遺言書作成

内縁の妻や夫、連れ子、離婚した時の子どもに相続権はある?京都の弁護士が解説!

2022-09-02
  • 内縁の妻には相続権がないのでしょうか?遺産を受け取れないのですか?
  • 連れ子は親の遺産を相続できないのですか?相続するにはどうしたら良いでしょうか?
  • 離婚した場合、子どもは親の遺産を相続できますか?その場合どのような手続きをとれば良いのでしょうか?

こういったご相談を受けるケースがよくあります。

今回は内縁の夫や妻、連れ子や離婚前の子どもの相続権について、京都の弁護士が解説します。

相続権のない人に相続させる方法や、相続人に相続させたくない方法についてもご説明しますので、お悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

1.内縁の夫や妻の相続権

まずは内縁の夫や妻に相続権が認められるのか、みていきましょう。

1-1.内縁関係とは

内縁関係とは、婚姻届を提出していない事実上の夫婦関係を意味します。

婚姻届を提出していないので、夫婦であっても名字も戸籍も異なります。

ただし婚姻して夫婦共同生活をする意思を持ち、実際に夫婦として生活している実態があるので、一定程度までは法律上の「夫婦」としての保護を受けます。

一方、相続に関しては、内縁の夫婦に権利が認められません。

内縁関係の場合、パートナーが死亡しても一切遺産相続ができないのです。たとえばパートナーに子どもがいると、遺産はすべて子どもに相続されてしまいます。

内縁の配偶者は家も預貯金も相続できず、家を退去しなければならない可能性もあります。

1-2.内縁の夫や妻へ相続させる方法

内縁のパートナーへ相続させるには、「遺言書」を作成しましょう。

遺言書があれば、相続権のない人への「遺贈」ができるからです。たとえば自宅不動産や預貯金などを内縁の夫や妻へ遺贈しておけば、他に相続人がいても内縁の配偶者へ一定の遺産を遺せます。

ただし、子どもなどの相続人には「遺留分」が認められます。

すべての遺産を内縁の配偶者へ遺贈すると、子どもから内縁の配偶者へ「遺留分侵害額請求」が行われてトラブルになってしまうリスクも生じます。

内縁のパートナーへ財産を遺言によって遺贈する場合、子どもなどの遺留分権利者にも一定の資産を相続させる内容にするのが良いでしょう。

2.連れ子の相続権

次に「連れ子」の相続権についてご説明します。連れ子とは、結婚相手の前の配偶者との間の子どもを意味します。

例えば、AさんがBさんと結婚するとき、Bさんが前の夫との子どもの親権者になっているとしましょう。この場合、AさんにとってBさんの子どもは連れ子です。

連れ子は自分と直接の血のつながりはないけれど、結婚相手が親権者となっているので一緒に暮らすようになり、自分の子どものように可愛がる方も多数います。

ただし、連れ子には基本的に相続権がありません。あくまで結婚相手の子どもであり、自分とは親子関係がないからです。何の対応もしなければ連れ子に遺産を受け継がせることができません。

結婚後に実子ができていれば、実子にすべての財産が引き継がれてしまい、連れ子が不公平と感じる可能性もあります。

連れ子へ相続させる方法

連れ子へ遺産を相続させる方法は以下の2つです。

■養子縁組をする

連れ子と養子縁組をすると、連れ子とも法律上の親子関係ができます。すると連れ子は「子ども」として第一順位の優先的な遺産相続権を取得します。

実子がいる場合でも実子と同様の遺産相続権を取得できるので、公平に遺産相続できるでしょう。

この場合、実子と養子が話し合って遺産分割の方法を決定する必要があります。

■遺言書を作成する

2つ目の方法は遺言です。たとえば実子がいる場合でも、連れ子と実子に同等の遺産を遺す内容の遺言をしておけば不満は生じにくいでしょう。

実子と連れ子の取得割合を指定したり、特定の遺産を遺贈したりもできます。

3.離婚前の子どもの相続権

ご相談の多い3パターン目として、離婚前の子どもの相続権についてもみておきましょう。

離婚前の子どもとは、前婚の配偶者との間の子どもです。

離婚して親権者にならなかった場合、子どもとは没交渉となるケースもあります。そんなときでも子どもには相続権が認められるのでしょうか?

法律的に、婚姻時に生まれた子どもには基本的に相続権が認められます。その後に親が離婚したとしても子どもは相続権を失いません。特別な手続きを経なくても、親が死亡したら子どもは相続人になります。

親権者にならなかった親が再婚していたら、離婚前の子どもは親の新しい家族(再婚相手や子どもなど)と遺産分割協議を行って遺産分割方法を決定しなければなりません。

■離婚前の子どもに相続させない方法

離婚前の子どもに相続させたくない場合、やはり遺言書が役立ちます。

遺言で「離婚前の子どもには相続させない」「遺産はすべて現在の家族へ相続させる」旨の内容を指定しておけば、離婚前の子どもは相続できません。

ただし、遺留分を侵害すると遺留分侵害額請求が起こる可能性もあるので、一定の遺産は相続させるのが良いでしょう。

4.最後に

京都の益川総合法律事務所では遺産相続のサポートに力を入れて取り組んでいます。お悩みごとがありましたら、お気軽にご相談ください。

結婚していない人や子どもがいない夫婦の相続について

2022-08-24

結婚していない方や子どもがいないご夫婦の場合、特に相続対策をしておく必要性が高くなります。

例えば、子どものいないご夫婦の場合、一方が死亡すると配偶者と親や兄弟姉妹が遺産分割トラブルに巻き込まれるケースが少なくありません。

今回は結婚していない方、子どものいないご夫婦の相続対策方法について、京都の弁護士が解説します。ぜひ参考にしてみてください。

1.結婚していない人の相続

まずは、結婚しておらず子どもがいない方の相続についてみていきましょう。

1-1.結婚していない人の相続人

一度も結婚したことがなく子どものいない方の場合、以下の人が優先的に遺産を相続します。

①親や祖父母などの直系尊属

法律上、第1順位の相続人は子どもですが、子どもがいないので第2順位の親が相続人となります。親が死亡していて祖父母が存命の場合には祖父母が相続します。祖父母も死亡していて曽祖父母がいれば曽祖父母が相続人になります。

このように、親や祖父母などの「直接、上に遡っていく親族」を「直系尊属」と言います。

②兄弟姉妹または甥姪

親や祖父母などの直系尊属がいない場合、第3順位の兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が先に死亡していて、その子どもである甥姪がいる場合には、甥姪が代襲相続人として相続します。

