺産分割できない場合もあるでしょう。
そういったケースでは、相続税の申告期限から3年が経過してから2か月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を税務署へ提出しましょう。そうすれば、「遺産分割できない事情」が止んでから4か月以内に申告を行うことにより、配偶者控除や小規模宅地の特例などの優遇措置を受けられます。
3.早期に遺産分割を成立させるための工夫
早期に遺産分割を成立させるには、どうしたら良いのでしょうか?
自分たちで話し合ってもどうしても早めに遺産分割するのが難しければ、弁護士に相談しましょう。弁護士が間に入れば相続人同士で直接話さなくて良いので、お互いに感情を抑えて話し合いができます。また弁護士は法律に詳しいので、当事者がどのように遺産を分ければ良いか判断しにくい場合でも、法律的に妥当かつ公平な分け方を提案できます。
さらに、弁護士には面倒な相続手続き全般も任せられます。手間を省いてスムーズに相続手続きできることも大きなメリットといえるでしょう。
京都の益川総合法律事務所では、遺産分割案件に力を入れて取り組んでいます。遺産分割がなかなか進まず困っている方がおられましたらお気軽にご相談ください。

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共同相続した不動産を分割する方法
不動産を相続すると、遺産分割協議を行う際に誰か1人の相続人が相続するのではなく、相続人全員の「共有」にしてしまうケースが少なくありません。共有状態のままではデメリットが大きいので、できるだけ早めに分割するようおすすめします。
この記事では相続不動産の共有とはどういった状態なのか、共有不動産を分割する方法をお伝えします。
他の相続人と共有している不動産を分割して分け合いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.相続した不動産を共有する場合とは
まずは共有とはどういった状態なのか、みてみましょう。
1-1.共有とは
共有とは、複数の人が1つのものを共同所有している状態です。
共有していると、各共有者には「持分」という割合的な権利が認められます。そこで共有する人のことを「共有持分権者」といいます。
共有されている場合、対象物の管理や処分などは共有持分権者であってもが勝手に行えません。たとえば、共有物を売却するには共有持分権者全員の合意が必要です。
1-2.相続した不動産が共有になる場合
遺産相続が発生すると、相続不動産が共有になる場面が多々あります。
相続人が複数の場合、所有者が死亡すると不動産は被相続人の死亡と同時に相続人全員の間で共有されます。共有状態を解消するには、遺産分割協議で誰がどのように相続するのか決めなければなりません。
また、遺産分割協議でも1人の相続人を決められず、全員の共有にしてしまうケースがあります。この場合、「共有物分割請求」をしない限り不動産の共有状態が続いてしまいます。
2.不動産を共有するデメリット、リスク
不動産を共有していると、以下のようなデメリットやリスクが発生します。
2-1.他の相続人の合意がないと管理や処分ができない
1つは、他の相続人の同意がない限り管理や処分ができないことです。大規模修繕や売却、抵当権の設定などを行うには他の相続人全員の同意が必要です。相続人が多数になったり仲が悪かったりすると、同意をとるのは難しくなるでしょう。
そのため、円滑に活用や売却できず、放置されてしまう共有不動産も少なくありません。
2-2.固定資産税の清算でもめる可能性がある
共有不動産の場合、固定資産税はそれぞれの共有持分権者が持分割合に応じて負担しなければなりません。通常は代表者が一括して支払を行い、後で内部的に清算します。
ところが、清算に協力しない共有持分権者がいると、もめごとが発生してしまいます。
2-3.1人の相続人が使用してもめる可能性がある
共有持分権者はそれぞれが単独で共有物件を利用できます。
ただし、利用者は他の共有持分権者へ利用料の支払をしなければなりません。
利用料を払わずに単独使用する相続人がいると、もめごとの種になってしまいます。
2-4.さらに相続が起こって権利関係が混乱する可能性がある
不動産を共有している場合においてさらに相続が起こると、権利者が増えて権利関係が複雑になってしまいます。共有持分権者間でお互いに面識もないため、管理や処分がより難しくなってしまうケースも少なくありません。