なお、甥姪の子どもには相続権がありません。

③親も兄弟姉妹もいない場合には国庫に帰属

親も兄弟姉妹もおらず「相続人がいない」ケースでは、遺産は最終的に国のものとなります。

1-2.結婚していない人の相続対策

①遺言書を作成する

結婚していない方が相続に備えるには、遺言書が必須です。遺言書がないと、ほとんど交流のなかった甥姪などに相続されてしまうケースが少なくありません。

遺言書を作成すれば、自分の希望通りに遺産分割方法を指定できますし、相続権のない人にも遺贈できます。希望を叶えやすく遺産分割トラブルも防止できるメリットがあります。

②任意後見契約を利用する

子どものいない方の場合、老後に認知症になったときの財産管理も心配でしょう。

この点については、信頼できる専門家と任意後見契約を締結されるようおすすめします。

任意後見契約を締結しておけば、自分で財産管理できなくなったときに後見人が適切に管理してくれるので安心です。

当事務所の弁護士も任意後見人への就任を承っていますので、お気軽にご相談ください。

2.子どものいないご夫婦の相続

次に子どものいないご夫婦の場合の相続についてみていきましょう。

2-1.相続人になる人

①配偶者は常に相続人になる

配偶者は常に相続人になります。親族が配偶者しかいなければ、配偶者が全部の遺産を相続できます。

一方、親や兄弟姉妹が生きていれば、配偶者と親や兄弟姉妹の共同相続となります。この場合、遺産分割トラブルが起こりやすいので対応に注意が必要です。

②親などの直系尊属

死亡した人の親や祖父母などの直系尊属が生きていれば配偶者と親や祖父母などが共同相続人となります。この場合の法定相続分は、配偶者が3分の2、親や祖父母などが3分の1です。

③兄弟姉妹と甥姪

親や祖父母などの直系尊属はいないけれども兄弟姉妹や甥姪がいる場合、配偶者と兄弟姉妹(甥姪)が共同相続人となります。

この場合の法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹や甥姪が4分の1となります。

2-2.子どものいないご夫婦の相続では遺産分割トラブルが多い

子どものいないご夫婦の相続では、「配偶者と親」「配偶者と兄弟姉妹」が共同相続人となるケースが多々あります。

この場合、配偶者と親や兄弟姉妹が遺産分割協議を進めなければなりません。両者の仲が良くなければ意見が合わず、トラブルになる可能性があります。

子どもがいないご夫婦の場合にも、遺言書によって相続対策しておく必要性が極めて高いといえるでしょう。

たとえば、配偶者にすべての遺産を相続させる内容の遺言書があれば、配偶者は親や兄弟姉妹と遺産分割協議をする必要がありません。相続トラブルの防止に役立ちます。

ただし、親や祖父母などの直系尊属には「遺留分」が認められます。遺言や贈与によって遺留分を侵害すると遺留分侵害額請求が起こってかえってトラブルのもとになるケースが少なくありません。

親や祖父母のいる方の場合、そういった相続人へ遺留分相当額を相続させる内容の遺言書にしておくのが得策です。

なお、兄弟姉妹や甥姪には遺留分がありません。配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になるケースでは、すべての遺産を配偶者へ遺しても大きな問題はないでしょう。

3.相続人の立場になったら弁護士までご相談を

結婚していないおひとりさまであっても法定相続人がいるケースが少なくありません。

子どものいないご夫婦の場合、パートナーが死亡して突然義理の親や義理の兄弟姉妹と遺産分割協議を行わねばならなくなってトラブルに巻き込まれるケースが多々あります。

相続人になって困ったときには、弁護士までご相談ください。親身になってアドバイスさせていただきますし、遺産分割協議の代理人なども努めさせていただきます。

京都の益川総合法律事務所では遺産相続に力を入れていますので、まずはお気軽にご相談ください。

中小企業の経営を引き継がせる際に注意すべき7つのポイント

2022-08-03

中小企業の経営を後継者へ引き継がせる際には、注意深く進めないと失敗する可能性が高くなります。

  • 後継者へ必要な会社株式を承継させられず他の親族へ分散してしまった
  • 後継者以外の相続人が遺留分侵害額請求をした
  • 高額な相続税がかかって後継者の負担となった
  • 経営の資質のない後継者を選んでしまった
  • 事業承継が間に合わず、後継者が育つ前に先代が倒れてしまった

上記のような事態が発生しないため、正しい対処方法を知っておきましょう。

今回は事業承継を円滑に進めるためのポイントを7つ、京都の弁護士がお伝えします。

1.後継者へ必要な資産を承継させる

事業承継を成功させるには、後継者へ経営に必要な資産を確実に引き継がせなければなりません。

具体的には「会社株式」と「事業用の資産」が重要です。

会社株式が他の相続人に分散してしまうと、経営に口出しをされて後継者による事業運営が難しくなってしまうケースも多々あります。

後継者へ資産を集中させるには、生前贈与と遺言が効果的です。

贈与税の控除や減額制度を用いて資産を承継させるとともに、後継者へ必要な遺産を相続させる遺言書を作成しておきましょう。

2.公正証書遺言を作成する

事業承継対策で遺言書を作成する際には、公正証書遺言を利用しましょう。

自己判断で自筆証書遺言を作成すると、無効になったり発見されなかったりするリスクが高くなるためです。

法務局に預ける制度を利用しても、遺言書の要式不備があるかどうかまで確認してもらえるわけではありません。無効になるリスクが高いままです。

確実に遺言書の効果を発生させて後継者へ遺産を受け継がせるため、公正証書遺言を作成しましょう。弁護士に遺言書作成手続きを委任するとより安心です。

3.遺留分対策をする

事業経営者の相続では、遺留分対策も必須です。

遺留分とは、子どもなどの法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合をいいます。

遺言や生前贈与で後継者以外の相続人の遺留分を侵害したら、権利者が後継者へ遺留分侵害額請求を行ってトラブルになる可能性があります。

遺留分対策としては、生前に推定相続人と合意することで請求を封じられるケースもありますし、遺言や生前贈与の際に遺留分を侵害しないよう配慮する方法も効果的です。

状況に応じた対策方法をとるため、弁護士までご相談ください。

4.相続税の節税対策

事業承継では、高額な相続税が発生するケースが多々あります。

特に中小企業の株式を評価すると、ご本人たちが考えている以上に高額になる事例が多いので注意しなければなりません。

先代の生前に現預金を不動産に替える、所有している不動産を賃貸に出す、孫養子をとる、後継者へ生前贈与するなどさまざまな節税方法があるので、状況に合った方法を利用しましょう。