3.不動産の共有状態を解消する方法
不動産を共有していると何かと不都合があるので、早めに分割するようおすすめします。
以下では、不動産の共有状態を解消する方法をパターン別にお伝えします。
3-1.遺産分割協議前の場合
遺産分割協議前の場合には、まずは遺産分割協議を行いましょう。
以下の3種類のうち1つの分割方法を選んで分割すれば、不動産の共有状態を解消できます。
①現物分割
不動産を誰か1人がそのまま相続する方法です。土地を分筆してそれぞれの相続人が取得する方法もあります。
②代償分割
誰か1人の相続人が不動産を相続し、他の相続人へ代償金を払って清算する方法です。
③換価分割
不動産を売却して売却金を相続人間で分け合う方法です。
3-2.遺産分割後の場合
遺産分割後の場合には、共有物分割請求を行って共有不動産を分割する必要があります。
共有物分割請求とは、共有となっているものを分割するための手続きです。基本的に各共有持分権者はいつでも共有物分割請求ができます。
■共有物分割の方法
①現物分割
共有不動産を物理的に分ける方法です。土地を分筆して分ける場合も含まれます。
②価格賠償
誰か1人が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を払って清算する方法です。
③換価分割
不動産を売却して売却金を持分割合に応じて分け合う方法です。
3-3.共有物分割請求の流れ
①話し合う
相続した不動産を分け合うために共有物分割請求をしたい場合、まずは当事者同士で話し合いましょう。自分の持分を買い取ってもらうか、他の共有持分権者の持分を全部買い取れば、不動産の共有状態から脱却できます。売却して清算してもかまいません。
②場合により、共有物分割調停を申し立てる
話し合っても合意できず解決できない場合には、裁判所で共有物分割調停を申し立てる方法があります。調停では専門知識を持った調停委員が共有物分割の話し合いを仲介してくれます。合意ができれば合意した内容に従って共有不動産を分割できます。
なお、共有物分割においては訴訟前の「話し合い」は必須ですが、調停は必須ではありません。
調停をしても合意に見込みがないなら、協議後にすぐに次のステップの訴訟に移行してもかまいません。
③共有物分割訴訟を提起する
話し合いや調停を行っても合意できない場合、裁判所で共有物分割訴訟を提起しましょう。
訴訟では、裁判所が共有不動産の分割方法を決定してくれます。
4.最後に
京都の益川総合法律事務所では、不動産や相続案件に力を入れて取り組んでいます。お気軽にご相談ください。

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亡くなった人を介護していたら遺産相続に影響する?~寄与分と特別寄与料について~
亡くなった方を献身的に介護した親族がいる場合、その人が相続人なら「寄与分」、相続人でない親族なら「特別寄与料」の請求が認められる可能性があります。
寄与分と特別寄与料はよく似ていますが全く異なる制度なので、それぞれ認められる人や請求方法の違いなど、正しく理解しておきましょう。
この記事では、亡くなった人を介護していた親族がいることが、遺産相続にどのように影響するのかについて解説します。
1.相続人が介護したら寄与分が認められる可能性がある
相続人が被相続人を介護した場合、その相続人には「寄与分」が認められる可能性があります。
寄与分とは、遺産の形成や維持に貢献した相続人がいる場合、その相続人に認められる多めの遺産取得割合です。遺産の維持や形成に特別の貢献をした相続人には寄与分が認められ、遺産分割における遺産の取得割合が増えます。
相続人が被相続人を介護すると、本来なら頼まねばならなかった介護サービスを利用しなくて済むでしょう。
すると、遺産の維持や形成に貢献したといいうるので、介護した相続人に寄与分が認められる可能性があります。
1-1.寄与分の主張方法
寄与分を主張する場合、該当する相続人は遺産分割協議の中で主張しなければなりません。
遺産分割協議の場で他の相続人全員に向けて介護による寄与分を主張し、認められれば寄与分を加味して増額された遺産を受け取れます。
1-2.寄与分を主張する期限