5.納税資金の準備

後継者が相続税を払えるように、納税資金を準備する必要もあります。

特に株式や事業用財産など換金しにくい資産を引き継がせた場合、相続税は高額なのに現金がなくて相続税を払えない事態が生じるリスクが発生しやすく注意が必要です。

納税資金準備方法として役に立つのが生命保険です。相続発生時に後継者へ高額な保険金を受け取らせれば、納税資金に使えます。

生命保険は通常遺産の範囲に入らないので、後継者へ受け取らせても基本的に遺産分割や遺留分の問題を生じません。

相続税の課税対象にはなりますが、「500万円×法定相続人数分」の控除も適用されます。

6.民事信託を利用する

事業承継において、民事信託を活用する方法もあります。民事信託とは、信頼できる親族などへ財産を預けて管理してもらう信託契約です。

具体的には、後継者へ会社株式を信託し、委託者(先代経営者)のために管理してもらいましょう。民事信託では、先代に「指図権」を残せるので株式を信託しても議決権行使は先代が行えます。

また、後継者に経営の資質がない場合には、信託契約を解約して別の後継者を探すことも可能です。

事業承継に民事信託を導入するといわば「お試し」で事業承継できる点が大きなメリットとなるでしょう。

なお、民事信託を設定する際には複雑な契約書作成や信託用口座の開設、登記などが必要となるため、一般的に弁護士や司法書士などの専門家によるサポートが必要です。

関心がありましたらお気軽にご相談ください。

7.事業承継には早めに取り掛かる

事業承継に失敗するパターンとして、時間不足が挙げられます。

承継が完了するまでの間に先代が倒れてしまい、混乱が生じたり承継できなくなったりするのです。

一般的に、「経営経験のない子どもへ事業承継させるには10年程度かかる」ともいわれています。

スムーズに事業承継を行うため、「まだ元気だから自分でできる」と考えるのではなく早めに計画を立て、実現へ向けて進めましょう。

8.最後に

京都の益川総合法律事務所では、相続や事業承継対策に力を入れて取り組んでいます。これまで多くの業種、規模の中小企業経営者の方へ事業承継の助言やサポートを行ってきました。

京都、滋賀、大阪、兵庫で事業承継をご検討の経営者様がおられましたら、お気軽にご相談ください。

会社経営者が遺言書を作成する際に注意すべきポイント

2022-06-22

会社経営者は、一般の方以上に「遺言書」を作成する必要性の高い立場です。

遺言書がないと、死後に大きなトラブルが発生し、後継者による会社経営に困難が生じてしまう危険があります。

この記事では、会社経営者が遺言書を作成すべき理由、作成の際のポイントについて、京都の弁護士が解説します。

今後、事業承継をお考えの経営者さまは、ぜひ参考にしてみてください。

1.会社経営者に遺言書が必要な理由

会社経営者が遺言書を遺すべき理由は、以下のとおりです。

1-1.後継者へ株式や事業用資産を引き継がせるため

遺言書は、後継者へ確実に会社株式や経営に必要な事業用資産を承継させるために必要です。

遺言書を遺さなければ、相続人たちは自分たちで話し合って遺産を分割しなければなりません。その際には、基本的に「法定相続分」に応じて分割されてしまいます。

法定相続分は、後継者だからといって特に多めに認められるものではありません。

後継者が会社株式や事業用資産を取得したいと希望しても、他の相続人が納得しなければ取得できない可能性があり、後継者による会社経営が困難となってしまうでしょう。

遺言書があれば、会社経営に必要な株式や事業用資産を後継者へ集中させられます。スムーズな事業承継を実現するには、遺言書が必須といえるでしょう。

1-2.相続争いを防止するため

遺言書がないと、相続人たちの間で相続争いが発生するリスクが高まります。

後継者が多めの遺産取得を希望しても、他の相続人が納得しないケースが多いですし、遺産の分け方で意見が合わない可能性もあります。

最終的には、評価額の高い不動産などを売却して分けざるを得なくなり、資産が失われるケースも少なくありません。

相続争いが後継者にとって負担となり、経営の足かせになるのも問題です。

相続争いを防止するためにも、遺言書を作成しましょう。

2.会社経営者の遺言におけるポイント

会社経営者が遺言書を作成する際には、以下の点に注意しましょう。

2-1.財産内容を整理する

まずは、財産内容を整理して、わかりやすく一覧表にまとめましょう。

会社経営者の資産内容は複雑で、高額になるケースが多数です。目録がないと、相続人たちにはどのような遺産があるのか伝わりません。

遺言書を作成するなら、資産内容の洗い出しからはじめてみてください。

2-2.後継者へ必要な資産を承継させる

次に重要なのは、後継者へ必要な資産を承継させることです。会社株式と事業用資産を相続させないと、経営の引き継ぎが困難となります。

後継者へ必要な資産を承継させる遺言内容にしましょう。

2-3.事業承継計画との同時進行

遺言書を作成するのと同時進行で、事業承継計画を立てて実行するのが良いです。

未経験の子どもに経営を引き継がせる場合、おおむね10年かかるといわれています。

事業承継を検討しているなら、早めに取り組みを開始しましょう。

2-4.遺留分に配慮する

後継者以外の相続人の遺留分にも、配慮しなければなりません。

遺留分とは、子どもや配偶者などの相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。

後継者以外の子どもたちの遺留分を侵害すると、死後に後継者に対する「遺留分侵害額請求」が起こって、後継者に金銭的な負担が発生するリスクが発生します。

できれば、遺留分権利者には遺留分に相当する預金などの遺産を遺すと良いのですが、難しい場合には別の方法で遺留分対策をしましょう。

■遺留分に関する民法特例を適用

事業承継の事案では、遺留分に関する民法の特例を適用できる可能性があります。特例を利用すると、生前に推定相続人と合意して会社株式や事業用財産を遺留分の対象から外せます。

ただし、特定を適用するには一定要件を満たさねばなりません。経済産業大臣による確認を受けた後、家庭裁判所へ許可を求めなければならないなど、手続きも複雑です。

利用したいときには、弁護士へ相談してサポートを受ける方が確実でしょう。

2-5.遺言書が無効にならないように注意

せっかく遺言書を作成しても、無効になったり発見されなかったりしては意味がありません。

例えば、自己判断で自筆証書遺言を作成すると、要式不備で無効になるケースが多々あります。自宅で保管していると、発見されなかったり発見した相続人によって破棄されたり隠されたりするリスクも発生します。

また、認知症が進行してから遺言書を作成すると、やはり無効になってしまいますリスクが高まります。

遺言書を作成するなら、適切な方法で作成・保管して確実に効果を発揮できるようにしましょう。

3.遺言書を作成する方法

主に利用される遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

自筆証書遺言を自分1人で作成すると無効になりやすいので、必ず弁護士へ相談し、できあがったものは法務局に預けるようお勧めします。

より確実性が高いのは、公正証書遺言です。こちらについても、遺言内容について、弁護士のアドバイスを受けておくと、後々のトラブルを防いでスムーズに事業承継を進めやすくなります。

4.最後に

益川総合法律事務所は京都の老舗法律事務所として、事業承継や相続案件に力を入れております。

多くの企業経営者の承継を成功に導いてきた実績がございますので、事業承継をお考えの方はぜひとも1度、ご相談ください。

遺言書の効力、無効になる場合をパターンごとに弁護士が解説

2022-06-14

「遺言書にはどのような効力が認められるのでしょうか?」

といったご相談を受けるケースがよくあります。

遺言書を作成すると相続分の指定や相続人以外の人への遺贈など、さまざまな事項を指定できます。相続トラブルを防ぐ効力もあります。

ただし認知症の方が遺言書を作成すると無効になってしまうリスクがあるので、遺言書を作成されるのであれば、元気なうちに早めに作成される方がよいです。

今回は遺言書の効力、無効になるケースや有効な遺言書を作成する方法について、京都の弁護士が解説します。

1.遺言書で指定できること

遺言書にはさまざまな効力があります。

まずは遺言によって何を指定できるのか、代表的な事項をお伝えします。

  • 相続分の指定
  • 遺産分割方法の指定
  • 一定期間における遺産分割の禁止
  • 遺贈
  • 寄付
  • 子どもの認知
  • 相続人の廃除や取消し
  • 遺言執行者の指定
  • 特別受益持戻し計算の免除
  • 生命保険受取人の指定や変更

遺言書には相続トラブル予防の効力がある

遺言書には相続トラブルを予防する効力も期待できます。

例えば、遺産分割方法を指定しておけば、相続人が遺産分割協議を行う必要がありません。意見が合わなくて対立してしまうトラブルを防げるでしょう。

遺言執行者を指定しておけばスムーズに遺言内容を実現できるので、遺言書が無視されたり放置されたりするトラブルを防げます。

死後にトラブルを防いでご希望を実現したいなら、遺言書の作成を検討しましょう。

2.遺言書が要式違反で無効になるパターン

遺言書に効力が認められない1つ目のパターンは「要式違反」です。

自筆証書遺言の場合、自分で要式を守った遺言書を作成しなければなりません。

要式を守らない遺言書は無効です。

よくある間違いをみてみましょう。

2-1.自筆していない部分がある

自筆証書遺言は、遺産目録の部分以外すべて自筆しなければなりません。

一部でもパソコンを使ったり代筆をお願いしたりすると無効になります。


2-2.日付を入れない

日付を入れ忘れると無効です。「○月吉日」など、日付を特定しない場合も無効になるので必ず年月日まで記入しましょう。


2-3.署名押印を忘れる

署名押印を忘れると遺言書に効力が認められません。


2-4.加除訂正方法を間違える

遺言書を書き間違えたときの加除訂正方法については、法律によって細かいルールが定められています。
きちんと従わないと無効になってしまうので正しい知識をもって対応しましょう。

3.遺言能力がなくて遺言書が無効になるパターン

遺言書の要式を守っていても「遺言能力が失われた状態で作成した」場合、無効になります。

3-1.遺言能力とは

遺言能力とは、遺言書を作成する意味を理解し、死後に遺言書によってどういった効果が発生するのかわかる能力です。

有効に遺言書を作成するには、遺言能力が必要です。

基本的には15歳以上の人に遺言能力が認められますが(民法961条)、認知症が進行して事理弁識能力が低下すると「遺言能力がない」と判断される可能性があります。

遺言能力のない人が作成した遺言書は無効であり、重度な認知症の方が遺言書を作成しても、効力が認められない可能性が高くなります。

3-2.遺言能力があるかどうかの判断基準

遺言能力があるかどうかについては、以下のような要素によって判断されます。

■医学的な診断、医師の意見

まずは医学的な診断や検査結果が重要な考慮要素となります。

例えば、以下のようなものは判断の指標として重要視されるでしょう。

  • 遺言書を作成した当時の診断書、カルテ
  • 要介護認定の有無や程度
  • 要介護認定時に提出された資料
  • 介護施設での記録
  • 介護日誌
  • 長谷川式スケールの点数

■当時の本人の言動

遺言者本人が作成当時、どういった言動をとっていたかも考慮されます。

例えば、日常的に徘徊や妄想など、異常な行動や言動があれば遺言能力がなかったと判断される可能性が高まります。

判断能力が十分だった頃の行動や言動と、実際の遺言内容との間に大きな剥離がある場合にも、遺言能力が怪しまれる可能性があります。

■遺言書の内容や表現

遺言書の内容や表現そのものも遺言能力の判断の指標になります。

例えば、複数の収益不動産や株式の遺産分割方法を指定するなど、複雑な遺言内容であれば高度な判断能力が必要です。難しい、遺言内容であるにもかかわらず本人の能力に不安があれば、遺言能力がないとされる可能性が高まります。

反対に、少額の預金を特定の相続人に残すだけ、全財産を配偶者に残すだけなどの簡単な内容であれば、遺言能力が認められやすいでしょう。

4.遺言書の効力に疑問がある場合には

「遺言書が無効なのではないか」と考えられる場合、まずは他の相続人や受遺者と話し合って遺言書に従うべきかどうか検討されることになります。全員が納得すれば、遺言書を無視して、遺産分割協議で遺産を分けることも可能となります。