2023年3月までは、遺産分割における寄与分の主張に期限はありません。しかし、2023年4月からは民法が改正され、基本的に相続開始から10年間しか主張できなくなります。
寄与分を認めてもらいたい場合には、早めに遺産分割協議を行って遺産を分ける方が良いでしょう。
2.相続人でなくても介護した親族には特別寄与料が認められる可能性がある
寄与分が認められるのは相続人のみです。
相続人以外の親族が被相続人を介護しても、その親族は寄与分を受け取れません。(ただし、相続人の妻や娘などの親族が介護した場合、相続人の寄与とみなして相続人に寄与分が認められる可能性はあります。)
例えば、長男の嫁や孫、甥姪などが被相続人を介護しても、本人は遺産を一切受け取れません。
それでは介護した親族が報われないので、法改正によってそういった親族に「特別寄与料」が認められるようになりました。
2-1.特別寄与料とは
特別寄与料とは、介護や事業の手伝いによって、被相続人の遺産の維持や形成に特別の貢献をした親族に認められる金銭請求権です。
相続人でなくても、被相続人を献身的に介護して遺産の維持や形成に貢献した一定範囲の親族には、「特別寄与料」が認められます。すると、その親族は、被相続人の死後に相続人へ「特別寄与料」というお金を請求できます。
特別寄与料を請求しても遺産そのものは受け取れませんが、金銭的な支払を受けられるメリットがあります。
2-2.特別寄与料が認められる親族の範囲
介護したとしても、すべての人に特別寄与料が認められるわけではありません。
特別寄与料が認められるのは、以下の範囲の「親族」に限られます。
- 配偶者
- 6親等以内の血族
- 3親等以内の姻族
血族とは自分と血縁関係のある親族、姻族とは配偶者と血縁関係のある親族です。
例えば、長男の嫁や甥姪、孫などには特別寄与料が認められる可能性があります。
2-3.親族でも特別寄与料を請求できない場合
ただし、上記の親族の中でも以下の人は特別寄与料を請求できません。
- 相続放棄した人
- 相続欠格者
- 相続廃除された人
- 相続人
2-4.特別寄与料を請求する方法
特別寄与料を請求するには、請求者が相続人へ特別寄与料の支払を求める必要があります。
遺産分割の中ではなく、相続開始後に直接相続人へ請求します。相続人は法定相続分に応じて特別寄与料を負担します。
話し合って特別寄与料の支払について合意できれば、その合意内容に従って特別寄与料が支払われます。
話し合いができない場合、請求者は家庭裁判所で「特別の寄与に関する処分調停(審判)」を申し立てる必要があります。
すると、裁判所が「そもそも特別寄与料が認められるか」、また「認められるとすれば特別寄与料の金額」を定めてくれます。
2-5.特別寄与料を請求できる期間
特別寄与料は以下のうち、早い方の時期までしか請求できません。
- 相続開始と相続人を知った日から6か月を経過したとき
- 相続開始から1年を経過したとき
遺産分割の中で主張する寄与分とは違い、特別寄与料を請求できる期間は短期です。
請求したい場合には、早めに対応する必要があるといえるでしょう。
3.寄与分、特別寄与料はトラブルのもとになりやすい
寄与分や特別寄与料を請求する相続人がいると、トラブルになりやすいので注意しましょう。
主張された相続人が寄与を否定して支払を拒んだり、金額に折り合いがつかないケースが多いからです。
寄与分や特別寄与料を請求する場合又は請求を受けた場合には、弁護士に相談しておいた方が良いです。
もめてしまったときには早めに弁護士へ協議や調停、審判などの手続きを依頼しましょう。
4.最後に
京都の益川総合法律事務所では相続問題に積極的に取り組んでいます。
相続問題でお困りの際にはお気軽にご相談ください。

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葬儀代を遺産から支払える?控除できる費用とできない費用についても解説
故人の葬儀を出す場合、遺産から葬儀費用を支出しても良いのでしょうか?
結論的に、遺産から葬儀費用を支払えることが多いです。ただし、すべての費用が控除対象になるわけではありません。
この記事では、そもそも葬儀代を遺産から支払えるのか、また遺産から控除できる範囲などを京都の弁護士が解説します。
親族が死亡して葬儀を出そうとしている方や、すでに葬儀を行った方はぜひ参考にしてみてください。
1.葬儀代を支払う人
そもそも葬儀代は誰が支払うべきものなのでしょうか?