話し合っても合意できないなら、家庭裁判所で遺言無効確認調停を申し立てられることになります。

それでも合意が難しければ、最終的に地方裁判所で遺言無効確認訴訟が提起されます。

5.最後に

遺言書を作成するのであれば、適切な方法で作成する必要があります。

遺言書の有効性を巡ってトラブルが発生すると、熾烈な争いに発展して紛争が長期化するケースも多々あります。

いずれの場合でも、弁護士によるサポートが必要になるので、困ったときには京都の益川総合法律事務所までご相談ください。

遺言と家族信託の違いや選び方を弁護士が解説

2022-06-08

遺言と家族信託は似ている部分もありますが、まったく異なる制度です。

それぞれの違いやできることを知り、効果的な相続対策、生前対策を行いましょう。

今回は遺言と家族信託の違いや選び方、活用方法を京都の弁護士がお伝えします。

将来の認知症対策、死後の相続対策を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

【家族信託と遺言の違い 一覧表】

 家族信託遺言
生前の財産管理や認知症対策できるできない
2代以上先の財産承継方法指定できるできない
子どもの認知や相続人廃除、取消などできないできる
行為の性質契約単独行為
撤回の可否合意がないとできないが条件を満たせば解約は可能できる
要式(手続きの方法)委託者と受託者が合意して契約する遺言書を作成する(厳格な要式を守らねばならない)

■家族信託とは

家族信託とは、信頼できる家族へ財産を預けて管理・処分してもらう信託契約です。

預けた財産は委託者の希望するとおりに管理や処分をしてもらえます。

生前から効力を発生させられますし、死後にまでも効力を及ぼすことが可能です。

■遺言とは

遺言とは、遺言者が死後の財産承継方法や身分行為などについて指定するための書面です。

たとえば相続分や遺産分割方法、寄付や遺贈、子どもの認知などを定められます。

効力を発生させられるのは死亡と同時であり、生前には効力がありません。

1.家族信託にしかできないこと

家族信託と遺言にはさまざまな違いがあります。
まずは、家族信託にしかできない事項をみていきましょう。

1-1.生前の財産管理や認知症対策

生前の財産管理や認知症対策は、家族信託にしかできません。遺言は「死後」にしか効力を発生させられないためです。

たとえば認知症になったときの預貯金の管理、不動産の管理処分や株式、投資用物件の運用などを家族に任せたい場合、家族信託を検討しましょう。

1-2.障害のあるお子さんの生活保障

障害のあるお子さんがおられる方は、ご自身が亡くなった後のお子さんの生活が心配になるでしょう。遺言の場合、障害のあるお子さんに財産を残すとしても死亡時に一括で渡すことになってしまいます。お子さん自身に管理能力がなければうまく使っていくのが難しくなるでしょう。

家族信託であれば、障害のない親族に預貯金や不動産を委託して障害のあるお子さんのために管理処分してもらえます。本人に管理能力がなくても月々の生活費を出してもらったり家を管理してもらえたりするので安心です。

1-3.生前の事業承継への活用

生前の事業承継対策も家族信託にしかできません。

家族信託を利用すると、先代が後継者に会社株式や事業用資産を預けて様子を見ることができます。先代に指図権を残せるので議決権行使できますし、後継者として不適切な場合には解約も可能です。

遺言では死亡時に一括して株式や事業用資産を相続または遺贈してしまうので、後継者が不適切かどうか見届けることはできません。

生前に様子を見たい場合には家族信託が適しているでしょう。

1-4.二代以上先の財産承継方法指定

家族信託を利用すると、2代以上先の財産承継方法を指定できます。たとえばまずは配偶者に財産を遺し、配偶者の死亡後は長男に受け継がせ、さらにその後は次男の子ども(孫)へ家を継がせるなどの希望を実現可能です。

遺言の場合、本人の直後の相続や遺贈しか指定できません。相続人がどのように財産を受け継がせるかは相続人が決定するので、遺言者が決められないのです。

2代以上先の財産承継を指定したいなら家族信託を利用しましょう。

2.遺言にしかできないこと

遺言にしかできないこともあるので、ご紹介します。

2-1.子どもの認知や相続人廃除など

子どもの認知や相続人廃除、その取消などの身分的な行為は遺言でしかできません。

2-2.遺言執行者の指定

遺言執行者の指定は遺言にて行う必要があり、家族信託では指定できません。

2-3.遺留分侵害額請求の順序指定

遺留分侵害額請求の順序は遺言によって指定できます。家族信託では指定できないので、遺留分トラブルを防止したいなら遺言の方が有効でしょう。

2-4.祭祀承継者の指定や特別受益の持ち戻し免除なども遺言の方が適している

先祖を祀るための財産を承継する「祭祀承継者」は先代の祭祀主宰者が指定する必要があります(指定がなければ慣習や家庭裁判所の指定によって決まります)。

また被相続人が生前贈与や遺贈を行う場合には、被相続人の意思で特別受益の持ち戻し計算を免除できます。

祭祀承継者の指定や特別受益の持ち戻し免除は遺言でなくてもできますが、遺言書で明らかにしておくとわかりやすいでしょう。

少なくとも契約行為である家族信託には適さない行為といえます。

3.行為の性質や方式の違い

家族信託は委託者と受託者の契約行為なので、双方の合意が必要です。特に厳格な要式は要求されません。ただし契約内容を明らかにするため、公正証書化が推奨されますし、信託財産に不動産が含まれていたら信託登記すべきです。

一方、遺言は遺言者が行う単独行為です。受贈者や相続人の合意は要りません。

厳格な要式行為なので、要式を満たさないと無効になってしまいます。

家族信託と遺言では設定方法が大きく異なるので、それぞれにおいて適切に対処しましょう。

4.最後に

当事務所では相続が発生した後はもちろんのこと、生前の財産管理対策にも力を入れて取り組んでいます。京都、滋賀、大阪、兵庫で家族信託や遺言に関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

家族信託を弁護士に依頼するメリット

2022-05-31

家族信託を利用する場合、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。高度な法律知識を要求されるので対応できない方がほとんどだからです。

また自分たちだけで契約書を作成すると失敗してしまうリスクも高くなってしまいます。

今回は家族信託を弁護士へ依頼するメリットをお伝えしますので、家族信託に関心をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

1.家族信託についての説明やアドバイスを受けられる

家族信託については、なんとなく知っていても具体的によくわからない方が多いと思います。

弁護士に相談すると、家族信託でできることやできないこと、メリットとデメリット、利用方法などについて正確に説明してもらえます。

家族信託を利用する際のアドバイスを受けられるので、安心して取り組めるのがメリットとなるでしょう。

2.有効なスキームを設定してもらえる

家族信託を設定する際には、状況に応じたスキームを組み立てる必要があります。

具体的には誰を委託者、受託者、受益者とするのか、何を信託財産とするのか、いつ信託契約を終了させるのかなどを決めなければなりません。

専門知識がなければ、家族信託のスキームを組み立てるのは困難です。自己判断すると、意味のない信託契約書を作成するだけで家族信託に失敗してしまう可能性もあります。

弁護士に依頼すると、ご家族の状況に応じて最適な家族信託のスキームを提案してもらえます。

法的な専門知識がなくても有効な家族信託のスキームを組んで利用できるのは大きなメリットとなるでしょう。

3.手間がかからない

家族信託には手間がかかります。

  • スキームを検討して決定する
  • 家族会議を開いて関係者へ理解を求める
  • 信託契約書を作成する
  • 信託契約書を公正証書にする
  • 信託登記をする
  • 信託口座を開設する
  • 受託者が財産管理や処分を開始する

上記のようなステップを踏まねばなりません。自分たちで取り組むと、慣れない契約書作成や公正証書化などに手間取ってしまう方が多数です。

弁護士に依頼するとスキームの決定、契約書の作成や公正証書化などについて全面的に支援してもらえます。登記については提携している司法書士に依頼できるので、依頼者に手間はかかりません。

労力をかけずに家族信託を利用できるのは多大なメリットとなるでしょう。

4.スムーズな対応

自分たちで家族信託に取り組むと、手順やルールがわからないために非常に長い時間がかかりますし、最終的に失敗するリスクも高まります。

弁護士に依頼すればスムーズに手続きを進めてくれるので、早期に家族信託の設定が完了するのもメリットとなるでしょう。

5.遺言や成年後見も合わせた総合的な対応が可能

認知症対策を行う際には、成年後見制度や任意後見契約なども視野にいれつつ家族信託を利用するのが得策です。それぞれの制度において、できることが異なるからです。

相続対策にも同様のことがいえ、遺言書と家族信託には別の機能があります。

弁護士は家族信託だけではなく成年後見制度や遺言にも精通しているので、これらを組み合わせて最適な対処方法を実行できます。

自分たちだけで対応するより有効な対処ができて、ご本人の希望を実現しやすいのはメリットとなるでしょう。

6.対応範囲が無制限

家族信託を依頼できる専門家としては、行政書士や司法書士も存在します。

ただ、行政書士や司法書士は、弁護士と異なり、相談に対応できる範囲が限定的になってしまいます。

弁護士であれば無制限に家族信託についてのアドバイスや対応ができるので、任せていて安心感があります。

7.紛争になっても安心

家族信託を設定すると、後日にトラブルになる可能性も0ではありません。

きちんと家族の理解を得なかったために受託者や受益者以外の親族が不公平感を抱くケースもあり、死後に相続トラブルや遺留分トラブルが生じてしまう事例もみられます。

弁護士は紛争解決の専門家なので、トラブルが起こったときにすぐに収束させるための対応をとることができます。

将来発生するかもしれないトラブルに備えるには、当初から弁護士へ依頼するのがおすすめです。

8.家族信託を依頼する弁護士の選び方

家族信託を弁護士に依頼するときには弁護士選びにも注意しましょう。

家族信託は弁護士の取扱業務の中でも比較的新しい分野であり、専門性も高いため、誰でもよいわけではありません。適切にスキームを組み立ててスムーズに信託契約を設定できる弁護士は限られています。

益川総合法律事務所は1983年に京都の地にて創業した老舗の法律事務所で、およそ40年間にわたり京都、滋賀、大阪、兵庫の皆様のため、邁進してまいりました。これまで数多くの相続案件を手掛けてきた経験があり、家族信託についても十分な知見を有していると自負しております。

ご相談者の方に応じて、スキームをご提案して迅速に対応いたしますので、家族信託に関心をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

家族信託とは

2022-05-26

家族信託を利用すると、将来認知症が進行したときの財産凍結を防いだり、相続が発生したときに希望通りに財産を受け継がせられたりする効果があり、大きなメリットを得られます。

最近では家族信託の認知度も高まり、利用者も増加しているので聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

ただ「具体的にどういったものかわからない」「家族信託で何ができるのかわからない」「自分たちのケースで家族信託が適しているのか判断できない」といったご相談を受けるケースも少なくありません。

今回は京都の弁護士が家族信託について、わかりやすく説明します。活用事例もご紹介しますので、関心をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

1.家族信託とは

家族信託は、信頼できる家族に財産を預けて管理処分してもらう信託契約です。

たとえば親が子どもに自宅不動産や預貯金を預けて管理してもらい、将来認知症になったときに備えるケースなどがよくあります。

親族間の契約なので、高額な報酬も発生しません。信頼できる家族さえいたら利用できる手続きです。

□家族信託の基本的な仕組み

家族信託を設定する際には「委託者」と「受託者」「受益者」「信託財産」を決めなければなりません。

・委託者

財産を預ける人です。たとえば親が子どもへ不動産を預ける場合には親が委託者となります。

・受託者

財産を預かって管理する人です。たとえば親が子どもへ預貯金を預ける場合、子どもが受託者となります。

・受益者

受益者は、家族信託によって利益を得る人です。

受益者は委託者と一致する場合もあれば異なる場合もあります。

たとえば親が子どもへ不動産を預ける場合、親の存命中は親自身を受益者とするケースが多数です。親の死亡後は配偶者や別の子ども、孫などへ受益者を変更できます。

・信託財産

信託財産は、家族信託によって預ける財産です。たとえば親が子どもへ不動産と預金を信託する場合、信託財産は不動産と預金になります。

2.家族信託のメリット

2-1.柔軟に対応できる

認知症になったときの財産管理方法としては成年後見制度が有名ですが、成年後見制度に比べて家族信託は柔軟な対応が可能です。

成年後見制度の場合、家庭裁判所の監督を受けるのでどうしても硬直的になってしまいます。ご本人が後見人を自由に選ぶこともできません。

家族信託であれば、ご本人の希望する方法で希望する相手に財産管理や処分をしてもらえます。ご家族の状況に応じたスキームを組み立てられるのが大きなメリットとなるでしょう。