法律上、葬儀代を負担すべき人に明確なルールはありません。一般的には故人の配偶者や子どもが喪主となって葬儀を主宰し、葬儀費用を払うケースが多いでしょう。
ただ、喪主が葬儀費用を払ったとしても、自腹を切るとは限りません。
一時的に立て替えたとしても、以下のような費用から補填するケースが多数です。
- 香典
葬儀を出すと香典が集まるケースが多いでしょう。香典は遺産ではなく喪主の個人財産になり、喪主が自主的に香典を葬儀費用に充てるケースが多数です。
- 遺産
香典が不足する場合、遺産から葬儀費用を出すケースが多数となっています。
なお遺産によっても葬儀費用を払えない場合、相続人が等分で負担する場合があります。その場合、喪主が立て替えた費用を後で各相続人へ請求することになります。
2.葬儀代を遺産から払っても構わない
「葬儀代を遺産から支払っても良いのだろうか?」
と疑問をもつ方がおられます。
結論的に、葬儀代は遺産から支払ってかまいません。
法律上も問題ありませんし、税制上も葬儀代を支払った場合には相続税控除が認められています。
預金の仮払い制度を利用して出金したお金で葬儀代を払っても良いですし、喪主が葬儀代を一時的に立て替えた場合には後になって遺産から充当しても問題ないといえるでしょう。
但し、後に他の相続人と揉めることもあるので、事前に他の相続人からの了解を取っておかれた方がよいです。
3.葬儀代は遺産から差し引きできる
葬儀代を遺産から払った場合、遺産分割や相続税申告の際に控除ができます。
3-1.遺産分割の際に控除する方法
遺産分割を行う場合、遺産総額から葬儀代を差し引いた金額が遺産分割の対象になります。
例えば、遺産が1000万円で葬儀費用が100万円かかった場合、残り900万円が遺産分割の対象です。子ども3人が相続する場合、それぞれが300万円ずつの遺産を取得することになります。
3-2.相続税の場合
相続税の場合、遺産総額から葬儀代を差し引いた金額から基礎控除や債務を引いた金額が課税対象遺産となります。
例えば、遺産が5000万円で葬儀費用が200万円、相続人の数が3人、負債がない場合を考えてみましょう。
この場合の課税対象遺産額は5000万円-200万円-4800万円=0円です。
この事案では課税対象遺産額が0円になるので、相続税はかかりません。-
3-3.遺産から差し引きできる葬儀代
葬儀代を遺産から差し引けるとはいえ、すべての費用を控除できるわけではありません。
差し引きが認められるのは以下のような費用です。
- 死体の捜索や遺骨運搬にかかった費用
- 遺体や遺骨の回送費用
- 葬式や葬送の費用(葬儀社へ払った費用など)
- 火葬や埋葬、納骨の費用
- お通夜など葬式の前後に必要な行事などにかかった費用
- 葬儀の際、僧侶などへ読経料として払った費用
3-4.遺産から差し引きできない葬儀代
以下のような費用は遺産からの差し引きができません。
- 香典返し必要となった費用
- 墓石や墓地購入費用、墓地を借りる費用
- 初七日や四十九日法要などの費用
- 遺体の解剖や裁判における特別な処置にかかった費用
4.葬儀代を建て替える場合の注意点
喪主となって葬儀代を立て替える場合には、以下のような点に注意しましょう。
4-1.領収証をとっておく
葬儀費用を立て替えるなら、必ず支払いの領収証を取っておきましょう。後になって遺産から差し引く際、他の相続人から「本当にそんなにかかったのか」などと追及される可能性があるためです。
読経代など領収証の出ないものについては、メモを残しておきましょう。
4-2.預金の仮払い制度を利用する
葬儀代を立て替えるとき、手元資金を使いたくない方もいらっしゃいます。その場合には預金の仮払い制度を利用しましょう。仮払い制度を利用すると、1つの銀行から法定相続分の3分の1または150万円の低い方の金額まで出金できます。
これを葬儀代に充てると良いでしょう。
5.相続放棄した場合
遺産相続したくないので相続放棄する方もおられます。相続放棄する場合には遺産に手を付けてはなりません。遺産の内容となっている預金などを使うと相続放棄できなくなってしまうからです。
では、相続放棄する場合には遺産から葬儀代を払ってはいけないのでしょうか?
そういうわけではありません。
相続放棄しても葬儀代については遺産から支払っても良いことになっています。
但し、遺産から差し引く葬儀代の金額等によっては、相続放棄ができなくなってしまうので、遺産から葬儀代を支払う際には、弁護士に相談し、慎重に検討された方がよいです。
6.最後に
京都の益川総合法律事務所では、遺産相続案件に力を入れて取り組んでいます。遺産の分け方・管理方法などに不安のある方は、お気軽にご相談ください。

当事務所は、1983年創業の老舗法律事務所です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成など、遺産相続案件に強い法律事務所であると自負しております。
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