2-2.高額な費用がかからない

信託銀行で遺言信託などを利用すると、最低でも100万円程度の費用がかかってしまいます。

家族信託であれば、家族へ財産を預けるだけなので費用はさほど高額にならないケースが多数です。ただし専門家へ依頼する報酬や公正証書作成費用など、一定額はかかります。

2-3.家族信託にしかできないことも多い

遺言や成年後見制度では対応できず、家族信託にしかできないことがたくさんあります。

たとえば2代以上先への財産受け継ぎ方法を指定したり、事業承継において先代社長に権限を残したまま株式を信託したりするのは、家族信託ならではの機能です。

3.家族信託の活用事例

3-1.認知症対策

将来の認知症に備えて家族信託を利用されるケースが多数あります。

たとえば親が子どもに自宅の不動産を信託し、親が家に住んでいる期間の管理を委託します。その後、認知症が進行して施設入所が必要になったタイミングで子どもに家を売却してもらい、施設の頭金を用意することも可能です。

3-2.二代以上先の財産引き継ぎ方法を指定

家族信託を利用すると、2代以上先への財産引き継ぎ方法を指定できます。

たとえば長男に子どものいないご家庭で、まずは長男に財産を継がせたいけれど、その後は次男の子ども(孫)へ引き継がせたいご希望を持っている場合を考えてみてください。

家族信託であれば、まずは長男、その次は次男の孫への財産引き継ぎを指定できます。

遺言の場合には長男への相続しか指定できないので、その後の孫への財産引き継ぎを指定できません。

2代以上先の財産引き継ぎを指定したいなら、家族信託が有効です。

3-3.障害のある子どもの生活保障

障害のあるお子様がいらっしゃって、親なき後の生活が心配な場合にも、家族信託が有効です。

障害のないお子様(ご本人のご兄妹)や甥姪などの親族に預貯金や不動産を信託し、障害のあるお子様のために管理してもらえば、ご本人の生活が守られます。

3-4.事業承継

事業承継の際に家族信託を用いると、先代に「指図権」という権利を残したまま株式を後継者候補へ信託できます。指図権を残すと、信託後も株式の議決権を先代が行使できます。

また後継者候補が不適格な場合、信託契約を解約して別の候補者を探せるので、お試しで承継できるのも大きなメリットとなるでしょう。

4.家族信託をおすすめするパターン

  • 将来の認知症が心配
  • 2代や3代先の財産承継方法を指定したい
  • 障害のある子どもの生活を守りたい
  • 事業承継したい
  • 遺産相続対策をしたい
  • 相続トラブルを防止したい

5.最後に

京都の益川総合法律事務所は家族信託や相続対策、認知症対策に力を入れて取り組んでいます。
家族信託に関心をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

自筆証書遺言についての相続法改正

2022-05-03


近年の相続法改正により、自筆証書遺言の作成方法や保管方法が変わりました。

①これまで自筆以外が許されなかった遺産目録をパソコン等で作成できるようになった

②自筆証書遺言を法務局で預かってもらえる制度が新設された

大きな改正点は上記の2つです。

今回は自筆証書遺言がどのように変わったのかについて、京都の弁護士がお伝えします。これから遺言書を作成される方はぜひ参考にしてみてください。

1.自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言者が全文を自筆する遺言書です。

遺言書には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があり、中でも頻繁に利用されるのが自筆証書遺言と公正証書遺言です。

自筆証書遺言は基本的に無料で作成できますし、思い立ったときに遺言者が手軽に作成できるメリットがあります。

確実性としては公正証書遺言に劣りますが、適正な方法で作成・保管さえすれば遺言書としての効力は公正証書遺言と変わりません。

2.自筆証書遺言の変更点その1 遺産目録について

法改正により、自筆証書遺言における「遺産目録」の作成方法が変わりました。

遺産目録とは、どういった遺産があるのかを明らかにする表です。

従来、自筆証書遺言では遺産目録の部分も含めて遺言者が自筆しなければなりませんでした。ただ現代ではパソコンを使う方も多いですし、遺産目録を自筆すると不動産や預金の番号などを間違ってしまうリスクもかえって高くなります。

そこで改正法では遺産目録のみ、自筆の必要がなくなりました。

パソコンで目録を作ってもかまいませんし、不動産なら全部事項証明書、預金なら預貯金通帳のコピーをつける方法で代替できます。

ただし自筆しない場合には、遺産目録の全ページに遺言者が署名押印しなければなりません。両面に印字がある場合には両面への署名押印が必要です。

忘れると遺言書が無効になってしまうリスクがあるので注意しましょう。

3.自筆証書遺言の変更点2 法務局で保管してもらえる制度が新設

改正法により自筆証書遺言を法務局で預かってもらえる制度が新設されました。

従来は自筆証書遺言を作成すると、遺言者が自分で保管しなければなりませんでした。

しかし自分で保管すると、どうしても紛失してしまうリスクが高まります。

また遺言書を発見した相続人が隠したり破棄したり、書き換えてしまったりするケースもあります。

そこで自筆証書遺言を法務局に預けて管理してもらうことにより、安全に保管できる制度が作られました。

これが自筆証書遺言書保管制度です。

3-1.自筆証書遺言書保管制度の使い方

まずは遺言者が自分で遺言内容を考えて、有効な自筆証書遺言を作成します。遺言書保管所では遺言書の作成方法や内容については相談に乗ってくれません。

遺言書ができたら遺言者本人が保管所へ遺言書を持ち込みます。封入せずそのまま持参しましょう。

管轄の法務局は以下の3種類です。

  • 遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
  • 遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
  • 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所

事前に予約をとり、定められた日時に遺言書保管所へ出向きましょう。

遺言書を預けられるのは本人のみです。代理人による保管申請は認められません。

3-2.費用

預ける際の費用は、遺言書1通につき3,900円です。

3-3.遺言書を預けた後の対応

遺言書を預けた後、遺言者は遺言内容を確認、撤回、変更できます。

確認する場合、モニター越しに閲覧する方法と原本を閲覧する方法の2種類があります。

□ 手数料

モニター閲覧…1回1,400円

原本閲覧…1回1,700円

遺言書の保管の申請の撤回、遺言者の住所等の変更の届出をする際には手数料はかかりません。

3-4.自筆証書遺言保管制度のメリット

  • 遺言書の紛失を防止できる
  • 破棄隠匿、書き換えなどの不正を防止できる
  • 相続人へ通知する制度を利用できるので、遺言書が発見されやすくなる
  • 死後の検認が不要で相続人に手間がかからない

3-5.自筆証書遺言保管制度の注意点

① 遺言者本人が申請しなければならない

遺言者本人が法務局へ出向いて遺言書を預けなければならないので、寝たきりなど体が動かない方は利用できません。公正証書遺言なら、自宅や施設、入院先などへ公証人に出張してきてもらって遺言書を残せます。

② 遺言が無効になる可能性がある

自筆証書遺言の保管制度を利用しても、遺言書が有効になるとは限りません。

確かに法務局で形式的に審査されますが、有効性を確認するほどのものではないからです。

要式違反で無効になる可能性もありますし、遺言能力が失われていて無効となるリスクもあります。

より確実に遺言書を遺すには、弁護士へ相談しながら作成しましょう。

4,遺言書作成は弁護士へご相談ください

せっかく自筆証書遺言を作成しても、無効になってしまっては意味がありません。

京都の益川総合法律事務所では、遺言書の作成支援に積極的に取り組んでいます。

トラブルを効果的に防ぐための遺言内容についてアドバイスを行い、遺言書が無効にならないよう法的な観点からのチェックも可能です。

遺言書を作成される方は、お気軽にご相談ください。

作り直された遺言書の効力~遺言書の撤回と取消について

2022-04-26

一度は遺言書を作成しても、後に気が変わって書き換えたり破棄したりしたい状況があるものです。

  • 遺言で多めに相続させた子どもと不仲になってしまった
  • 遺言で少なめに相続させた子どもから、献身的に介護を受けたのでもっと多くの遺産を遺したい
  • 事業承継をするケースで、後継者が変わった
  • 財産を使ったので、遺産内容が変わってしまった

民法は、遺言の撤回や取消を認めていますが、撤回、取消にも一定のルールがあります。近年、最高裁判所で遺言の撤回についての新判断も出ています。

今回は、京都の弁護士が遺言書の撤回や取消の方法についてお伝えします。

遺言書を作成される方のみならず、発見された遺言書の効力を知りたい方にもお役に立つ内容ですので、是非ご確認ください。

1.遺言書の撤回、取消は自由にできる

いったん遺言書を作成しても、遺言者は自由に撤回や取消ができます(民法1022条)。

撤回部分は全部であっても一部であってもかまいません。

(遺言の撤回)

第1022条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

反対に、1度遺言書を作成すると撤回しない限り以前の内容が有効なままとなります。もし、遺言書作成時と状況が変化したり気が変わったりしたら、早めに遺言書を撤回しましょう。

以下では法律の定める遺言撤回に関するルールをご紹介します。

2.以前と異なる内容の遺言書を作成する

遺言を撤回したい場合、以前と異なる内容の遺言書を作成するのが基本です。

以前と異なる内容の新しい遺言書を作成すると、自然に以前の遺言書の効力が失われます(民法1023条)。遺言書は「日付の新しいもの」が優先されるのです。

第1023条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

ただし以前の遺言書のすべての部分が無効になるとは限りません。

新しい遺言書と以前の遺言書で「矛盾する部分」のみが無効になります。

遺言書の一部のみを書き換えたい場合には、法的には、以前の遺言の中で「変えたい部分のみ」を新しい遺言書に書き込めば足ります。

但し、以前の遺言と新しい遺言の「矛盾する部分」がどこかが争いになり得るので、当事務所としては、遺言書を書き換える時は、全部を書き換えることをおすすめしています。

3.遺言書を破棄する

以前に書いた遺言書を破棄したら、遺言書を撤回したことになり効果は失われます(民法1024条前段)。

第1024条 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。

■遺言書を破棄する方法

遺言書全体を撤回、取り消したい場合には、破って捨てるのが確実です。

破棄の方法があいまいな場合、自分では撤回したつもりでも撤回が認められない可能性があり、注意しなければなりません。

■遺言書を破棄する方法についての最高裁判例

最高裁判所において、遺言破棄の効果が争われた事例をご紹介します(最判平成27年11月20日)。

このケースでは、遺言者が遺言書作成後、遺言書の一部に赤斜線を引きました。

第1審と第2審は、「赤斜線が引かれても元の文字を判読できる以上、民法1024条前段の『故意に遺言書を破棄したとき』に該当せず、遺言は有効」と判断しました。

一方で最高裁判所は「遺言は無効」と判断しました。

理由は以下のとおりです(判決文をわかりやすく編集しています)。

「赤色のボールペンで遺言書の文面全体に斜線を引くと、一般的には遺言書全体を不要として全ての効力を失わせる意味の表れとみるのが相当である。故意に本件斜線を引く行為は、民法1024条前段の『故意に遺言書を破棄したとき』に該当するというべきで、本件遺言を撤回したものとみなされる。したがって遺言は効力を有しない」

この最高裁判決により、遺言書の一部に赤斜線を引いた場合には、遺言書全体が無効となることが確認されました。但し、このような曖昧な方法により遺言書を破棄すると争いの種になるので、好ましい方法ではありません。

4.遺贈の目的物を破棄する

遺言者が遺贈の目的物を破棄した場合にも、遺言書が無効になります(民法1024条後段)。

たとえば相続人へ骨董品などの動産を遺贈したけれども、その後気が変わって壊したら遺言の該当部分は無効です。

また遺贈した不動産を売却したり預貯金を使ってしまったりした場合にも遺言書の効力は失われます。

5.撤回の撤回はできない

遺言書を1度撤回しても、再度気が変わって「撤回の撤回」をしたい状況も考えられます。

しかし撤回の撤回は認められません(民法1025条)。

1度撤回した後に再度効果を復活させたい場合には、あらためて別の遺言書を作成する必要があります。

第1025条 前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。

■例外的に撤回の撤回ができるケース

詐欺や強迫によって遺言書を撤回した場合、例外的に撤回の撤回も認められます。

遺言書を撤回したい場合、間違った対応をすると上記の最高裁の事例のように撤回の効力があいまいになってしまいます。遺言書作成後に気が変わったときや状況に変化があったときには、弁護士のアドバイスを受けて撤回、取消を行うのが確実です。

6.最後に

当事務所では遺言書作成に関するサポートや遺言書の効力を争う事案について積極的に取り組んでいます。この2つの内容については一見矛盾するように見えるかもしれませんが、遺言書の効力を争う事案に取り組んでいるからこそ、そのような紛争にならない形での遺言書作成に関するサポートができると自負しております。

お困りの方はお気軽にご相談ください。

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